これは、もしも洸輔くんが神世紀に戻らず西暦世界に残っていたらを仮定にしたお話しです!恐らく、全員分書くのだ。楽しみにしていて欲しい。
そんなIFアフター一発目は、郡千景ちゃんです!では、どうぞ!
「……」
木に背を預けながら、目を閉じる。頬を撫でる風がとても心地いい。空は青く澄み渡っており、快晴。日向ぼっこ&昼寝には最適な天気と環境だ。
皆でお花見した場所…僕のお気に入りの場所だ。そして、ここでのお昼寝が最近のマイブームだった。人もあまり来ない、穴場のような場所だから最高である。
「……不思議、だな」
そんな呟きが漏れる。そう、僕は西暦世界に残っていた。
最後の戦いの後、過去である西暦から神世紀へと戻るのだと思っていた。西暦世界へ僕を送った張本人の若葉からも、すぐにこの世界とはお別れみたいなことも聞いていたのだが。詳しい所は分からずじまいで……それでも時は平穏に過ぎていった。
時が過ぎるという事は自然に周りの環境も変化するもので……僕は一般の高校を卒業して、今はなんと大学生になっていた。その他にも色々変化したことがあるんだが________。
「……やっぱり。ここにいた」
「ありゃ…見つかちゃった」
「まったく、本当飽きないわね。ここで日向ぼっこするのが、そんなに気持ちいいの?
「皆との思い出の場所でもあるからねぇ〜それにほら!千景もやってみたらわかる!心地いいよ〜?」
呆れつつも隣に腰を掛ける千景。彼女との関係性の変化こそが色々ある中で一番変わったことではないだろうか。
高校を卒業する際に、僕は千景から告白された。すごく嬉しかった、同時に複雑な気分だった。僕はいつ消えるのか、わからない……だから、一度は断ろうとした。でも、千景は__________。
『それでも!貴方が好きだから……傍に、いて欲しいから……』
そう言われて沢山悩んだ。これ以上ないくらいにね……ても、その末にこの世界から自分が消える『その時』が来るまでは彼女と一緒にいる……そう決めたんだ。
(悩んでいた時に、気づいた)
僕自身も彼女の側にいたい……という一つの想いを持っている事に。わかってはいるんだ、いつかここから消えるのは。それでも今まで、彼女と過ごしてきた時間……時には、すれ違ってぶつかりあったし、その中で彼女が抱えているものも知った。だからこそ_______
(支えたい。誰よりも近くで千景のことを)
その想いを胸に、僕は彼女と同じ大学へと進んだ。そこから色々あって僕達二人は同棲する事になったのだ。幸いお金には困らなかった。世界を救った勇者、という事もあり大赦から便宜してもらっていたから。
「にしても…家に彼女を置いてくなんて、彼氏……失格なんじゃないかしら?」
「痛い痛い!耳引っ張らないで〜!ぐ、ぐっすり眠ってたから起こすの悪いと思って」
「ふん……」
「お、怒らないでよ〜」
不機嫌そうに顔をプイッと逸らした千景の頭を優しく撫でる。すると、すぐに彼女の顔が朱に染まった。
「っ……そ、そんなことで私は」
「と、言いつつ顔にまにましてる!」
「っ!そ、そんなことない!」
「いいえ、そんなことあります」
一連のやり取りでぷくっ〜っと頬を膨らませる千景。一緒に過ごしている内にわかった事だけど、千景は案外顔に出やすいタイプらしい。
「……顔、じっと見て。どうしたの」
「いいや〜べっつにぃ」
「何よ…その反応」
「やっぱり、可愛いね!うん、かわいい!」
「ま、またそういうことを……嬉しい…けど」
先ほどよりも顔を赤くした千景が、僕の肩へと頭を預けてきた。これだけで嬉しくなってしまう程、彼女の事を好きになっていた。
「甘えんぼさんだね」
「それ、あなたが言う?家でいつも甘えてくるのは誰かしら?」
