9つの道はいつか重なって   作:まーけたー

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~これまでの仮面ライダー×ラブライブ!は~

雪穂「ディケイド…!」

亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」

ツカサ「…ファイズの世界か」

ツバサ「あなた達には…学校にいるμ'sメンバーに接触してほしいの」

雪穂「ラッキー…クローバー?」

タイガーオルフェノク「オルフェノクは、やがて人類を支配する」

亜里沙「マキさんがファイズじゃないの?」

マキ「イミ分かんない…」

サヤ「…変身」

スパイダーオルフェノク「一緒に生きよう?」

マコ「いやぁぁぁぁぁ!!」

ウルフオルフェノク「マコちゃんから、離れて!」


第11話『真の守り姫』

マキ(マコちゃんと初めて話したのは…中学三年のある夏の日のこと)

 

マコ「マキちゃんってスマートブレインハイスクールに行くって本当?」

 

マキ「うん、パ…」

 

マコ「…パ?」

 

マキ「その…父親に言われて仕方なく、なんだけど」

 

マコ「そうなんだ、じゃあ…私と一緒だね!」

 

マキ(マコちゃんはクラスで唯一、私のことを最初から名前で呼んでくれた)

 

マキ(話したのはそれが初めてのはずなのに、当たり前のように話しかけてきた彼女はどこか天然な感じで)

 

マキ(いつもクラスで少し遠巻きにされている私の立ち位置なんて、全く気がついていない様子だった)

 

マキ(そのせいか…今まで他人には興味がなかったはずの私は、思わず彼女にこう聞き返していた)

 

マキ「えっ、そうなの…?」

 

マコ「うん!私の家って小さいクリーニング屋さんだからあまりお金ないんだけど…お試しで試験受けたら合格しちゃって」エヘヘ

 

マキ「そう…」

 

マコ「高校でもよろしくね!」ニコッ

 

マキ「…ええ」フフッ

 

マキ(マコちゃんは無邪気で能天気で…いつもあまり考えてないように見えた)

 

マキ(成績もそんなに良い方じゃなかったみたいだし、クラスの中で目立つ方でもないみたいで…)

 

マキ(常に笑顔で、どこか不器用な所があって…損得とかに疎くて)

 

マキ(いつもクラスで人を遠ざけてた私に近づいてくるなんて、どう考えても変だった)

 

マキ(だから、一度だけ…私は彼女に言ったことがあるの)

 

マキ「キクチさん…私と一緒にいると、変な風に見られるんじゃない?」

 

マキ(でも…それに対する彼女の返事は、私にとって意外なものだった)

 

マコ「マコでいいよ?」

 

マキ「…えっ?」

 

マコ「キクチさんじゃなくて、マコって呼んでよ!」

 

マキ「えぇっ!?」

 

マコ「私…マキちゃんと友達になりたい!」

 

マキ「と、友達…?」

 

マコ「うん!」

 

マキ(私は…心のどこかで、こんな出会いを待っていたのかもしれない)

 

マキ(私みたいな性格の女の子にはずっと叶わないことだと思っていた…心からの友達と出会える、こんな日を)

 

マキ(少しずつ心を開いた私は…マコちゃんと次第に仲良くなっていった)

 

マキ(そして冬のある日…マコちゃんは私にこんなことを話してくれた)

 

マコ「私ね…高校に入ったらスクールアイドルになろうと思ってるの」

 

マキ「スクールアイドル?」

 

マコ「うん!」

 

マキ「最近、人気になってるっていう…?」

 

マコ「そうだよ!学校のために歌ったり踊ったりして、キラキラしてて…」

 

マコ「私もあんなことしてみたいなって、思ったの!」

 

マキ「へぇ…」

 

マコ「でも、私だけじゃ難しいかな…」

 

マキ「どうして?」

 

マコ「ほら…私、地味だから」エヘヘ

 

マキ「…!」

 

マキ(私は…マコちゃんの背中を押すために、こう言った)

 

マキ「…やってみたい気持ちがあるなら、一人でもやってみた方がいいわ」

 

マコ「えっ…マキちゃん?」

 

マキ「スクールアイドル、やりたいんでしょ?」

 

マコ「でも…」

 

マキ「やりたいならやればいいじゃない、そしたら…作曲くらいはしてあげるから」

 

マコ「へっ?マキちゃん…作曲できるの!?」

 

マキ「ええ、小さい頃にピアノ教室通ってた時に課題でやったことあるから…」

 

マコ「そうだったんだ…」

 

マキ「だから…一緒にスクールアイドルするとかは無理だけど、作曲くらいなら出来るかなって」

 

マコ「…」

 

マキ「だってマコちゃんは私の…友達、なんだから」

 

ギュッ!

 

マキ「!」

 

マコ「嬉しいよ…ありがとう、マキちゃん!」ニコッ

 

マキ(マコちゃんは両手で私の右手を握り、満面の笑顔でそう言った)

 

マキ(その時、私はこう決めたの)

 

マキ(私が…彼女の夢を守るんだって)

 

 

 

~世界の破壊者、ディケイド…9つの世界を巡り、その瞳は何を見る?~

 

 

 

『アタックライド…ブラスト!』

 

ディケイド「はっ!」ガガッ

 

ディケイド(オレとディエンドはそれぞれの銃でラッキークローバーを牽制しながら、マキの所へ駆け寄った)

 

ディケイド「マキ!大丈夫か?」

 

マキ「私は何とか…でも、マコちゃんが」

 

ディエンド「とりあえず…ここは一旦退きましょう」

 

ディケイド(ディエンドは一枚のカードをディエンドライバーに装填し、発砲した)

 

『アタックライド…インビジブル!』

 

ディケイド(オレ達はディエンドのインビジブルの効果で、ラッキークローバーのもとから姿を消した)

 

ドラゴンO「あ~あ、消えちゃった…」

 

センチピードO「探しますか?」

 

タイガーO「いや…その必要はない」

 

ロブスターO「そうね…邪魔者のファイズもいなくなったし、後は私達の目的を果たすだけね」

 

