9つの道はいつか重なって   作:まーけたー

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~これまでの仮面ライダー×ラブライブ!は~

雪穂「ディケイド…!」

亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」

ツカサ「ここは…ブレイドの世界だ」

シジョウ「私は人工的に作り上げたアルビノジョーカーの力と二つのモノリスの力で…この世界を支配しようと考えた」

ウミ「例え、私にカードが一枚もなくても…私はあなた達を封印してみせる!」

カリス「本当に強いのは…人の想いよ!!」

ウミ「私達はその決められた運命と戦い…そして、必ず勝ってみせます!」

ウミ「人々を守る為に…この想いを込めて!」

ツカサ「どんな事があっても共に戦う仲間を励まし助け合い、一緒に『進化』していく…その為に戦っているんだ!」

ディケイド「オレとウミの力だ」

ウミ「ツカサ…ありがとうございます」

ウミ「いつか、また必ず…巡り合いましょう」


~真姫×555の世界~
第10話『挑戦する本能』


(小さい頃の私がこの世界で一番好きだったのは、ピアノを弾くことだった)

 

(ママに連れられて行ったレッスン室で…初めて触れたグランドピアノの綺麗な音)

 

(その音は…まだ幼稚園に入ったばかりの私の身体と心の中で響き渡って、弾けて跳んでいたような気がした)

 

(初めて出会った、今まで見たこともないような大きくて不思議で美しい楽器に…幼かった私は圧倒されていた)

 

(家の古いアップライトピアノや幼稚園の電子ピアノと同じ楽器とは思えないくらい、私にはそれが特別なもののように見えた)

 

(そのグランドピアノの音は…私の耳にはどんな音でも、天上から響いてくる音楽に聞こえた)

 

(レッスン室の待合室の扉を開けると、思わずうっとりしてしまうほどに…美しくて優しい音)

 

(だから私は…音楽がすごく好きなんだって自分の中で気づくまで、そう時間はかからなかった)

 

(同時に…その音楽が、自分の一生の夢には絶対になってはくれないんだということも)

 

(地元にある大きな病院の跡継ぎ娘である私は…両親から医者になることを期待されていた)

 

(そのせいか学校では友達もあまりできなかった…別に誰かと仲が悪い訳でも、クラスの中で仲間外れにされている訳でもなくて)

 

(『しっかり者、頭脳明晰、美人、オシャレ、超がつくほどのお嬢様』)

 

(私にそんなイメージがついていたからか、同級生からはどこか距離をおかれてた)

 

(まあ、どれも事実だし…今の私には『ピアノがあればそれで良い』と思ってたから別に気にしてなかったんだけど)

 

(だから…その時の私は特に寂しいと思うこともなかった)

 

(ピアノを習い始めてから三年経った夏のある日までは…)

 

(この日、ピアノの発表会に出た私は…小学生の部で二位になった)

 

(嬉しくて誇らしい気持ちで…家に帰るなり、すぐにパパとママに知らせた)

 

(でも…それを聞いたパパは『何だ、一位じゃなかったのか』と私に言った)

 

(そしてママには『残念だったけど、お勉強は学校で一番だから…ピアノができるよりもずっとすごいわ』と言われた)

 

(二人のその言葉は…いつしか大きく太い楔に変わって、私の心を深く突き刺していた)

 

(夢を壊された私は…その時、分かってしまったの)

 

(マキは…夢なんて持っちゃいけないんだって)

 

 

 

~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~

 

 

 

ツカサ(オレが雪穂を茶化していると…写真館の背景が違うものへと変化した)

 

亜里沙「今度は…ロボット?」

 

ツカサ(背景には青い蝶とその前に立つロボットが描かれていた)

 

ツカサ「…ファイズの世界か」

 

雪穂「ファイズ?」

 

ツカサ「あのロボットはオートバジン、バイクにも変形するファイズのサポートメカだ」

 

雪穂「いや、答えになってないんだけど…」

 

亜里沙「ファイズの世界にはどんな怪人がいるの?」

 

ツカサ(オレが口を開くよりも先に…ツバサが亜里沙の質問に答えた)

 

ツバサ「オルフェノクよ」

 

雪穂「オルフェノク?」

 

ツバサ「一度、命を落とした人間が覚醒して蘇ることで誕生する人類の進化形態…つまり元人間ってことよ」

 

亜里沙「元人間…」

 

ツバサ「オルフェノクになって蘇るには…二つのケースがあるわ」

 

雪穂「二つ?」

 

ツバサ「一つは事件や事故で、普通に命を落とした人間が自然に覚醒する『オリジナル』…これはごく稀なケースよ」

 

亜里沙「じゃあ、もう一つは…?」

 

ツバサ「もう一つの方は…『使徒再生』という方法で覚醒させるの」

 

雪穂「使徒再生?」

 

ツバサ「オルフェノクが触手や武器を使って人間の心臓を貫く方法よ」

 

亜里沙「ひっ…」

 

雪穂「し、心臓って…!」

 

ツバサ「オルフェノクは主にこの方法で仲間を増やしているわ…大抵の人間はただの灰になってしまうけれど、ね」

 

雪穂「そんな…それじゃ、ただ人を襲ってるのと何も変わらないじゃないですか!」

 

ツカサ「だからこそ倒すんだ…」

 

ツバサ「そう、そのオルフェノクを倒すのが…スマートブレインが製造したベルトよ」

 

雪穂「スマートブレイン?」

 

ツバサ「家電から食品、色んな事業に手を出してる大企業よ」

 

亜里沙「そんな会社があるんだ…」

 

ツバサ「スマートブレインは…秘密裏にオルフェノクに対抗できるライダーズギアを次々と開発していたの」

 

ツカサ「まあ、けっこう胡散臭い企業らしいがな…」

 

亜里沙「それで…私たちはこの世界で何をすればいいの?」

 

ツバサ「そうね、とりあえず…これを」

 

ツカサ(ツバサは近くにあった段ボールを取り出し、中に入っていた学校の制服と鞄と学生手帳を雪穂と亜里沙に渡した)

 

雪穂「…何ですか、これ?」

 

ツバサ「スマートブレインは…学校も経営しているの」

 

雪穂「えっ…学校もあるんですか?」

 

ツバサ「そうよ、だからあなた達にはそこへ潜入して…学校にいるμ'sメンバーに接触してほしいの」

 

亜里沙「ハラショー…」キラキラ

 

雪穂「…どうしたの、亜里沙?」

 

亜里沙「これを着て学校に行くんだ…楽しみだなぁ」

 

雪穂「う…うん、そうだね」

 

ツバサ「既に編入手続きは済ませてあるわ…制服もサイズもぴったりだと思うし」

 

雪穂「えっ?ツバサさん、いつの間に私達のサイズを…」

 

