おっと…愚痴が漏れてしまった…。
それでは本編です!どうぞ!!
「ふぉ~すげぇなぁ~」
「ホントだよね!どの雑誌も勇者のことばっかり載ってるよ!!」
「凄い騒ぎになってますよね」
「ん?皆何見てるの?」
昼休み、三人が雑誌を机の上に広げながら雑談していた。覗いて見ると若葉さ……若葉のインタビューや勇者の初陣が勝利に終わったなどの勇者に関する記事が沢山載っていた。
「うわぁ~なんか全部勇者のことだけ載ってるね」
「私達のことも取り上げられてますね……恥ずかしい…」
「これも皆が頑張っている証拠だよね!!」
「それにしてもすげぇよな?これなんてずっと若葉だぞ」
「どれどれ?」
「や、やめろ球子!別に見せる必要はな」
「「まぁまぁ」」
「な、お前達何を!は、はぁなぁせぇ〜!!」
大々的に取り上げられている所を見られるのが嫌なのか。若葉が暴れはじめようとしたが…空しくも二人に止められる。南無三、若葉様。
球子さんが差し出してきた雑誌を見ると凛とした表情でインタビューを受けている若葉の姿があった。
「……綺麗だなぁ」
『っ!?』
やば、口が滑ったと思った時には遅く皆が動揺している。若葉に至っては体が硬直して動かなくなっていた。何より心配なのが…
「おいばか!そんなことひなたが反応して……って、あれ?」
「ひなたさん?」
「ひなちゃん?」
真っ先に反応しそうな上里さんが、さっきからずっと黙り込んでいる。心配になり声を掛ける。
「あの、大丈夫?」
「……天草さん。その少し、お話よろしいですか?」
「え?」
聞いたことない声色で上里さんは僕の目を真っ直ぐと見据えながら、そう言った。
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学校の屋上に天草さんを呼び出す。私の雰囲気にあてられたからか彼の顔も真剣だ。
「それで、急にどうしたの。上里さん?」
「単刀直入に聞きますね。貴方、何か隠していませんか?」
「……そう思った根拠は」
「正直な所、私は貴方を信用することができません。素性も不明、記憶も喪失している。何もかもが、都合が良すぎる。そう感じているんです」
「……だよね、それは自分でも思う」
私の言葉に天草さんは下を向いたまま黙り込んでいる。人を疑うのは決して気分のいいものではない…でも、この言葉は…少なからず私の本心でもある。
(本当は勇者として戦ってくれたこの人を疑いたい訳じゃない)
それでも、誰かがやらなくては。不確定要素が多すぎるこの人を咎める役目を。同じ勇者である皆に『そんな役回り』をさせるわけにはいかない。これは、私がやらなければ。
「勇者の中で唯一の男性……樹海に突然現れた勇者。どんな環境で育ったかすらもわからず、調べることも出来ない。もしかしたら敵なのでは?そう考えることも出来ます」
胸が締め付けられる。慣れない事をしていると自分でも分かっている。それでも、やめる訳にはいかない。
「だから、隠していることがあるなら答えてください」
「上里さん、もうやめなよ」
「言い逃れをする気ですか?ならやはり、あなたは…」
「そうじゃない。僕が言っているのは、そんなに辛そうな顔をしてまで、これ以上こんなことを続ける必要はないってことだよ」
「私は、辛くなんて」
「じゃあさ。なんで上里さんは、そんな辛そうな顔をしてるの?」
「っ…」
彼の言葉に体が震え、口が開かなくなった。その時の私はどんな顔をしていただろう。
「上里さん」
「……ごめん、なさい。疑ってごめんなさい……」
懺悔の言葉が漏れる。冷静になって考えれば、私がやっていたのは、仲間を信頼していない裏切り行為。皆の関係を壊しかねないもの。申し訳なさと情けなさが相まって涙が出そうになる。
「疑ったことに関しては気にしてないよ。さっきも言ったけど、僕はあまりにも怪しすぎる。だから、みんなの代わりに汚れ役を担ったんだよね?もし勇者の皆にやらせたら、亀裂が入ると思ったから」
「…なん、で?わかって…?」
