第1話『Ride the μ'sic』
(目を開けると…深く暗い闇の中にいた)
(静かで寒くて切なくて寂しくて)
(辛くて哀しい気持ちになる)
(そんな闇に…いつしか包まれていた)
(もがいてもあがいても…どうにもならない闇)
(諦めて目を閉じようとすると…どこからか一筋の光が射してきた)
(その光は…優しくて暖かくて)
(楽しくて騒がしくて笑ってしまいそうで)
(でも、どこか危なっかしくて)
(こっちが見守ってあげたくなるような…)
(むしろ、こっちが包みたくなるような…)
(すると…光の中から歌が聞こえてきた)
(聞き覚えのある歌)
(いつも聞いてた歌声)
(いつも見守っていた光)
(やがて…光の中から声が聞こえてきた)
『また会おう、呼んでくれるかい?』
(呼ぶ…何度だって呼ぶよ)
(だから、時は巻き戻さない)
(『今が最高』だから)
(そう、このままで…)
(いつの間にか闇はなくなり、光だけに包まれていた)
(歌声を聞きながら、光の中でゆっくりと目を閉じた)
(目を閉じると…歌声とは別の声が聞こえてくる)
(…誰かが呼んでる?)
亜里沙「…ねえ、起きて!雪穂ってば!」ユサユサ
雪穂「…ん」パチリ
亜里沙「雪穂!」
雪穂「…あれ、亜里沙?」
亜里沙「良かった…!」ギュッ
雪穂「ちょっ、ちょっと!?」
雪穂「急に抱き締めてこないでよ、恥ずかしいから…///」
亜里沙「あ、うん…ごめん」パッ
雪穂「もう…ん?」キョロキョロ
雪穂「…これ、一体どうなってるの?」
雪穂(私達の周りにある建物は…全部、崩れ落ちていた)
雪穂(どんなに辺りを見回しても、壊れている建物ばかりで…私達以外に人がいる様子はなかった)
雪穂「というか…ここどこ?」
亜里沙「それが…私も気がついたら、ここで倒れてて」
雪穂「…そっか、じゃあとりあえず一緒に歩いてみようか?」
雪穂「もしかしたら、他に人がいるかもしれないし…」
亜里沙「…うん」
雪穂(それから私達は…手を繋いで歩いていた)
雪穂(やがて…私達はある場所に辿り着く)
亜里沙「あれって…!?」ダッ
雪穂(それを見た途端、亜里沙は私の手を放して走り出した)
雪穂「…!」ダッ
雪穂(私も嫌な予感がして…後から走り出した)
雪穂(どうか気のせいでありますように…そう願わずにはいられなかった)
雪穂(でも…その不安は当たっていた)
亜里沙「そんな…!」
雪穂「オトノキが…」
雪穂(私達が入学するはずだった音ノ木坂学院…通称『オトノキ』の校舎も、他の建物と同じように崩れ落ちていた)
雪穂「…お姉ちゃん」ボソッ
雪穂(お姉ちゃん達が守ってくれたオトノキが…まさかこんな風になってしまうなんて)
亜里沙「雪穂…これ、夢だよね?」
雪穂(それなら試してみようと…私は思いきって自分の頬をつねってみた)
雪穂「…ふん!」ギュウ
亜里沙「雪穂…?」
雪穂「痛っ!?」
亜里沙「大丈夫!?…急にどうしたの?」アセアセ
雪穂「いや…夢かどうか、確かめてみようかなと思って」
雪穂「でも…夢じゃなかったみたい」
亜里沙「雪穂…」
雪穂「…とりあえず私達の家にも行ってみようか?」
亜里沙「…うん」
雪穂(私達が壊れた学校の門から離れようとすると…校庭の方から大きな爆発音が聞こえてきた)
雪穂「!?」
亜里沙「今のは!?」
雪穂「…分からない」
亜里沙「私、行ってみる!」
雪穂「ま…待って!危ないよ?」
亜里沙「もしかしたら…誰かいるかもしれない!」ダッ
雪穂(亜里沙は私の手を離れ、校庭へと走って行く)
雪穂「亜里沙!」
雪穂(私は亜里沙を追った)
雪穂(すると…亜里沙は突然、立ち止まった)
亜里沙「…」ハァハァ
雪穂(立ち尽くす亜里沙に私は声をかける)
雪穂「ちょっと亜里沙、ここは危ないから…」
亜里沙「お姉ちゃん…!」
雪穂「…えっ?」
雪穂(私達は衝撃の光景を目の当たりにした)
雪穂「…!?」
雪穂(そこには倒れているお姉ちゃん達μ'sの九人がいた)