ツバサ「…さて、私はこれからちょっと用事があるから後はよろしく頼むわね?」クルッ

 

雪穂「ちょっ…ツバサさん!?」

 

スタスタ…バタン

 

ツカサ(そう言ってツバサは…写真館を後にした)

 

雪穂「に、逃げた…」

 

ツカサ「…おい」

 

雪穂「何?」

 

ツカサ「オレの制服がないんだが…」

 

雪穂「えっ…いや、そんなこと言われても」

 

ツカサ「全く、仕方ないな…」ハァ

 

雪穂「明日の朝、写真館の外に出たらいつの間にか着てるってこともあるんじゃない?」

 

雪穂「前みたいにさ…半分冗談だけど」

 

ツカサ「…なるほど、だいたいわかった」

 

雪穂「えっ?いや、半分冗談だって…」

 

ツカサ「そんな冗談みたいな事があるかもしれないだろ…それなら、とりあえずオレは明日に備えて寝る」スタスタ

 

亜里沙「おやすみツカサ!」

 

ツカサ「ああ、おやすみ」ガチャ

 

ツカサ(オレは自分の部屋に戻り、休む事にした)

 

バタン

 

雪穂「えぇ…それで良いのかなぁ?」

 

亜里沙「雪穂、学校楽しみだね!」ワクワク

 

雪穂「あ、うん…そうだね」

 

亜里沙「高校かぁ…」キラキラ

 

雪穂「…それにしてもツバサさん、どうやって私達が高校に入れるようにしたんだろう?」

 

 

 

ツバサ(私はスマートブレインハイスクールの校舎の屋上にいた)

 

ツバサ(夜も深まってきたこの時間…私は、ある人物が来るのを待っていた)

 

ツバサ「そろそろ来る頃かしらね…あら、噂をすれば」

 

ツバサ(校庭に一人の外国人の少女と警備員が話しているのが屋上から見えた)

 

少女「ワタシ、チャコ…」

 

チャコ「ワタシ、コノガッコウハイレナカッタ…ダッテワタシ」

 

クロコダイルオルフェノク「オルフェノクダカラ」

 

ツバサ(外国人の少女がクロコダイルオルフェノクに姿を変え…逃げようとする警備員を襲おうとしたその時だった)

 

『Complete』

 

ツバサ(身体のフォトンブラッドを赤く光らせたファイズが…クロコダイルオルフェノクの後ろにいた)

 

クロコダイルO「ファイズ…!アナタ、マタワタシノジャマヲ!」

 

ファイズ「…」

 

クロコダイルO「ユルサナイ…ウワァァァァァ!!」

 

ツバサ(剣を持って向かっていくクロコダイルオルフェノクに対し、ファイズはファイズフォンを取り出し『106』を入力した)

 

ツバサ(その直後、ファイズはファイズフォンを銃の形に変えて…アンテナをクロコダイルオルフェノクに向けて発砲した)

 

ガガガッ!

 

クロコダイルO「ウグッ…」

 

ガガガッ!

 

クロコダイルO「ウアッ…」

 

ツバサ(次にファイズは…左腰からカメラ型の武器『ファイズショット』を取り出した)

 

『Ready』

 

ツバサ(ファイズはファイズショットにファイズフォンのミッションメモリーをセットし、起動させる)

 

『Exceed Charge』

 

ツバサ(それからファイズフォンをドライバーに戻したファイズは…ENTERキーを押した)

 

クロコダイルO「グッ…オノレェェェ!!」ダッ

 

ツバサ(エネルギーをベルトから右手に集中させたファイズは剣を避けると…すぐさまクロコダイルオルフェノクの腹部を殴りつけた)

 

クロコダイルO「グウッ…アッ」サアァ…

 

ツバサ(クロコダイルオルフェノクの身体に青い炎と『Φ』の記号が浮き出ると…そのまま身体は灰化し、崩れ去っていった)

 

ファイズ「…」

 

ツバサ「これは…一筋縄じゃいかなそうね」

 

ツバサ(ファイズの戦いの様子を見て、私は学校を後にした…)

 

 

 

ツカサ「…行くぞ」

 

ツカサ(オレ達はスマートブレインハイスクールの制服を着て、学校への通学路を歩いていた)

 

雪穂「本当に着てるし…」

 

亜里沙「良かったねツカサ!」

 

ツカサ「ああ、しかし…オレというヤツは何を着ても似合ってしまうな」

 

雪穂「はいはい…」ハァ

 

ツカサ(オレは制服から『スマートパッド』という電子型の学生手帳を取り出し、自分の名前を確認する)

 

ツカサ「『乾 ツカサ』…か」

 

亜里沙「ツカサの学生手帳、私たちのと違う…良いなぁ」

 

ツカサ「『特待生専用手帳』と書かれているな…どうやら、この学校でのオレは特待生扱いらしい」

 

雪穂「そういえば、いつも名字変わるよね…何でなの?」

 

ツカサ「さあな…そこまではオレにもさっぱりだ」

 

亜里沙「もうすぐ学校…楽しみだなぁ~」ワクワク

 

雪穂「亜里沙、遊びに行くわけじゃないんだよ…?」

 

ブロロロ…キキッ

 

ツカサ(オレ達がそんなやりとりをしていると…一台の車が近くで止まった)

 

ツカサ「…ん?」

 

ツカサ(すると止まった車の後部座席から…赤い髪の少女が降りてきた)

 

雪穂「あれ、あの人って…」

 

亜里沙「真姫さん?」

 

マキ「それじゃパパ…行ってきます」チュッ

 

ツカサ(マキは運転席にいる父親と思われる男性の頬にキスをして、車のドアを閉めた)

 

バタン!ブロロロ…

 

マキ「ふぅ…ん?」クルッ

 

ツカサ(髪の毛をくるくる回して弄りながら車を見送ったマキは…オレ達に気付いたのか、振り返ってきた)

 

ツカサ「これはまた…大胆だな」

 

雪穂「キ、キキキ…///」

 

亜里沙「ハラショー…///」

 

マキ「…!?」カアァ

 

ツカサ(状況を理解したマキは…赤面しながら、こちらに向かってきた)

 

マキ「ちょ…ちょっとあなた達!?」スタスタ

 

ツカサ「何だ?」

 

マキ「そ、その…見たの?///」

 

雪穂「あっ!?いや、私達は何も…」アタフタ

 

ツカサ「熱烈なキスだったな」

 

雪穂「ちょっとツカサ!?」

 

亜里沙「私、さすがに今のをおばあさまやお姉ちゃんにするのは恥ずかしいかな…」

 

雪穂「亜里沙まで何言ってるの!?」

 

マキ「あっ…あなた達ねぇ!///」ワナワナ

 

