天草洸輔は勇者である   作:こうが

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本格スタートです。勘の良い方は、もうこの題名で天草くんの宿す精霊もとい英霊がわかったはず( ´ ▽ ` )


一章 叛逆の鎧

「……また、ここなの?」

 

目を覚ましてみるとそこはこれまで何度も見てきた、全てが白で染め上げられた虚無の空間にいた。

 

『たくっ、どんだけ待たせんだよ』

「え?」

 

声がした方に、視線を向けると右手に銀色の剣を握った鎧が、背中をこちらへ向けながら佇んでいる。

 

ガシャン……と、鉄が擦り合わさる様な金属音が鳴り響いた。

 

「……鎧……?」

 

呟いた言葉を最後に、離れていた筈の鎧が、目の前に居た。

 

その手に持っていた両刃の剣を振り上げて。

 

「……ッ!?」

 

剣が振り下ろされ脳天に直撃……する前に、急いで白い空間の地面を転がる。 初撃は何とか回避する。

 

体制を直そうと立ち上がるが、その時には既に目の前に地面を削りながら、同時に剣をこちらに振るってくる。それを、紙一重で避ける。

 

「何するんですか!?」

『質問するぞ』

「……はい?」

てめぇは自分をどこまで理解してんだ?(・・・・・・・・・・・・・・・・)

「どう、いう……」

 

言葉が言い終わる前に、赤い閃光がほとばしり鎧は背後に回りこんでくる。殺気の込められた一撃に対し、咄嗟に右手が反応する。

 

どうしよう、どうしよう、どうしよう。 今の僕には、バルムンクも無ければ、グラムも無い。避けられない、逃げられない。 その瞬間、脳裏に過ぎる。

 

 

 

 

 

 

【死】という明確な絶望が迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?これ……なんで、なんで……グラムが!?今、僕は、勇者になってないのに……ていうか、この力は……えっ?」

 

しかし、閃光を伴った剣を僕は止めていた。以前、消失した力の一端を使って。思考が更に?に埋めつくされる。そんな中、鎧はよく分からないことを呟いた。

 

『それが、わかってねぇってことは……てめぇ、苦しむことになるぞ』

「っ……」

 

同時に視界が歪む。体が崩れ落ちて、視界は暗闇に包まれていくと、うっすらと鎧の声が聞こえてきた。

 

『これだけしかいえねぇが、言わないよかマシだから言っとくぞ。いいか、自分をしっかりと見定めろ。そして、もひとつ同じ力を持ってても、お前と奴ら(・・)は違うってことも、忘れるな」

 

その言葉を最後に、僕の意識は闇へと落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ん……ど、どぉいうこと……っ!?いっでぇ!?」

 

突然、頭に感じた衝撃にびびって起き上がる。近くには目覚まし時計が、転がっていた。

 

「いってて……何があったの?……って、あれ?」

 

先ほど、勇者達のお墓があった場所にいたにもかかわらず、いつの間にか場所が変わっている。僕はベッドに身を預けていたのだ。

 

「これは……また、若葉?いや、もうそんなことを起こすほどの力はないって本人も言ってたから、それはないか」

 

とりあえずと辺りを見回す、すると、さっきから感じていた安心感の正体に納得した。

 

「ここは、僕の部屋だ。つまり、西暦じゃない……ってことは、普通に倒れた僕を園子か美森が運んでくれた?」

 

ゆっくりと、起き上がる。同時に何か違和感を感じた。

 

「なんか……家具の配置がいつもと違う?」

 

机の位置、その他諸々。いつもの部屋と配置が違っていた。動かした記憶もないため、先ほど感じた違和感が更に強まる。

 

「近くで見た方が、わかるか」

 

ベッドから下り、立ち上がると今度は違う違和感に襲われる。

 

「なんか、いつもより……目線低くない?」

 

そんなことを呟いていると、机に置いてある鏡に自分の顔が映り込んだ。

 

「あれ……?ちょっと待ってよ……」

 

ただ、鏡に映っていた僕の顔は幼かった。それこそ、前に見た小6の頃の写真に映っていた自分の顔のまんまだった。それを見て、すぐにカレンダーへと視線を向ける。

 