タイガーO「…ああ」

 

 

 

ツカサ(写真館に戻ったオレは…撮影スタジオのある部屋でマキの傷の手当てをしていた)

 

ツカサ「やけに擦りむいた場所が多いな…もしかして、ラッキークローバーにやられたのか?」

 

マキ「…あなたのせいよ」

 

ツカサ「はぁ?」

 

マキ「とにかくもうどいて、私はマコちゃんを…っ!」ズキッ

 

ツカサ「その怪我で行くのか?」

 

マキ「当たり前でしょ!?だって、マコちゃんは私の…」

 

ツカサ「友達、なんだろ?」

 

マキ「!」

 

ツカサ「だったら…ほんの少しで良い、ここで休んでから行け」

 

マキ「でも、早くしないと…」

 

ツカサ「おそらくサヤは…下手な事でもして興奮しない限り、マコの命は奪わない」

 

マキ「あなたねぇ…どうしてそんな悠長なことが言えるの!?」

 

ツカサ「…分かるんだ」

 

マキ「何がよ?」

 

ツカサ「かなり歪んではいるが…アイツもアンタも同じ、マコの事を大切な友達だと思っている」

 

マキ「…!」

 

ツカサ「とにかく…まずは傷の手当てが最優先事項だ」

 

マキ「…」

 

ツカサ「もうこんな遅い時間だしな…この手当てが終わったら少し休め、良いな?」

 

マキ「…」コクリ

 

 

 

亜里沙「ふわぁ…おはよ~」ガチャ

 

マキ「…」スヤスヤ…

 

亜里沙「あれ、なんでマキさんがここに?」

 

雪穂「どうしたの亜里沙…えっ、マキさん?」

 

ツカサ「よう」

 

雪穂「ツカサ…ってどうしたの、そのクマ!?」

 

亜里沙「もしかして…寝てないの?」

 

ツカサ「オレが寝てしまったら…マキが勝手に写真館から出ていくと思ったからな」

 

雪穂「どうしてまたそんな…?」

 

ツカサ「そうだな、お前達には…ちゃんと話をしないといけないな」

 

ツカサ(オレは…雪穂と亜里沙に創才公園で見た出来事を詳しく説明していた)

 

雪穂「そんな、マキさんが…」

 

亜里沙「オルフェノクだったなんて…!」

 

ツカサ「ああ…ファイズに変身したサヤもオルフェノクだった」

 

雪穂「サヤさん…マコさんを連れ出して、どこかに行っちゃったんでしょ?」

 

ツカサ「そうだ」

 

亜里沙「マコさん、大丈夫なのかな…?」

 

ガタッ

 

雪穂「えっ?…あっ」

 

ツカサ(それまで椅子に座って寝ていたはずのマキが突然、立ち上がり…写真館を出て行こうとする)

 

亜里沙「マキさん…!」

 

マキ「…」スタスタ

 

雪穂「ま、待ってください!」

 

マキ「何よ…あなた、私が怖くないの?」

 

雪穂「…!」

 

マキ「私はオルフェノクなのよ?」

 

ツカサ(マキのその一言でしばらく沈黙が流れたが…雪穂はこう返した)

 

雪穂「…それでも私は、マキさんを信じたい」

 

マキ「…あなた」

 

雪穂「マキさんはオルフェノクの姿になってまで、マコさんを助けようとしたんですよね?」

 

雪穂「だったら、マキさんは…私達が知ってる真姫さんと同じです」

 

雪穂「だから、怖くありません」

 

マキ「なっ…あなた、私の何を知ってるというの?」

 

雪穂「もちろん、全部を知ってるわけじゃありません…」

 

雪穂「でも…私達の知ってる真姫さんは、不器用で素直じゃないけど優しい人だってことだけは知ってます」

 

マキ「あなた達の知ってる私…?」

 

亜里沙「…」ギュッ

 

マキ「!?」

 

ツカサ(亜里沙は…両手でマキの右手を握っていた)

 

マキ「あなたまで…何のつもり?」

 

亜里沙「私もマキさんのこと、怖くないです!」

 

マキ「…!」

 

亜里沙「だってマキさんは…マキさんだから!」

 

マキ「私は、私だから…?」

 

ツカサ「マキ…一つ、聞いていいか?」

 

マキ「何?」

 

ツカサ「アンタがオルフェノクとして覚醒したのも、誰かを守る為…だったんだろ?」

 

雪穂「えっ…?」

 

マキ「…中学を卒業する少し前のことよ」

 

マキ「その日は校舎が火事になって…マコちゃんだけ逃げ遅れたの」

 

ツカサ「…まさか」

 

マキ「そう…私はマコちゃんを助けようと、自分から燃え盛る校舎の中に入っていったの」

 

マキ「その結果…私はマコちゃんを助けることが出来た」

 

ツカサ「しかし…代わりにアンタは、命を落としてしまった」

 

雪穂「じゃあ、マキさんがオルフェノクになったのは…その時に?」

 

マキ「…私はどうしても、初めて友達になってくれた彼女の夢を守りたかったの」

 

マキ「だって、今の私には…夢なんてないんだもの」

 

雪穂「…」

 

亜里沙「…」

 

ツカサ「知ってるか?」

 

マキ「え?」

 

ツカサ「夢を持つとな…時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる…らしいぜ」

 

マキ「?…何よそれ、イミわかんない」

 

ツカサ「だろうな…だが、今はそれでいい」

 

ガチャ

 

ツカサ(その瞬間、部屋に入ってきたのは…)

 

亜里沙「ツバサさん!」

 

ツバサ「スパイダーオルフェノクの居場所が分かったわ…流星の森よ」

 

マキ「!」

 

ツカサ「…行くぞ」

 

マキ「言われなくても、当然よ」

 

ツバサ「ちょっと待って…これをあなたにあげる」

 

ツカサ(ツバサはファイズギアが入ったケースをマキに渡した)

 

マキ「これ、サヤの…」

 

ツバサ「彼女以外でもオルフェノクなら誰でも変身できるけど…これは今、あなたが持つべきものよ」

 