ツカサ「しかし、高校生にもなってまだ車で送ってもらって登校してきているのか…随分と良い身分なんだな?」

 

マキ「な、何ですって!?あなたには関係ないでしょ!」

 

ツカサ「確かに関係はないな」

 

マキ「それなら何で…!」

 

ツカサ「理由は簡単だ…オレはそういうタイプの金持ちが気に入らない」

 

マキ「何よその理由!?イミわかんない!」

 

ツカサ「分からなくて結構だ、とにかくオレはアンタが気に入らない」

 

ツカサ「文句を言われたくなかったら…一度は自転車でも良いから、自分の力で登校してみたらどうだ?」

 

マキ「えぇっ!?何で私が…」

 

ツカサ「どうした、まさか…自転車に乗れないのか?」

 

マキ「うっ…の、乗れるに決まってるでしょ!?この私に出来ないことなんてないんだから!」

 

ツカサ「なら…是非とも見せてほしいもんだな、アンタが自転車に乗って登校する姿を」

 

マキ「ぐっ…良いわ、そんなに見たいなら次に登校する時に見せてあげるわ!」

 

マキ「その代わり、今のは他の誰にも言っちゃダメなんだからね!?」

 

ツカサ「良いだろう、だがもし乗れなかったらその時は…分かってるな?」

 

マキ「の…望むところよ!」

 

ツカサ「よし、じゃあ約束だ」

 

マキ「ううっ…覚えてなさいよ!」ダダッ

 

ツカサ(マキは背を向けると、学校まで一気に走っていった)

 

雪穂「…」

 

ツカサ「よし」

 

雪穂「いや、どこが!?」

 

ツカサ「どこがって…全部に決まってるだろ」

 

雪穂「むしろ逆だよ!?思いきりマキさん怒らせてるじゃん!ファイズについても聞けなかったし…」

 

ツカサ「今はこれで良いんだ…こういう学園モノは最悪の出会いから友情が始まるって漫画やドラマでも言うしな」

 

雪穂「マンガやドラマの受け売りなの!?そんなので仲良くなれるわけないじゃん!」

 

亜里沙「雪穂、どうどう…」

 

雪穂「馬じゃないから!」

 

キーンコーンカーンコーン

 

ツカサ「さて、急がないと遅刻だ…行くぞ」ダダッ

 

亜里沙「あっ、待ってツカサ!」ダッ

 

雪穂「ちょっと、まだ話終わってないんだけど!?」ダッ

 

ツカサ(急いでオレ達は…スマートブレインハイスクールに登校した)

 

 

 

ツカサ(昼休憩になり…オレ達は校庭を歩いていた)

 

亜里沙「授業、難しかったね…」

 

雪穂「そりゃそうだよ…まだ私達、中学生なんだし」

 

亜里沙「ツカサはどうだった?」

 

ツカサ「ああ…だいたいわかった」

 

雪穂「それ、絶対に分かってないよね…?」

 

亜里沙「お昼休みになったけど…ツカサはこれからどうするの?」

 

ツカサ「もちろんもう一度、マキと話すつもりだ」

 

雪穂「えぇ…あんなに怒らせといて?」

 

ツカサ「良くも悪くも、最初に会った時のイメージを強く印象付けるのは大事だからな…」

 

亜里沙「そういえば授業中は全然会えなかったね…マキさん、違うクラスだったのかな?」

 

ツカサ「おそらくそうだろうな…とりあえず、学校中を探せばどこかにはいるだろ」

 

雪穂「でも、この学校広いから休憩中に見つかるかなぁ…ん?」

 

ツカサ(どこかから少女の歌声が聞こえ…オレ達は立ち止まった)

 

?「~♪」

 

ツカサ「この曲、どこかで聞いた覚えが…」

 

亜里沙「μ'sの『愛してるばんざーい!』だ!」ダダッ

 

雪穂「あっ…待ってよ、亜里沙!」

 

ツカサ「全く、仕方ないな…」

 

ツカサ(オレと雪穂は先に走って行った亜里沙を追いかけた)

 

ツカサ(しかし…その途中で亜里沙が急に立ち止まった)

 

亜里沙「…!」ピタッ

 

雪穂「危なっ!?」

 

ツカサ「!?」

 

ゴンッ!

 

ツカサ(止まりきれなかったオレは雪穂とぶつかってしまった)

 

ツカサ「痛っ…!」

 

雪穂「あいたた…どうしたの、亜里沙?」

 

亜里沙「…」

 

ツカサ「…ん?」

 

ツカサ(歌っていたのはマキではなく…人の良さそうな丸顔に明るい色のミディアムヘアで活発そうな雰囲気の少女だった)

 

ツカサ(その少女はすぐそばに置いていたCDラジカセで、音楽をかけて歌っていた)

 

ツカサ(音楽が終わると…少女はオレ達に気付いて振り返った)

 

?「…?」クルッ

 

亜里沙「ハラショー!」パチパチパチ

 

?「へっ?あ、あの…」

 

雪穂「あっ、すみません!良い歌だったからつい…」

 

?「えっ…ほ、本当に?」

 

亜里沙「はい、すっごく素敵でした!」

 

?「そっか…ありがとう、嬉しいなぁ」

 

ツカサ(少女はどこかのほほんとした感じの喋り方をしていた)

 

亜里沙「私、絢瀬亜里沙!こっちは友達の雪穂とツカサで…あなたの名前は?」

 

マコ「あっ…私、マコっていいます」

 

ツカサ「マコ?」

 

マコ「はい…キクチマコです」

 

生徒A「あっ、ラッキークローバー!」

 

生徒B「ラッキークローバーだ!」

 

マコ「あっ…!」

 

ツカサ「?」クルッ

 

ツカサ(オレ達の後ろから…男三人と女一人の生徒が現れ、マコの前に立った)

 

雪穂「ラッキー…クローバー?」

 

生徒C「知らないの?冷静沈着なリーダーのモモセ様、無邪気で可愛らしいキタザキ様、インテリ系で知性溢れるタクマ様…」

 

生徒C「三人で活動しているスマートブレインハイスクールの男子スクールアイドルよ」

 

亜里沙「えっ…男子スクールアイドル!?」

 

雪穂「もう一人のあの女性は…?」

 

生徒D「マネージャーのカゲヤマ様…一人で三人のマネジメントをこなす敏腕マネージャーよ」

 

ツカサ「さしづめ、学園の人気アイドルってとこか…」

 

雪穂「いや、そりゃスクールアイドルだからね…」

 

ツカサ(オレ達がそんなやりとりをしていると…中性っぽい見た目に手袋をした男子生徒がマコに話しかけた)

 

手袋をした男子「ヤダなぁ~、君…ここは僕達の練習場所なんだけど?」

 

マコ「キタザキさん…」

 

