あ、東郷さんとわりとイチャイチャしちゃうぞ(^ω^)
「z z z……」
「ぐっすりだねぇ〜こうくん」
「多分、ゲームで夜更かししたんじゃないかな?最近新しいゲーム買ったって言ってたから」
「寝不足と言えば、珍しいわよね。東郷が机に突っ伏して寝てるなんて」
「z z z……」
昼休み、いつもの如く勇者部のメンバーは集まって雑談に浸っている。その中で、話題は朝からずっと眠そうな洸輔と東郷の話になっていた。
「東郷さんも、結構夜更かしするよ?」
「えっ、そうなの?」
「うん、ふとした時に起きて東郷さんの家見るとあ、電気ついてる〜みたいな感じで」
「きっと、歴史の研究してるんよぉ〜わっしーは歴史大好きさんだからねぇ〜」
園子が東郷の頭を撫でる。そんな光景を微笑ましくみる友奈も、洸輔の頭を撫でていた。そういう何気ない行動が洸輔に対してのヘイトを溜めることに気づかない友奈であった。
「昨日も出たらしいよ?」
「私は、この前本物みたよ!カッコよかったなぁ〜」
「まじか!いいなぁ〜本物見てみてぇ〜」
そんな軽い修羅場になりかけている隣では、クラスメイト達が何やら共通の話題で盛り上がっていた。
「ねぇねぇ、皆はこの人達のこと知ってる?」
「この人?」
「誰の事よ?」
「巷で、話題の国防仮面って人達のこと!」
「「国防仮面???」」
「ん〜?しかも、人達〜?」
何のことかさっぱりな友奈と夏凜に、クラスメイトが二つの人物が映っている動画を見せる。
『国を護れと人が呼ぶ!愛を護れと叫んでいる!憂国の戦士、国防仮面、見参!!』
『白きマントに望みを乗せて……照らせ、平和の国防魂!!国防仮面四号!事件現場にただいま到着!』
その動画には、マントを靡かせながら、軍服に身を包んでいるまるでヒーローのような姿をした人物が、映っていた。そのカッコよさに友奈は目を輝かせる。
「かっ、カッコいい!!」
「でしょ!?やっぱり、カッコいいよねぇ〜国防仮面!」
「ん〜でも、良いことしてるのに何で正体隠しちゃうんだろ?」
「それは〜目立ちたいからとか?」
「園子……まさかだと思うけど、国防仮面って」
「あはは、そのまさかかもだねぇ〜」
友奈とクラスメイトが盛り上がる横で、夏凜と園子はそのヒーロー達の正体に気づいていた。二人は視線を眠りふけっている人物達の元へと向けた。
「国防仮面さんと、国防仮面四号さんかぁ〜どんな人なんだろ?会ってみたいなぁ〜!」
その横では、友奈が嬉々とした表情でそんなことを口にした。純粋すぎるというのも考えものである。
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〜風視点〜
「樹、ご飯よ〜」
「……」
「どうしたの?端末をそんなにじっと見て」
「ニュース見てるんだけど、リアルタイムで国防仮面を見たって人がいるみたいで」
国防仮面、そう言えば私のクラスでも話題になっていた人物だ。樹も知ってるということは、1年の間でも話題なのだろう。
「でも、それがどうかしたの?」
「ここから、わりと近くみたいだし見に行こうよ、お姉ちゃん!」
我が妹がピョンピョン跳ねながら、私にそう提案してくる。しかし、今は夜……中学生が外に出ていい時間じゃない。
「あのねぇ、今は夜よ?樹。こんな時間に女子力の高すぎる私達姉妹がうろついてたら危ないわ。何より、私は部長として部員の模範になる行動をしなくてはならないし」
「うう…そうだよねぇ」
「……あ、お醤油が切れちゃってるわねーこれは困ったー。しょうがないわねぇ〜近くのお店にでも二人固まって買い出しに、行こうか」
「!う、うん!ありがとう、お姉ちゃん!」
嬉しそうに笑う樹を見て、釣られて笑う。まぁ、二人一緒なら大丈夫だろう。
そんなこんなで、樹と二人で買い物へ行くことになった。
「あ、お姉ちゃん、見て見て!」
「まさか、国防仮面!?」
樹が指をさした方向には、奇抜な格好に身を包んだ人物が柄の悪い男を取り押さえている姿があった。近くには高校生くらいの女の人がいた。樹と、遠巻きにやりとりを見守る。
「女性に不必要に迫るだけでなく、手まであげようとするとは…大丈夫でしたか?お嬢さん」
「は、はい、大丈夫です!その、お強いんですね…驚きました」
「腕っぷしには少し自信がありますので」
「な、なるほど……って、あれ?」
「どうかされましたか?」
「携帯を落としちゃったみたいで……」
「貴方の落とした携帯とは、これではないでしょうか?」
そこに、もう一人暗闇の中から、同じような衣装に身を包んだ人物が現れる。本当に二人いたのね…国防仮面。
「あ、そ、そうです!」
「良かった、そこに落ちていましたよ。四号そろそろ」
「了解、ではお嬢さん、帰り道にも気をつけて」
「ほ、本当にありがとうございます!ええと……」
「憂国の戦士、国防仮面!」
「そして、国防仮面四号!その正体は、国をそして人を愛する一人の人間です。貴方が困った時、また現れます!では!」
そう言って、二人の国防仮面は姿を消した。
「……わぁ、あれが二人の国防仮面さん。というより、二人ともすごくどこかで見たことあるような?」
「あの立ち振る舞い……なんだか、デジャヴを感じるわ。しかも、言葉遣いとかは違うけど、声とか……これは帰って調べ物よ、樹」