マキ「私が?」

 

ツバサ「ええ、あなたが夢を守る為に必要な…とても大切なお宝よ」

 

マキ「夢を、守る…分かったわ」

 

ツカサ(マキはツバサからファイズギアが入ったケースを受け取った)

 

ツカサ「…よし、行ってくる」

 

亜里沙「行ってらっしゃい!」

 

雪穂「…行ってらっしゃい」

 

ツカサ(オレはマキと一緒に、写真館を後にした…)

 

 

 

ツカサ(オレは確かに写真館を出た…はずだった)

 

ツカサ「何でサッカースタジアムなんかに…?」

 

?「ここは…世界の狭間だよ」

 

ツカサ(オレは声のする方向を見た)

 

ツカサ(顔は日射しで隠れてよく見えなかったが…そこには見覚えのある人物がいた)

 

ツカサ「お前は…ナルタキか?」

 

ナルタキ「やあ…久しぶりだね、ディケイド」

 

ツカサ「わざわざオレをこんな所に呼び出して…一体、何の用だ?」

 

ナルタキ「もちろん、決まっている…君を消す為だよ」

 

ツカサ(ナルタキはそう言って、オーロラから一人のライダーを召喚した)

 

カイザ「邪魔なんだよ…俺の思い通りにならない奴は全て!」

 

ツカサ「!…またこうなるのか」ハァ

 

ガガッ!

 

ツカサ(オレはバックルを装着しようとするが…カイザがカイザブレイガンを発砲し、バックルを弾き飛ばしてしまった)

 

ツカサ「なっ…何すんだ!?」

 

カイザ「良くないなぁ…こういうのは」

 

ツカサ(カイザはカイザブレイガンをソードモードに変形させ、オレを斬りつけようと接近してくる)

 

カイザ「はぁっ!」ブンッ

 

 

 

マコ「んっ…」パチ

 

マコ「ここは…森?」

 

?「マコちゃん、目が覚めた?」

 

マコ「サ、サヤちゃん…!」

 

マコ「?…何、これ!?」

 

サヤ「逃げようとしても無駄だよ…マコちゃんは私が作った愛の巣で、ずっと私と一緒に暮らすの」

 

マコ「どうして、こんなことを…?」

 

サヤ「…私はスマートブレインハイスクールに入学してすぐ、事故で命を落とした」

 

サヤ「それから私はすぐに…オルフェノクとして覚醒した」

 

サヤ「その時、私は誓ったの…人間とオルフェノクが一緒に暮らせる世界を作ろうって」

 

マコ「だったら、何もこんなことしなくたって…」

 

サヤ「でもね…それは絶対に叶うはずのない夢だったの」

 

マコ「えっ…?」

 

サヤ「ねえ、知ってる?夢っていうのは呪いと同じなの…呪いを解くには夢を叶えるしかない」

 

サヤ「でもね?途中で夢を挫折した者は、一生呪われたまま…なんだって」

 

マコ「…サヤちゃん」

 

サヤ「家族も仲の良かった同級生も、私を気味悪がって…仲間外れにしようとした」

 

サヤ「私は…そんな人間共を皆、灰にしてあげたわ」

 

マコ「そんな…!」

 

サヤ「でも、マコちゃんだけは一人ぼっちだった私に手を差しのべてくれた…」

 

サヤ「だから私は、そんな優しいマコちゃんのことが好きになっちゃったの…」

 

マコ「…」

 

サヤ「そんな時、私は偶然…ファイズのベルトを拾った」

 

サヤ「いつしか私は、マコちゃんを襲うかもしれないオルフェノクを次々と倒してた…」

 

サヤ「だけど…あのラッキークローバーに負けて、分かったの」

 

サヤ「私は…マコちゃんといられたら、それで良いんだって」

 

サヤ「だから、ずっと私と一緒にいよう…マコちゃん?」

 

マコ「…」ツー…

 

サヤ「マコちゃん、泣いてる…嬉しいの?」

 

サヤ「私も嬉しい…マコちゃん、ずっと一緒にいよう?」

 

?「待ちなさい」ザッ

 

サヤ「…?」

 

マコ「…マキ、ちゃん?」

 

マキ(私を警戒し、サヤはスパイダーオルフェノクに変化した)

 

スパイダーO「あなた…また私とマコちゃんの邪魔をするつもり?」

 

マキ「ねえ…知ってる?」

 

スパイダーO「…?」

 

マキ「夢を持つとね…時々すっごく切なくなるけど、時々すっごく熱くなる…らしいわ」

 

スパイダーO「あなた、一体何を…」

 

マキ「私には夢がない…でも」

 

マキ(私は右手に持っていたファイズフォンの『5』キーを三回押し、最後に『ENTER』キーを入力した)

 

マキ「夢を守ることくらいならできる!」

 

『Standing By』

 

マキ「変身!」

 

『Complete』

 

マキ(ファイズフォンをお腹に巻いていたドライバーに挿した瞬間、全身を赤い光が包み込み…私はファイズに変身した)

 

ファイズ「…」

 

マコ「マキちゃん!」

 

スパイダーO「ファイズ…!」

 

ファイズ「…はっ!」ダッ

 

ファイズ(手首を軽くスナップさせて…私はスパイダーオルフェノクを攻撃しようと走り出した)

 

ファイズ(マコちゃんの夢を、守るために…)

 

ファイズ(そして…サヤの目を、覚ますために)

 

 

 

ツカサ「うわっ!」サッ

 

ツカサ(変身できないオレはカイザの攻撃を避け続けるしかなかった)

 

カイザ「君の力はこの程度…という事で良いのかな?」

 

ツカサ「…くっ」

 

カイザ「終わりだっ!」ブンッ

 

ツカサ(早い…避けきれない!)

 

『カメンライド…デルタ!』

 

ガガガッ!