雪穂(私はお姉ちゃんのもとへ走り出し、起こそうとした)
雪穂「ちょっと…お姉ちゃん!」ユサユサ
穂乃果「…」
雪穂「返事してよ…お姉ちゃん!」
雪穂(私は…今のこの光景を、信じたくなかった)
雪穂(そんな私の中で、何かが一気に込み上がってきて…)
雪穂「お姉ちゃん…」
雪穂(私は…いつの間にか涙を流していた)
雪穂(起きないのは私のお姉ちゃんだけじゃなかった)
亜里沙「お姉ちゃん、目を覚ましてよ…」グスッ
雪穂(起きない絵里さんを見て涙を流す亜里沙に…私は声をかける事が出来なかった)
雪穂(そんな時…近くの方から光が射し込んだ)
亜里沙「んっ…」
雪穂「何…?」
雪穂(光の中から近づいてくる何かが見えた私は…その何かを確認しようと、目を細めながら光を見た)
雪穂「あれは…」
亜里沙「人?」
雪穂(やがて、その光の中から出てきた人影は…)
?「…」
亜里沙「…あなたは?」
雪穂(その人物を初めて見たはずの私は、なぜかとある名前を呟いていた…)
雪穂「ディケイド…!」
亜里沙「…ディケイド?」
ディケイド「…」
雪穂(私の意識は突然、そこで途切れてしまった…)
雪穂「うわっ!」ガバッ
雪穂「えっ…夢?」ハァハァ
イッテキマース!
雪穂(私が起きてからすぐ…お姉ちゃんの声が聞こえてきた)
雪穂「!」ガラッ
雪穂(私はすぐに部屋の窓を開けた…でも、お姉ちゃんの姿はもう見えなかった)
雪穂「…行っちゃった」
雪穂(私のお姉ちゃん…高坂穂乃果はオトノキのスクールアイドルグループ『μ's』の発起人だ)
雪穂(家ではだらしないけど…『μ's』の活動を始めてからはオトノキが廃校にならないよう、ずっと頑張っていた)
雪穂(スクールアイドルの全国大会である『ラブライブ!』に優勝した『μ's』は…3月31日と4月1日にライブをすることになった)
雪穂(そのライブに向けて…お姉ちゃんは早朝から夕方までずっとμ'sの九人で練習している)
雪穂(そして来月からは…私もオトノキの生徒になる)
雪穂(最初はオトノキが廃校になってしまうならと…スクールアイドル『A-RISE』がいるUTXに行くことを考えていた)
雪穂(でも…お姉ちゃん達の頑張りを見て)
雪穂(オトノキがなくならないことを知って…)
雪穂(『μ's』の輝きを目の当たりにして…)
雪穂(私はオトノキに行くことに決めた)
雪穂(そして…お姉ちゃん達に負けないくらい、楽しいスクールアイドルを目指す事を親友の亜里沙と一緒に誓った)
雪穂(私達も頑張らなきゃ…という時にこんな夢を見てしまって、私は少し目覚めが悪かった)
雪穂(あの夢は一体、何だったんだろう…?)
雪穂(街やお姉ちゃん達があんな風になっていたこと…)
雪穂(頬をつねった時、痛かったこと…)
雪穂(初めて見たはずの『ディケイド』の名前を私が知っていたこと…)
雪穂(考えれば考えるほど…意味が分からない)
雪穂「…」チラッ
雪穂(私がふと目覚まし時計を見ると…いつもなら家を出ようと準備している時間になっていた)
雪穂「えっ…もうこんな時間!?」
雪穂(私は急いで制服に着替えてから、朝ご飯を食べて…家を出た)
雪穂「行ってきまーす!」ダッ
雪穂(それから中学校までの通学路を走っていると…亜里沙の姿が見えた)
雪穂「亜里沙!」
亜里沙「…?」クルッ
雪穂(私は亜里沙の横に並び、いつものように接した)
雪穂(さっきの夢は忘れよう…私はそう思っていた)
亜里沙「雪穂…おはよう」
雪穂「おはよう…ってどうしたの?」
亜里沙「う、ううん…何でもないよ!」アセアセ
雪穂「だって浮かない顔してるから…分かった、もしかして宿題してないとか?」
亜里沙「それは大丈夫、ちゃんと全部やったから!」
雪穂「ホントかなぁ…だったら、あまり寝てないとか?」
亜里沙「昨日は十時に寝たよ」
雪穂「早っ!じゃあ、何だろう…?」
雪穂(私が歩きながら考えていると、亜里沙は突然立ち止まった)
