天草洸輔は勇者である   作:こうが

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遅ーーーーーーーーくなった今年一発目は奴とのラストバトル!!!


明けましておめでとうございます!そして今年もよろしくです!


第三十三節 過去も未来も繋いで

「でかいの来るよ!」

「ああ!!」

 

前方から放たれてきたレーザーを避ける。横にいるのは人には決して生えるはずのない黒い翼を羽ばたかせながら、回避している若葉がいた。

 

「すごいね、その精霊は…スピードだけでいったら僕より全然上だよ」

「まぁそれもあるかもしれないが、奴の動きが鈍重だからという所もあるんだろう」

 

若葉の言う通り、あいつは一発一発の攻撃は強力だ、それこそ当たったりしたら一瞬で即死するのは目に見えている。

 

「確かにね。それが奴の弱点でもある」

「鈍重ゆえ懐に入りやすいと言うところだな」

 

今の攻撃が当たらずに僕ら、二人が健在なのを見た超大型が体を二つに分けた瞬間…それと、同時に炎を纏った星屑が距離を積めてくる。

 

「洸輔の言っていた通りだな」

「うん、じゃあ僕らは役目を果たそうか」

「そうだな。よし…行くぞ!洸輔!!」

「了解!!」

 

若葉が横で刀を構えている中で、僕も漆黒に染まった剣を握る。その剣からは禍々しい光が放たれているが不思議と恐怖はない。

 

(ただ受け入れるだけじゃない…自身の闇を受け止めるんだ)

 

「お前たちの相手はこっちだ!!!」

「来い!化け物共!!!」

 

二人の声が樹海に木霊する。もうすでに勇者たちの賭けは始まっていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「二人が相手側の注意をひきはじめました」

「よし!それじゃ行くか!」

 

タマっち先輩の掛け声で、私だけじゃなく友奈さんと千景さんも動き出す。

 

動き出したと同時に作戦の内容を整理する。

 

まず、あの超大型を倒すためには封印の儀というものを行わなければいけないらしい。御霊を持った敵はそれをやらなければ完全に消し去れないからだと洸輔さんは言っていた。

 

しかし、それを行うためにはある程度バーテックスを弱らせなければいけない。そこで洸輔さんはある提案を私達に申し出てきた。

 

『役割を分担しようと思う』

『いいんじゃないかしら?それぞれ目的が…決まっていた方が動きやすいと思うし…』

『いいけど、どうやって分けるの?』

 

そうして、挙げられたのが…あの大型の注意を引き付けておく囮組。大型の懐に入り込んで攻撃を叩き込む組に分けることを提案だった。

 

『待てよ、洸輔…確かに役割を分けるのには賛成だけどさ。あいつの懐に入って攻撃を叩き込むってのはタマ達じゃ重荷じゃないか?実際洸輔の攻撃は効かなかったんだろ?』

『随分弱気なんだね~?球子?』

『っ!?そ、そんなことないぞ!ただちょっと疑問に思っただけだ!』

 

実際その疑問を持っているのは、タマっち先輩だけではなく私達もだった。しかし、私は洸輔さんのその提案に何故かは分からないが安心していた。

 

『確かに…「一回」だけなら駄目かもしれない。でも、同じ箇所に全力の攻撃を連続で打ち込んだら?』

『綻びが生まれる…?』

『うん、どんなに頑丈なものでも綻びは生まれるはず…そこを突くんだ』

 

「杏!来たぞ!!」

「うん!任せて!」

 

脳内で再生されていた会話はタマっち先輩の声によって打ち切られて、意識は現実へと引き戻されていく。二人が役目を果たしているように…私にも果たさなきゃいけないことがある。

 

『僕と若葉が囮側。球子、そして千景と友奈が攻撃側、この分け方でいいね?で、杏は』

『私は三人を無事に敵の懐まで送り届けます』

『それはいいけど……どうやって?』

『私の精霊、雪女郎の力を活用します』

 

視界を前方に向けると…炎を身に纏ったバーテックスが目の前に迫ってきていた。それをみて私も精霊を身に纏わせる。

 

『奴から放たれたバーテックスの体当たりに当たったりしたら、皆はそれだけでも瀕死状態になる……』

 

だったら簡単だ。あれの体当たりにぶつかってしまうだけで皆は瀕死になる確率があるのなら……。

 

(私が、皆を守る!!タマっち先輩があの時、守ってくれたように!!)

