のわゆアニメ化しないかなぁ~いや、ダメージがでかいからゆゆゆいの方がいいか。んなことばっかり最近ずっと考えてます。
「前よりも多いな」
「ざっと、数百はいるね……」
球子と杏が口々に呟く。学校で授業を受けている最中、二回目の襲撃を告げるアラームによって再び樹海へと誘われた。
(僕のいた時代の樹海よりも、町の景観とかが残ってるんだな)
あの時は混乱していて周りを見れてなかったけど…今見ると樹海の様子も少し違っている。
「皆、準備はいいな」
僕以外の皆は、袋から武器を取り出す。彼女らの武器は現実にもあるので勇者服を纏ったあとで装備するのだ。
それに比べ、僕のはボタン一つでどうにかなる。まだこの勇者服を身につけて三回目の戦闘だが、ビックリするくらい装束は体に馴染んでいた。
「……精霊さんのおかげ、かな」
白銀の長剣を構える。かつてのように投擲はできなくなり…今では近接が主になってるが特に支障はない。
「行くぞ!!」
「さぁ……行くわよ」
「私も続くぞ~!!」
「後方から援護します!」
「よっしゃ!今回はタマも援護係だぞ!」
若葉が跳躍したと同時に郡さん、高嶋と近距離戦闘特化組が動き始める。基本的に遠距離からの攻撃が得意な球子と杏は近接組の援護を行う布陣となっている
「僕が前に出て、皆の負担を減らす!」
体に力を込め…一気に跳躍する。先に行った若葉たちに追い付いたと同時に…勇者達と星屑が衝突する。
この世界に来てから二回目の戦闘が幕を開けたのだった。
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『あなたを産んでよかった。愛してるわ、千景』
今の私は勇者、だからこそ価値がある。
もっと力をつけて、頑張っていけば、もっと称賛されて、もっと愛される。
(もっと、もっと、もっと頑張れば。皆が私を)
「そう、いつかあなた達をも越えて……」
目線の先には、皆の一番前に立ちバーテックスを屠っている乃木さん。もう一人は、長剣を扱って怒涛の速度でバーテックスを倒している天草洸輔。どちらも、私より遥かに強い。
(でも、それも今だけ)
白化け物共を鎌で一掃する。直後、目の前に口を大きく広げた進化体が現れる。
「!?…いつの間に」
「ぐんちゃん、危ない!」
「避けて、郡さん!!」
「しまっ…」
高嶋さんと彼の呼び声が聞こえたと同時に、進化体の口から無数の矢が放たれる。皆がそれぞれ対処している中…その矢によって私の体を貫かれた。
「ぐんちゃん!!」
「こ、郡さん!!!!」
(絶対に、無価値な自分には戻らない。だから誓ったの、そのためなら……何だってやってやるって!!)
今の私は精霊の力で…複数の場所に同時に存在することができる。さっき貫かれたのは、あくまで複製の自分。
「あれ!?分身?忍者!?」
「す、すごい!流石、郡さん!」
(高嶋さん、それは違うわ。それと貴方は黙ってて)
この力を使っているときは、例え一人やられようが二人やられようがダメージはない。
「残念だったわね、化け物。私を殺したければ……七人全員屠ってみなさい!」
そう、これこそ私の切り札……七人御先(しちにんみさき)。
分身した私の動きに翻弄された進化体に向かって、鎌を振り下ろす。回避不能の攻撃を受けて、進化体は消滅していく。
化け物が消滅した場所を見下ろしながら……私は告げる。
「私の武器に宿る霊力は、死者をも冒涜する呪われし神の刃……その名を《大葉刈》。死ぬには…ふさわしい武器でしょう?」
「……はぁ」
精霊の力を使って疲れたのか、ため息が漏れる。そんな私の元に…高嶋さんが駆け寄ってきた。
「ぐんちゃーん!」
手を振りながら、こちらにやって来ると高嶋さんがキラキラした目で私に言った。
「かっこよかったよ!!ぐんちゃん!!」
「あ、ありがとう高嶋さん。でも、今回も乃木さんと彼が殆んど倒していた。もっともっと力をつけないと……」
(乃木さんと彼を越えて、皆から敬われる存在になるためにも)
「よし、じゃあ特訓だ!」