亜里沙「…」
雪穂「…亜里沙?」
亜里沙「雪穂…『ディケイド』って何?」
雪穂「!」
雪穂(私は驚いていた)
雪穂(まさか私が夢で見た『ディケイド』のことを亜里沙が聞いてくるなんて…)
亜里沙「私、夢で見たの…」
雪穂「…夢?」
亜里沙「雪穂と一緒にいたら、お姉ちゃんやμ'sの皆が倒れてて…どんなに声をかけても起きてくれなくて」
雪穂「…」
亜里沙「その後に誰かが来て…雪穂が『ディケイド』って」
雪穂「…!」
亜里沙「私、そこで目が覚めちゃって…」
雪穂「…亜里沙」
亜里沙「夢で良かったって思ったけど、夢のような気がしなくて…」グスッ
雪穂(亜里沙も全く同じ夢を見ていたなんて…でも、それよりも)
雪穂「…亜里沙」ギュッ
雪穂(私は…泣いている亜里沙を優しく抱き締めた)
亜里沙「雪穂…?」
雪穂「大丈夫、私も同じ夢を見たから」
亜里沙「えっ…雪穂も?」
雪穂「…うん」
亜里沙「じゃあ『ディケイド』って…」
雪穂「それが…私も何でそんなことを言ったのか分からなくて」
亜里沙「…そっか」
雪穂「でも、アレは夢だから…気にすることなんてないよ」
雪穂「お姉ちゃん達も…きっと大丈夫だと思うし」
亜里沙「うん…」ゴシゴシ
雪穂「じゃあ…行こっか」
亜里沙「…うん!」
雪穂(私が亜里沙と手を繋いで先を行こうとしたその時…奇抜な格好をした黒いサングラスの男性が目の前に現れた)
?「…」
雪穂「…?」
雪穂(男性は蜘蛛のような化け物へと姿を変えた)
雪穂「!?」
ズ・グムン・バ「…」
亜里沙「何…!?」
グムン「…
雪穂(蜘蛛の化け物は私達に向かって走ってきた)
雪穂(このままだと襲われる…そう思った私は握っていた亜里沙の手を強く引いた)
雪穂「逃げよう!」ダッ
亜里沙「雪穂…うん!」ダッ
雪穂(私の家がある方へ…私達は走り出した)
雪穂(それでも…化け物は私達を追いかけてくる)
亜里沙「このままじゃ…追いつかれちゃう!」
雪穂「大丈夫、とにかく穂むらまで逃げれば…!」
グムン「
雪穂(化け物が何かを言いながら、私達に襲いかかろうとしてきたその時…)
?「ふんっ!」ガッ!
雪穂(クワガタ虫のような赤い何かが現れ…私達を守るように、怪人を攻撃した)
グムン「グッ!?」
雪穂「!?」
?「ちょっとアンタ…にこの大事な知り合いに何しようとしてんのよ!」ゼェゼェ
雪穂「えっ…」
亜里沙「にこ…さん?」
グムン「ク、クウガ!?」
?「そう…これ、クウガって言うのね?」
雪穂(それは明らかに聞き覚えのある声だった)
クウガ「ちょっとアンタ達、早く逃げなさい!」
雪穂「もしかして…にこさんなんですか?」
クウガ「にこは今、説明してる暇ないの!いいから逃げなさい!」
雪穂「は…はい、行こう亜里沙!」ダッ
亜里沙「う…うん!」ダッ
雪穂(私は亜里沙と一緒に…その場から離れた)
クウガ「全く世話のかかる子達なんだから…あと、そこのアンタ!」ビシッ
グムン「…?」
クウガ「この大銀河宇宙ナンバーワンアイドルが来たからには…これ以上、好き勝手な事はさせないんだから!」
グムン「クウガ…
クウガ「はぁ?何言ってんのアンタ?」
グムン「…」
クウガ「って…何か言いなさいよ!?」
クウガ「全く、しょーがないわねー…」ハァ
クウガ「こうなったら…にこにーのとっておきを見せてあげるんだから、覚悟しなさいよね!」
クウガ「超変身!」
雪穂(その頃、逃げた私達の目の前には大きな蜘蛛の化け物が道を塞いでいた)
亜里沙「何、これ…?」
ツチグモ「キシャァァァ!」
雪穂「もうすぐ穂むらだったんだけど、こうなったら一旦引き返して…!」クルッ
雪穂(私が振り向くと、黒いバッタのような化け物がこっちに向かっていた)
ローカストアンデッド「…」
雪穂「そんな…」
亜里沙「雪穂…!」
雪穂(どうすればここから逃げられるのか…私が考えていたその時だった)
『Thunder』
?「はっ!」バチバチッ!
