雪穂「ディケイド…!」
亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」
ツカサ「ここはカブトの世界だ」
擬態エリ「愚かな人類の歴史は終わり、私達ワームが新たな歴史を刻む時が来る…」
エリ「私もここまで、みたいね…」
ツカサ「大丈夫だ…オレがそばにいる」
ツカサ「この世に一人だけ、例え世界の全てを敵に回しても大切な人達を守るために戦う少女がいる!」
ツカサ「同じ顔をしているが、人を欺くだけのお前は…虫けら以下だ」
エリ「私の進化は光より速い、全宇宙の何者も…私の進化にはついてこられない」
フィロキセラワーム「ふざけるなぁぁぁ!!」
ディケイド「オレとエリの力だ」
エリ「ツカサ…大丈夫、私もそばにいる」
第14話『求めるもの』
(私は…ずっと地元しか知らないで生きてきた)
(小さい頃は大体、家の近くで遊んだり…)
(習い事もあまり長続きしなかったけど、全部ご近所さんだったし…)
(電車に乗る機会だって、学校が休みの日にお母さんにおねだりして映画を見せてもらいに行く時くらい)
(そんな、半径五百メートルくらいの小さな生活)
(だからかな?)
(ここで子どもの数が減り続けていて…人口減に悩んでるだなんて)
(そんな大変なことを私は全然、知らなかった)
(だから、私は地元の学校がいつまでもあるものだって…思い込んでた)
(地元の学校は建物も生徒も制服も、本当に普通だけど…私はその高校に入ることに対して強く憧れてた)
(地元の高校の制服を着た近所のお姉さん達が…楽しそうに笑い合いながら、学校に通っている)
(そんな光景を小さい頃からずっと見てたから、ただ単純に憧れてたんだと思う)
(特別な学校っていう訳じゃない、ただ普通の学校だから…私も普通に入れるはずの学校なんだけど)
(それはいつも自分の目の前にあって…でも、その時が来るまでは絶対に手の届かない)
(ドキドキするような未来)
(ずっと…憧れの学校だったんだ)
(テレビに出てくるようなちょっぴり派手な感じの『女子高生』とは少し違う…優しくて、楽しそうで)
(周りの人達からもどこか特別扱いされてるような、そんな『お姉さん』の一人に私もなりたかった)
(それくらい、私にとって…紺色の制服を着たお姉さん達が地元の一番の主役に見えた)
(今の私じゃお姉さんっていう感じは、あんまりしないかもだけど…それでも地元の学校に入れたのは嬉しかった)
(だから…今でも信じられない)
(それは高校二年生に進級した始業式の日のことだった)
(高校二年生って言ったら、新入学の一年も過ぎて受験もなくて…一番遊べる学年でしょ?)
(だから私は、少し浮かれた気分で学校に行ったの)
(そこで掲示板にひっそりと張り出されていたのは…『廃校』のお知らせ)
(今思い出しても、目を疑っちゃう…夢じゃないかと思うくらい)
(でも…本当のことだった)
(『廃校』…それは私の大好きな地元の学校が消えてなくなっちゃうってこと)
(ずっと当たり前に、私の生活の一部としてあった制服姿の『お姉さん』達の姿もなくなっちゃうってこと)
(廃校になるのは三年後だから、生徒の希望によってはこの学校で卒業できるけど…でも、本当にそれでいいのかな?)
