そんなことより本編です!どうぞ!!
「大社って名前が違うだけで、権力的なものは一緒なんだね」
そんなことを呟く。今、僕や皆が来ているのは旅館だ。神託によりここから少しの間侵攻がないということで大社が勇者達のケアという名目で温泉旅行を用意したのだ。
「けっこう、経ったな」
この時代、いや…この世界に来てから結構な日にちが経った。生活にも慣れ、勇者の皆やひなたとも基本的には良好な関係を気づけている……と思う。
(僕が守る、そして、皆のいるあの場所に帰る)
その為には…もっと『僕が』頑張るしかない。
僕の勇者システムには『満開』は搭載されていない。(春信さん曰く…僕は男である為、散華した時捧げる場所が皆よりも多いから失くしたとのこと)
その代わりに、精霊の力を一時的に解放して放出できるシステムを追加したと言っていた。でも、使い方がまだ分からない。
「早く、もっと早く…使いこなせるようにならないと」
『だから、力が欲しいんだろう?ならさ、俺に身を委ねろって』
「ッ!うるッさい!」
脳に響く声…最初に聞いたのは夢の中だ。しかし、ここ最近では目が覚めているときでも聞こえるようになっている。
(この前のだって…)
この間の郡さんがやられたのを見た時に起きたこと。鮮明に覚えている、まるで何かに呑み込まれてしまうかのような……。
「出よう…かな」
震え出す両手を押さえ込みながら、風呂場を後にした。
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「極楽極楽~」
「もう若葉ちゃんったら……おじいさんみたいですよ?」
「ぬ~折角の休養なんだ~羽を伸ばしておかないとなぁ~」
体に染み渡ってくる湯の温度を肌で感じると、顔が緩み出してしまう。ここは風呂場なのでひなたのカメラを気にせずに……うん、ゆっくりできる。
「なぁー!!やっぱり先に入ってたか!一番風呂を狙ったのに~」
「わぁ~すごく広い!」
「早いねぇ~二人とも~!」
「…広過ぎる」
球子以外の皆が静かに湯へと体をつけていく。我々は七人で旅館に泊まりに来ている。部屋は別々だが天草も泊まっており気分は修学旅行だ。緩んだ状態で顔を上げると球子が手をワキワキさせながらひなたに迫っていた。
「さ・て・と、定番のやついってみようか?」
「球子さん?い、一体何を…」
「ふふふ…そのたわわに実った果実の触り心地チェックだぁー!!」
「タマっち先輩!それ以上はやらせないよ!」
「ぬぬぬ……ぬ!?おい…あんずぅ?よく見てみたら…お前さんもかーなーり成長してるじゃないか?」
「ふぇ!?」
「隅から隅まで調べさせてもらうぞ!ゴラァーー!!!」
「ひゃあああ!!!」
ひなたが狙われていたので割って入ろうかとも思ったが結果的に仲裁に入った杏が捕食された。(すまない)
「そいえばぐんちゃん!体は大丈夫だった?」
「ええ、特に問題ないわ。敵を殺さないといけないから……怪我も病気もしてられない」
(彼女は、変わったな)
実家に戻った頃からだろうか?訓練にも戦闘にも鬼気迫る勢いで励んでいる。
(何があったかはわからないが、勇者としての自覚が一番強いのは彼女かもしれないな)
「……何ジッと見てるの?」
「あ、いや、なんでも」
千景の変化を直で感じ微笑んでいると、すごく嫌そうな目で見られてしまった。こういう所は変わっていないな。
そう考えると、洸輔はすごい男なのかもしれない。この千景とたった数日足らずで私よりも話せるようになっているのだから。
(……最近の洸輔はどこか、変な気がするな)
そんな疑問を抱えながらも、温かい湯に浸かりその時間を満喫した。
「なぁなぁ!ゲームやろうぜ!」
食事を終えると球子がそんなことを言い出した。今は洸輔もいるため七人で部屋にいる。
「私は将棋盤を持ってきました」
「僕は〜役立つかと思ってトランプを」
「ゲーム機があった」
「人狼とかなら、アプリがあればできるね!」
「よっしゃ!全部やるぞぉー!そしてタマが全部勝ーつ!!」
「ええ!?全部やるの!?」
「当然だろ!さぁ!どっからでもかかってこーい!」
と息巻いていた球子だったが、千景に瞬殺されて意気消沈としていた。同じく杏も。
「やっぱり強いね、郡さんは」
「ホントだよね!今のところ全勝だもん!」
「まぁね、得意だから」
「それじゃっと、僕は部屋に戻るよ」
「最後まで見ていかないんですか?」