ローカストU「!?」
ツチグモ「!?」
雪穂(化け物達がいる場所に突然、雷が落ちた)
亜里沙「えっ、今の声って…?」
雪穂(すると私達の目の前に…青い何かと紫色の鬼のような何かが現れた)
雪穂「…?」
?「ふぅ、間に合った…」
?「雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん…ケガはない?」クルッ
雪穂(紫色の鬼の方が…私達に声をかけてきた)
雪穂(その声はさっきのにこさんと同じく…どこか聞き覚えのある声だった)
雪穂「希さん…?」
?「…うん」フフッ
雪穂「どうして希さんが…?」
?「うーん…今のウチは希っていうより『響鬼』かな?」
雪穂「…?」
響鬼「まあ、とにかく…ここはウチらに任せて早く行って?」ポン
雪穂(そう言って…希さんは私の肩を優しく叩いてくれた)
雪穂「わ、分かりました…ありがとうございます!」ダッ
亜里沙「ありがとう…希さん、海未さん!」ダッ
雪穂(私達はバッタの化け物が苦しんでいる間に…急いでその道を走った)
?「…」
響鬼「だって、海未ちゃん」
?「…なぜ、亜里沙は私だと分かったのでしょうか?」
響鬼「うーん…その凛々しい立ち姿やない?」
?「分かるものなのですか…?」
響鬼「大好きな人には分かるんやないんかな?」
?「だ…大好き!?」
響鬼「うん」
?「で、ですが…今の私は何より『剣(ブレイド)』としてこの魑魅魍魎と戦う運命が!」アセアセ
響鬼「はいはい、分かってるから」フフッ
響鬼「さて…穂乃果ちゃんのご両親も心配やし、早くあの大きな蜘蛛さんを何とかしないと」
ブレイド「では…あちらの怪物は私が」
響鬼「頼んだよ…じゃあ、行こっか!」ダッ
ブレイド「はい!」ダッ
『Slash』
雪穂(私達は公園にやってきた)
雪穂「良かった…ここには誰もいないみたいだね」
?「いるよ」
雪穂「…えっ?」
雪穂(声のする方を見ると、そこには確かに私がいた)
亜里沙「雪穂が…二人!?」
雪穂「…あなたは?」
?「私だよ、いや…今から私になるのかな?」
雪穂(そう言ってもう一人の私は赤と青…二色の蜘蛛のような姿をした化け物になり、私に近づいてくる)
雪穂「…!」
アラクネアワーム「あなたが消えれば、私は私になれる…」
亜里沙「逃げよう、雪穂…」クルッ
雪穂(亜里沙が振り向くと、そこには首に赤いマフラーを巻いた豹の化け物が両手で何かのサインをしながら私達に近づいていた)
ジャガーロード「…」
亜里沙「…!」
雪穂(今度こそ逃げられない…私達はそう思った)
亜里沙「助けて、お姉ちゃん…」
『Cast Off』
雪穂(その直後、何かの破片が辺り一面に散らばり…化け物達にぶつかった)
ジャガーL「!」
?「えいっ!」ガッ!
アラクネアW「!?」
雪穂(それからすぐに金色の何かが現れ…攻撃された蜘蛛の化け物は豹の化け物のもとまで吹き飛んだ)
『Change Beetle』
雪穂(そして…カブト虫のような姿の赤い何かが私達の前に現れた)
アラクネアW「まさか…カブト!?」
亜里沙「カブト…?」
カブト「遅くなってごめんなさい…亜里沙」
亜里沙「えっ、もしかしてその声…お姉ちゃん?」
カブト「ええ」フフッ
亜里沙「お姉ちゃん…!」
雪穂(私がそれを見ていると…いつの間にか金色の何かが、私の隣に立ってこう行った)
?「いや~…さすが絵里ちゃん!」
雪穂「!?」
?「『アギト』の穂乃果も頑張らないといけないね!」
雪穂「もしかして…お姉ちゃん?」
アギト「あれ、雪穂!?」
アギト「良かった~…無事だったんだね!」ガシッ
雪穂(お姉ちゃんは私を抱き締めるが…今のお姉ちゃんの力は強過ぎた)
雪穂「ちょっ…痛い!」
アギト「おっと…ごめん、つい嬉しくて!」エヘヘ
雪穂「もう…」ハァ
カブト「穂乃果、今のうちに早く!」
アギト「あっ、うん…ありがとう絵里ちゃん!」
アギト「それじゃ…二人とも、私と一緒に行こう!」
雪穂(そう言ってお姉ちゃんは私達を連れて、公園から離れようとする)
亜里沙「穂乃果さん…お姉ちゃんは?」
アギト「大丈夫、絵里ちゃんは強いから!」
カブト「心配しないで亜里沙…私は絶対に負けないから」
亜里沙「…お姉ちゃん」
カブト「穂乃果、お願い!」
アギト「うん、行こう!」ダッ
雪穂(お姉ちゃんは私達を連れて、公園を後にした…)
ジャガーL「…」ダッ
カブト「逃がさないわ!」
アラクネアW「!」ヒュン!