「……お互い様って事で」
「そういう事にしておいてあげる」
千景がにこっと微笑む。前よりも、笑顔になる事も多くなって僕は嬉しい。
「いいわね……あったかくて心地いい」
「でしょ?ふふん、これが僕のマイブームだから」
「余裕そうにしているけど、課題は終わったのかしら?」
「……カエッタラゼンリョクデススメマス」
「忘れてた訳ね、全く……変な所で詰めが甘いんだから」
呆れたような声が、横から聞こえる。大丈夫、大丈夫、千景もきっと手伝ってくれる(人任せ)
「そうだ……貴方に言いたいことあったの」
「急にどしたの?」
改まった様子で、千景は真っ直ぐ僕の目を見据える。同時に千景が僕の手を強く握った。
「この前、お父さんとお母さんに会ってきたわ」
「……どうだった?」
「2人とも、まだぎこちない所はあるけど……それでも、前より上手くいっているみたい」
両親の関係は、千景本人から聞いたのと前にひなたから少し聞いていた事からある程度の事情は知っていた。また、大赦からの情報でお母さんのは天恐が治り始め、お父さんも精神的に良くなっているとは聞いていた。
それでも一人で行ったら危ないと言おうとしたが、彼女の目を見てその言葉を引っ込めた。どうやら、変わっていっているのは彼女だけじゃないようだ。
「そっか……今度は、一緒に行ってもいいかな?」
「ええ、寧ろ一緒に来て欲しい。貴方の事、二人に話したいもの」
「任せて、君を支える為に僕は傍にいるんだからさ!」
そう言うと、何故か千景は少し不満そうな顔をこちらに向けた。
「な、なんか間違った事言っちゃった?」
「支える為、だけ?」
「えっ?」
「……支える為だけ、なの?貴方が……私の傍にいる理由は」
上目遣いで、こちらを見つめる千景。その姿に軽く混乱するも僅かな時間の中で思考をフル回転させた結果、言葉の意味を理解した。
「あ、ああ!ご、ごめん、言い直す言い直すから!」
「……っ!?」
無言で見つめてくる千景のおでこに、コツンと自分のおでこを優しく当てる。彼女の息が触れる度に、心臓が高鳴る。しかし、その高鳴りに負けないように、先程の言葉を言い直す。
「大好きな千景と一緒にいる為、そして、千景をずっと側にいて支える為に僕は傍にいたい!…………え、えと、こんな感じ?」
「っー……さ、最後さえ無ければ、100点だったけど……まぁ、貴方らしくていいわね」
「何さ、それ」
「ふふ……」
クスッと笑い、目を細める千景。そんな、何気ない表情にも目を奪われる。そうだ、僕は千景が好きだ、そして、好きな人を守るのは男として当然だ。
この体がここから消える。最後の瞬間まで、僕は______。
「所で、洸輔くん」
「なに?」
「ちょっと、油断し過ぎじゃない?」
一瞬の出来事だった。でこをくっつけ合っていた事で至近距離にあった彼女の顔が、一瞬だけ…ゼロ距離になった。唇には、僅かな温かさが残っている。
「えっ……えっ!?ち、千景、今なななななな何を!?」
「同棲してるんだから、今更これくらいで騒がないでよ……」
「で、でも、あわわわわ……」
突然の出来事に脳が処理しきれない。嬉しさと、恥ずかしさとなんか色々混ざり合っておかしくなりそう。
混ざり合った感情の中で、僕が明確に感じたのは好きな人と心が通じ合えて嬉しいという温かな感情だった。
「……慌てすぎ」
「慌てるに決まってるって!だ、だって今、千景…僕にキス……」
「前に言ったじゃない、油断していたら今度真ん中にいくからって」
「っ!?千景…僕、君のこと大好きだ!」
「私もあなたの事大好きよ。洸輔くん」
次は、若葉ちゃん…その次は、ひなちゃんか……やばいな、このアフターシリーズ書くの異常なほど楽しいぞ!?