 

「いくよ、雪女郎!!」

 

叫んだと同時に、辺り一面が吹雪に包まれていく。一歩でも踏み込んでしまえば、命を奪う死の世界へと変えていく。

 

それは炎を纏ったバーテックス達には全く通用していなかった。私の攻撃をもろともせずに化け物達は吹雪の中へとずかずか入ってくる。

 

でも、それでいい。寧ろそうでなくては困るのだ。私の目的はバーテックスの撃破じゃないのだから。

 

(私の役目は、バーテックスの視界を遮り皆を安全に本体の目の前に送り出すこと!)

 

前よりも精霊の力を理解したからか、以前より広い範囲を吹雪が覆い尽くす。

 

樹海を駆けていく、雪女郎の範囲が届かない部分は洸輔さんと若葉さんがバーテックスを引き付けてくれているため数もそんなに問題ではない。

 

やがて、超大型の本体が視界に映ってくる。

 

「行ってください!皆さん!!」

「よし!行くぞぉ!」

「アンちゃん、ありがとう!」

「助かったわ……あれのことは私達に、任せて」

 

バーテックス達を阻んでいる吹雪を抜けて、三人は本体の前へと飛び出していった。

 

「頼んだよ……お姉ちゃん、皆!」

 

タマっち先輩の背中を見つめながらそう呟いた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

私と高嶋さんの前を走っていた土居さんは本来視界が悪くて迅速に動けるはずがない空間を迷いなんてないように、駆け抜けた。それを見て私は、彼女達の強さがもっとわかった気がした。

 

(これが…二人の繋がりの強さ)

 

「本体の目の前だ!千景!!」

「ぐんちゃん!」

「ええ」

 

抜けた先には超大型の巨体がある。呪詛の刻まれた札を自身の周りに散らし、それと同時に両手を広げる。

 

(玉藻の前……あなたの力をもう少し借りるわ)

 

呪詛が変化すると…火炎と氷になり周りに浮遊し始めた。両手をゆっくりと前方に向かってかざす。

 

「はぁ!!!」

 

掛け声と共に火炎と氷が、超大型の一点にぶつけられる。しかし、それでも奴の体には多少の凹みが生まれただけだった。

 

「まだ……」

 

今度は特大の爆炎を纏った玉を追撃としてぶつける。

 

「これも、持ってきなさい!!」

 

それと同時に構えておいた鎌に呪詛の札を貼り付けて禍々しい光を纏ったそれを凹みに向かって振るう。

 

瞬間、ただの凹みだった場所が砕け始めた。

 

「ぐぅっ!!!ぁぁぁ……」

 

精霊の力によって響く体の痛みを唇を噛みしめ耐える。間髪入れずに土居さんに視線を送り叫ぶ。

 

「っ……土居さん!!!」

「おお!!任せタマぇ!!」

 

私の声に彼女は、相変わらずの笑顔で答えた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

千景の連撃によって砕かれたバーテックスの表面へ、輪入道を纏わせた旋刃盤リペアタイプに乗りながら突っ込んでいく。

 

(杏だって腹括ったんだ!姉ちゃんのタマがやらなくてどうするんだよ!!)

 

『タマも攻撃側に回っていいか?』

『いいよ』

『あ、あれ?やめとけって言われると思ってたんだが……』

『言わないよ。何か考えがあるんだよね?ならいつもみたいにかましてきてよ、球子』

 

「言うようになったよなぁ、洸輔も……球子様を、なめんなよ」

 

洸輔を、皆を守るためにもやってやる。

 

(輪入道……頼む!!今だけ、今だけでいい!!タマにもっと力を貸してくれ!!!)

