「一通り終わったかな?」
「あぁ、後は料理を温めて並べれば準備は完璧だ」
「だいぶ、手際が良くなった気がするね〜」
夕飯作りも終わった為、小休憩でも取ろうと二人でソファーにお互いの体を寄り添わせながら座っている。手もしっかりと繋がれていた。
「にしても、若葉。料理の腕上達したね!驚いたよ〜もう僕より上手なのでは?」
「いいや、洸輔にはまだまだ敵わないさ。何より、私がここまで上達できたのは洸輔が熱心に教えてくれたおかげだ」
若葉がこちらに優しく微笑みながら、そう言ってくる。すると同時に若葉がこちらに身を寄せてきた、先ほどよりもお互いの体が密着する。
「若葉様、夕飯前ですぞ〜」
「わかっているさ、でも少しだけいいだろう?」
「少しだけと言わずどんどんどうぞ。僕も若葉ともっとくっつきたい」
「なんだ、結局そうなるのか」
「嫌?」
「いいや、洸輔も同じ気持ちでいてくれてその、嬉しい…と、思ったんだ」
幸せすぎる、それしか言えない。好きな人とここまで心が通じ合えるのは嬉しい事だとは。一瞬でも油断したら、理性が飛びそうだ。
「もう少しで……この部屋ともお別れなんだね」
「そう、だな。思えば……色々なことがあったな」
色々なこと、確かに思い返せば沢山の事があった。なんの手違いか、この世界に残留した僕は戦いが終わった後も、皆と過ごした。その中で、最も深い繋がりを持ったのが若葉だった。僕らはお互いの想いを伝え合って恋人になって、同棲して、二人で長い時間をここで過ごした。
「覚えているか?私達が、初めてここに住み始めた時のこと」
「うん、覚えてる。お互いに、バタバタしていて落ち着いてなかったよね。まぁ、主には若葉がだったけど」
「何、そ、そんな事はないだろう」
「え〜?寝室にベッドが一つしか無くて、顔を真っ赤にしながら僕に縋り付いてきたの誰だっけ〜?」
「っ〜……い、意地悪だな、洸輔は」
むーっと顔を膨らませる若葉。そんな何気ない仕草にも、胸が高鳴る。我ながら、自分でもびっくりするくらい若葉にデレデレらしい。
「この部屋も色んな思い出があって好きだ。だけど、これからはもっと広い……新しい場所で、洸輔と一緒に過ごせるかと思うと、嬉しいしワクワクしてくる」
「僕もだよ、これからも若葉と一緒……それもここで過ごした時間よりも何倍も長い時間を過ごせる。これからもっと増やせるんだよ、色んな思い出を一緒に、ね」
「……私は幸せだ、本当にありがとうな」
優しい声で、若葉がそう呟く。その呟きに僕も笑みを溢した。僕の方こそ、幸せだ。好きな人とここまで心が通じ合えているのだから。
「なぁ…洸輔……その、」
「ん?もしや?」
「っ〜、少しだけと自分で言った手前、こう、言いづらいんだが……」
「ふむふむ〜何かなぁ?」
「や、やっぱり意地悪だ……洸輔は」
「はは、ごめんごめん。いいよ、甘えたいなら甘えてくれて。この部屋でする、最後のイチャイチャくらいの気分で」
「言ったな?今の言葉、忘れるなよ?」
意地の悪そうな笑みを浮かべながら、若葉は繋いでいた手を離し両腕を僕の身体に回してきた。僕も自然体のままそれを受け入れ、抱擁を交わす。すると、若葉が僕の胸に顔を埋めてきた。
「……洸輔の匂い、好きだな」
「んっ!!」
「どうしたんだ?急に変な声出して」
「いきなりのそういう発言は卑怯だよ……ましてや、服に顔を埋めながらとか……」
「ほほう〜?立場逆転だな。少し前なら、私が今のお前のような反応をする立ち位置だった」
「そうだっけ?」
「ああ、そうだ。何度お前の行動に動揺させられたかって……ひゃう!?」
ジト目で僕を見つめている若葉の首筋に自分の鼻を向かわせ、彼女の匂いを堪能する。
「こ、洸輔、いきなり何を!?」
「ふふん、若葉は僕の匂いを堪能したんでしょ?なら、僕にも君の匂いを堪能させなさーい!」
「ちょ、ま、まって……くすぐったい……」
艶っぽい声を出す若葉にまた胸が高鳴る。なんというバカップルぶりだろうかと胸の内で自分にツッコミを入れた。ひなたに、「砂糖をそのまま口の中に放り込まれた時くらい、二人のやり取りは甘いです」と言われたがそれはかなり的を得た発言かもしれない。
しかし、これも仕方ない事なのだ。好きな人と一緒にいたならば、お互いを強く感じたいと思うのも仕方がない。やましい気持ち抜きで、純粋に二人の時間を過ごしたいだけなんだから。
少し息を荒くし顔が朱に染まっている若葉がもう一度、両腕を僕の背中に回してくる。そうして二度目の抱擁が果たされた。
「……」
「……」
二人の視線が交わる。顔が紅潮させている若葉と僕はお互いの目を真っ直ぐと捉えている。
「洸輔……」
「若葉……」
お互いの小さな呟きが合図かのように、距離が縮まる。吸い寄せられるように、唇が触れ合った。幸せ、その感情が僕の脳を支配する。
「ぷっ、はぁ……」
「……ふぅ…」
まだ、お互いの顔の距離は近い。若葉は僕のでこに自分のでこをコツンと優しくぶつけた。
「ずっと……一緒にいてくれ」
「当たり前さ、その為のこの指輪だからね」
「ふふっ、そうだったな。……大好きだ、洸輔」
「僕も大好きだよ、若葉」
僕の返答に満足したのか、若葉はこれ以上ないだろう満面の笑みを僕に向けてくれた。そうして、もう一度愛を確かめるように僕らは口つけをした。
幸福が僕らを包み込んでいてくれた。
お前たち夕飯はどこに行ったんだ……。
甘々な若葉ちゃん、本編のどの回の若葉ちゃんよりも甘々!あと、でこぶつけ合うのは僕が大好きなシチュなんだ←本音
洸輔くんは爆発しろ!←本音中の本音