時系列の影響で園様はいらっしゃいません…ご了承を
「ま、まさか、停電するなんて」
「この、タイミングで……なんてこと」
太陽が照りつける猛暑日。今日は勇者部で次に行う劇の道具を作るため、集まっていた。
しかし、まさかのタイミングで停電が起こった。唯一の希望である首振り扇風機も停電の前では無力で…止まっている。
「うぬぅ……ただで、さえ、気温上がっているというのに」
「どうするの〜お姉ちゃん?」
「うぐぅ〜ぁぁ!時間ないし、今日の内にささっと!仕上げちゃいましょ!」
「ですね……きっと、ええきっと、その内復旧するでしょうし」
「うん!勇者部五ヶ条!なるべく諦めないですね!!」
実際のところ次に行う劇まで時間がないのも事実で、風先輩も皆も引くに引けないところまできているのだ。そこで、私はこの場に今はいない部員の話題を振る。
「そう考えると、洸輔くん凄いですよねぇ~」
「ええ、こんな猛暑日に畑仕事の依頼を受けるなんてね」
「本人もここまで暑くなるとは思ってなかったと思うわ…」
今、洸輔くんは一人で畑仕事の依頼をこなしている。
ほんとは手伝いたかったが、力仕事が多めで男手が欲しいという内容だったので「力仕事多めなら僕だけでいくよ!」と本人に言われた私達は…劇の準備に力を注ぐことにしたのだ。けど……
「……」
「あ〜どうしよう〜妹が黙り込んじゃった……」
「ふにゅー」
「そりゃ、しょうがないでしょうね。唯一の希望である扇風機も動かなくなっちゃったんだから……」
「ぁぁぁぁ……何か、何か、涼む方法は〜」
「あ!いいこと考えた!!」
『え?』
「そもそもよ!制服なんて着てるから暑いのよ!」
明らかに風先輩は口の端をつり上げながら、私達の方を向いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜一方その頃、洸輔は〜
「いやぁー!ありがとな!お前さんのお陰で助かったぜ!」
「いえいえ、役に立てたなら嬉しいです」
予定よりも早く依頼を内容を達成、日差しがかなりのもではあったが彼自身、暑さには強い方なので余裕で仕事をこなしたのだった。
依頼主である農家のおじさんも満足したのか満面の笑みである。
「こんな暑い日にこれだけやってもらったんだ!お礼しなくちゃな!」
「だ、大丈夫ですよ!僕、見返りとか求めてませんし…」
「まぁまぁ!俺が礼がしたいって言ってんだ!素直に貰っとけ!」
快活な笑みを浮かべるとおじさんは家の中へ入っていった。少し経ち、青いバッグのようなものを手に持ちながらこちらにやってくる。
「ほらよ!」
「えーと……これは?」
「なーに!暑いときつったらやっぱアイスに限るだろ?こんなかには棒アイスが七本入ってるからよ!まぁ友達で分けるなりなんなりして適当に食ってくれ!」
「あ、ありがとうございます!」
「良いってことよ!がはは!」
バッグを見て…僕はすぐにアイスをどうしようか決めた。
「まだ早いから皆いるよな?……よし!勇者部に行こう!」
アイスは丁度七本ある。なら、皆で分けて食べれる、そうと決まれば話は早い。学校へ向かうとしよう。
「皆喜ぶかな?」
学校についた僕は真っ直ぐ部室へと向かった。この暑さだ、かなり参ってることだろう。
「こんにちはー!依頼終わりまし……うええええええ!?」
「あ、洸輔くんだぁ〜ヤッホー」
「おー……こんちはぁ〜」
「素数を、素数を数えていいですか?思考が追いつかないので…」
錯乱せずにはいられない程の光景を目にしてしまった、驚くのも無理はない。部室のドアを開いたら女子部員全員が水着とか、驚かない方がおかしいと思う。
「えーと……皆は、何してるの?」
「風先輩の提案でねぇ……制服着てると、暑いから。皆で水着着て涼んでるのぉ……」
「いやいやいや!だったら、扇風機をつければよ」
「停電よ」
「ほぇ?」
「停電になっちゃったの」
「マジ?」
「ええ、マジ」
で、でも暑さで判断力が鈍っているにしても、これはさ。
「て、てゆーか!僕が来たりしたらどうするとか考えなかったんですか!?僕じゃなくても誰か来たりしたら!」
「そこの犬部長が……そこまで融通のきく奴だと思う~?」
「コラ~かりん~そこに直れ~」
「お姉ちゃ〜ん、暑いよ〜」
「拷問、だわ」
「皆……暑さに耐性なさすぎじゃない?」
僕も暑く無いわけじゃないけど、でも皆ほど参ってない。昔から親父に「夏こそ鍛えるのに最適だ!」って言われて鍛えられてきたからだろうな。
(……これは信頼されてると喜ぶべきなのか。それとも男として見られていないことを残念がるべきなのか、はぁ~)
目のやり場とかには困るものの、この猛暑日だ。皆を無理やり制服姿に戻すのは可哀想な気もする。(決して下心とかないよ?いや…マジで)
「そいえば皆に差し入れがあるよ。農家のおじさんがくれたんだ!」