「そういうことか。確かにここは僕の部屋だけど、今の僕(・・・)の部屋じゃない。過去の僕(・・・・)の部屋だ……だって、ここは」

 

ここは、神世紀300年ではなく、ましてこの前までいた西暦の世界でもない。僕、そして勇者部の皆が勇者としての力に目覚める2年前の時代であり、美森、園子……そして、三ノ輪さんが先代勇者として戦っていた時代。

 

「慣れって怖いな。いつのまに、こんな状況になっても驚かなくなっちゃったんだろ。ていうか、今度はどういう経緯で……ん?」

 

ポケットから、急に電子音が鳴る。

 

「この端末は……なんで、春信さんに預けたはず」

 

それは、僕が調整のため預けたはずの勇者システムが入ってる端末だった。不思議に思っていると、突然メールの着信が入った。

 

「全くもう……何が起きてるんだ?」

 

恐る恐るメールを、開き内容を確認する。それを見て目を見開く。

 

『このメールが届いたということは、あちらの君を神世紀298年の君の意識へ送ることは成功したということだな。ならば、単刀直入に言おう。君にはこの時代で起きている異変を解決してほしい。その為に必要な勇者システムはこの端末へと移してある。君が、使っていた端末とは別物故、新たな力をこれには移してある。それを使い、異変を解決してくれ。なお、一つ忠告しておくことがある。この時代では、決して君自身が体験した出来事、そして、()()()()()()()()()()()()()()()()。これを守り、異変の解決に勤めてくれ。以上だ、頼んだぞ、天草洸輔よ』

 

「意味がわからない……しかも、差出人誰かわかんないし……「こんにちはー!!」どっひゃああぁぁぁ!?」

 

超絶長い意味不明なメールが、読み終わると同時に部屋の扉が開かれた。突然のことに、変な声が出た。(どっひゃああぁぁぁ!?ってなに?)

 

「うわぁ!?び、びっくりしたぁ~」

「それはこっちのせり……ん?」

 

友奈の姿を見て、更にこの世界が神世紀298年だということを痛感した。自分の姿と同じように、友奈も小6の時の姿になっている。

 

「おーい?もしかして、怒らせちゃった?」

「あ、ああ、えーと、そうだ!ノックくらいしなさい!」

「えへへ~ごめんなさーい♪」

 

なんで、怒られて嬉しそうなの?この子?状況はわけわかんないし、把握もまだできてないけど……友奈の笑顔を見ると、落ち着くな。

 

「よーし!それじゃ、遊ぼうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、突然友奈の動きが止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今、来るのか」

 

視界が、まばゆい光に包まれていく。状況は把握しきれてない、突然意味のわからないメールも飛んでくるし……でも、あの内容を信じるのならば。

 

「きっと、この時代で勇者として戦うことが、僕の目的……」

 

スマホをタップする。勇者システムを起動して、力を呼び寄せる。

 

「あれ?……ジークさんの力じゃない?ていうか、重っ!?よ、鎧なのか、これ?顔も隠れてる感じのやつ?」

 

そういえば、新たな力がみたいなこと書いてあったな……あのメールに。

 

前までの勇者服って感じが全くない……完璧に体に鎧を身に纏っている。今までの、シグルドさんとジークさんの力を借りていた時のような、勇者服さはない。まぁ、剣が銀色って部分は前の時と一緒だ。

 

「にしても、妙に体が重い……なんでだ?」

 

そんなことを呟いていると、遠くの方で爆発音が聞こえた。同時に、バーテックスも見えてきた。

 

「っ、四の五の言ってられないか!とりあえず、あいつを倒す!!」

 

一旦考えるのをやめ、遠巻きに見える化け物に向かって跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

~鷲尾須美視点~

 

「来たわね、バーテックス……あのフォルムは、天秤かしら?」

「天秤が、空に浮いてるねぇ~」

 

ゆらゆらと揺れる巨大な敵は、ゆっくりと大橋を前進してくる。壁の外から来る敵から神樹様をお守りする。それこそ、私達勇者の役目だ。

 