 

カイザ「!?」

 

ツカサ(次の瞬間、ディエンドが召喚したデルタが現れ…カイザを攻撃した)

 

ディエンド「お困りのようね?」

 

ツカサ「…!」

 

ナルタキ「やれやれ、また私の邪魔をするのか…」ハァ

 

ディエンド「あら…邪魔をしているのは、あなたの方でしょう?」

 

デルタ「俺に何が出来るか、分からないけれど…チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

ナルタキ「!?…カイザ!」

 

カイザ「くっ…!」

 

『Exceed Charge』

 

デルタ「やあぁぁぁっ!」

 

カイザ「でぇいやぁぁぁ!」

 

ツカサ(カイザとデルタはお互いの必殺技をぶつけ合い、消滅した)

 

ディエンド「さあ…今のうちに早く彼女の所へ向かいましょう?」

 

ツカサ(ディエンドはそう言ってバックルをオレに渡した)

 

ツカサ「…ああ」

 

『アタックライド…インビジブル!』

 

ツカサ(オレ達はディエンドのインビジブルの効果で姿を消した)

 

ナルタキ「あの小娘め…!」

 

 

 

ツカサ(オレとディエンドは写真館の前にいた)

 

ディエンド「ふぅ…何とか抜け出したわね」

 

ツカサ「…礼は言わないぞ?」

 

ディエンド「別にそんなのは求めてないわ…さて、このお宝も早く彼女に届けないとね」

 

ツカサ(ディエンドは近くにあったバイクを指差した)

 

ツカサ「アレは…オートバジン!」

 

ディエンド「途中までこれに乗って行きましょう?」

 

ツカサ「アンタ…免許持ってるのか?」  

 

ディエンド「もちろん、嗜みってヤツよ」

 

ツカサ「そんな嗜み、聞いた事ないが…」

 

ディエンド「とにかく急ぎましょう…乗って」

 

ツカサ(オレが後ろに乗った事を確認して、ディエンドはオートバジンで流星の森に向かった…)

 

 

 

ファイズ(私はスパイダーオルフェノクと激しく戦っていた)

 

スパイダーO「フッ!」ガッ!

 

ファイズ「うっ…目を覚ましてサヤ!」ゴッ!

 

スパイダーO「目を覚ますも何も…私は正気よ!」ガッ!

 

ファイズ「違うわ!」

 

ファイズ「あなたは…嫌なことから都合良く逃げてるだけよ!」ゴッ!

 

スパイダーO「うるさい!」ガッ!

 

ファイズ「ううっ…」フラッ

 

スパイダーO「終わりよ!」

 

ガガッ!

 

スパイダーO「!?」

 

ファイズ(どこかからロボットが飛んでくると…私を援護するかのようにスパイダーオルフェノクを攻撃した)

 

オートバジン「…」

 

ファイズ「えぇっ!?あなた…私の味方なの?」

 

オートバジン「…」

 

ファイズ「何か言いなさいよ!」

 

オートバジン「…」

 

ファイズ「まあ良いわ…!」

 

ファイズ(私はロボットの姿を見て、あることを思いついた)

 

ファイズ「それ、貸して!」ポチッ

 

オートバジン「?」

 

ファイズ(私がロボットの胸にある大きなボタンを押すと…ロボットはバイクに変形した)  

 

ファイズ「えっと…こうね?」

 

ファイズ(私はバイクの左ハンドルグリップにファイズフォンのミッションメモリーを挿入して、引き抜いた)

 

『Ready』

 

ファイズ(引き抜いたグリップは…剣のような武器になった)

 

スパイダーO「どうして、私の邪魔をするの…?」

 

スパイダーO「どうして…ウワァァァァ!」ダッ

 

ファイズ(襲いかかろうとするスパイダーオルフェノクに対して…私はファイズフォンの『ENTER』キーを押した)

 

『Exceed Charge』

 

ファイズ「はぁっ!」

 

ファイズ(私は剣を振って、エネルギー波でスパイダーオルフェノクを拘束した)

 

スパイダーO「!?…身体が!」

 

ファイズ「はぁぁぁぁっ!」ダッ

 

ファイズ(私はスパイダーオルフェノクを斬りつけようと走った)

 

スパイダーO「…!」

 

ファイズ「…」ピタッ

 

スパイダーO「?…!?」

 

ファイズ(だけど…私はギリギリの所で剣を止めた)

 

ファイズ「…もう、勝負はついたわ」

 

スパイダーO「…」ドサッ

 

ファイズ(私と膝をついたスパイダーオルフェノクはお互い人間の姿に戻った)

 

サヤ「何で…私にトドメを刺さなかったの?」

 

マキ「…言ったでしょ、私は夢を守ることくらいなら出来るって」

 

マキ「もちろん、あなたの夢も…私は守るつもりよ」スタスタ

 

サヤ「!!」

 

マキ(私は蜘蛛の巣を取り除き、マコちゃんを助けた)

 

マキ「…はい、もう大丈夫よ」

 

マコ「マキちゃん…ありがとね」

 

マキ「怖くないの?私のことが…」

 

マコ「怖くないよ…だって私、あの時の火事に誰が助けてくれたのか思い出したから」

 

マキ「!」

 

マコ「あの時も…マキちゃんは私を助けてくれたでしょ?」

 

マコ「だからマキちゃんは…マキちゃんだよ」ニコッ

 

マキ「…マコちゃん」

 

マキ(すると、ツカサがやってきた)

 

ツカサ「マキ、マコ!」ダダッ

 

マキ「…ツカサ」

 

ツカサ「遅れてすまなかった…しかしオートバジンのヤツ、急に変形しやがって」

 

マキ「オートバジン…あのロボットになるバイクのこと?」

 

オートバジン「…」

 

ツカサ「あいつは『用事を思い出した』とかって言って急にいなくなるし…全く、どこに行ったんだ?」ブツブツ…

 

マキ「まあ…別に気にしてないけど、ねえ?」

 

マコ「うん!」

 

ツカサ「それなら良いんだが…今日は学校休んで、家に帰るか?」

 

マキ「そうね…そうしましょうか」

 

マコ「じゃあ、サヤちゃんも一緒に…あれ?」

 