「差し入れ?」
「何?どうせ農家おっちゃんなんて、野菜しかくれないでしょ~?」
「風先輩はとりあえず四国中にいる農家のおじさんに謝ろうか?」
「で~?実際、何もらってきたのよ?」
「あ、ああ…そうそう!アイスをくれ」
僕がバックを開いてアイスを取り出した瞬間、みんなの目付きが変わった。
「神!農家のおっちゃんは神!!」
「洸輔さん!何本入ってますか!?」
「え!?い、一応全員分あるけど…?」
「やったぁー!!」
皆が一気に群がってくる。少しは自分達の今服装を理解してほしい。水着からうっすらと見える体の曲線と汗で濡れている肌が異常なまでの艶かしさを演出している。
「ちょーーーーっと待ったぁ!!!一人ずつ!!一人ずつでお願いします!そうしないと(理性が)死ぬから!!」
僕の言葉を聞いた瞬間、皆は素直に並んでアイスを受け取り始めた。素直でよろしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
洸輔くんから皆がアイスを貰って回復した。しかし、その数分後。
みぃん~みぃんみぃんみぃん
無情にも、温度はさらに上昇する。
「あぅぅ、アイスパワーが切れたぁ!みんなぁ~水分補給はしっかりねぇ!」
「あぁ、風先輩がヤケに。でも、私も……もう、涼む為に必要な知恵が湧いてこない」
「せっかく…アイス食べて回復したと思ったら……」
「あはは……せ、セミの鳴き声さっきより増えたね〜」
「はふぅ……」
皆がアイスを食べきっていた中、私はギリギリまで涼しさを得る為、ゆっくりと一口ずつ大事に口にしていた。美味しいし、冷たい。
「何か…いい案ないですか?東郷先輩」
「そうね、きっと東郷ならなんとか」
「ごめんね、樹ちゃん、夏凜ちゃん」
「美森ですらここまでグロッキーに!?」
「洸輔くんは耐性がありすぎなのよ……皆はアイスを速く食べ過ぎ」
その時、自分の胸元にアイスが溶けて落ちた。かなりゆっくり食べていたの事もあり、アイスはもう溶けかけている。
「ああ!東郷さんの胸元にアイスが…」
「なるほどねぇ、東郷くらいになるとそれだけで色気を出せると。樹~優秀メダルを差し上げて~」
「そんなのないよって言うのが疲れるよぉ~」
そんな会話が繰り広げられている中、私は胸元に落ちたアイスをとってもらうため横にいる子に声をかける。
「洸輔くん」
「ん、何?美森」
「落ちちゃったアイス取ってくれないかしら?」
「………ごめん、もう一回言って?」
「この、胸の所に落ちたアイス取ってくれないかしら?」
「待った待った待った!!!」
私の言葉を聞いた途端、洸輔くんは首を横に全力で振っている。
「僕!男子!あなた!女子!!アンダスタン!?」
「私、横文字は嫌いなのよ?」
「あああ!!!そうだったぁ!!!」
「そんなことより、早くぅ…」
「いやいやいや!ほ、他のメンバーに……」
「とってぇ……」
まだ何か言いたげな顔を浮かべたものの、諦めたように洸輔くんは力無く頷いた。顔を赤くしながら、ティッシュでアイスをとろうとする。私はそれを止めた。
「え?ちょっ?取らなきゃじゃ」
「素手で」
「はい?」
「指で取って?」
「ぐっ!ぐぅぅうおおお!!太陽なんて、いつか消してやるぅ…」
恨み言のように、そんなことを呟きながら洸輔くんは私の胸元にあるアイスを指で掬い上げた。
「よよよよ、ヨシっ!こ、これで、OK?」
「指を、こっちに…」
「えっ、うん。ところで、なにを……」
「はむっ…」
「っ!?!?」
彼の指を口の中に含んでいき、舌を使ってしっかりと満遍なくアイスを舐めとっていく。
「ぺろ…れろ…洸輔くんの味、美味しかったぁ」
「……」
「洸輔くん?」
「………バタンキュー」
顔を真っ赤にしながら、洸輔くんが私の方へと倒れてきた。彼の顔は私の胸へと着地してくる。その一部始終を見ていた一同から声が上がった。
「はぁ〜さっすが、東郷だわ」
「暑くて、判断力が鈍っても……私には無理ね、あれは」
「そもそもの話……あの技は東郷先輩にしか、できないかと」
「うぅ…私も、あれくらいあれば」
「えっと、もしかしてこれ私のせい?」
「「「「うん」」」」
「はぁ、とりあえずさ。これ以上意地を張り続けて、洸輔のあとを追う人が出てくる前に(まぁ洸輔は東郷に殺られた訳だけど)今日は撤収しようか、みんな」
『了解で〜す』
結局その日は解散になった。そんなことがあった次の日、皆昨日のことを思い出し、女性メンバーは洸輔くんと顔を合わせれば赤面させる事態が多発した。
そんな中にも関わらず、どさくさに紛れて洸輔くんの指を味わえたことを喜んでいる自分がいたそうな。
もっと過激に書きたかったなぁ(本音)
できれば感想やご指摘お願いします!(正直自分からじゃどんなもんわからないので……)
それでは…また!!