ツカサ(続いて…眼鏡をかけた男子生徒もマコを責め始めた)

 

眼鏡の男子「この場所はラッキークローバーのものです、誰の許可を得てこの場所を使用しているのですか?」

 

マコ「タクマさん…でも私、ここがラッキークローバーの練習場所だなんて知らなくて」

 

カゲヤマ「下手な嘘」

 

マコ「カゲヤマさん…?」

 

カゲヤマ「あなた、スクールアイドルになりたいんだったわね?」

 

ツカサ「!」

 

カゲヤマ「彼らに憧れて、同じ練習場所を使いたかったのならそう言えば良いのに…」

 

マコ「…いや、私は憧れてるとかそういうのじゃなくて!」

 

カゲヤマ「…」キッ

 

ツカサ(カゲヤマはマコの言葉が気に入らなかったのか、強く睨みつけた)

 

マコ「あっ、その…」

 

キタザキ「へぇ~、僕達に楯突くんだ…」

 

ツカサ(キタザキはCDラジカセを片手で軽く持ち上げた)

 

マコ「あっ、待ってください!それは大事なCDが…」

 

キタザキ「イヤだね」ブンッ

 

ツカサ「…よっと!」パシッ

 

ツカサ(キタザキがCDラジカセを投げようとする方向を見て、予め落ちる場所を予測していたオレは…CDラジカセをキャッチした)

 

キタザキ「…へぇ?」

 

亜里沙「ツカサ!」

 

ツカサ「せっかく良い曲が入ってるんだ…あんまり乱暴な事をするな」

 

タクマ「何ですか、あなた?」

 

ツカサ「残念だがお前達に名乗るほど…オレは暇じゃない」

 

キタザキ「ふぅ~ん…君、まさか僕達に逆らう気?」

 

ツカサ「逆らう?馬鹿言うな…オレは最初から、お前達に従うつもりはない」

 

カゲヤマ「あなた…!」

 

?「ちょっと、そこをどいて!」

 

ツカサ(群衆をかき分けてマコとラッキークローバーの間に入ってきたのは…マキともう一人の少女だった)

 

マキ「マコちゃん!」

 

マコ「あっ…マキちゃん、サヤちゃん」

 

マキ「大丈夫?」

 

マコ「うん、私は大丈夫…」

 

マキ「…」キッ

 

ツカサ(マキはラッキークローバーの全員を強く睨んだ)

 

マキ「…あの!これ以上、この子にちょっかいかけるのはやめてもらえませんか?」

 

カゲヤマ「違うわ…この子が私達に逆らってきたのよ?」

 

マキ「またそんなことを…!」

 

カゲヤマ「でも、良いわ…西木野総合病院の跡取り娘であるあなたに免じて、今回は許してあげる」

 

カゲヤマ「西木野総合病院には…私達もお世話になってるし、ね?」

 

マキ「…」

 

ツカサ(ここで…それまで黙っていたラッキークローバーのリーダーらしき男子生徒が一言だけ喋った)

 

?「…行こう」

 

カゲヤマ「ええ…モモセくん」

 

キタザキ「何だ、つまんないなぁ~」

 

タクマ「…」

 

ツカサ(ラッキークローバーの面々は…校舎の中へと入っていった)

 

マコ「あ、ありがとう…いつもごめんね?」

 

マキ「良いのよ、これくらい…気にしないで」

 

マコ「それと…ツカサくんも!」

 

マキ「えっ…?」クルッ

 

ツカサ(マキは…CDラジカセを抱えたオレと目が合った)

 

マキ「えぇっ!?」

 

ツカサ「…」

 

 

 

ツカサ(オレ達は食堂で学食を食べながら、マキ達と話す事になった)

 

マコ「紹介するね…私の友達のマキちゃんとサヤちゃん!」

 

マキ「…」ムスッ

 

サヤ「…」ペコッ

 

ツカサ(明らかに不機嫌なマキの隣には…両目を長い前髪で隠した引っ込み思案な感じの少女がオレ達に軽く頭を下げた)

 

亜里沙「よろしく!」

 

雪穂「よ、よろしくお願いします…」

 

ツカサ「…」カシャッ

 

ツカサ(オレはカメラのレンズをマキに向けて…シャッターを切った)

 

マキ「撮らないで!」

 

ツカサ「そうか、別にオレは気にしていないんだが…」

 

マキ「私が気にするんだけど!?」

 

マキ「はぁ…私、やっぱり教室で食べるわ」ガタッ

 

マコ「あっ、待ってよマキちゃん!」

 

ツカサ「何だ、そんなにオレが嫌いか?」

 

マキ「当たり前でしょ…あなた、自分が何をしたのか分かってるの?」

 

マキ「私もあなたが気に入らない、それであなたを嫌いになる理由は十分よ…何か文句ある?」

 

ツカサ「なるほど…お互い気が合うみたいだな」

 

雪穂「…ツカサ、いい加減にしないと私も怒るよ?」ゴゴゴ

 

ツカサ「!」

 

ツカサ(身の危険を感じたオレは、ひとまずマキに突っかかるのをやめる事にした)

 

雪穂「ごめんなさいマキさん、ツカサが変なことばかり言ってしまって…」

 

マコ「雪穂ちゃんが謝ることないよ!?私がみんなで食べようって言ったんだし…ごめんね、マキちゃん」

 

マキ「…べ、別にあなた達が謝ることじゃないわよ」クルクル

 

ツカサ(マキは髪の毛をくるくる弄りながら座り直すと…食堂の名物と言われている鍋焼きうどんを食べようとしていた)

 

マキ「…」フーフー

 

マコ「あの…さっきは助けてくれてありがとうね」

 

ツカサ「礼には及ばないさ…それに、スクールアイドルになりたいんだろ?」

 

マコ「えっ?…あっ、うん!」

 

ツカサ「オレはその夢を応援したくなったから助けただけだ、良い歌声も聴かせてもらったしな…」

 

マコ「えへへ、そんな…私なんかまだまだだよ?」

 

マコ「まだ始めたばかりだし、曲もマキちゃんに何曲か作ってもらっただけで…」ポリポリ

 

亜里沙「えっ、マキさんに…?」

 

マコ「うん!」

 

マキ「…何よ、悪い?」

 

亜里沙「ううん!やっぱりマキさんはスゴいなぁ…」

 

マキ「…///」フーフー

 

ツカサ「それと…さっきのラッキークローバーとかいう奴らが気にいらなかったからな」

 

マコ「あはは…でも、オルフェノクよりは良いかな?」

 

雪穂「オルフェノクのこと…知ってるんですか?」

 

マコ「うん、オルフェノクは人間のフリをしている怪物だって…学校でも話題になってるから」

 

亜里沙「そっか…」

 

サヤ「…」

 

