まぁ気を取り直して!今回は友奈&千景です、どうぞ!
「この服とかどうかな?」
「可愛いと思うよ?友奈の雰囲気にあってると思うし」
「えへへ~そうかなぁ~」
その返答に友奈が笑顔を浮かべる。笑顔に少しドキッとしつつもそれを顔に出さないようにした。(多分、からかわれるから)
僕達は今、大型ショッピングセンターに来ている。先日、友奈に何か頼み事がないか聞いた所、内容は二人でお出掛けがしたいということだった。
(……デートみたいだなぁ)
かつての経験から学ばない洸輔なのであった。
僕達が最初に向かったのは、可愛い服だけでなく雑貨も沢山並べられているお店だった。
少し雑貨に目を向けていると、気になるものがあった。
「ん?これは眼鏡……か」
考えてみたら、あの時以来からつける機会がなかったなと懐かしく思う。一人考え事に浸っていると、友奈が僕の方に寄ってくる。
「何か気になるものでもあったーって眼鏡?洸輔くんってかけてたっけ?」
「一時期かけてたんだよね。まぁ、ホントに一時期なんだけど」
「眼鏡かぁ〜折角だし、一回掛けて見ようかな?」
友奈は近くにあったピンクの色が特徴的な眼鏡を掛けると上目遣いでこちらを見つめてくる。
「どうかな?」
「どうって、その……似合ってると思うけど」
「やった!」
彼女の可愛らしい仕草に気恥ずかしくなり、目をそらしながら答える。何故か僕の返答に対し、友奈はガッツポーズをとっていた。
「今度は洸輔くんの番だね!」
「僕もかい?じゃあこれにしようかな?」
近くにあった眼鏡を手に取る。久しぶりに眼鏡を掛けたが、違和感はなく寧ろ安心感すらある。と、一人悦に浸っているとジロジロと友奈がこちらを見ていることに気づく。
「えっと…どうしたの?」
「すごい似合ってる!?」
「あ、そ、そう?」
「うんうん!まるで眼鏡をつけるために生まれてきたみたい!」
「はは、ありがとう。そこまで褒められると悪い気はしないな」
ちょっと買ってみても良いかな?とか思っちゃった僕でした。
次に向かったのはバッティングセンター、ていうか、ホントにこのショッピングセンターなんでもあるな。
「よーし!かっ飛ばすぞぉ!」
「す、すご……ほぼ全部打ってる」
「まだまだぁー!!」
約120キロのスピードで飛んでくるボールをほとんど打ってる横の女の子は何者でしょうかね。なんで、バンバンホームラン決めてるの?あの子?これは負けられないと、対抗心が芽生えてくる。
「僕も負けてられない!」
「ふふん!私に勝てるかなぁ?」
「そう強がってられるのも今のうちだよ!友奈!」
と、息巻いたのはいいが…バットにボールは掠りもしなかった。こんなに運動音痴だったのか、僕は。
「ホワイ!なぜ、どうして!?」
「はーはっはっは、まだまだだね〜洸輔くん」
「ぬぬ…も、もっかい!もう一回勝負!」
「お、やる気だね。いいよ、何度でもかかってきなさーい!」
その後、何度も何度も友奈に挑戦を続けたが…すべてのゲームで負けました(^o^)
「友奈…強すぎる」
「自信あり!なので!ふふ、また来れたら勝負しようね!」
「あぁ、勿論」
汗を拭いながら笑顔を浮かべる友奈。今日は彼女の笑顔をたくさん見る事が出来て、嬉しい。
最初は、僕の個人的な理由で彼女と距離を取ってしまい、挙句彼女を傷つけてしまっていた。
(だから、少しでも)
僕は幼なじみの友奈とは違う、高嶋友奈という女の子とも色々な思い出を作っていきたい、そう思った。
「……最後まで、出来る事を」
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「あー楽しかったぁ〜今日はありがとね!」
「ううん、これくらいお安いご用さ。何より僕も楽しかったし」
そう言って笑う洸輔くんに対し、私も微笑みを返す。彼の笑顔を見て安心する。
(ホントによかった)
本当なら出会うはずもなかった男の子。でも、彼はこうして私の、皆の、傍にいる。
「洸輔くん」
「どうしたの?」
「手、繋いでもいいかな?」
「あ、あーとー……」
「お願い」
「そ、それじゃ、えと…よろしくお願いします」
遠慮がちに洸輔くんが私の手を握る。二つの手が交わり、彼の温度が伝わってきた。
「……もう少し抵抗すると思ったんだけどなぁ」
「対抗しても無駄かなって……違う?」
「ううん!違わない!断られても握ろうと思ってた!」
「あはは、なんとなく分かってたよ。友奈の考えてる事」
そう言った時の顔がとても嬉しそうで……私は、視線を奪われてしまう。すぐに一つの強い想いが私の胸に溢れてくる。
(私が守るよ。洸輔くんも、ぐんちゃんも…そして皆も!)