(今、学校にいる私達だけが無事に卒業できればそれでいいって訳じゃないと思う)
(…だから、思うんだ)
(廃校を阻止するために…何か出来ることがまだあるはずだって)
(どんなことがあったって…諦めずに、挫けずにずっと努力していけば絶対に夢は叶うって)
(だから…どんなに高い、雲に届くほどの山でも)
(私は目の前のことを考えて一歩ずつ、少しずつでも目標に向かって登っていきたい)
(今、止まったらダメなんだ)
(進んでいるうちは負けじゃないって)
(そのために…何かをしようとホノカは思ってます)
(みんなの居場所を、守るために…)
~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~
ツカサ(オレが雪穂とどうでもいい会話をしていると、写真館の背景が違うものに変化した)
雪穂「何だろう、この絵画みたいなの…?」
亜里沙「もしかして…イコンかな?」
雪穂「イコン?」
ツカサ「宗教で信仰する場に用いられる絵画や図版の事だ…よっと」ガラッ
ツカサ(オレはイコンの説明をしながら…冷蔵庫からある食材を取り出していた)
雪穂「へぇ…亜里沙も知ってたんだ?」
亜里沙「うん、たまにお姉ちゃんやおばあさまと聖堂に行ったりするから…」
雪穂「そうなんだ…ところで、ここは何の世界なの?」
ツバサ「アギトの世界よ」
雪穂「アギトの世界…あれ、アギトってどっかで聞いたことあるような?」
亜里沙「ああっ!?…雪穂、これ見て!」
雪穂「何?…あっ!?」
ツカサ(二人はイコンに描かれた黄金の戦士を見て、何かに気づいたようだった)
雪穂「お姉ちゃんが変身していたライダーと同じだ…」
ツカサ「そうか…お前達の世界の高坂穂乃果はこのライダーに変身していたんだな?」
雪穂「うん…じゃあ、この世界には私のお姉ちゃんが?」
ツバサ「ええ、その通りよ…この世界にはホノカさんがいる」
雪穂「…!」
ツカサ「おい…別にはしゃぐのは構わないが、今から探しに行くとか言うなよ?」コトッ
ツカサ(そう言いながらオレは、薬味を盛り付けた食材を食卓に置いた)
雪穂「別にはしゃいでないよ…けど」
ツカサ「けど、何だ?」
雪穂「…」
ツカサ「まさか…すぐにお姉ちゃんに会いに行けないのが寂しいとか言うんじゃないだろうな?」
雪穂「は、はぁ!?」
ツカサ「何だ、図星か?」
雪穂「そんな訳ないでしょ…全くもう!///」
雪穂「ただ…お姉ちゃんがいるって分かった瞬間、急に心配になっちゃってさ」
雪穂「いくら別の世界のお姉ちゃんでも、本当にみんなを守ってるのかと思うと…不安なんだよ」
ツカサ「そういうもんなのか?」
雪穂「そういうものだよ…だって、家族だし」
ツカサ「家族、ねぇ…ん?」
亜里沙「…」ジーッ
ツカサ(オレは食卓に置かれたものをジッと見つめる亜里沙に声をかけた)
ツカサ「どうした、亜里沙?」
亜里沙「ツカサ、この白くて四角いのは…ヨーグルト?」
ツカサ「ああ…それか?それは豆腐だ」
亜里沙「トゥーフー…?」
ツカサ「大豆の絞り汁を固めたものだ…」
亜里沙「あの大豆がこんなに四角くなっちゃうなんて…スゴい!」
ツカサ「ちなみにそれは冷奴といってな…薬味や調味料と一緒に味わうものだ」
ツカサ「まあ百聞は一見に如かずってヤツだな…とりあえず食べてみろ」
亜里沙「うん!」
ツカサ(亜里沙は箸で豆腐を掴もうとする…が、すぐに崩れてしまう)
亜里沙「あっ…」ポロッ
ツカサ(すぐにまた箸で掴もうとするが、豆腐は崩れてしまう)
亜里沙「なかなか、食べにくい…」ポロッ
雪穂「亜里沙…大丈夫?」
亜里沙「あと、もうちょっと…えいっ!」パクッ
ツカサ(亜里沙は何とか掴んだひとかけらを口に入れた)
亜里沙「美味しい…これがトゥーフーなんだね!」
雪穂「豆腐、ね…?」
ツバサ「…こんなのは、スプーンで掬えば良い話だわ」スッ
ツカサ(ツバサはどこからか取り出したスプーンで豆腐を掬って食べていた)
亜里沙「あっ…ズルい!」
ツカサ「お前、いつの間にスプーンを…?」
ツカサ(ツバサはオレ達の話を無視して、アギトの世界について説明し始めた)
ツバサ「…アギトの世界には、アンノウンという怪人がいるわ」
雪穂「アンノウン…?」