マコ「もし近くでどこかの誰かがオルフェノクなのかもしれないって思うと…私は怖い、かな」

 

マキ「…」フーフー

 

ツカサ「…ん?」

 

ツカサ(マキはさっきからずっと鍋焼きうどんを冷まそうとしている様子だった)

 

ツカサ「アンタ、まさか…猫舌か?」

 

マキ「そうだけど…何よ?」

 

ツカサ「…いや、別に」

 

マキ「…」フーフー

 

マコ「…でも、そのオルフェノクもファイズが倒してくれるから良いんだけどね!」

 

雪穂「ファイズが…?」

 

マコ「うん、ファイズは闇を切り裂き…光をもたらしてくれるの!」

 

ツカサ「闇を切り裂き…光をもたらす?」

 

マコ「そう、ファイズはみんなの救世主なの!」

 

マキ「…」フーフー

 

マコ「私が中学生の時、火事に遭った校舎に取り残された私を助けてくれたのだって…姿は覚えてないけどきっと!」

 

マキ「はぁ…何言ってるのよ、マコちゃん?」

 

マコ「え?」

 

マキ「ファイズなんて…ただの噂よ」

 

マコ「でも、警備員さんが昨日の夜にオルフェノクに襲われそうになった時はファイズが助けてくれたって話してたし…」

 

マキ「そんなの嘘よ、都市伝説」

 

亜里沙「…マキさんがファイズじゃないの?」

 

雪穂「亜里沙!?」

 

マキ「イミわかんない…そんな訳ないじゃない、私は勉強で忙しいのよ?」

 

亜里沙「えっ?でも…」

 

雪穂「ちょっと亜里沙…すみません、友達が変なこと聞いちゃって」

 

マキ「別に、気にしてないわ…」フーフー

 

ツカサ(オレはマキの話し方や挙動を見ていたが…彼女が嘘をついているようには見えなかった)

 

ツカサ(じゃあ、誰がファイズに変身しているんだ…?)

 

キーンコーンカーンコーン

 

マコ「あっ、もうすぐ昼休憩終わっちゃう…マキちゃん早く食べて!」

 

マキ「分かってる、分かってるから…あちちっ!」

 

ツカサ「…」

 

ツカサ(オレは放課後まで、ファイズの正体が誰かしばらく考えていたが…答えは出なかった)

 

 

 

ツカサ(放課後…オレは下校する雪穂や亜里沙と別れて校庭に向かっていた)

 

ツカサ(ラッキークローバーの奴らが…オレに勝負を挑んできたのだ)

 

ツカサ(オレが勝負に勝てば、マコに練習場所を明け渡すという約束だ)

 

ツカサ「…よう」

 

タクマ「まさか逃げずに来るとは…身の程知らずですね」

 

カゲヤマ「あなた、ダンスの経験は?」

 

ツカサ「どれぐらいやったか覚えてはないが…このオレに苦手なものはない」

 

ツカサ「写真を撮る事以外はな…」ボソッ

 

タクマ「…では、私が行きましょう」

 

ツカサ(オレはタクマとダンス勝負をする事になった)

 

ツカサ(オレは側転、バク宙、超高速ヘッドスピンなど様々な技を見せた)

 

キタザキ「へぇ~…あのダンス、只者じゃないね」

 

モモセ「…」

 

タクマ「この動き…ついて行けない!」ハァハァ

 

ツカサ「どうした、もう終わりか?」

 

ツカサ「だとしたら一人じゃ物足りないな…そっちが良ければ二人がかり、いや三人がかりでも構わないぞ?」

 

ツカサ(すると…キタザキがこんな事を言い出した)

 

キタザキ「ねぇ、君…もしかしてファイズなんじゃない?」

 

ツカサ「はぁ?何でそうなる…」

 

キタザキ「ヤダなぁ…そんなこと言っても、良いのかな?」

 

ツカサ(手袋を外したキタザキが近くのベンチに触れると…ベンチはすぐに灰化し、跡形もなく崩れ去ってしまった)

 

ツカサ「…!」

 

キタザキ「早く、正体を見せてよ…」

 

ツカサ(キタザキはドラゴンオルフェノク龍人態に変化した)

 

ツカサ「お前…オルフェノクだったのか!」

 

モモセ「…」

 

ツカサ(そして、キタザキがオルフェノクになっても驚かない他の三人を見て…オレはある事に気が付いた)

 

ツカサ「まさか、お前達も…?」

 

タクマ「…バレてしまっては、仕方がないですね」

 

カゲヤマ「ウフフッ…」

 

ツカサ(間違いない…ラッキークローバーは全員、オルフェノクだ)

 

ドラゴンO「ほら、早く答えないと…君も灰になっちゃうよ?」

 

ツカサ「灰か…悪いが、それは御免だな」

 

ツカサ(オレはディケイドライバーを腹部に装着し、一枚のカードを取り出した)

 

タクマ「あれは…ファイズのベルトではない?」

 

ツカサ「変身!」

 

『カメンライド…ディケイド!』

 

ディケイド(オレはディケイドに変身した)

 

カゲヤマ「ディケイドですって!?」

 

『アタックライド…スラッシュ!』

 

ディケイド「知ってるなら、話は早い…な!」ブンッ

 

ディケイド(オレはライドブッカーソードモードでドラゴンオルフェノクを斬ろうとするが…避けられてしまう)

 

ディケイド「何…?」

 

ドカッ!

 

ディケイド「うわっ!?」

 

ディケイド(高速で動き回るドラゴンオルフェノクは…連続で雷撃を纏った攻撃をオレに仕掛けてくる)

 

ドラゴンO「遅いよ、君」ガスッ!

 

ディケイド「うぐっ…だったらこれだ!」

 

ディケイド(オレは攻撃を受けながらも…何とか一枚のカードを取り出し、ベルトに装填した)

 

ディケイド「ウミ…借りるぞ」

 

『カメンライド…ブレイド!』

 

DCDブレイド(ブレイドにカメンライドしたオレは…更に一枚のカードを取り出した)

 

ドラゴンO「へぇ…君、違う姿になれるんだ」

 

DCDブレイド「まだまだ、こんなもんじゃないぜ?」

 

『フォームライド…ブレイド!ジャック!』

 

DCDブレイド(カードをベルトに入れるとマスクとアーマーが金色に輝き…胸部にイーグルアンデッドの紋章、背中には翼が出現した)

 

DCDブレイド「はっ!」バサッ

 

DCDブレイド(ジャックフォームになったオレは…ドラゴンオルフェノクの攻撃が届かない空中に飛び上がった)

 

ドラゴンO「ふぅ~ん…飛べるんだ」

 

DCDブレイド(オレは三枚のカードを取り出し、そのうち一枚をディケイドライバーに装填する)

 