カブト「うっ…」ガキン!
アラクネアW「カブト…いえ、絵里さんにはここで消えてもらいます」
カブト「そう…じゃあ、この速さにはついてこられるかしら?」フフッ
アラクネアW「…まさか!」
カブト「クロックアップ…!」
『Clock Up』
雪穂(私達とお姉ちゃんは…神田明神にいた)
アギト「いや~…それにしても雪穂と亜里沙ちゃんが見つかって良かったよ!」アハハ
雪穂「それどころじゃないよ、お姉ちゃん!」
アギト「うっ…」
雪穂「あの化け物達は何!?」
アギト「そ、それは…」
雪穂「その姿は何!?」
アギト「ちょっ、落ち着いてよ雪穂…」アセアセ
雪穂「落ち着ける訳ないでしょ!?」
アギト「どうどう…」
雪穂「馬じゃないから!」
アギト「えっと…ごめん、時間があんまりないから急いで説明するね?」
雪穂「全く…」ハァ
アギト「実は今、私達の世界は…他の世界と一緒になりかけてるの」
雪穂「…はい?」
アギト「今は私達がこんな感じになって食い止めてるから大丈夫なんだけど…」
雪穂「いや…こんな感じって」
アギト「とにかく聞いて…このままだと、私達の世界はなくなってしまうかもしれないの」
雪穂「いや、そんな話信じられるわけないじゃん…」
アギト「でも…雪穂も化け物を見たでしょ?」
雪穂「それは…そう、だけど」
アギト「だから…雪穂達にお願いがあるの」
雪穂「ちょっと…まず先に人の話を聞いてよ!」
アギト「ごめん…今はとにかく、時間がないの」
亜里沙「…お願いって?」
アギト「うん…実は私達が戦っている間、雪穂達には『ツカサ』っていう子と一緒に他の世界を守りに行ってほしいの」
雪穂「そんなこと言われても…」
アギト「これは雪穂達にしか出来ないことなんだ…だから、頼むね」
雪穂「ちょっと…お姉ちゃん!」
アギト「さて、と…」クルッ
雪穂(お姉ちゃんが後ろを振り返ると…そこにはさっきの豹の化け物がいた)
ジャガーL「AGITΩ…」
雪穂「!」
雪穂(豹の怪人は何かのサインをしながら、ゆっくりこちらに近づいてくる)
亜里沙「もしかして、お姉ちゃんは…!」
アギト「絵里ちゃんなら大丈夫…だから、信じてあげて」
亜里沙「穂乃果さん…」
アギト「早く逃げて!」
亜里沙「…はい、行こう雪穂!」ダッ
雪穂(そう言って亜里沙は私の手を無理やり引いて…その場から離れていく)
雪穂「亜里沙!?」
亜里沙「私もお姉ちゃん達を信じる、だから雪穂もお姉ちゃん達を信じてあげて!」
雪穂「…亜里沙」
アギト「雪穂、亜里沙ちゃん…お願いね」
ジャガーL「…」ダッ
アギト「はぁっ…!」シャキン
雪穂(いつしか私達は…オトノキまで逃げてきた)
雪穂「も…もう限界」ゼェゼェ
亜里沙「わ、私も…」ハァハァ
雪穂「…学校、無事なんだね」
亜里沙「うん…良かった」
雪穂(すると…校庭の方から大きな爆発音が聞こえてきた)
雪穂「!?」
亜里沙「これって夢で見た時と同じ…!」
雪穂「…行ってみよう」
亜里沙「雪穂…」
雪穂「信じたくはないけど…もしかしたら、お姉ちゃんの言っていたこととかあの夢の意味が分かるかもしれない」
亜里沙「…それなら、私も一緒に行く!」
雪穂「…良いの?」
亜里沙「うん!」
雪穂「…ありがとう」