 

ひなたから受け取った本を見て、輪入道のことについてさらに理解を深めた。でも、それだけじゃ足りない。ならタマがもっと覚悟決めなくちゃならないよな。

 

「もっとだ!!もっと燃やせぇぇぇ!!輪入道!!!」

 

旋刃盤リペアタイプの炎がさらに増していく。それはタマの体をも燃やし尽くしそうなほどだった。

 

「随分、痛そうじゃんか……」

 

視線の先に映るのは、千景の波状攻撃によって砕かれたバーテックスの本体だ。御霊ありは回復機能を持っているらしい…しかし、その傷は見た目よりも深かったらしくまだほとんど修復出来ていない。

 

(どんなものにも綻びは生まれるだっけか?その言葉聞いた瞬間にこれしかないと思ったんだよな)

 

「これも受け取ってもらうぞ!!バーテックス!!!」

 

口の端を吊り上げながら、旋刃盤にさらに勢いをつけていく。そして、生まれた綻びにぶつかる寸前で旋刃盤から飛び降りる。

 

「食らいタマぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

瞬間、大爆発が起こる。最高位の精霊を身にまとっていないから、効くか心配だったが…その綻びは明らかに先ほどよりも広がっていた。

 

「友奈ぁ!!最後は頼んだぞ!!」

「うん!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「来い!!酒呑童子!!!」

 

精霊を纏わせて、すぐに二人が作ってくれた綻びに向かって追撃を叩き込むために拳を握る。

 

明らかに、超大型はダメージを受けている。あと一歩、あと一歩、叩き込めば封印の儀が行えるようになるはずだ。

 

(皆が作ったこのチャンス!絶対、決めてみせる!!)

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

全力の力を、拳に込めていく。普段の倍の大きさになった拳にどんどん力が籠っていくのが分かる。

 

(ここだぁぁぁ!!!)

 

「ゆう……うぐっ!?」

 

拳が当たる寸前……あと一歩の所で体に異変が起きる。頭はじくじくと痛み、口からは血を吐く。

 

「高嶋さん!!」

「友奈!!」

 

近くにいるタマちゃんとぐんちゃんの声が頭に響いてくる。体からはどんどんと力が抜けていく。

 

(あと、あと一歩、なの……に……)

 

酒呑童子からくる負のエネルギーによって蝕まれているのだろうか?ここまで…きたのに。

 

(皆、頑張ってる……だから、私も……)

 

頭の中を負の感情が覆い尽くしていく。何故、そんなに傷ついてまで戦うの?勇者なんて痛くて辛いだけだ。自分を偽るのも大概にしろ、こんな辛いことやめてしまえ。

 

なのに、なんで、どうして、戦う?

 

「なんで………かって?」

 

苦痛に包まれる体を起こし、拳を再度握る。

 

「そんなの、決まってる!!」

 

脳裏に浮かんでくるのは、私を支えてくれた家族や周りの人達、そして何よりも、共に戦ってきた勇者の仲間達の笑顔だった。

 

「勇者だからだよ!!!理由なんて……それだけあれば十分だ!!!!!」

 

そう言って体を思いっきり捻る。拳に全力の力を込める。

 

「私は!!皆が!!皆が大好きなんだ!!!」

 

想いをすべて吐きだすように叫ぶ。

 

「だから!守るんだ!今も!この先にある未来も!!勇者..ぁぁぁ!!!パァァァァァァァァァンチ!!!!」

 

そういい放ち、綻びに向かって拳を振るう。ぶつかった瞬間…酒呑童子の拳にヒビが入った。

 

それでも、砕けたのは私の拳ではなく、超大型の方だった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あれは!!」

「皆……」

 

私が引き付けた敵を洸輔が漆黒の剣で葬ったと同時に、超大型の本体の一部が消し飛ばされる。

 

「賭けに勝ったということだな!」

「よくやってくれた…皆!!」

 

口の端を吊り上げながら洸輔が呟く。視線を前に向けると、封印の儀を行うために皆が超大型の前へと集まっているのが見えた。

 

「よし!私も行くぞ!!」

「若葉は先に!僕は、こいつらを片付けたら追い付く!!」

「わかった!」

 

残ったバーテックスを洸輔に任せて、私は四人のいる方向に向かって黒き翼を靡かせながら飛翔する。

 

「っ……」

 

体に激痛が走る。恐らく本来、人間にはないものである羽を酷使し過ぎた結果だろう。それを好機と捉えたバーテックスが私に向かって突進してくる。

 

「邪魔は……させない!!!」

 

しかし、それは黒い波動のようなものによって阻止されるのだった。飛ばされてきた方向を見ると、黒炎を片手に宿しながら、バーテックスを狩っている洸輔が視界に入った。

 