『アタックライド…タイム!』

 

DCDブレイド(その瞬間、時の流れが一時的に止まった)

 

DCDブレイド(ドラゴンオルフェノクも、他のラッキークローバーのメンバーの動きも止まっている)

 

DCDブレイド(時間が止まっている間にオレは…もう一枚、カードを装填する)

 

『アタックライド…マグネット!』

 

DCDブレイド(その直後…ドラゴンオルフェノクの身体が空中に浮かび上がり、オレの方に向かって飛んできた)

 

DCDブレイド「これで…仕留める!」

 

『ファイナルアタックライド…ブ・ブ・ブ・ブレイド!』

 

DCDブレイド(オレは最後の一枚をベルトに入れ…電撃を纏ったライドブッカーソードモードでドラゴンオルフェノクを切り裂いた)

 

DCDブレイド「やあーっ!」

 

ドラゴンO「ウワァァァァ!」サアァ…

 

DCDブレイド(オレがドラゴンオルフェノクを倒した瞬間…タイムとマグネットの効果が切れた)

 

カゲヤマ「!?」

 

タクマ「キタザキさんがやられた…!」

 

DCDブレイド「これで一人倒したな…ん?」

 

DCDブレイド(オレはモモセがいなくなっている事に気が付いた)

 

DCDブレイド「アイツ、どこに行った?」

 

?「俺はここだ」

 

DCDブレイド(オレが声のする方を向くと…別のオルフェノクが灰化したはずのドラゴンオルフェノクを再生させていた)

 

タイガーオルフェノク「…」

 

DCDブレイド「オルフェノクに命を吹き込んだ…だと?」

 

ドラゴンオルフェノク「…ふざけるなよ」

 

DCDブレイド「!?…うわぁっ!」ガンッ

 

DCDブレイド(魔人態として再生したドラゴンオルフェノクは空中に飛び上がり、オレに強烈な一撃を与えてきた)

 

ディケイド(ドラゴンオルフェノクの攻撃を喰らったオレは、カメンライドの効果が切れ…地面に落下してしまった)

 

ディケイド「うっ…」ドサッ

 

ドラゴンO「終わりだよ」

 

タイガーO「…待て」

 

ドラゴンO「モモセくん…何のつもりなの?」

 

タイガーO「…我々の敵はファイズだ」

 

ドラゴンO「ハァ…はいはい」

 

タイガーO「ディケイド…どこから来たのかは知らないが、今のうちに消えてよ」

 

ディケイド「お前ら…この学園に潜り込んで何をするつもりだ?」

 

タイガーO「…オルフェノクは、やがて人類を支配する」

 

ディケイド(タイガーオルフェノクはそう言うと、オレに向けて手から光弾を放った)

 

ディケイド(光弾をまともに受けたオレは…ついに変身が解除されてしまった)

 

ツカサ「うぐっ…!」ゴロゴロ

 

ツカサ(タイガーオルフェノクの追撃に備えて、すぐにオレは起き上がったが…ラッキークローバーの四人の姿はもうなかった)

 

ツカサ「…いない?」

 

ツカサ(オレはしばらく、校庭で立ち尽くしていた…)

 

 

 

モモセ「キタザキ、あまり調子に乗らない方が良い…次はもうない」

 

キタザキ「…はいはい」

 

カゲヤマ「キタザキくん?」

 

キタザキ「は~い…」

 

タクマ「しかし、私達の仲間を消すファイズが彼じゃないとすれば一体…」

 

?「あの!」

 

モモセ「?」クルッ

 

?「私、ファイズの正体…知ってます」

 

タクマ「あなたは確か…」

 

?「実は昨日の夜、学校で落とし物を拾って…」

 

モモセ「昨日の夜…つまりそれはファイズの落とし物だと?」

 

?「はい、それが…このCDです」

 

モモセ「CD?まさか…」

 

?「そうです、ファイズの正体は…キクチマコです」

 

 

 

ガシャン!

 

マキ「いっ、たたたた…」

 

マキ(その夜、私は創才公園で自転車に乗る練習をしていた)

 

マキ(物置の奥から埃だらけになった空色で車輪の大きい昔風の自転車を出して、綺麗にするだけでも…私にはすごく大変だった)

 

マキ(もしかしたら数年前までお手伝いさんが使っていたかもしれないけど…今はもう、誰の物かも分からない古い自転車)

 

マキ(小学生の頃に私が何回かチャレンジした時は、結局諦めてやめちゃったけど…)

 

マキ(彼…ツカサっていう男の子にあんな風に言われてしまった今の私は、何が何でも練習しない訳にはいかなかった)

 

マキ「よし、もう一回…」

 

マキ(乗り方は分かってるの…身体を真っ直ぐにして、前を見ながら焦らないように落ち着いて構える)

 

マキ(ネットで調べて参考にした『大人になってからでも乗れる!自転車の操縦法』…これで、私も乗られるようになるはずよ)

 

マキ(思いきり足を蹴って重心は真っ直ぐ、足は曲げ過ぎないでフラついても慌てずに体勢を保てば自転車は慣性の法則で必ず…)

 

マキ「真っ直ぐに走る、はずぅ…って!?」グラッ

 

マキ「きゃあぁぁぁぁぁ!?ちょっと待って、止まって!」フラフラッ…

 

ガッシャーン!

 

マキ(派手な音を立てて倒れた自転車…私はすんでのところで飛び降りたけど、膝を擦りむいてしまった)

 

マキ「もう、これで何度目よ…っ!」ズキッ

 

マキ(こんなことになるならばんそうこうを持ってくれば良かった…と、私が思っていたその時だった)

 

?「マキちゃん、これ!」

 

マキ「え、あっ…誰!?ってきゃあっ!!」

 

マキ(突然のことに驚いた私は…思わず仰け反ってしまった)

 

?「あっ…ビックリさせちゃってごめんね」

 

マキ「マ、マコちゃん?」

 

マコ「あはは…実はここでもダンスの練習しててね、たまにケガしたりもするからばんそうこうはいつも持ってきてるんだ」ニコッ

 

マキ(優しく微笑むマコちゃんを見て…私は喉の奥が詰まってしまった)

 

マキ「あっ、えっと…」

 

 

 

マキ(私とマコちゃんは公園のベンチに座って、ホットの缶コーヒーを飲んでいた)

 

マキ「…」フーフー

 

マキ「今の…見た、わよね?」

 

マコ「うん、ばっちり…ごめんね?」エヘヘ

 

マキ(マコちゃんにバレてしまって…私は落ち込んでいた)

 

マキ「驚いたでしょ…私が自転車に乗れないなんて」

 

マコ「へっ?」

 

マキ「今まで乗るきっかけがなかったから、特に練習とかしないできちゃって…それにほら、見て」

 

マコ「…」

 

マキ「ヒドいでしょ、この自転車…十年も前のママチャリなの」

 

マコ「…そうなんだ」

 

マキ「あっ…でもこれ、私のじゃないのよ?」

 

マキ「これはたまたま家の物置にあった古い自転車で…」

 

マコ「マキちゃんってやっぱり…すごいなぁ」

 

マキ「えっ?」

 

マコ「あともう少しで乗れそうだね」

 

マキ「…イミわかんない」

 

マコ「…」フフッ

 

マキ「もう少しで乗れそうってそんな訳…」

 

マキ(そう言いかけた所で、私は何だか胸が詰まって…続きが言えなくなってしまった)

 

マキ(ねぇ…マコちゃん、あなたはどうしてそんな風に優しく微笑んでくれるの?)