「全く、どういう生き物なんだかな……あいつら。一回目の時も思ったけど、ウイルスの中で生まれただけであんな形なるもんなのかね」

「あ~ミノさん、戻ってきたぁ~」

「何か、あったの?銀」

「ううん、今んとこあのバーテックスがいるってこと以外は何もないよ。あいつら(・・・・)も今回はまだ、出てきてないし」

「そう……」

 

つい最近、私とそのっち、銀の三人は一度勇者としての戦いは経験している。その時、ある異変が起きたのだ。本来、私達が聞いていた話では、相手するべき異形の存在はバーテックスのみだった。しかし、前の戦いで謎の人型の存在が二体も現れたのだ。

 

「結局、奴らは一体なんなのかしら?」

「不気味だったね〜一体はなんか、変な仮面つけてたし……」

「まぁ、なんにせよ!今は出てきてないことだし!とりあえず、こいつをサクッとやっつけちゃおう!」

「ミノさん、やる気いっぱいだねぇ〜」

「もちろん!この三ノ輪銀様の力とくと」

「銀、調子に乗らない!しっかり、訓練通りに行くわよ」

「そ、そうだった!つい、敵見ると突撃したくなっちゃって。須美、よろしく」

 

銀とそのっちがバーテックス目掛けて跳躍したと同時に、弓を射る。できることなら、私のこの弓のみで決着がつくのなら、それのほうがいい。

 

「向こう側に、戻りなさい!!」

 

何本もの矢を、敵目掛けて同時に放つ。矢は空を裂いて、化け物に向かって飛んでいく。この矢は神の力を得ているため、的確に目標へと飛んで行った。しかし、その矢は敵には通じなかった。

 

「そ、そんな!?」

「須美!ここは一旦、私たちに任せて!」

「ミノさん、あの敵、体と体が繋がっている部分が、細くてもろいかも!」

「接続部を狙って攻撃ね!了解!!」

 

敵の左右から、呼吸を合わせて銀とそのっちが攻撃を仕掛ける。すると、天秤は自身の体に付いている分銅を振り回すかのように、大回転を始めた。竜巻のような防護壁を作り出し、二人が吹き飛ばされる。

 

「このっ、ち、近づけない……!」

「あわわわぁ〜」

「っ……み、身動きが取れない」

 

すると、回転の遠心力を利用し、敵は先程私が放った矢を私の方に向け一斉に射出してきた。

 

「矢をそんな風に返すなんて!」

 

なんとか体をひねり回避する。しかし、回避したことによって矢は樹海の方へと飛び、樹木が爆発し傷ついてゆく。

 

「樹海が……私の矢で……!!」

「須美、前!!」

「えっ?………………あ」

 

銀からの声で、視線を前へと向けるともうすでに目の前に、何本もの矢が迫ってきていた。

 

「須美!!」

「わっしー!!」

 

二人の叫び声が聞こえる……避けないと、そうしないと……確実に。でも、この距離では。

 

(嘘……私、こんな……)

 

目を閉じる。敵によって放たれた矢によって私の体は貫かれ……ることはなかった。

 

 

 

 

 

「危ないっ!」

「っ!?」

 

 

 

 

 

私が目を開けると…目の前には鎧がいた。鎧は私を守るように前に立ち、銀色の剣に赤い閃光を走らせながら、矢を全て斬り伏せた。

 

「ふぅ、間一髪って感じかな」

「あなたは……一体?」

「僕?僕はね」

 

こちらを振り向かずに、背中だけを向けている。突然現れた謎の鎧……なのにも関わらず、何故か私はとても、安心していた。

 

すると、鎧はこちらを見ず、私への問いに対して簡単に言った。

 

「君たちと、同じ。奴らを倒すために選ばれた勇者さ」

 




はい〜1話になりました!どうでしょう!(どうでしょうってなんだ?)
ついに、わすゆ組と天草くんが接触!!これからの展開もお楽しみに!( ´ ▽ ` )


投稿ペースはかなり落ちていますが……やめるつもりは毛頭ありません!リアルが忙しすぎて……時間が前よりも作れないだけです。読者の皆様には、大変申し訳ないのですが、ご理解の程よろしくお願いいたしますm(._.)m
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