もう一度前を向いて皆の方へと飛んでいく。

 

「人間を甘くみるな……バーテックス!!」

 

地上に着地したと同時に刀を思い切り、地面に突き刺す。

 

「皆、行くぞ!封印開始だ!!」

 

私の掛け声と共に四人が周りを取り囲む。すると周囲から眩い光が浮かび上がってくる。

 

「お前で、最後!!」

 

背後から、洸輔の声が聞こえてくる。どうやら最後のバーテックスを倒しおわったようだ。

 

「洸輔、これは…上手くいっているのか!?」

「大丈夫、僕が見たものと同じ光だ。上手くいってるよ!」

「高嶋さん……無理はしないでね」

「うん、でも、大丈夫!」

 

亀裂の入った右籠手を翳しながら千景の言葉に笑顔で頷く友奈。それを見て、心配そうな目を向けながらも千景も手を翳した。

 

「タマ達もいるからな!任せとけ!!」

「私も、やってみせます!!」

 

二人が加わった瞬間、私達の視界に映ってきたのは謎の数字だった。

 

「これは……一体?」

 

それに対し疑問が生まれる中、上空に現れたものによってその疑問は打ち消される。

 

(あれが、洸輔の言っていた。御霊か!!)

 

「洸輔!!」

「天草くん!!」

「タマ達の分も頼んだぞ!」

「負けないで……洸輔さん!」

「信じてるからね!」

「うん!行ってくる!!」

 

洸輔が跳躍したと同時に、御霊から放たれた影のようなものは、自身と洸輔を飲み込んで球体のような姿に形を変えた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

御霊に向かって跳躍したと同時に…影のようなものが御霊ごと僕を飲み込んでドーム場のようなものに姿を変えた。

 

「ここは……って、そうだ、御霊は!」

 

辺りを見回すと、前方にそれは浮いていた。それを破壊するためにバルムンクを強く握る。

 

瞬間、御霊が不気味に動き出す。膨れ上がったり縮んだりしている。

 

「な、なんだよ……それ?」

 

異様な光景に体が強張った。すると、突然、御霊の動きが停止する。それと同時に御霊が怪しく光出し、僕の視界はすべて白に染まった。

 

「………っ!?」

 

目を見開く。そこには人の形をした何かが立っていた。黒いもやもやしたものに覆われた何かだ。

 

けど、自然と僕にはそれが何なのかわかった。前に似たようなものを見たことがあったから。

 

「悪趣味だな……今度は、そういう『僕』か」

「ぁぁぁぁぁぁ!!!」

「っ!生まれて早々悪いけど、消えてくれ!!」

 

黒い何かは咆哮を轟かせながら、剣を振るってくる。漆黒の装束を身に纏い力が増大されてるにも関わらず、それに押された。

 

「こ、この力って!?」

「おあぁぁぁぁ!!」

「がはっ!?」

 

蹴りが僕の体に打ち込まれると、後ろに飛ばされる。すぐに身をお越すと、奴は剣を天高く振りかぶっていた。

 

次に何が来るかは動きで分かった。立ち上がり黒から白銀に装束を変化させる。それと同時に体に力をすべて込めて、切り札を解放する。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!幻想大剣・天魔失墜《バルムンク》!!!」

「がぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

お互いの剣が振り下ろされる。ドーム場の空間を衝撃が包み込みこんだ。

 

「っ!?ぐぅぅ……」

「ahhーーーー!!!」

 

押されていく。奴から放たれた波は桁違いのパワーだった。それだけでは終わらず、奴は僕を徹底的に潰そうと先ほどのものほどではないが、火の玉を放ってくる。

 

「あ、あああああああ!!!!!!!」

 

剣を握る腕がミシミシと嫌な音を立てる、こんな状態でまだ耐えていられるのが不思議だった。ここまで、皆が、繋いでくれたのに……体だけでなく思考も段々と深く堕ちていく。

 

誓ったはずなんだ、そう誓った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めるのか?』

 

言葉と共に吹き荒れているのは絶望。

 

体には痛覚はなく、感じるのは深い絶望。

 

『あの時の君は、「そこ」で諦めたのか?』

 

体が軋んでいる。

 

掛けられる言葉の一つ一つが重い。

 

それを肯定する自分と否定する自分がいる。

 

『約束はどうした』

 

口を開き、答えようとする。

 

しかし、喋ることはおろか苦悶の声をあげることすらできない。

 

『彼女たちの想いは?あの世界に帰るんじゃないのか?』

 

何のために僕は。

 

どうして僕は。

 

ここにいるんだろうか?