 

マコ「あっ…そういえばマキちゃん、さっきのケガは大丈夫?」

 

マキ「…ええ、もう平気よ」

 

マコ「そっか…良かったぁ」ホッ

 

マキ(マコちゃんは…その優しい笑顔で、いつも私に自信をくれる)

 

マキ(それは…私には到底、出来ないことだ)

 

マキ「ねぇ…マコちゃんはいつ頃、自転車に乗れるようになったの?」

 

マコ「私?うーん、実はね…私もすっごく遅かったの」

 

マキ「えっ…そうなの?」

 

マコ「うん!幼稚園の時から何年も練習してたんだけど…なかなか乗れなくて、やっと乗れたのが小学四年生の時だったかな」

 

マコ「それまでは…補助輪ついてるのに、転んでたりしてたんだよ?」

 

マキ「えっ、補助輪ついてるのに…?」

 

マコ「うん…逆にスゴいでしょ?」エヘヘ

 

マキ「…確かに、そうかも」フフッ

 

マコ「じゃあ…せっかくだし私が教えようかな、マキちゃんが自転車に乗れるように!」

 

マキ「マコちゃん…良いの?」

 

マコ「うん!」

 

マキ「本当に?」

 

マコ「気にしないで…私だって、いつもマキちゃんには助けてもらってばかりなんだから!」

 

マキ「…!」

 

 

 

ツカサ(その頃、オレは写真館で雪穂達と話していた)

 

雪穂「それにしても、マキさんがファイズじゃなかったなんて…」

 

亜里沙「じゃあ、誰がファイズなんだろう…?」

 

ツカサ「それは…今、調べている途中だ」

 

雪穂「ラッキークローバーがみんな、オルフェノクだったことにも驚いたし…」

 

亜里沙「帰ってから調べてみたんだけど…あの人たち、一回もライブしたことないみたい」

 

ツカサ「はぁ!?」

 

雪穂「そうだったの!?」

 

亜里沙「…うん」

 

ツカサ「スクールアイドルっていうの肩書きと格好だけか…奴ら、ふざけてるな」

 

亜里沙「マジメにスクールアイドルになろうとするマコさんをイジめてるし…私、あの人たちのこと苦手かも」

 

ツカサ「そう思うのも当然だ…何であんなスクールアイドルをナメきった下の下の奴らに人気があるのか、理解できないな」

 

雪穂「本当、そうだよね…ところで『下の下』って何?」

 

ツカサ「…」

 

雪穂「えっ…スルー?」

 

~♪

 

亜里沙「…この音は?」

 

ツカサ「オレの携帯だ…誰からだ?」

 

ツカサ(オレはその電話に出た)

 

ツカサ「もしもし…?」

 

?「今から創才公園にあなただけで来て…見せたいものがあるの」

 

ブツッ

 

ツカサ「…切れた」

 

雪穂「今の声って…ツバサさんじゃなかった?」

 

亜里沙「ツカサに見せたいものがあるって言ってたね…」

 

ツカサ「何なんだ、いきなり…とりあえず行ってくるか」ハァ

 

亜里沙「行ってらっしゃい、ツカサ!」

 

雪穂「…気をつけてね」

 

ツカサ「ああ」

 

ツカサ(オレは写真館を出て、創才公園に向かった)

 

 

 

マキ(その後、私はマコちゃんから『一度バランスがとれれば後は簡単』という最終奥義を教えてくれた)

 

マキ(けっこう苦戦していたけど、次第にブレなくなって…揺れなくもなって)

 

マキ(まだまだ不安定だけど…何とか、真っ直ぐに公園のグラウンドを走れるようにはなった)

 

マコ「スゴい…スゴいよ、マキちゃん!」

 

マキ「やった…マコちゃん、ありがとう」フフッ

 

マコ「どういたしまして」エヘヘ

 

マキ(二人で笑い合っていると…ある人達がマコちゃんに声をかけてきた)

 

キタザキ「見~つけたっ」

 

マコ「ラッキー、クローバー…?」

 

カゲヤマ「これ、あなたのものでしょ?」

 

マキ(ラッキークローバーのマネージャーは…私がマコちゃんに渡したはずのCDを見せてきた)

 

マコ「それは…いつの間にか無くなってた新曲のCD!?」

 

タクマ「あなたなんでしょう?ファイズの正体は…」

 

マコ「えっ、何のこと…?」

 

カゲヤマ「とぼけないで」

 

マキ(次の瞬間…三人は全員、オルフェノクに変化した)

 

ロブスターオルフェノク「こうなったら、力ずくで吐かせるしかないわね」

 

センチピードオルフェノク「覚悟してください」

 

ドラゴンO「フフフ…」

 

マコ「オ、オルフェノク!?」

 

マキ「!…マコちゃん、ここは私に任せてあなただけでも逃げて」

 

マコ「ダメだよ、マキちゃんを置いて逃げるなんて…そんなこと出来ないよ!」

 

マキ「…そうよね」

 

マキ(私達が三体のオルフェノクに囲まれていた…その時だった)

 

?「そこまでよ」

 

センチピードO「あなたは…」

 

サヤ「…」

 

マコ「サヤちゃん?」

 

マキ「サヤ!?」

 

マキ(お腹に大きなベルトを巻いたサヤは…左手で持っていた携帯電話に『5』のキーを三回押した後に『ENTER』キーを押した)

 

『Standing By』

 

サヤ「…変身」

 

『Complete』

 

マキ(携帯電話をベルトに差し込んだサヤは…赤い光に包まれながら、仮面の戦士に変身した)

 

ファイズ「…」

 

マコ「サヤちゃんが…」

 

センチピードO「ファイズ!?」

 

ロブスターO「そう、あなただったのね…」

 

ファイズ「…!」ダッ

 

マキ(ファイズは…三体のオルフェノクに向かっていった)

 

 

 

ツカサ(創才公園にやってきたオレは…ファイズとオルフェノクの戦いを目の当たりにした)

 