マキ「いない…?」

 

マコ「サヤちゃん、先に帰っちゃったのかな…」

 

~♪

 

ツカサ「!」

 

マキ(その時、ツカサの携帯が鳴った)

 

ツカサ「…雪穂?」

 

 

 

雪穂(私と亜里沙は…この世界の情報収集をするために、今日もスマートブレインハイスクールに登校していた)

 

生徒A「ねえ、西木野さんやサワダさんがオルフェノクだったって本当…?」

 

生徒B「本当らしいよ…私の友達が部活から帰ってた時に見たんだって」

 

生徒C「えぇ…オルフェノクとか気味悪くない?」

 

雪穂(どうやら昨日の戦いを目撃した人がいたらしく、学校中がその話題で持ちきりだった)

 

亜里沙「…みんな、ひどい」

 

亜里沙「マキさんは、マキさんなのに…」

 

雪穂「亜里沙…」

 

ギュッ

 

雪穂(私は亜里沙の手を握った)

 

雪穂「今はこんなことになっちゃってるけど、せめて私達だけでも…マキさんを信じよう?」

 

亜里沙「…うん」

 

?「見~つけたっ」

 

雪穂(私達が振り向くと、そこにはキタザキさんとカゲヤマさんがいた)

 

雪穂「…!」

 

カゲヤマ「あなた達、確かディケイドのお友達だったわよね?」

 

雪穂「だったら、何ですか?」

 

カゲヤマ「…あなた達には、消えてもらおうと思ってるの」ニヤッ

 

亜里沙「!」ビクッ

 

雪穂「大丈夫だよ、亜里沙」

 

亜里沙「雪穂…」

 

雪穂(私は怯まずにこう返した)

 

雪穂「…そんなこと、言っていいんですか?」

 

カゲヤマ「あら、どうして?」

 

雪穂「ここでオルフェノクになったら、ラッキークローバーとして活動できなくなっちゃうんじゃないですか?」

 

カゲヤマ「フフッ、その必要はないわ」

 

雪穂「?」

 

カゲヤマ「だって…」

 

ドサッ

 

雪穂「えっ…!?」

 

センチピードO「フフフ…」

 

亜里沙「ウソ…!」

 

サアァ…

 

雪穂(私達が後ろを振り返ると…一体のオルフェノクが先ほどまで噂話をしていた三人の生徒を灰にしていた)

 

カゲヤマ「もうラッキークローバーは…スクールアイドルなんてふざけたお遊びはやらないもの」

 

雪穂「…逃げるよ、亜里沙!」ダダッ

 

亜里沙「雪穂…うん!」ダッ

 

雪穂(私は握っていた亜里沙の手をそのまま引っ張り、逃げ出した)

 

雪穂「そうだ、ツカサを呼ばなきゃ…!」ハァハァ

 

雪穂(亜里沙と手を繋いで逃げていた私は…もう片方の手で携帯を取り出して、ツカサに電話した)

 

雪穂「…もしもしツカサ!?オルフェノクが!」

 

 

 

センチピードO「フフフ…」

 

ロブスターO「フフッ…」

 

生徒D「きゃあぁぁぁ!」

 

モモセ「もうファイズはいない…今まで我々を排除し、追放してきた人間達にオルフェノクの力を思い知らせる」

 

生徒E「助けてぇぇぇ!」

 

ドラゴンO「アハハッ…」

 

モモセ「運が良ければ、我々と同じオルフェノクになれる…」

 

?「ふざけないで!」

 

モモセ「!?」

 

ガガガッ!

 

センチピードO「グッ…」

 

ロブスターO「アレは…!?」

 

オートバジン「…」

 

マキ「オートバジン…ありがと、後は私達でやるわ」

 

ツカサ(マキはオートバジンをバイクに変形させた)

 

モモセ「また君達か…」

 

ツカサ(モモセはタイガーオルフェノクに変化した)

 

タイガーO「西木野さん…君は俺が怖くないのか?」

 

マキ「…怖いに決まってるじゃない」

 

タイガーO「だったら…」

 

マキ「でも、私はもう迷わない」

 

タイガーO「…何?」

 

マキ「こんな所で、止まってられない!」

 

マキ「迷ってるうちに誰かの夢が消えてなくなるのなら…例え戦うことが罪だとしても、私はその罪を背負う!」

 

マキ「だから、私は人の夢を奪うオルフェノクと戦う…人間として!ファイズとして!!」

 

タイガーO「…バカなことを」

 

ツカサ「バカなことを言っているのはお前の方だ」

 

タイガーO「フン…裏切り者のオルフェノクを庇うつもり?」

 

ツカサ「オルフェノクだ人間だなんてものは関係ない」

 

ツカサ「マキはただ…自分にとって大切なものを守ろうとしただけだ!」

 

ロブスターO「そんなちっぽけな…」

 

ツカサ「ちっぽけだから、守らなくちゃいけないんだろ!」

 

タイガーO「君…一体、何者?」

 

ツカサ「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ!」

 

ツカサ(オレとマキはそれぞれのベルトを装着した)

 

ツカサ(オレは一枚のカードをバックルに装填し、マキはファイズフォンの『5』キーを三回押した後に『ENTER』キーを入力する)

 

『カメンライド…』

 

『Standing By』

 

ツカサ「変身!」

 

マキ「変身!」

 

『ディケイド!』

 

『Complete』

 

ツカサ(オレ達はディケイドとファイズに変身した)

 

 

 

ディケイド「…行くぞ!」ダッ

 

ファイズ「ええ!」ダッ

 

タイガーO「裏切り者のオルフェノクと得体の知れない人間がたった二人で我々を相手にするというのか…」

 

ドラゴンO「じゃあ、僕が行くよ…ハッ!」

 

ファイズ(ドラゴンオルフェノクは…私達に雷を落としてきた)

 

ディケイド「うおぉぉぉっ!」

 

ファイズ「はぁぁぁぁっ!」

 

ファイズ(私達は攻撃を受けても…ドラゴンオルフェノクに向かって走っていく)