「ごめん、疲れたのか。目眩がするもんでね、先に休ませてもらうよ」
「……ゆっくり、休みなさいね」
「あはは、ありがとう」
そんな会話が繰り広げられているが、私は手を緩めずトランプを置いていく。最初こそ慣れないゲームだったが、やっとコツが掴めてきた。
「っ……あなたには、負けない。絶対に…!」
攻め込まれて焦っているのだろう。千景がそんなことを呟く。
(僅差だが!これで終わ……)
「はむっ」
勝ちを確信した次の瞬間……ひなたに耳を甘噛みされた。突然のことに変な声をあげる。
「ひやぁぁぁぁぁ!!」
「これで!ラスト!」
「勝者!ぐんちゃん!」
「ひなたぁ!あともう少しだったのに!」
「ふふふ…怖い顔になってましたよ、若葉ちゃん?ゲームは楽しまないとだめです。さもないと…弱点をここで全てばらしますよ?」
「鬼か!?」
「弱点とな!?」
「どこですか!?」
「興味津々!?」
「若葉ちゃんの弱点は…」
「やめろぉーー!!!」
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「っー……はぁ、逃げちゃった」
目眩なんて真っ赤な嘘だ。ただ、どうしてかあそこにいるのが辛かった。彼女達はどことなく、雰囲気が似ているから。
「あの子達の前で、弱音を吐くわけにはいかない」
これは僕自身の問題だ。この世界の彼女達に迷惑を掛ける訳にはいかない。
「風でも浴びようか……」
窓を開け、外を眺める。月明かりが、僕を照らす。あの時もこんな感じだった。
「……はぁ」
ため息をつくと、突然ドアの方からノックする音が聞こえた。
「誰?」
「あ、ごめんね。友奈だけど……」
よりによって、一番苦手な彼女が来てしまった。
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「どういう意味なんだ?」
ひなたに言われた言葉の意味が分からず、頭を抱える。ゲームが終わった後、ひなたを追いかけた。そこで彼女からこんな言葉を掛けられた。
『自分の周りのことも、もっとよく見てあげてくださいね』
『これは、自分で気づかないと意味のないことですから』
(どういう意味なんだ……ひなたよ)
結果的にいくら考えても、結論が出ることはなかった。スッキリしない頭を休ませるため、眠りについた。
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窓際の方に洸輔くんがいた。疲れているのか…少し元気がないみたい。
「大丈夫、体調悪い?」
「ううん、そういうんじゃないから大丈夫だよ」
「そう?ならいいんだけど」
何となくだが、最近の洸輔くんは何か悩んでいる気がした。まぁあくまでも勘だけどね。
「あのね、洸輔くん」
「なんだい?」
「悩んでいることがあったらさ、もし良ければ私に相談してくれていいんだよ?私だけじゃなくて手、皆も乗ってくれると思うし」
「……」
「だから!一人で溜めこんじゃダメだよ?私達は……仲間なんだから!」
手を差し出す。けど、その手が握られることはなかった。彼は自分の顔に手を当て、掠れた声で言う。
「ありがとう、高嶋。それと……ごめん。自分で通したくせして申し訳ないんだけど、やっぱり体調悪いっぽいや…だから」
「あ…う、うん!こちらこそ!いきなり押し掛けてごめん!そろそろ戻るね!」
「うん、じゃあまた」
手を振って部屋を出る。ほんとはもっと話したいことがあった。名前呼びのこととか、ぐんちゃんのこととか。
「……けど」
ふと見えた表情、彼は泣いていたんだ。その顔には、静かに涙が伝っていた。
「悪いこと、しちゃったのかな……」
自分がしたことに罪悪感を覚えながら、皆のいる隣の部屋へと戻った。
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「……」
高嶋の行動を見て、何故か僕の目からは涙がこぼれていた。
(どうして……そんなところまで)
その行動は、今は会えない幼なじみのものと……とても似ている。そんな彼女を見てある感情が僕を支配していた。
「さみしいよ、友奈……みんな」
月を見ながら、僕は弱々しくもそう呟いた。
主人公をもっと痛めつけたい…そして女の子とイチャイチャさせまくりたいなぁ…。
にしても…千景ちゃん…可愛いなぁ!(…落ち着け…)
それではまた!!