顔へ手を当てる。あの感じ、だいたい見当がついてきた…これはもし本当に二人の国防仮面の正体が予想通りなら、すこし問い詰める必要がありそうだ。
(何やってんのよ、東郷…それに洸輔まで)
その帰り道、私は猛烈に長いため息をついた。
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「ふぅ、今日もお疲れ様。美森」
「洸輔くんも、お疲れ様」
二人で仮面を取りながら、お互いを労う。いつもならもう少し国防仮面として活動するのだが、今日は昼間の学校の授業でお互いに爆睡しまくってしまった為、早めに活動を締めることにした。
「にしても、美森。よくあんな暗いところで携帯見つけられたね?僕全然見えなかったよ?」
「ふふ、目の良さに関しては自信があるの」
「流石、国防仮面!」
勇者部の中に置いて、長距離射撃を唯一担当しているだけはあるなぁと素直に感心する。
「さーてと、じゃあ今日はもうお開きでいい?」
「……えっと」
「美森?どうかした?」
「洸輔くんが良ければだけど、少しお話しでもどうかな?」
「えっ、でも今日は……ううん、了解。それじゃ、お話ししようか?美森」
僕の言葉に美森が、微笑む。その表情に一瞬見惚れてしまうが、じろじろ見るのも悪いと思いすぐに視線を逸らした。
立ち話もなんだということで、美森は家へ上げてくれた。そこで、お互いに(もちろん、別々の部屋で)着替えも済ませて、二人で縁側へと腰をかける。
「お茶、持って来たよ」
「えっ!?わ、わざわざ入れてくれたの!?な、なんか悪いなぁ…」
「いいのよ、私が引き止めたのだから。これくらいはさせて」
「じゃ、じゃあ、遠慮なく」
美森の入れてくれたお茶で、口を喜ばせつつも気になっていた事を聞く。
「そいえばさ」
「何かしら?」
「ずっと気になってたんだけど……なんで、二号と三号を飛ばして僕四号なの?もしかして、もうメンバーはいたりする?」
「ええ、二号はそのっち、三号には……もう、適任の人がいたから」
「なるほどね、それなら納得だ」
うんうんと頷きながら、美森の方へ視線を向ける。その表情は、少し寂しげだった。やがて、美森が口を開く。
「こんな事に……付き合ってくれてありがとうね。洸輔くん」
「急に、どうしたのさ?」
「元は私が罪滅ぼしとして始めた事なのに、あなたに手伝わせてしまっているし……今回は勇者部の皆に内緒にする形で活動してしまっているから、この事を知られたら元は関係ない洸輔くんも怒られたりするかもしれないし……」
申し訳なさそうに、美森が呟く。そう、そもそもこの国防仮面の善行活動は、美森が壁を壊してしまった事や皆に迷惑を掛けた事への償いという形で始めた活動なのだ。
そして、ある時、美森が国防仮面として活動をしている事を知った僕は、何か手伝える事はないかと申し出た。その結果、僕も国防仮面四号として活動する事になったのだった。
「多分、皆怒らないと思うよ?」
「え…?」
「この活動は美森が美森なりに考えて、やっている事だから。そこについては誰にも怒らないと思うな」
「……」
「まぁ…授業寝ちゃったり日常生活に支障が出ちゃうのは流石にまずいから直さなきゃだと思うけど」
今日も友奈や、夏凛、園子に寝不足の事を心配させてしまった。そこだけは直したいなと思う。
「それに、美森の気持ちすっごいわかるんだ」
「私の…気持ち?」
「うん、何か、自分一人でも出来ることがないかなっていつも考えてる。だから、それを行動に移していた美森に今回力を貸したいって思ったんだ」
彼女の少しでも自分に出来ることをやりたいという気持ちがよく分かるから。言えないけど僕も春信さんの研究に力を貸しているし。
「後、別に美森が僕を手伝わせてるわけじゃないじゃないだろ?僕が好きでやってるんだからさ」
「でも……」
「それに、ほら変装してるとは言え美森を外に一人で出すのは危ないでしょ?でも、僕も一緒にいればいつでも守れるじゃん?」
「守れる……ふふ、そうだね」
クスリという小さな笑いが聞こえると、隣にいた美森が突然頭を僕の肩へと預けて来た。
「み、美森?」
「どうしたの?洸輔くんったらそんなに慌てて」
「いや、その……距離が近いっていうか…」
「当たり前よ、近付いたんだもん」
「うっ…」
彼女の甘えるような声が、僕の耳を刺激する。その行動に、僕の心臓の高鳴りがスピードを上げていく。美森が、今度は優しい声で呟く。
「あの時、言ってくれたものね……いつも側にいてくれるって」
「うん、いつも側にいる」
「もしも私がまたどこかに行ってしまっても……助けに、側に来てくれる?」
「もちろんだよ、例え美森がどこに行っても……ね」
僕と美森の体が、先ほどよりも密着する。
「ちょっ…!?」
「そう……洸輔くんがそう言ってくれるなら、もう怖くないな……」
そう言った時の、美森の表情は本当に心の底から安心するような表情だった。それを見て、僕は彼女の頭を優しく撫でた。
静かに寄り添う僕らを、月の明かりは優しく照らしてくれていた。
ちなみに、この一週間後くらいに勇者部のメンバーに僕らの正体がバレた事により、色々一悶着あったのだが…それはまた別のお話である。
微妙に最近出番が少なかった東郷さんに焦点当てました!もし、このキャラ目立たせてほしいとかあったら、感想やらリクエストに書いてくださいね!
ちなみに結構伏線貼っちゃったりしちゃったりして〜…