ツカサ「これは一体…マキ、マコ!」ダッ

 

ツカサ(オレは近くにいたマキとマコのもとに駆け寄った)

 

マキ「あなたは…」

 

ツカサ「あのファイズは…?」

 

マコ「…サヤちゃん、だったの」

 

ツカサ「サヤが…?」

 

ツカサ(驚いた、まさか彼女がファイズになってオルフェノクを倒していたとは…)

 

ツカサ(だが…三人のラッキークローバーとの戦いは、明らかに一人で戦うファイズの方が不利だった)

 

ツカサ(センチピードオルフェノクが鞭、ロブスターオルフェノクがサーベルを使って…徐々にファイズに追い詰めていく)

 

ファイズ「グッ…!」

 

ロブスターO「あらあら、どうしたの?」

 

センチピードO「その程度ですか…ファイズ」

 

ツカサ「させるか!」ダッ

 

『カメンライド…ディケイド!』

 

マコ「ツカサくんも変身した!?」

 

マキ「…!」

 

ディケイド(変身したオレはファイズのもとへ駆け寄ろうとするが…)

 

ドラゴンO「…君の相手は僕だよ」

 

ディケイド「なっ…邪魔をするな!」

 

ディケイド(ドラゴンオルフェノクがオレの行く手を阻む)

 

ファイズ「!…ウワッ!?」

 

ディケイド(二体のオルフェノクの連携で、ファイズドライバーとファイズの身体が分離し…ファイズはサヤに戻ってしまった)

 

サヤ「ウッ…」ドサッ

 

マコ「サヤちゃん!」

 

ロブスターO「哀れね…これで終わりよ」

 

ディケイド(ロブスターオルフェノクのサーベルがサヤの身体を貫こうとした時…タイガーオルフェノクが間に割って入ってきた)

 

タイガーO「…待て」

 

ロブスターO「あら、モモセくん」

 

タイガーO「サワダサヤ…君の本当の狙いは我々ではなく、キクチマコだろう?」

 

マコ「…えっ?」

 

サヤ「…」

 

タイガーO「君は我々に負けた…早く彼女を連れて、消えてよ」

 

サヤ「…ッ!」ダッ

 

ディケイド(タイガーオルフェノクに睨まれ、圧倒されたサヤはマコのもとへ走って行く)

 

ディケイド「くっ…そこをどけ!」

 

ドラゴンO「どかない」

 

サヤ「…」

 

マコ「サヤちゃんが…ファイズだったなんて」

 

マキ「…マコちゃん、サヤから離れて」

 

マコ「へっ?」

 

サヤ「マコちゃん…あなたは私のことを助けてくれた」

 

サヤ「だから今度は…私があなたを助ける番だよ」

 

ディケイド(サヤは不気味に笑うと…今度はスパイダーオルフェノクに変化した)

 

マキ「!」

 

マコ「ウソ…サヤちゃんが、オルフェノク?」

 

スパイダーO「マコちゃん、おいで…私と一緒に二人だけの世界を作ろう?」

 

マキ「待って!」

 

スパイダーO「…どいて」

 

ディケイド(スパイダーオルフェノクは糸をマキに吐いて巻き付け、マキの動きを止めた)

 

マキ「うっ…!」ドサッ

 

マコ「マキちゃん!?」

 

ディケイド「マキ!」

 

ドラゴンO「イヤだなぁ…よそ見しないでよ」ドガッ!

 

ディケイド(ドラゴンオルフェノクの一撃がオレに重くのしかかる)

 

ディケイド「うわっ!」

 

スパイダーO「ねぇ、一緒に生きよう…?」

 

マコ「…いや」

 

スパイダーO「私達だけの…二人だけの世界で」

 

マコ「いやぁぁぁぁぁ!!」

 

マキ「マコちゃん!」

 

ディケイド(突然、マキの身体が光り出すと…マキはスパイダーオルフェノクの糸を引きちぎった)

 

マキ「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

ディケイド「まさか…!」

 

ディケイド(なんとマキは…ウルフオルフェノクに変化した)

 

ウルフO「…」

 

マコ「マキちゃん…!?」

 

スパイダーO「…あなたもオルフェノクだったのね」

 

ウルフO「今はそんなこと…どうだっていいわ」

 

ウルフO「マコちゃんから、離れて!」ダッ

 

ディケイド(ウルフオルフェノクはマコを守る為に…スパイダーオルフェノクと激しい戦闘を繰り広げようとしていた)

 

ウルフO「はっ!」ガッ!

 

スパイダーO「…ヤァッ!」ゴッ!

 

ディケイド(その隙にセンチピードオルフェノクが転がっていたファイズドライバーを回収しようとしていた)

 

センチピードO「ファイズドライバーは…今から私のものです」

 

?「あら、それはどうかしらね?」

 

センチピードO「!?」

 

『アタックライド…ブラスト!』

 

ガガガッ!

 

ディケイド(センチピードオルフェノクを攻撃していたのは…ディエンドだった)

 

センチピードO「ウグッ!」

 

ディケイド(ディエンドはファイズドライバーを拾うと、こう言った)

 

ディエンド「これは大切なものなの…あなた達みたいな野蛮なオルフェノクに渡すつもりはないわ」

 

ロブスターO「あなた…!」

 

ディエンド「はっ!」ガガッ!

 

ディケイド(ディエンドはロブスターオルフェノクやドラゴンオルフェノクにも発砲し、オレに近づく)

 

ディエンド「さて…今のうちに逃げましょう?」

 

ディケイド「はぁ!?」

 

ディエンド「ファイズギアがこっちの手にあれば…いつでも反撃できるわ」

 

ディケイド「それどころじゃないだろ!?」

 

ディエンド「それどころだから言ってるのよ…他は私だけでも何とかなるけど、あのタイガーオルフェノクは強敵よ?」

 

ディケイド「しかし、マキが…」

 

キャー!

 

ディケイド「!?」クルッ

 

ディケイド(オレが振り向くと、ウルフオルフェノクは倒れ…マキに戻っていた)

 

マキ「ぐっ…」

 

ディケイド「マキ!」

 

マコ「助けて…助けて!」

 

スパイダーO「マコちゃん、もう離さないからね…ハッ!」

 

ディケイド(スパイダーオルフェノクはマコを捕まえて、どこかに行ってしまった)

 

イヤァァァ…

 

ディケイド「マコ!」

 

ディケイド(オレはマコを追おうとするが、四体のオルフェノクが行く手を阻んでいる為に追う事は出来なかった…)




Open your eyes for the next μ's!

「もうファイズはいない…オルフェノクの力を思い知らせる」

「マキはただ…自分にとって大切なものを守ろうとしただけだ!」

「スクールアイドル、頑張るんだって決めたから」

第11話『真の守り姫』
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