天草洸輔は勇者である   作:こうが

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あこゆも随分長い物語になりました……自分でも驚いています。物語はまだまだ続きますが、これからもどうぞよろしくです!!ヽ(´▽`)/

では!わすゆ編、スタートォ!!!٩( 'ω' )و


鷲尾須美は勇者である
prologue 過去への想い、そして……


西暦の時代から神世紀へと戻ってきてから何だかんだでもう一ヶ月が過ぎ、こちらの生活のリズムを取り戻し落ち着きはじめていた。ちなみに、今僕は大赦のマークが付いた車に乗っている。

 

「……スマホ、また変わったな。これで何回目だろう?」

「あはは、何回も何回もごめんね、洸輔くん」

 

先程まで、僕は大赦本部へと出向いていた。理由は春信さんが一度勇者システムの調整をするため端末を預けて欲しいと言われたからだった。

 

「まぁ、実際の所は皆にバレて怒られたからってのがでかいんだけど」

「僕も夏凛に、電話でこっ酷く怒られたよ……すごく怖かった。でも、ちょっと嬉しかった……妹に怒られるのってなんかいいね」

「(だめだ、この人……早くなんとかしないと)」

 

結局の所、僕は勇者部の皆に西暦に行って何をしたかとかを全部話したのだった。その流れで、何で僕が勇者システム持ってんの?って話になっちゃって事情は話したんだけど……まぁ、そのあとは地獄でした(涙目)

 

「そういえば、春信さん。さっき気になること言ってた気が……」

「気になること?なんか、言ったっけ?僕?」

「はい、確か……僕の端末に細工がされてたとかなんとか」

「そのことか、ごめん。実は、僕も詳しいことは把握しきれてなくてね。それを調べる為に、端末を一度回収させてもらったんだ。詳しいことがわかり次第伝えるよ」

「なるほど、わかりました」

 

少し、不安に思ったが……どちらにせよ調べてもらわないことには把握もなにも出来ないし、今考えても仕方ないね。

 

「それじゃ、また迎えが欲しい時に連絡してよ」

「了解です、毎回すいません……送ってもらっちゃって」

「なーに、気にしないでよ、これくらいお安い御用だって」

 

そう言って笑ってみせた春信さん、こういう部分は普通にイケメンなんだよなぁ。

 

そんなことを考えつつ、車から降り花束を手に持ってかつての勇者達の墓が備えられている場所へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、皆。お花持ってきたよ」

 

皆の、墓の前に花束を添えていく。春信さんから、この場所を教わってから定期的よく来るようになっていた。

 

ここに来るだけで、皆と一緒にいるような感覚になるから。

 

「あれぇ〜?あ、こうくんだぁ〜ハロハロ〜」

「こんにちは、洸輔くん」

「園子に美森じゃないか、こんにちは」

 

後ろを振り向くと、花束を持った美森とビニール袋を片手に持っている園子がいた。挨拶してから、歩み寄ると二人の前にあったお墓には、「三ノ輪銀」と刻まれていた。

 

「二人は、三ノ輪さんのお墓参り?」

「そうだよぉ〜、こうくんはこの前に話してくれたご先祖様達のお墓参り〜?」

「うん、なんか日課みたいになっちゃってさ。それに、ここにくれば皆と一緒にいるような感じがするからね」

「ふふ、洸輔くんらしいね」

「はは、さて、じゃあ僕はここらへんで……って、ん?」

 

三人の空間を邪魔しない為帰ろうとすると、服の裾を園子に掴まれた。

 

「こうくんも、一緒に。ミノさんも喜ぶと思うから」

「……了解、じゃあ、僕もお邪魔します」

 

二人の横に僕もしゃがみこむ。二人は三ノ輪さんの墓を見て、優しく微笑んだ。

 

「ミノさん、久しぶり」

「銀、色々あったとはいえ、遅くなってごめんなさい」

「えっと……こんにちは、三ノ輪さん。初めまして」

「こうくん、畏まりすぎ〜あと、三ノ輪さんって呼び方、ミノさん嫌がると思うよ〜?」

「そ、そうなの?で、でもほら……しょ、初対面だし」

「まぁ、そうかもしれないけど。きっと、銀ならそんな堅苦しい呼び方やめてくれって言うと思うわ」

「い、いやでも、僕は三ノ輪さんで通すよ(汗)」

「え〜なんでよぉ〜もーこうくんって意外と頑固だよねぇ〜」

 

美森が、三ノ輪さんの墓に花束を置く。そして、園子は袋から何かを取り出した。パックで置かれたのは焼きそばだった。

 