雪穂(私達は手を繋いで…爆発音のする方へと歩いて行った)
雪穂(私達が校庭に向かうと…そこには一人の黒髪の少年が、目を閉じたまま立っていた)
少年「…」
亜里沙「雪穂!あの人…」
雪穂「待って亜里沙…一旦隠れよう」ササッ
雪穂(私達は少年に気づかれないよう、物陰に隠れた)
雪穂(少年の身長が私達と同じくらいだということを考えると…もしかしたら少年は、私達と同じ年齢ぐらいなのかもしれない)
雪穂「…さっきの化け物の仲間じゃないと良いんだけど」
亜里沙「うん…」
雪穂「…ん?」
雪穂(首から濃いピンク色のカメラをぶら下げていた少年は…腰に見覚えのあるベルトを巻いていた)
亜里沙「雪穂、あれって…」
雪穂「うん、夢で見たものと同じだ…」
少年「…」パチリ
雪穂(目を開けた少年はズボンのポケットから一枚のカードを取り出した)
少年「!」
雪穂(その直後…少年の近くにオーロラのようなものが現れた)
ゲルニュート「…」
雪穂(そこから出てきたのは…背中に巨大な手裏剣のようなものを背負った赤黒い化け物達だった)
亜里沙「あの子、大丈夫かな…?」ボソッ
雪穂(取り囲もうとする化け物達を見て…少年はようやく、口を開いた)
少年「…ここが『μ'sの世界』か」
ゲルニュート「…」バッ
雪穂(化け物が少年に襲いかかるが…)
少年「…」サッ
ゲルニュート「!?」
雪穂(少年は攻撃を難なく避け、化け物達と少し距離をとると…ベルトのバックルを開いた)
少年「…変身!」
雪穂(そう言って少年は持っていた一枚のカードを裏に返し…バックルの中に入れた)
『カメンライド…ディケイド!』
雪穂(バックルを閉じたその瞬間…少年の姿を光が包み込んだ)
ゲルニュート「!?」
亜里沙「ま、眩しい…」
雪穂「うっ…」
雪穂(私達は目を細めながら光を見つめた)
雪穂(やがて、その光の中から出てきたのは…)
ディケイド「…」
亜里沙「あっ…もしかして!」
雪穂「…うん、間違いない」
雪穂「ディケイド…!」
ディケイド「さて…始めるか」
雪穂(そう言ってディケイドは左腰から何かを取り出し、そこから更に一枚のカードを手に取ってバックルに入れた)
『アタックライド…スラッシュ!』
雪穂(すると左腰にあった何かが剣の形をした武器に変形した)
ディケイド「やあっ!」ザシュッ!
ゲルニュート「!」
雪穂(ディケイドは化け物達の攻撃をかわしながら、次々と斬りつけていく)
ディケイド「ふん、余裕だな…うわっ!?」ゴン!
雪穂(調子に乗るディケイドに、一体の化け物が大きな手裏剣を投げてぶつけてきた)
ディケイド「痛っ…危ないな!」
雪穂(ディケイドはまた一枚、カードを取り出し…バックルに入れた)
『アタックライド…ブラスト!』
雪穂(次の瞬間、剣の形をしていた武器が…銃のような形をした武器に変形した)
亜里沙「また変わった…」
ディケイド「はっ!」ガガッ
雪穂(ディケイドはあちこちからやって来る化け物達を撃ち抜いていく)
雪穂(それでも…化け物達の数が減る様子はなかった)
ディケイド「キリがないな…ならこれだ!」
『アタックライド…イリュージョン!』
雪穂(また別のカードをバックルに入れたディケイドは…)
亜里沙「…三人に?」
雪穂「増えた!?」
ディケイド「やぁっ!」ガガガッ!