 

『君はもうすでに答えを得ている。だから……あの時、闇に打ち勝ち剣を握ったんだ』

 

今まで感じられなかったモノが戻ってきた。

 

やっと、視覚も戻ってくる。

 

目の前には……二人の男の背中があった。

 

『足りないのなら、あの時と同じだ。只憑依させるのではなく全てを纏え』

 

言葉の意味は自然と理解できた。

 

『貴公は』

『君は』

 

二人は、こちらを向いている。

 

まるで、僕が最初からそうすることが分かっているかのように……真っ直ぐな瞳でこちらを見ている。

 

『俺に(当方に)追い付けるか?』

「追、い……つける、か……だっ、て?」

 

途切れ途切れの言葉は二人の背中に向かって掛けられている。

 

感覚が戻る。足を一歩、強く、そして確かに踏み出す。

 

自身の奥底にある一つの世界が塗り変わった。

 

「追いつく、だけじゃ足りない……だからっ!!!!」

 

体が燃える。

 

さっきまでの寒気と、堕ちていた心はすべて無くなる。

 

それだけでは足りないのならば、答えは一つ、あの時と同じ。

 

「僕……いや、『俺』は!あなた達の力を以て!あなた達を追い越してみせる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎっ……っ、おおおおお!!!」

「!?」

 

体に異常な程の力が宿っていくのが分かる。あの時と一緒だ……シグルドさんと一体化した時と。

 

『相棒、戻ってきたか?』

「うん」

『もう人踏ん張りだな。あのパチもんぶっ倒しちまえ!!』

「もちろんだ!!」

 

両手にまた力を込め言葉を刻んでいく。

 

「邪悪なる神は失墜し……世界を今平穏に導かん!」

 

あっちでは、幼なじみが届かせたんだ。なら、こっちでは僕が届かせてみせる。ここで全てを……

 

「切り開くっ!!」

 

この一振りは僕一人だけの力じゃない。友奈、美森、風先輩、樹ちゃん、夏凛、園子、そして…西暦で出会った若葉、千景、友奈、球子、杏、ひなた、皆の想いも背負って振るわれるモノ。

 

人の想い、自分が今ままで紡いだものを体現した幻想の剣。

 

幻想大剣・天ノ神失墜(バル・ムンク)!!!!!!」

 

白銀と黒が織り混ぜられた波は、奴から放たれた波を押し返していく。それと同時に軋んだ足を前へ踏み出し人型に向かって飛んでいく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

「   」

 

白と黒の波によって肉体を弾き飛ばされた人型と距離を詰める。反撃を仕掛けようとする人型に向かって叫びながら、剣を振るった。

 

 

 

 

 

「未来に!!届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

 

 

その一刀は人型となった御霊を、切り伏せた。

 

目の前を、光が包んでいく。さっきのものとは違って、暖かくて、すごく落ち着いた。

 

(はは……やっ、ちゃった)

 

体から力が一気に抜けていく。ドーム場の空間は崩れ始めたのを確認して長いため息が漏れた。

 

(友奈……ちょっと危なかったけど、届かせてみせたよ)

 

ポケットに入っていた押し花を見詰めながら…そう心の中で呟く。着々と僕の意識は薄れていった。

 

「み、ん…な」

 

ぼやぼやと皆の笑顔が浮かんでくる。あれ?僕、死ぬのかな?なんか、体が_________。

 

「本当に……ありがとう」

 

うわ言のようにそう呟いていると、僕の体は謎の空間から放り出され地面へと一直線に落ちていった。




今までの中で一番長かった!!頑張りましたぁ!!散々待たせておいて分かりにくい感じになって申し訳ありません…( ̄▽ ̄;)

感想待ってますね!!!

(捕捉で説明すると、ラストの天草くんはジークフリートの第三段階の格好で戦ってます)
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