そして、TOアキレスさん!高評価ありがとうございます!
それでは!本編に参りましょう!
「一番乗りー!」
「まいったまいった……本調子の友奈は速いねぇ」
「まったくだ、入院前と遜色ないな」
「ま、タマは本気じゃなかったけどな!」
「あ、あなた達……ホントに走ったのよね…?」
「…やっぱり、走るのは、はぁ…きついです」
走り込みを終え、皆で一息つく、元から運動得意組の僕を含めた四人はまだまだ行けるくらいの状態だが……千景と杏は少し辛そうに呟いていた。
こんなことをしているのは他でもない。ひなたが数日前に受け取った神託、バーテックス達の総攻撃に備えての準備のためだ。
「そういえば、皆は聞いた?」
「ああ、大社の計画ってやつか」
「壁の強化…でしたっけ」
「そう!それそれ!」
大社から告げられた対策というやつだろう。確か…壁の結界の強化がされて、バーテックスが入ってこなくなるという。
「だが、もう一つの対策というのを私達は勿論、ひなたにも伝えられていない」
「相変わらずのだんまりかぁ~」
「……これ以上隠して、何になるのかしらね」
二人の呟きはもっともである。実際に、ここまで大社は様々なことを隠蔽していたのだから。少し雰囲気が暗くなりかけた所に、友奈の元気な声が響く。
「まぁでも!次の戦いに勝てば、平和になるってことだよ!」
「友奈の言う通りだな、ひなたも巫女として頑張っている。今、私たちは勇者として次の総攻撃の事を考えよう」
「そう、ね。終わりが見えてきたんだもの……」
「よっしゃ!気合い入ってきたぞぉーもっかい走り込みいってくる!」
「…わ、私も頑張ります!」
今までは果ての見えない戦いだった。けど、今の僕らに終わりが見えてきている。尚更、彼女たちも気合いが入っているのだろう。
(この総攻撃を乗りきって、壁が強化されたら、され……たら?僕はどうなるんだ?)
あの青い鳥は『全てが終わったら』と言っていた。その全てとは、一体どこまでの事を言っているんだろうか?
(…もしも、その全てっていうのが、総攻撃を乗りきり壁を強化されるってところまでなら……僕は)
けど、それを知る術を僕は持っていない。俯きながら考え込んでいる僕を心配してから、若葉と友奈がこちらを覗き込んでいた。
「洸輔…?大丈夫か?」
「あ、うん…大丈夫だよ」
「ん〜?何か悩みごとあったり?」
「悩みごとってほどじゃないさ、ちょっと……考え事してただけ」
元の世界に戻るのが、嫌な訳じゃない。でも……その時が来て、西暦の皆と会えなくなってしまったら……僕は。
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「……はぁ」
ため息をつきながら、ベッドに倒れこむ。右手の中には、友奈からもらった押し花を握っている。
「なんで、だろうな……最初は元の世界に帰らなきゃって躍起になってたのに」
一時期は目的に囚われて、おかしくなったりもしたのに終わりが見えてくると。その『終わり』を寂しく感じている自分がいる。
神世紀には勇者部があり、とても大切な人達がいる。辛いことや苦しいこともあったけど……それ以上に皆といられることがすごく嬉しかった。
そんな自分の居場所に戻れるかも知れないのに……何故か、僕の心はざわついている。
(っ……僕は)
頭を抱える。今の僕には、そう簡単に割り切ることはできないほどに彼女達の存在は大きくなっていた。
そこに、優しい声が頭の中に響いた。
『迷っているのか、少年よ』
迷っているん……だと、思う。今の僕にとっては西暦の皆がいるこの世界ももう一つの居場所のようなものだから。
苦しいこともあった。でも、それだけじゃなくて楽しいこともあって……勇者部の皆ほど長くはなくとも、彼女達と過ごした時間はかけがえのないものだ。
しかし、それだけ色んなことを思っていても……僕の中に浮かんでくるのは一つの考えだけだった。それが果たして正しいのか。今の僕にはわからない。