「それは?」

「前に、ミノさんと一緒に食べたんだ〜。その時の焼き方を思い出して、わっしーと一緒に作ったんよぉ〜」

「ぼた餅も作ってきたわ。銀、いっぱい食べてね」

 

二人は、三ノ輪さんのお墓に向かって話しを始めた。横からそんな二人の姿を見ていた僕はポツリと呟く。

 

「二人は……三ノ輪さんのことが本当に好きなんだね」

「そうだよぉ〜だって、私達はズッ友だもん」

「ズッとも?」

「西暦の資料を調べた時、見つけた言葉でね。ずっと友達って意味なんだって。私達三人はずっと友達ってことだよ〜。ね、わっしー?」

「ええ、洸輔くんの言葉を借りるのなら、離れていても心は繋がってるって感じかしら」

「……そっか」

 

その言葉を聞き終わると同時に、僕は三ノ輪さんのお墓に向かって手を合わせた。

 

(三ノ輪さん……園子は、美森は、あなたの友達は元気ですよ。こんな知らない男に言われても、困るかもしれないですけど……)

 

それからまた、園子と美森は三ノ輪さんのお墓に話を始めた。いくら話しても話し足りないのだろう、二人は空が赤くなるまで、かけがえのない思い出をひたすら話し続けていた。

 

「もう、こんな時間なんだ……そろそろ行かなくちゃね」

「うん、ごめんね、銀。私達もう行かないと」

 

僕と美森が、その場から立つ。しかし、園子は墓を見たまま動く気配がない。

 

「ねぇ、こうくん……こうくんは、西暦の時代に行ってご先祖様達を救ったんだよね?」

「えと、う、うん」

「それって、私達でも出来るのかな?」

「そのっち……それって」

「急に、こんなこと言ってごめんね〜。でもさ、こうくんからあの話を聞いてからふとした時に考えちゃうんだ〜ミノさんも______かなって」

「園子……」

 

言葉を聞いて、すごく胸が痛くなった。すると、次の瞬間園子は勢いよく立ち上がり、自分の頬を両手で叩いた。

 

「あーもう、ダメダメだなぁ〜私。くよくよしてたら、ミノさんに叱られちゃう!しっかりしなくちゃね〜……また、来ようね、わっしー」

「……ええ、また来ましょう。洸輔くん、ありがとうね、こんな時間まで一緒にいてくれて」

「私からも、ありがとね〜こうくん」

「気にしなくていいって、三人の会話に混ざるのは楽しかったからさ」

 

僕がそう言うと、二人は笑顔で応じてくれた。そして、三ノ輪さんのお墓へと二人はもう一度視線を向けると、ある言葉を呟いた。

 

「それじゃ、ミノさん」

「銀」

『またね』

 

そう言った時に、園子と美森の表情は穏やかで同時にとても儚かった。なんとなくだけど、あのまたねって言葉……とても大事なものなんじゃないかと二人の様子を見て感じていた。

 

(ズッ友……か。いい言葉だな)

 

三ノ輪さんのお墓に目を向けながら、胸の内で呟く。

 

「迎え、頼むかな……っ!?」

 

そして、スマホで春信さんに迎えを頼もうとした瞬間、突然とてつもない頭痛に襲われた。

 

「ぁぁぁぁぁぁ!!な、なんだ、これぇ……」

 

あまりの頭痛に、その場に蹲る。園子と美森の心配する声は聞こえてくるが、全く聞き取れない。

 

すると、次の瞬間、何か記憶のようなものが頭に流れ込んできた。

 

(これは、一体……?)

 

映っているのは、園子と……美森?そして、もう一人は……。

 

「だ…れ?」

 

虚ろな呟きを残して、僕の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最悪の歴史が生まれようとしているか……分かってはいた。乃木若葉が過去へ奴を送り出した時点でこうなることは予測できていた。

 

だが、予想以上だった……乃木若葉があそこまで力を蓄えていたとはな。送り込まれてからでは、対処のしようがない。まぁ、それはもう良いとするか。

 

問題は……土地神の中に裏切り者がいたこと。元は絶った、しかし『作り物』にその意思が宿ってしまっている。大赦の人間達が作り出した異分子を操り、我に反旗をひるがえしてきている。全くもって厄介なことだ。

 

天の神も、今回の歴史改変の影響によって得た知識……いや、力を使い仕掛けてくる様子……全く、気が休まらん。

 

さて、問題を起こした本人には、しっかりと対処してもらわなくてはな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦から、戻って早々悪いが……まだ働いてもらうぞ、天草洸輔。




今までで一番何が起きているのか分からない( ˘ω˘ )まぁ、プロローグってそんなもんよね!!

あと、毎度遅れてすいませんm(._.)m

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