ゲルニュート「…!」バタバタッ
雪穂(分身したディケイドは銃のような武器で化け物達をそれぞれの方向から攻撃し、確実に倒していく)
雪穂(やがて…化け物のほとんどを倒し、一人に戻ったディケイドは)
ディケイド「これでトドメだ」
雪穂(特殊なマークが描かれた一枚のカードを取り出し…バックルに入れた)
『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディケイド!』
雪穂(直後にディケイドが跳び上がると…ディケイドと化け物達との間に十枚のカードのようなものが現れた)
雪穂(跳び上がったディケイドは化け物達に向かって、右足を出しながらカードを一枚ずつ潜り抜け…)
ディケイド「やぁーっ!」
ゲルニュート「!!」
雪穂(十枚目のカードを抜けた先にいる化け物達にキックが命中した瞬間…化け物達は爆発した)
雪穂「…!」
亜里沙「スゴい…」
ディケイド「…終わったな」
雪穂(戦いが終わり…ディケイドは少年の姿に戻った)
少年「…」フゥ
亜里沙「あ、あの!」
雪穂(いつの間にか亜里沙は物陰から出て、少年に声をかけていた)
少年「?」クルッ
雪穂「ちょっと亜里沙!?…あっ」
雪穂(亜里沙を止めようと、思わず私も物陰から飛び出してしまった)
少年「…」
雪穂「…ちょっと何してるの、亜里沙?」
雪穂「もしかしたら敵かもしれないのに…」
亜里沙「でも…あの子は化け物を倒してくれた!」
雪穂「それは、確かにそうだけど…」
カシャッ
雪穂「!?」
少年「…」
雪穂(少年は突然…私達に向かってカメラのシャッターを押していた)
雪穂「えっ…もしかして今、撮られた?」
少年「…『高坂雪穂』」
雪穂「!?」
少年「『絢瀬亜里沙』…」
雪穂(少年は私達を指差して…私達の名前を呟いていた)
亜里沙「なんで、私たちの名前知ってるの…?」
少年「…ついてこい」クルッ
亜里沙「あっ…待って!」ダッ
雪穂「えっ、ちょっと…二人とも!」ダッ
雪穂(オトノキを出ようとする少年に、私達は着いて行った…)
雪穂(オトノキを出てから少し歩くと…少年は古びた写真館へと入っていった)
雪穂「…『光写真館』?」
雪穂「うーん…?」
亜里沙「どうしたの、雪穂?」
雪穂「いや、この辺に写真館なんてあったかなって…全く見覚えがないから」
亜里沙「そうなの…?とにかく入ってみようよ!」
雪穂「…うん」
雪穂(私達が写真館に入ると、そこには一枚の写真を見つめて立っている少年がいた)
雪穂(その写真は…さっき少年が撮った私達の写真だった)
雪穂「あっ、その写真…」
亜里沙「いつの間に出来てたの?」
雪穂(少年は私達の質問には答えず、近くの椅子に座るとこう言った)
少年「…お前達と一緒に『九つの世界を救ってほしい』と誰かから言われた」
雪穂「えっ…?」
亜里沙「私たちと?」
少年「ああ、何者かは分からないが…」
少年「ヤツは『ディケイドと高坂雪穂と絢瀬亜里沙の存在がμ'sとこの世界を救う鍵になる』…とも言っていた」
雪穂「いや、そんな…いきなり言われても」
少年「…何か問題でもあるのか?」
雪穂「あるに決まってるじゃん…だって私達、昨日まで普通の中学生だったんだよ!?」
少年「まあ、そうだろうな…」
雪穂「そうだろうなって…」
少年「現実を受け入れたくないのは分かるが…実際にこの世界と他の世界との融合は始まっている」
少年「お前達も見ただろ?今までいなかったはずの怪物が現れたり、『μ's』が『仮面ライダー』と呼ばれる存在になって戦ったり…」
雪穂「か、仮面ライダー…?」
少年「ああ、オレもさっき変身できるようになったばかりだから詳しくは分からないが…」
少年「あの怪物達に対抗する存在であるのは確かだ」
雪穂「ちょっと待って…さっき変身できるようになったって、どういうこと?」
少年「言葉の通りだ…それ以外、よく分からないしそもそもそれ以前の記憶もない」
雪穂「えっと、それってつまり…」
少年「いわゆる…オレは記憶喪失ってヤツらしい」
雪穂「き、記憶喪失!?」
少年「そうだ、だからお前達に何を聞かれても…大した事は答えられない」
少年「それに…自分の名前すら覚えていないから、何者かも名乗れない」
雪穂「…そ、そんな」フラッ
雪穂(マズい…もう限界だ)
雪穂(起きる前から意味の分からないことの連続だったから…私は疲れてへたれ込んでしまった)