 

ドラゴンO「何!?」

 

『Ready』

 

ファイズ(私は右腰からファイズポインターを取り出して、ミッションメモリーをセットする)

 

ファイズ(ディケイドは一枚のカードをバックルに入れ、ベルトのファイズフォンを開いた私は『ENTER』キーを押した)

 

『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディケイド!』

 

『Exceed Charge』

 

ファイズ(ディケイドと私は飛び上がり…ファイズポインターから放たれた円錐形の赤い光がドラゴンオルフェノクを拘束した)

 

ドラゴンオルフェノク「グッ!?」

 

ディケイド「やぁーっ!」

 

ファイズ「はぁっ!」

 

ファイズ(私達はドラゴンオルフェノクに…それぞれの技を浴びせた)

 

ドラゴンオルフェノク「ウワァァァァ!!」サアァ…

 

ファイズ(私達の技を受けたドラゴンオルフェノクは…身体に青白い炎と『Φ』の字を浮かべながら灰と化し、崩れ去っていった)

 

センチピードO「キタザキさん!」

 

ロブスターO「モモセくん…こうなったら」

 

タイガーO「ああ、分かってる」

 

ファイズ(すると、残りの三人は合体し…青い大きな火の玉となって浮遊しながら私達を攻撃してきた)

 

ボウッ!

 

ディケイド「熱っ!」

 

ファイズ「うっ…!」

 

タイガーO「これで…終わりだぁぁぁぁ!」

 

ファイズ(さすがに耐え切れない…と思った、その時だった)

 

?「マキちゃん!」

 

ファイズ「マコちゃん…どうして!?」

 

ファイズ(そこには雪穂ちゃん達と一緒にいるマコちゃんの姿があった)

 

マコ「ごめん、心配になってつい…」

 

タイガーO「こうなったら、先に人間共から始末してやる…ハッ!」

 

亜里沙「あの火の玉…こっちに来てる!」

 

雪穂「あっ…!」

 

ファイズ(青い火の玉はマコちゃん達のもとへ向かっていった)

 

ファイズ「マコちゃん!?」

 

ディケイド「雪穂、亜里沙!!」

 

ファイズ(ダメ…火の玉に追いつけない!)

 

雪穂「うわぁっ!…えっ?」

 

亜里沙「あれ…?」

 

マコ「…サヤ、ちゃん?」

 

ファイズ(そこにはスパイダーオルフェノクに変化したサヤが火の玉を全身で受け止めて掴んでいた)

 

スパイダーO「ウッ…!」

 

タイガーO「そんなバカな…いくらオルフェノクでも、この火の玉に触れると消えてなくなってしまうはずなのに!」

 

マコ「…助けてくれるの?」

 

スパイダーO「…」コクリ

 

ファイズ(静かに頷いたスパイダーオルフェノクを見て、マコちゃんは泣いていた)

 

ファイズ(私はそんなマコちゃんにあることを聞いた)

 

ファイズ「マコちゃん!あなた…ファイズは闇や光をどうこうとか言ってたわよね?」

 

マコ「…闇を切り…、光を…らす」ボソッ

 

ファイズ「聞こえない!」

 

マコ「…闇を切り裂き!光をもたらすの!!」

 

ファイズ「…全くキツいわね、あなたのその期待に応えるのは!」

 

ファイズ(でも私は…こんな所で倒れる訳にはいかない)

 

ファイズ(友達の夢を、皆の夢を…私は守りたい)

 

ファイズ(だから、私は…)

 

ファイズ「絶対に…諦めない!」

 

 

 

ディケイド(ファイズがそう言うと、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出してきた)

 

ディケイド(それらを掴んだオレはカードにファイズの力が宿ったことを確認した)

 

ディケイド「そうだ…サヤ、その火の玉をこっちに投げろ!」

 

ファイズ「なっ…あなた、何するつもりなのよ!?」

 

ディケイド「良い方法がある」

 

スパイダーO「!…ハァァァァッ!!」ブンッ

 

ディケイド(指示通り、スパイダーオルフェノクはこちらへ向かって火の玉を投げた)

 

タイガーO「何ッ!?」

 

ディケイド(オレはその中から一枚のカードをディケイドライバーに装填し…ファイズの後ろに回り込んだ)

 

『ファイナルフォームライド…ファ・ファ・ファ・ファイズ!』

 

ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」

 

ファイズ「ま、待って!」

 

ディケイド(オレはファイズの背中を押した)

 

ディケイド(するとファイズは…ファイズブラスターに変形し、オレはそれを持ち上げた)

 

ディケイド「よっと…」

 

ファイズ「えぇっ!?何よこれ?」

 

ディケイド「オレとマキの力だ」

 

ファイズ「何それ…イミわかんない!」

 

ディケイド「分からなくて良い…一気に行くぞ!」バシュッ!

 

ディケイド(まずオレはファイズブラスターから赤いレーザーを照射し…火の玉の動きを止めた)

 

タイガーO「グアッ!」

 

ディケイド(次に…オレはもう一枚のカードをベルトに装填した)

 

『ファイナルアタックライド…ファ・ファ・ファ・ファイズ!』

 

ディケイド「…やあぁぁぁっ!」

 

ディケイド(そして最後に…ファイズブラスターから強力なフォトンブラッドのビームを火の玉に撃ち込んだ)

 

ディケイド(これは『DCDP(ディケイドフォトン)』…オレとファイズの技だ)

 

タイガーO「グワァァァ!!」サアァ…

 

ディケイド(火の玉ごと破壊されたタイガーオルフェノク達は…『Φ』の記号を浮かべながら灰になり、散っていった)

 

 

 

サヤ「…」

 

マコ「サヤちゃん…しっかりして、サヤちゃん!」

 

マキ「サヤ!」ダッ

 

ザッ

 

マキ(マコちゃんと倒れたサヤのもとへ走ろうとした私の行く手を阻んだのは…学校の生徒達だった)

 

マキ「…!」

 

生徒D「…西木野さん、あなたオルフェノクなんでしょ?」

 

