天草洸輔は勇者である   作:こうが

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取り戻していくどころか遅くなってすいません。

今回はほとんどイチャイチャしてます。書いてて思ったけどアンタマコンビ可愛いよね!

それでは!どうぞ!


第二十八節 気づいたり気づかなかったり

~ある日の休日~

 

「この本の……ここ!王子様とお姫様の関係が良くてですね」

「あー確かに〜それよかったねぇ」

「ですよね!特にこのシーンとか……」

 

 僕は今、杏の部屋に来ている。上がらせてもらうのは二回目だが……うーむ、やっぱり落ち着かない。

 

(女の子の部屋って、ホントに落ち着かないなぁ)

 

 どうしてこんな状況かと、言うと……。

 

 

 

 

 皆も十分動けるくらいには回復し、学校も本格的に再開した。授業を全員で受ける日々も戻ってきて……日常と、呼べるものが僕らを包み込んでいた。

 

 千景も色々あったけど、もう吹っ切れたのか前よりも笑うことが多くなった気がする。剥奪されていた勇者システムも返却されたようだ。

 

 色々と収まるべき所に一旦収まったので僕は皆への恩返しとして、皆にやって欲しいことを聞いて回っていた。

 

 

 

 

 そして、トップバッターの杏の頼みごとは〜

 

『その、二人きりでお話とか色々したいなぁ〜って……』

 

 だそうだ。とまぁそういう経緯で僕は杏の部屋にいるということです。

 

「どうですか?この二人の関係!いいと思いませんか!?」

「……」

「洸輔さん?」

「あ、ご、ごめん、ぼっとしてた」

「むぅ〜しっかり聞いててくださいよ~」

 

 頬を膨らませた杏様からの抗議が飛ぶ。その姿が小動物みたいで、愛らしく感じる。

 

「それにしても、ホントに杏は恋愛小説好きなんだね。何か理由とかあるの?」

 

 部屋を見渡して思う。本棚の中にはありとあらゆる恋愛小説の数々が並べられていた。

 

 その問いに杏は「うまく話を反らされた気が……」と呟きつつも僕の問いに答えてくれる。

 

「憧れてたんです、こういう物語に出てくる王子様みたいな人に救ってもらえるのを」

「そう……なんだ」

 

 その台詞を聞いて思い出す。遠征の時に球子に言われたことを。

 

『杏がな、お前のこともう一人の王子様だってよ』

 

(……そういえば、そうだったなぁ) 

 

 あの事を思い浮かべ、少し顔が赤くなる。

 

「だから、か」

「え?」

「いや、杏が……その、僕のこと王子様だって言ってたって」

「な、なんで!?それを!?」

 

 ぴぃぃ!という謎の悲鳴を上げながら杏の顔がみるみる赤くなっていく。赤くなりすぎてタコみたいになっていた。

 

「あはは、これ……やっぱり言わない方がよかった?遠征の時に球子から聞いたんだけど」

「た、タマッち先輩のばかぁ……」

 

 半涙目状態になる杏。球子、話しちゃ駄目だったぽいぞ?これ以上この話題はよろしくないと思い、切り替えようとする。

 

「あ…えっと…この話題やめた方がいい?」

「い、いえ…大丈夫です…いつかは話そうと思っていたので…」

 

 ゆっくりと立ち上がり、本棚へと向かいながら…ぽつぽつと杏は語り始めた。

 

「その…今でも…覚えているんです。一番最初にタマッち先輩に助けてもらった時のことは。まぁ、人が話しちゃいけないってことを勝手に話しちゃったりする困った部分もあるけど……」

「ははは……」

 

 本を棚へと整えながら語っていく。一瞬見えた黒いオーラに苦笑いで返す。

 

「それでも、私を救ってくれたタマッち先輩はホントに王子様みたいで……そんなあの人に私は救われたんです」

「だから姉妹みたいに仲がいいんだよね?二人は」

「はい、王子様でもあるけど…大事なお姉さんって感じも少し…ありますね」

「パッと見、杏の方がお姉さんっぽいけどね」

「ふふ、それタマッち先輩が聞いたらきっと怒りますよ?」

 

 二人でクスクスと笑い合う。こういう時…勇者部の皆と同じような安心感を感じる。

 

 杏はこちらに振り返り…優しげな表情を作りながら僕の目を真っ直ぐと見ていた。

 