『それが君にとっての答えなんだろう。ならば、今はその答えが正しいかどうかではなく、それがどれだけ「自分らしい」か、それが重要なんじゃないか?』
『自分らしさ』……か。
なら、僕に出来ることは決まっていたのかもしれない。
(終わりは、きてしまうのだろう。ならせめて、後悔だけはしないために)
自分を殺し、目的に囚われたままの状態で戦うのではなく、自分にとって大切なもの…守りたいもののために拳を、剣を握るんだ。
『ああ…それでこそだ。その想いこそ俺や彼が君という人間に力を貸した理由なのだから』
その言葉を最後に声は途切れる。瞬間、瞼が重くなり……僕はゆっくりと眠りについたのだった。
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ー次の日の教室ー
「ぬぉぉぉタマにだって本くらい読めるわぁぁぁ!!」
「なんで奇声をあげながら本を読むの!?」
「…土居さん…いい病院を紹介するわよ?」
「千景はもう少しタマへのあたりを優しくしてくれてもいいんじゃないか!?(泣)」
奇声をあげながら本を読んでいる(?)球子に対して杏、千景と反応している。そんな微笑ましいはずの光景を僕は複雑な気持ちで見ていた。
「や……やっと、読み終わったぁ~」
「お疲れさまです、友奈さん。では次はこちらを!」
「ひぇ!?ま、まだこんなにあるの!?」
「これは……ご、拷問に等しいな」
同じく、友奈や若葉も本に目を通していた。今皆が読んでいる本は様々な伝承が詳しく載っている。皆がそれを読んでいるのは単純なことで…精霊に対しての理解を深めるためだそうだ。
ひなた曰く、様々な文献に触れ精霊のイメージを強く掴むことにより強力な精霊を身に宿しやすくなるそうだ。また今までに憑依させた精霊を効率的に宿せるという利点もあるらしい。
(必要な力。それは分かってるんだけどな……)
彼女達が精霊を憑依させるのはリスクが大きすぎる。纏えば肉体、精神を蝕まれるという諸刃の剣。対して僕のは、ノーリスクで発動できる切り札ならば。
「どうしたんですか?」
「あ、いや、別に。ただ、その……読まなくてもいいんじゃないかなって〜」
「もしかして、私達が精霊を使って無理をすることを気にしてるんですか?」
「うっ……」
図星だ。杏に考えていることを読まれ、顔を強張らせた僕に球子が笑いながら背中を叩いてくる。
「なんだ、そんなこと気にしてんのか?洸輔ばっかりに任せておけないだろ!」
「そんなことって……だ、だって皆のは!」
「全く。無理をしないことと、何もしないってのはイコールじゃないでしょ?」
「……」
千景の言葉に何も言えなくなってしまう。いつの間にか横にきていた若葉が僕の肩に手を置いて言う。
「私達も無理をする気はないさ。ただ、もしもの時を想定しやれることはやっておきたいと思ったからな」
「そうだね!それに洸輔くんにはいっぱい守ってもらったから、今度は私達が守るよ!」
「若葉、友奈……」
皆が僕に視線を向けてくる。視界に映ってくる皆の表情は……決意と覚悟に満ち溢れていた。僕は顔を片手で覆いながらポツリと呟く。
「まったく…ホント僕の周りにいる女の子は強い子達ばっかりで困るよ。男の面目丸潰れじゃないか」
単純なことだったのだ。僕は皆がそんな危機的状況にならないよう今の自分に出来る全力を尽くせばいい。
「当たり前だろ!タマは洸輔より断然強いからな!」
「はいはい、そうだね。強い強い」
「あ、今絶対頭ん中でバカにしたろ!」
「まぁまぁタマっち先輩、ほら本読もう?」
「あ、高嶋さん。その…一緒に読まない?」
「いいよー!ぐんちゃん!ほらほら洸輔くんも!」
「僕も?しょうがないな」
「ふ、さて私も次の本に…」
「はい!まだこんなにありますからね!」
『まだあったの!?』
この世界で出会ったかけがえのない大切な人達を『終わり』がくるまで…僕は守って見せよう。
ゆゆゆいで高嶋さん出ちゃったぁー!!(自慢)
ふぅ…こっからはホントに未知の領域だな。さていっちょやってみっかぁ!
それでは!また!