生徒E「今まで私達を騙してたなんて…最低」

 

マキ「…」

 

生徒F「この学校から出てってよ!」

 

生徒D「そうよ、あなたみたいなのがいると迷惑なのよ!」

 

マコ「ち、違うよ!マキちゃんは私を助けようと…」

 

生徒E「キクチさんは黙ってて!」

 

マキ「…」

 

マキ(私は皆に…何も言い返せなかった)

 

マキ(このまま学校から出ていこう…私がそう思った次の瞬間、ツカサが私の横に立っていた)

 

ツカサ「…」

 

マキ「…ツカサ?」

 

ツカサ「…どけ」ボソッ

 

生徒D「は?」

 

ツカサ「どけ!!」

 

マキ(皆はツカサのあまりの剣幕に驚き、唖然としていた)

 

ツカサ「…マキの歩く道だ」

 

ツカサ「例えお前達でも…マキの邪魔をする事はオレが許さない!」

 

マキ「ツカサ…」

 

ツカサ「それに…マキはマキだ」

 

ツカサ「だから、そこを通せ…」

 

ツカサ「通さないヤツは…オレが全員、相手になってやる!」

 

生徒達「…」

 

マキ(ツカサがそう言うと…生徒の皆が少しずつ、道を開けてくれた)

 

ツカサ「ほら、行け」

 

マキ「…」コクリ

 

マキ「サヤ!」ダッ

 

マキ(私はマコちゃんとサヤのもとへ駆け寄った)

 

サヤ「マコちゃん、ヒドいことして…ごめんね?」

 

マコ「ううん…私の方こそ、怖がったりしてごめんね!」

 

サヤ「私、これからもマコちゃんがスクールアイドルやるの…応援する」

 

サヤ「だから…何があっても、学校を卒業するまでやめないでね?」

 

マコ「うん…約束するよ、サヤちゃん!」

 

サヤ「…西木野さん、あなたにもお願いがあるの」

 

マキ「何…?」

 

サヤ「私が出来なかったこと…あなたがやって?」

 

マキ「…分かったわ」

 

マキ「あなたの理想、私が継いでみせるわ」

 

サヤ「うん…ありがとう」ニコッ

 

マキ(サヤは微笑んだ後、そのまま目を閉じた)

 

マコ「サヤちゃん…?」

 

マキ「…マコちゃん、離れて」

 

マコ「…!」

 

マキ(マコちゃんが離れると、サヤは安らかに眠りながら青白い炎を身体中に放出した)

 

マコ「うっ…ううっ」グスッ

 

マキ(マコちゃんはしばらく、涙を流し続けていた)

 

マキ「…」

 

マキ(私は、燃えるサヤの身体をただずっと見つめていた…)

 

亜里沙「マキさん、マコさん…」

 

雪穂「サヤさん…笑ってたね」

 

ツカサ「…そうだな」

 

 

 

マキ(私は自宅に戻った)

 

ガチャ…

 

マキ「…ただいま」

 

?「マキちゃん!」ガバッ

 

マキ(私に抱き着いてきたのはママだった)

 

マキの母「公園に行ったきり、どれだけ待っても帰ってこなかったから…私もパパも心配してたのよ!?」

 

マキ「…ごめんなさい」

 

マキの母「こんな怪我までして…一体、何があったの?」

 

マキ「…」

 

マキ(私は一瞬…ためらいながらも、ママにあることを告げようと思った)

 

マキ「…ママ、実はお願いがあるの」

 

マキの母「お願い?」

 

マキ「あの…私ね!」

 

 

 

マキの母「それにしてもびっくりしたわね…まさか明日からは自転車で通学したいだなんて」

 

マキの母「…あら、パパったら寂しいの?」

 

マキの母「でも良いじゃない…マキちゃんもそれだけ、成長してきたっていうことよ」

 

マキの母「ええ、分かってるわ…」

 

マキの母「例え人間じゃなくなったとしても…あの子はあの子」

 

マキの母「もし、あの子が本当にやりたいことが見つかったら…私達は全力でそれを後押ししないとね」

 

マキの母「だってあの子は…マキちゃんは、私達の大事な一人娘なんだから」フフッ

 

 

 

ツカサ(翌日、オレはスマートブレインハイスクールの近くにいた)

 

ツカサ(朝のホームルームまではまだ十分、時間があるからか…今は誰も歩いていない様子だった)

 

ツカサ「…」スタスタ

 

チリンチリーン!

 

?「あ、危ない!」

 

ツカサ「!?…おわっ!」ドカッ!

 

ツカサ(オレは自転車に勢いよくぶつけられてしまった)

 

ツカサ「痛っ…おい!危ないだろ!?」

 

ツカサ(オレが自転車の方を振り返ると、そこにはマキがいた)

 

マキ「いたた…ごめんなさい、まだちゃんと止まれなくて」

 

ツカサ「…マキ?」

 

マキ「えぇっ!ツカサ!?」

 

ツカサ「アンタ…まさか、本当に自転車で通学してきたのか?」

 

マキ「あ、当たり前でしょ!私を誰だと思ってるのよ!?」

 

ツカサ「そうだな…真の夢の守り姫ってとこか?」

 

マキ「…気持ち悪い」

 

ツカサ「…オレも今、自分で言ってて全く同じ事を思った」

 

マキ「ふふっ…変なの」

 

ツカサ「…ひとまず、元気そうに登校しているみたいで安心した」

 

マキ「まあね…もちろんこれからも、この学校に通い続けるつもりよ?」

 

マキ「昨日は皆に色々言われちゃったけど…これからはマコちゃんだけじゃなくて、学校にいる皆の夢を守りたいって思ったの」

 

マキ「それが…サヤの理想を継ぐってことでもあるから」

 

ツカサ「…そうか」

 

マキ「あっ…それと私、夢が出来たの」

 

ツカサ「何だ?」

 

マキ「…誰にも言わないでよ?」

 

ツカサ「もちろんだ」

 

マキ「私…思ったことを素直に言える自分になりたいなって考えてて」

 