「そして、私はある人にもう一度救われました。その人は……遠い未来からやって来て、どんな状況かも分かっていないのに臆病に震えているだけだった私に勇気を与えてくれました」

「………」

「覚えてます。あの決意に充ち溢れた背中を、優しく私を撫でてくれた手の温度を、あの言葉も」

 

 微笑みながら、杏は僕に向かって言葉を投げ掛ける。

 

「もう一度救ってくれたのが、私にとってのもう一人の王子様、それが天草洸輔さん。貴方なんです」

「っ〜!!まいったなぁ……そんな、ど直球に言われるとすごく嬉しいけど、恥ずかしいな」

 

 恥ずかしさの余り、目をそらして頬をかく。杏の言葉は続く。

 

「そんな救ってくれた人達を私は守りたい。でも、多分一人じゃ無理なときは絶対あると思うんです。だから、そういうときは」

 

 杏が手を差しのべてくる。この手を僕は一度拒んでしまった。

 

「守ってくれたら嬉しいです……」

「ん?ん~?その言い方はちょっと違うかなぁ」

「え、だ、ダメでしたか?」

 

 否定の言葉が飛んでくると思っていなかったのか。目をうるうるさせながら、杏がこちらを見ている。

 

「あ、ご、ごめん!そういう意味じゃなくてね!えっと、そういう時はこう言うんだよ、杏?」

 

 手元にあった本を開き、王子様とお姫様が出てくる小説のワンシーンを彼女に向ける。彼女は小首を傾げながらも、言葉を読み上げる。

 

「守って、ください?」

 

 その言葉に、膝をついて首(こうべ)を垂れながら彼女の手を握って言った。

 

「はい、喜んで」

 

(僕が、君を、君達を守ってみせる)

 

 杏の手を握りながら、胸の内でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 この数分後……二人で先ほどの行動(感情が高ぶっていたとはいえ…)を思い出して顔を真っ赤にしながら悶絶してましたとさ。(なんだよ!?『喜んで』って!?)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 昼間のことを思い出して、顔が熱くなる。

 

 それは自分の言った言葉とかについてもとかあるけど、何よりも!

 

『喜んで』

 

 握ってもらった手には、彼の温度がまだ残っている。不思議な感覚なんというか、体がふわふわというかなんというか…。

 

「反則……だよぉ……」

 

 思い出すだけで、心臓の鼓動が速くなる。動揺が収まらずに枕へ顔を埋める。

 

「やっぱり、そうなんだなぁ…」

 

 タマッち先輩のことはもちろん好きだ。とっても大切な存在、それは間違いない。ただ洸輔さんに対してのこの想いは。

 

「恋をするって、こういうことなんだ」

 

 握ってもらった手を見ながら、私はそう呟いた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

~別の休日~

 

 現在、僕は球子の部屋に上がらせてもらっている。

 

「ほんじゃ洸輔!よろしく頼むぞぉ~」

「オッケーだよ。球子」

 

 今日は球子の頼みごとを遂行する日だ。正直みんなの中で一番球子がやってほしいこととかすぐいいだしそうだなぁって思った。

 

 ちなみに内容は『この前に買い物したアウトドアグッズの片付けを手伝ってくれ』だそうです。

 

(にしても……)

 

 球子の部屋を見渡す。あらゆる場所に恐らくキャンプ?とかに使うものだろうか。広がっている物は見たこともない物ばかりで、少しわくわくしている自分がいた。

 

「わぁ……ね、これって何につかうの?球子?」

 

 僕が手に取ったのは、長い棒のようなものだ。先端部分になんかついてる?これはなんだろうか。

 

「ほほう、それに目を付けたか。お目が高いというやつだな。それは火吹き筒って言ってな!バーベキューとかの時に火をおこす時に使うんだ!ついでに置き場所はそこな!」

「へ〜本当球子詳しいんだね。後了解だよ」

 

 感心しながら、球子に言われた通りの場所へと置いていく。すると…今さら気づく。アウトドアグッズのほとんどが華やかで女の子らしいものばかりだった。

 

「なんか…可愛らしいのが多いね?」

「ん?ああ〜今度皆でキャンプとかしたいと思ったからな!タマが色々と頑張って選んだんだ!」

 