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「ちょ、ちょっとまっ!あ!?」
「ふ、まだまだね?」
空中で焦ったところを思いっきり吹っ飛ばされた。もう何回負けたのか…覚えてません。
「つ、強すぎるッピ……」
「一回休まない?、すこし可哀想になってきたわ」
「ふ、ふふふ、勝者の余裕かい?まだ、まだまだ、僕の心は砕けてないぞ(涙)」
「涙目で言われても説得力皆無なのだけど」
友奈と出掛けた次の日こと、僕は千景に部屋へと招かれゲームで対戦をしている。なんというか、若葉と同じで……らしいといえばらしいかなと思った。
(にしてもさ、強すぎない?僕一回も吹っ飛ばせてないんですけど)
千景が扱っているキャラクターは我らがピンクの悪魔様。対する僕は色々なキャラで挑戦しているのだが、一向に勝てる気配がない。
「千景ってさ、苦手なジャンルのゲームってある?」
「……あると思う?」
「まぁありませんよねぇ~」
千景のドヤ顔なんて初めて見たと感心しつつ、ため息が漏れる。ゲームには自信があったのだが、ここまで勝てないとは。
「まぁ、動きはそんなに悪くないと思う。乃木さんよりはよっぽどね…」
「若葉……ん~なんかゲーム苦手そうだもんなぁ、あの子」
「なんだこれは!?」とか言いつつあたふたしている姿が目に浮かぶ。でも、慣れると強そう。とは言っても、千景には全員で挑んでも勝てないんだろうなあと思った。
「それで?まだ、やる?」
「勝つまで!勝つまでやります!」
そこから更に時間は経ち、何戦か交えたが…結局のところ勝てずに苦しんでいた。そんな僕に千景がこう切り出した。
「あの時に……そっくり、ね」
「……あぁ、あの時か」
千景が言っているのは、彼女が塞ぎこんでしまった時の事だろう。僕が何度も家を訪れた、あの時の事を。
「あの時の貴方には、すごく腹が立った」
「まぁ、だよね」
「……でも」
「でも?」
「あの時の貴方は、真っ直ぐで…眩しかった。今だからこそ、思うわ…あの時の貴方は誰よりも勇者だったって」
こちらの目を見据え、千景はそう言う。顔が熱くなるのを感じ、反射的に手で顔を隠してしまう。
「か、買い被りすぎだって。ぼ、僕は…自分が正しいと思ったことをやっただけで」
「買い被りなんかじゃないわ。実際、私はあなたに救われてるもの」
千景は優しく微笑みながら、僕の手を優しく握った。手がやたらとぽかぽかするのは、恥ずかしさからなのか。
頭が真っ白になる僕を他所に、千景は続ける。
「貴方は私が出会ってきた男の子の中で、一番カッコいい人よ。それだけは、私が保証してあげるわ。天草…洸輔くん」
「なっ…っ~~~」
千景に褒められることがなんて滅多にない。だから、突然のべた褒めに対応できず、顔が沸騰しそうなほど熱くなった。直後、何故か千景はハッとした表情を浮かべた後、顔を赤くし握っていた手を離す。
「あ、えっと」
「っ!な、何も、何も、言わない、で……」
「で、でも」
「いいから!ほら、続き……やりましょう?」
「…分かりました」
その後、二人で顔真っ赤にしながら対戦するという謎の空間が出来上がっていた。勝敗は……察して欲しい。
コントローラーを握った手には、彼女の温度が未だに残っていた。
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枕に顔を埋めて叫ぶ。こんな感情は初めてで、混乱してしまっている私がいた。
「確かに…ほんの少し、ほんの、少しだけ、かっこ…いいとは思う、けど」
実際の所、彼に言ったことは事実である部分は多い。彼は…私を変えてくれた人だから。
「今の彼は…私にとって高嶋さんと同じくらい」
いや、もしかしたら。この胸に溢れる想いは、それ以上の────。
「……どうしてくれるのよ」
彼の温度が残っている手を胸にあて、一人でそう呟いた。
(責任、とってもらうわよ……天草くん)
高嶋ちゃん&千景ちゃん可愛いぃぃぃ!!!!そして、そろそろのわゆ編もクライマックス!頑張りますよぉ!