雪穂(ようやく会えた『ディケイド』の少年は記憶喪失だし…結局、肝心なことは何も分からないままだ)
雪穂「どうすればいいの…?」
雪穂(すると…今まで黙っていた亜里沙がこう言った)
亜里沙「穂乃果さんと…同じこと言ってる」
雪穂「えっ…?」
亜里沙「…」スタスタ
雪穂(亜里沙は…少年のもとに近づいていった)
雪穂「いや、確かにお姉ちゃんは他の世界を守りに行ってほしいって言ってたけど…亜里沙?」
雪穂(亜里沙は目の前にいる少年に向かって…こう尋ねた)
亜里沙「ねえ…あなたはこの世界を助けてくれるんでしょ?」
少年「…まあ、それがオレの記憶を取り戻す鍵だとも言われたしな」
雪穂(少年がそう答えると、亜里沙は何かを確信したみたいだった)
亜里沙「じゃあ決まりだね…あなたの名前は『ツカサ』!」
亜里沙「そして…『仮面ライダーディケイド』!」
少年「『ツカサ』…『仮面ライダーディケイド』?」
亜里沙「うん!あなたと私たちの目的は『μ's』や私たちの世界を助けるために、九つの世界を救うこと…」
亜里沙「そして、あなたの記憶が戻るようにお手伝いすること!」
ツカサ「…!」
亜里沙「だから…安心して、ツカサ!」スッ
雪穂(そう言って亜里沙は…少年に手を差し伸べた)
少年「…」
雪穂「な…何言ってるの亜里沙!?」
亜里沙「雪穂…私は『μ's』やこの世界を助けたい!」
亜里沙「だから…!」
雪穂(亜里沙の表情は真剣だった)
雪穂「…!」
雪穂(確かに…亜里沙の言う通りだ)
雪穂(今、起きていることがもし全て現実だとしたら…早く何とかしないといけない)
雪穂(だとすれば…今の私達に出来ることは一つしかない)
雪穂(でも…その前に私は念のために確認しようと頬を思いきりつねってみた)
雪穂「…えいっ!」ギュウ
亜里沙「雪穂!?」
雪穂「痛っ!…やっぱり夢じゃなかった」
亜里沙「…大丈夫、雪穂?」
雪穂「うん、大丈夫…」
雪穂(私は頬をおさえながら…ようやく覚悟を決めた)
雪穂(世界の融合が始まっているなんて、すぐには信じられない話だけど…)
雪穂(もし本当に、私達とこの少年が世界と『μ's』を救える鍵だと言うのなら…こうする以外にないのかもしれない)
雪穂(それなら、私は…)
雪穂「…決めたよ、亜里沙」
亜里沙「雪穂…?」
雪穂「行こう…『ツカサ』」
雪穂「世界を救いに」スッ
ツカサ「…!」
亜里沙「雪穂…!」
雪穂(私は『ツカサ』に手を差し伸べた)
ツカサ「お前達…」
雪穂「…うん」フフッ
亜里沙「うん!」ニコッ
雪穂(ツカサは椅子から立ち上がると…)
ツカサ「…ああ」
雪穂(私達の手は取らなかったけど…その表情は何となく微笑んでいるように見えた)
雪穂「…今、笑った?」
ツカサ「はぁ?…笑ってない」
雪穂「笑ったよね!?」
ツカサ「笑ってない」
雪穂「亜里沙も見たよね?」
亜里沙「うん!」
雪穂「ほら!」
ツカサ「笑ってない!」
雪穂「ムキになってるから絶対そうだよ!」
ツカサ「ムキになってない!」
雪穂「というか…さっき、何で勝手に私達の写真を撮ったの?」
ツカサ「それは…ただ撮りたかったから撮っただけだ」
雪穂「何それ…とにかくちょうだいよ、その写真!」
ツカサ「イヤだ」サッ
雪穂「ちょうだいってば!」グイッ
ツカサ「イヤだ…ってやめろ、オレに触るな!」
雪穂「イヤだ!」グググ…
雪穂(私が何とかツカサから写真を奪おうとしていると…部屋の中にあった白い背景が突然、違うものになった)
雪穂「えっ…!?亜里沙、何かした?」
亜里沙「いや、私は何もしてないよ…?」
ツカサ「…一つ目の世界、か」
?(その頃、光写真館の前では…)
?「始まったわね…」フフッ
?(私は銃の形をした武器を取り出し、そこに一枚のカードを装填した)
『カメンライド…ディ・エンド!』
次回、仮面ライダー×ラブライブ!
「ここは『クウガの世界』…『グロンギ』という怪人がゲーム感覚で人を襲っている」
「スクールアイドル『ポレポレ』って!?」
「だってニコ、クウガだもん」
「私に任せて早く行きなさい?」
「未確認…10号?」
「これは『ディケイド』だ」
「アンタなんかに何が分かるのよ!?」
「困るんですよ…『ゲゲル』の邪魔をされてはね」
「またの名を…『ディエンド』」
EPISODE.2『暗涙』
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