 (ない)胸を張って球子が誇らしげに言うと、何故か僕の方にジト目を向けてきた

 

「オイ…今洸輔失礼なこと考えたろ?」

「ナンノコトカワカリマセンネェ~」

「片言になってるじゃないか!コノヤロー!白状しタマえ!」

「お、落ちついて!……なんで今、買ったの?」

 

 話を反らすために違う話題を振っていく。すると、球子が少し真面目な顔で言った。

 

「ほら、ここ最近色々とあっただろ?だから今度は……皆でキャンプやって過ごしたいなぁと思ってさ」

「球子……うん、皆でやろうね!キャンプ!」

「おう!キャンプのことならタマに任せタマえ!なぁっはっはっは……っておわぁ!」

「球子!」

 

 球子の態勢が崩れる。どうやら何かに足を引っ張られてしまったようで、ギリギリの所で彼女の頭を支える。が……僕も体勢が崩れてしまい、そのまま床へと二人で倒れこんだ。

 

「た、球子?大丈夫?」

「いっつつ……悪い…洸輔…助かっ……!?!?」

「どうしたの?あ……」

 

 二人で無言になる。それもしょうがないことで、球子が仰向けの状態になっていて、そこに僕が覆い被さって床に手をついてるのだ。

 

 つまりは、床ドンしちゃってることになるんだが。

 

(助けるためとはいえ、これは怒られるよね……)

 

 少し顔を強張らせるが、球子は怒るどころか顔を真っ赤にしたまま僕の方をじっと見つめていた。

 

(なんか、球子がめっちゃ可愛く見えるんだけど)

 

 球子は自分のことを可愛くないとかよく言うが、決してそんなことはないと思った。だって負けてない、他の子達にも。

 

「………」

「あーっと……」

 

 視線と視線が混じり合う。頭の中で片付けは?という疑問が横切っていたが…それどころではなかった。球子の息遣いを、近距離で感じる。

 

 永遠とも感じられた静寂を破ったのは、球子だった。

 

「なぁ、洸輔」

「ど、どうしたの…?」

「た、タマって、その……か、かか、可愛いのかな?」

 

 少し目を潤ませながらも真っ直ぐとこちらを見つめ、小首を傾げた球子に胸が高鳴る。彼女に僕は率直な感想をぶつける。

 

「うん、可愛いよ。めちゃくちゃ可愛い、僕は球子みたいに元気で可愛い子。とっても、好きだな」

「……」

 

球子から…の返事がなく心配になり声を掛ける。

 

「…あれ…?球子?」

「ふにゅう(ぷしゅー)」

「ちょっえ!?球子ーーーーーーーー!?!?」

 

 結局の所、頼まれたはずの片付けは終わらず、途中起きたハプニングによって頭から湯気を出した球子の看病へと目的は変わった。なんであんなことになっちゃったのか、わからなかったけどそれより分からなかったのは。

 

(なんで、球子は僕にあんなこと聞いてきたんだろう?)

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「なんでタマはあんなことを…」

 

自分の頭を抱える。なぜあそこからすぐに動き出せなかったのか…自分でもよくわからない…。

 

「いや!そこは百歩譲っても…まぁいい…いやよくないけど!それよりもだ!」

 

一人部屋の中で自問自答を繰り返す。そう…タマが一番気になったのは…あの言葉…

 

『た、タマって…その……可愛い…のかな?』

 

なんで…あんなこと…聞いたんだろ…。しかも…それに対しての洸輔の返しが…

 

『うん、可愛いよ。めちゃくちゃ可愛い、僕は球子みたいに元気で可愛い子。とっても、好きだな』

 

「~~~!!!」

 

言葉を思い出して…また顔が熱くなる。なんで、こんなに熱くなるのかも…分からない…。

 

「タマ……どうしちゃったんだよ〜」

 

確かに洸輔はちょっと、ちょっとだけど!かっこいいかもしれない……でも、さ。

 

「き、きっと…杏から借りた本の読みすぎだな!うん!きっとそうだ!」

 

そう言いながら…残っていた片付けをこなそうとしたが…何故かまったく手が進まなかった。




どうでしょう?可愛く書けたかな?心配です~………。

感想をお待ちしております!

それと…このキャラとはこういう展開になってほしいみたいなのも…あれば教えてください!頑張って書きます!

それでは!また!
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