マキ「私って、いつも癖みたいに斜に構えちゃうから…でも気が付いたの」

 

マキ「素直になって、好きだって認めさえすれば…何よりも夢中になれるものが見つかるんじゃないかって」

 

ツカサ「…」

 

マキ「私は…それを見つけたい」

 

マキ「それが、今の私の夢よ」

 

ツカサ「そうか…良い夢だな」フフッ

 

マキ「ふふっ…あっ!」

 

ツカサ「どうした?」

 

マキ「良いメロディを思いついたの…こうしちゃいられないわ、早く音楽室に行かないと!」

 

ツカサ「またマコに新しい曲を作るのか?」

 

マキ「…いいえ」

 

ツカサ「じゃあ…一体、誰に?」

 

マキ「今日は…自分のためよ」

 

マキ「ピアノ、また本格的にやりたくなったの」フフッ

 

ツカサ「…なるほどな、だいたいわかった」フフッ

 

マキ「それじゃ…」

 

ツカサ(マキはそう言って、自転車を漕ぎ始める…が、少し進んだ後に一度立ち止まり振り返った)

 

マキ「ねぇ、ツカサ」

 

ツカサ「?」

 

マキ「…ありがとう」ニコッ

 

ツカサ「…ああ!」

 

マキ「じゃあね!」

 

ツカサ(自転車を漕ぐマキの背中を見送った後、オレは徐々に自分の身体が透けていくのを感じた)

 

ツカサ「…とりあえず、この世界でやるべき事は終わったらしい」

 

ツカサ「じゃあな…マキ」

 

ツカサ(オレの身体は消え、そのまま光写真館へと戻っていった)

 

 

 

~♪

 

マキ「…出来た」

 

パチパチパチ…

 

マキ「!…マコちゃん?」

 

マコ「おはよう、マキちゃん…スゴく良い曲だね」

 

マキ「あ、ありがとう…休まなくて大丈夫だったの?」

 

マコ「本当はまだ大丈夫じゃないけど…サヤちゃんのためにもスクールアイドル、頑張るんだって決めたから」

 

マキ「…そう」

 

?「ちーっす…」ガラッ

 

マキ「?」

 

?「えーっと、キクチマコっていうのは…アンタか?」

 

マコ「そうだけど…あなたは?」

 

?「アタシの名前はカイドウユカ、転校生だ」

 

マコ「転校生…?」

 

ユカ「前の学校ではスクールアイドルをやっていてな…この学校のスクールアイドルだっていうアンタと勝負をしに来た」

 

マコ「えっ…スクールアイドル?」

 

ユカ「ああ、最初はラッキークローバーってのに勝負を挑もうと思ったんだが…もういなくなったって別の生徒から聞いてな」

 

マコ「やったよマキちゃん…この子、私と一緒にスクールアイドルやってくれるんだって!」

 

マキ「えっ?」

 

ユカ「いや…どうしてそうなる!?」

 

マコ「よろしくね、ユカちゃん!」

 

ユカ「ちょっ…だから、そうじゃなくて!」

 

マキ「…良かったわね、マコちゃん」フフッ

 

マコ「うん!」

 

ユカ「ちゅーか…アンタ達、人の話聞けよ!?」

 

 

 

ツカサ(写真館へ戻った時は既に日が暮れていた為…オレは、雪穂達への晩飯を作っていた)

 

ツカサ「ほら、出来たぞ」

 

亜里沙「うわぁ~…!」

 

キバーラ「あら~、すっごく美味しそうじゃない♡」

 

ツカサ(今日の晩飯は炊き込みご飯、味噌汁、漬物、茶碗蒸し、焼き魚、筑前煮という献立だ)

 

雪穂「こんなにたくさん…良いの?」

 

ツカサ「ああ、遠慮しないで食べてくれ」

 

雪穂「じゃあ…いただきます」

 

亜里沙「いただきます!」

 

ツバサ「いただきます」

 

ツカサ「お前は少し遠慮しろ…というか、あれからどこに行ってたんだ?」

 

ツバサ「…」フーフー

 

ツカサ(ツバサは熱々の味噌汁を味わおうとしていた)

 

ツカサ「意地でも言わないつもりか…まあいい」ハァ

 

亜里沙「そういえばツカサ…今回撮った写真は?」

 

ツカサ「ああ…これだ」ピラッ

 

ツカサ(オレは写真を亜里沙と雪穂に見せた)

 

ツカサ(写真にはファイズギアのケースを持って背を向けているマキの後ろ姿とピアノを笑顔で弾いているマキが写っていた)

 

亜里沙「良い写真だね!」

 

ツカサ「まあ…今回も上の上ってとこだな」

 

雪穂「だから『上の上』って何なの…?」

 

亜里沙「じゃあ…これでもう、この世界は大丈夫そうだね!」

 

ツカサ「そうだな…ん?」

 

ツバサ「…」フーフー

 

ツカサ(ツバサはまだ味噌汁を冷まそうとしていた)

 

ツカサ「どうした、フーフーしてやろうか…?」

 

ツバサ「…結構よ」キッ

 

ツカサ「そう言うなって…ほら、オレがやってやる」

 

ツバサ「その必要はないわ!」ズズッ

 

ツカサ(強がるツバサは味噌汁を飲み始める…が、やはり彼女にはまだ熱いようだった)

 

ツバサ「!?…熱い」ボソッ

 

ツカサ「ほらな、だから言わんこっちゃない」

 

雪穂「ツバサさん…」

 

亜里沙「?」モグモグ

 

ツカサ(次の瞬間、オートバジンと青い蝶のイラストが描かれていた写真館の背景がまた別の背景に変わった)

 

亜里沙「これが次の世界…?」

 

ツカサ「…そうか、そういう事か」




次回、仮面ライダー×ラブライブ!

「ワームがいる世界ね」

「知ってるの?スクールアイドル…」

「オレになりすますのは十年早い」

「正義とは私自身、私が正義よ!」

第12話『もう一人の自分』

天の道を往き、総てを司る!

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