朝がまるで南極かと思うほど寒い。そんなことを幼なじみを待ちながら考える。
「うう……首元寒」
はぁ、と溜息を漏らす。この日の四国は極寒と呼ぶべき寒さであった。寒さに適性が無いことを理解している癖にマフラーを用意し忘れるという体たらく。正直、自分に幻滅する。
(ま、ぐだぐだ言っててもしょうがないけどさ)
「おっはよー!洸輔くん!今日もいい寒さだね!」
「おはよ、いい寒さなんてこの世には存在せんわい。寒いのは敵」
「あはは!そうだねぇ~」
「……はぁ〜」
横にいる幼なじみは、年がら年中、頭の中身が春のようだ。一人寒さに体を震わせていると、顔をニヤニヤさせながらこちらに寄ってくる幼馴染が一人。
「あれ~もしかして~洸輔くんが寒がってるのって~マフラーがないから~?」
「その顔をやめなさいよ。部屋にあるかと思ったら無かったの、お陰でこの様さ」
「意外〜、いつもは変に注意深いのに」
雑談をしながら通学路を歩き始める。割りと早めに出たと思っていたが、結構な人数の生徒が登校していた。
「ああ……寒」
「ふんふーん♪」
なんだろ、無性にこの幼なじみに対してイラっと来た。そもそもなんでこの子はそんなに元気なの?
(何より、なぜ一々こちらへ視線を向けるんだよ)
横にいるお馬鹿さんは『チラッ…チラッ!』などと言いながら、こちらにマフラーを見せつけてくる。ええい、そんな仕草すらも可愛いから尚更タチが悪い。
「ん~?洸輔くん?このマフラーがそんなに羨ましいの~?」
「……そんなことより、急がないと遅れちゃうよ。六年生の教室って一番上だから階段上がるの大変だし」
「もー!なんで話そらすの~!」
そらさないと、そのマフラーが欲しすぎて飛びつきそうだからだよ!ん、というか友奈のマフラー……一人で巻くようにしちゃ少し長いような…?
「しょうがないなぁ~そんなに欲しいなら半分あげるよ!」
「へ…?」
サッと首元が温かい感触に包まれる。マフラーには友奈の温もりがまだ残っており、少し気恥ずか…ってそれどころじゃなくて!
「ちょ!ちょっと待った!ここ通学路だからね!?」
周りではソワソワしつつも興味津々と言いたげに目を光らせる女生徒達と、まるで親の仇でも見ているように殺意に満ちていた男子生徒達の目がこちらに向けられている…まぁ、男子は主に僕の方しか見てないが。しかし、幼なじみは何食わぬ顔で…
「…?そうだけど?」
「……ぁ〜、だよね」
「なんで溜め息!?」
「いや…相変わらずだと思ってさ…」
友奈は昔からこうだ。どこだろうと構わず僕に抱きついたり…手を繋いだりしてくる。(慣れてきたのか…少しは恥ずかしくなくなったが…あくまで…少しは…だ)
「?まぁこれで洸輔くんも寒くないよね!結果オーライ!」
「…ま、まぁそうだけど…」
(僕の幼なじみは…最強かもしれないな…)
これはヤバい…さっきまで友奈の首に巻いてあったためか…すごく暖かいし…それでいて…女の子特有の甘い香りが…
「これ…友奈の匂いがする……」
「ふぇ!?」
突然友奈の顔が赤くなった。よく分からないが…もしかしたら僕に半分を貸したせいで冷えてしまったのかもしれない。
「大丈夫?友奈?」
「え!?あ、うん!大丈夫だょ………」
「ホントに?顔赤いよ?」
「ほ、ホントに大丈夫だよ~…………むぅ油断も隙もないや…」
「?」
ぼそぼそと何かいっていたような気がするが…周りを見渡すとそれよりも重要なことに今さら気づく…。
「あれ?なんか周りの子達いなくなってない?」
「え…?あれ?ホントだ…」
その時…どこからか鐘の鳴る音が聞こえた。瞬間二人の顔が青ざめる。
「ねぇ…今のってまさか…」
「…その…まさかだよね…」
二人で顔を見合せ…叫ぶ。
「「遅刻だぁーーー!!!!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして現在、友奈宅
「て…ことがあったよね?小学生の頃」
「懐かしいねぇ~あのあと結局は先生に『イチャイチャしてて遅れたのかぁー!』って怒られちゃったね~」
「それは友奈が自分から言ったからじゃん…」
「あれ?そうだっけ?」
てへぺろ顔を作り出す幼なじみに凸ピンを喰らわす。こういう所は昔と変わらない。
「あ、そうだ!」
「どうしたの?友奈?」
「あのマフラーもっかいかけてみようよ!二人で!」
「なんで急に!?」
「なんとなく!!」
それだけ言って友奈はその時に巻いていたマフラーを取ってくると…あの時と同じようにマフラーをシェアした。
「やっぱり暖かいね~」
「…まぁ季節的にちょっと間違ってる気がするけど…」
「もー!他に感想はないのぉ?」
「えっと……友奈の温度を感じれて嬉しいです?」
「ん~疑問系なのがちょっと気になるけど、合格かな」
友奈は僕の肩に頭を預けてきた。預けられた頭に自然と手が伸び優しくそれを撫で始める。
「えへへ~」
「前から思ってたんだけさ」
「ん~?」
「嫌じゃない?頭撫でられるの?」
「嫌じゃないよ~だって洸輔くんの手温かいもん」
笑顔でそんなことを言った彼女に自然と笑みが溢れる。僕は微笑んでいる彼女を見ながらあることを呟いた。
「…やっぱり友奈は最強かもね…」
「ん?…何か言ったぁ?」
「ううん…何でもない!」
マフラーのお陰か…それとも横にいる幼なじみのお陰なのか…その時の僕は心と体がポカポカしていた。
僕の悪い癖だ…番外編を書くと、ある一定のキャラクター依存してまう。
もっと文章能力を高めたいなぁ…。
とりあえずリクエストに記されていた内容を全部書けるように頑張ります!
それではまた!!