「顔を見たらそんな気がしたというかなんというか……まぁ、半分くらい勘だけど」
「でも、私は…貴方を…」
「君の警戒心は決して間違いじゃないよ。どっちかっていうとそれは正しいことさ」
「寧ろ皆がフレンドリー過ぎると思うくらいだよ。郡さんを除いて…」そう言った彼の顔は笑っていた。そんな彼に、もう一度頭を下げる。
「すいませんでした、洸輔くん!」
「いいっていいって、しょうがないことだから……てか、ん?洸輔くん?」
「親しみも込めて、これからはこうやって呼ぼうかと……嫌でしたか?」
「別に嫌って訳じゃ、ないけども」
「じゃあ今度からこれでいきますね。洸輔くんも私のことをひなたって呼んでください」
「いやっ、あの、せ、せめてさん付けでは」
「ひ な たと!」
「は、はぁ……じゃあ、ひなたで」
「はい!よろしくお願いします!洸輔くん!」
そんなやり取りをしていると屋上のドアが強く開かれ、球子さんたちが雪崩れ込んできた。
「なら、タマのさん付けもやめろーー!!」
「えっと、私も杏で…」
「私は高嶋呼びを変えることを望みます!」
「こ、コラ、お前たち!今出ては!」
「え!?み、皆!?」
「もしかして皆さん、覗いていたんですか?」
『え…いや、そ、それは』
「……全員、そこに正座してくださいね。一人ずつ、念入りに、お灸を据えますので」
「わ、私はやめろと言っ…」
『いやぁだぁ!!!』
その日、4人の勇者達の断末魔が町中に響いたという。
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「……ただいま」
私はベッドで横たわっている母の横に立つ。顔は窶れ体も弱々しそうに寝込んでいた。
天空恐怖症候群、三年前のあの日以来上空から襲来したバーテックスへの恐怖によって多くの人々が発症した精神病。症状の進行に伴って徐々に生活が困難になり、最後には記憶混濁や自我崩壊にも至る。
「…こんな段階まで悪化したのね」
部屋の襖が開かれるとお父さんが入ってきた。
「帰ってたのか千景。久しぶりだな」
「お父さんが帰ってこいって言ったんでしょ?」
「ああ、まぁそうだが…」
「掃除もしっかりやってよ……臭い酷いよ」
「やろうとは思ってるんだがな、看病が忙しくて」
(この人は……何も変わってない)
昔から家のことなんて何一つしようとせずに、自分優先の責任感に欠けた父。そんな家庭を捨て、男と不倫し「天恐」になるまで帰ってこなかった母。
その事で、私は村の人間たちから疎まれ蔑まれた存在だった。だから、私は周りから自分を切り離した。
『無価値な存在だから、傷つけられても仕方がないのだと、自分に言い聞かせて』
何も感じない。
何も聞こえない。
何も痛くない。
何も……………なに、も。
(……帰ってくるんじゃなかった)
小さい頃に同級生に付けられた傷を触りながら歯ぎしりする。体を翻して玄関に向かう。
「どこへ行くんだ?」
「……散歩に行くだけ」
早く戻ろう。郡家も故郷も閉鎖的で息が詰まる。玄関を開けて外に出ようとすると、周りを村の人たちが取り囲んでいた。その目にはかつての悪意はない。
「おお、出てきたぞ」
「ホントに戻ってきてたんだ」
「なに、これ…?」
かつて私を虐めた同級生。
『キモいから息しないでくれる?』
「私達…友達だよね?恨んでないよね?」
かつて私のことを邪魔だと言って追い出した店主。
『お前に食わせるもんはねぇよ』
「食事するときはうちの店に寄ってくれよ?」
かつて気味が悪いと影口を言い続けた老人。
『薄気味悪い子ね…』
「あなたは村の誇りよ」
(ああ、そうか。これは)
鎌を地面に突き立て、この場にいる全員に質問する。
「皆さん、私は価値のある存在ですか?」
「もちろんよ」
『だってあなたは勇者だもの』
(このためなら、何だってやってやる)
もう、無価値な自分には戻らない。
次は多分久しぶりの戦闘やな!
マジ…村のやつら…以下省略
てか千景ちゃんの所きつい!!
ではまたお会いしましょう!それでは!!