「…と、特訓?」
勢いに動揺している私を気にせず、高嶋さんは続ける。
「そうだよ!そうすればきっと練習している内に、ぐんちゃんも……こう、そう!『スバーン!!』って鎌が振れるようになるはず!」
「ふふ、そうかもしれないね」
高嶋さんの突飛な発言に笑みが溢れる。すると、彼女は改めて私の方に向き直ると笑顔でこう言った。
「あとね、私は今回の戦い一番活躍したのはぐんちゃんだと思うよ!」
「ありがとう、高嶋さん」
(ずっと、私のことを見てくれてたのね)
そんな、どこまでも真っ直ぐな彼女に失望されないように、もっと認めてもらえるように私は誓う。
「私、頑張ってもっと強くなる」
「うん!一緒に頑張ろうね!」
高嶋さんが私の手を握る。その手はとても温かかった。
(いつか、きっと彼女や彼よりも……私は)
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「まったく、大袈裟なのよ……」
「そんなことない。ホントに焦ったんだから」
初めて精霊の力を使った為、検査を受けた私を待っていたのは高嶋さんではなく……よりによって、『あの』天草洸輔だった。
検査結果が安全なことを伝えても、ずっとこの調子である。
(ホント……よくわからないヤツ)
他人のことなのに、やたらと首を突っ込んでくる。どんな些細なことでもこちらを気に掛けてくる。何故か私はそれを鬱陶しくは感じていなかった。
(だからこそ、余計にわからない)
「郡さんはかっこいいね」
「は…?」
「真っ先に進化体に向かっていっていたし、それだけじゃない。他のバーテックスにも果敢に立ち向かっていたじゃないか」
「見てたの…?」
「うん、すごかったよ本当に」
そう言って笑う彼の表情は、やはり少し似ていた。いやそれだけじゃない。この雰囲気も、どこか彼女と。
「あ、ありがと…う」
「うん!いやーそれにしても、みんな無事でよかった〜」
緩み切った声で伸びをしながら彼はそう言う。緊張感のなさに呆れてしまっていると、あることを思い出した。
「……そういえば」
「ん?」
「こ……これを」
「あれ、これって」
「あなたが、言ったんでしょ?……オススメがあるなら教えてくれって」
私が鞄の中から取り出したのはゲームソフト、以前何かオススメがあれば教えてと言っていたことを思い出し、彼に手渡す。
「おー!ありがとう、郡さん!……あ、でも僕…ハードが」
「それも大丈夫、私が貸すから…」
「ホントに!?」
「ほんとよ、ここで嘘ついてなんになるのよ…」
「いや……なんとなく、郡さんならつきそうだなぁと」
「は?それ、どういう意味よ……」
軽口を叩き合いながら、私と彼は一緒に寮まで帰った。彼と話している時間、何故か私の胸は温かかった。
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「っ……はぁ、くそ」
郡さんと別れて、宿舎にある自分の部屋に入る。落ち着くどころか、逆だった。
「あの時のは……一体」
息を荒げさせながら、両手を見る。郡さんが進化体に貫かれた時に起きたことを思い出す。
(あの……声は)
『だから言ったろ?今のお前じゃ、そんなもんなのさ。だからよ、感情も何もかもを捨てて力だけ求めろって。そうすりゃ』
声が聞こえたと同時に両手が黒く染まっていった。でも、郡さんが生きているのを確認すると同時に…それは消えていた。
「なん、なんだよ……ホントに」
彼女と話しているときや、皆の前では心配を掛けないように装っていたが、部屋に着いた瞬間に溜めていたものが溢れた。
「……こんなことに負けてられない」
落ち着きを取り戻し、立ち上がる。スマホに表示された勇者部全員が写っている写真を見る。
「絶対に、絶対に戻るからね」
この世界に来てから、もう何回言ったかもわからない言葉を譫言のように呟いた。
千景ちゃんマジ可愛いよね。
さてと、なんか主人公くんがちょっとヤバそうですが…これからも頑張ります!