ツバサ「正式にはロードと呼ばれているそうだけどね…彼らの目的は、超能力を持つ人間を殲滅させる事よ」
雪穂「超能力って…スプーンを曲げたりとかカードを透視したりとかするアレですか?」
ツバサ「そうよ」
亜里沙「どうして、超能力者を…?」
ツバサ「アンノウンにとって超能力を持つ人間は…神に背く可能性があるから、と考えているみたいよ」
ツバサ「だからこそ…奴らは超能力者を全て消そうとするの」
ツバサ「例え…お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんでも、ね」
亜里沙「そんな、ひどい…!」
ツバサ「そのアンノウンを倒しているのがこの世界のライダー、アギト…あなたのお姉さんよ」
雪穂「…それで、一体どこに行ったらお姉ちゃんに会えるんですか?」
ツバサ「それは…また明日になれば分かるわ」ガタッ
ツカサ(そう言って、ツバサは立ち上がり…部屋を出ようとする)
雪穂「えっ、ちょっと…!?」
ツバサ「ごちそうさま」スタスタ
ガチャ…バタン
雪穂「…行っちゃった」
亜里沙「でも、いよいよホノカさんに会えるんだ…良かったね雪穂!」
雪穂「う、うん…あっ」
亜里沙「…どうかしたの?」
雪穂「いや、お姉ちゃんのことももちろんあるんだけどさ…カブトの世界でもう一人の亜里沙がいた時に思ったんだ」
雪穂「もしかしたら、この世界にはもう一人の私がいるんじゃないかなって…」
亜里沙「あっ…そっか」
雪穂「…だから、色々と大丈夫かなーって思って」
ツカサ「まあ…明日になってここを出てみない事には始まらないんじゃないか?」
雪穂「ツカサ…」
亜里沙「そうだよ…何かあったら、私たちがついてるから!」
雪穂「亜里沙…」
亜里沙「だから、きっと大丈夫!」
雪穂「…そうだね、ありがとう」フフッ
亜里沙「うん!」
ツカサ「…」フフッ
アントロード(フォルミカ・ペテス)「…」
女子生徒「いや、やめて…」
?(黒蟻の怪人は左手で右手の甲に何かのサインをしながら、紺色の制服を着た女の子に近づいていた)
?「…」
アントL「…!」
?(闇の中から光を放って現れた私に気付いた怪人は呻くような低い声でこう言った)
アントL「AGITΩ…!」ダッ
アギト(怪人は私に襲いかかってきた)
アギト「…」パシッ…ブンッ
アギト(私は怪人のパンチを手のひらで受け止め、そのまま怪人を投げ飛ばした)
アントL「!」ドサッ
アギト(怪人が地面に倒れるのと同時に、私はベルトの左側のボタンを押す)
アギト(その直後…私の左腕と胴体は青くなった)
アントL「…!?」
アギト(私はベルトから薙刀のような武器を出すと…そのままその武器を回転させた)
アントL「…!」ダダッ
アギト(私は風を纏った薙刀のような武器で、こっちに向かって走ってくる怪人を斬りつけた)
アギト「やぁっ!」ザシュッ!
アントL「…ッ!」バタッ
アギト(倒れた怪人はすぐに起き上がったけど…傷をおさえて苦しんでいた)
アギト(やがて、怪人は頭の上に天使の輪っかのようなものを出すと…爆発した)
アギト「…」チラッ
女子生徒「…?」
アギト「…」スタスタ
アギト(怪人を倒して女の子の無事を確認した私は、ゆっくりとその場を後にした…)
ツカサ「ピクルスサンド…いや、あれは確か美味しくなかったと聞いた事があるな」キュッ
ツカサ「となると、後は…ナルト占いが出来るラーメンってとこか?」フキフキ
ツカサ(洗い物を終え…タオルで手を拭いていたオレに、テレビを見ていた亜里沙達が声をかけてきた)
亜里沙「ツカサ!」
ツカサ「どうした?」
雪穂「いや、それがさ…とにかくテレビ見てみてよ!」
ツカサ「はぁ?…なっ!?」
ツカサ(すると、テレビには…身体の赤い蟻型のアンノウン怪人に向かって銃撃する銀色の戦士が映っていた)
アナウンサー『今日の午後三時頃…新型の未確認生命体が出現し、テスト段階のV-1システムが出動する事態になりました』
V1『はっ!』ガガッ!
アントロード(フォルミカ・エクエス)『…!』
ツカサ「V-1システムだと…?」
雪穂「V-1システム?」
ツカサ「アンノウンに対抗しようとする警察の為に、とある大学の教授や精神科医達が開発した特殊強化用スーツだ」
亜里沙「じゃあ、ライダーなの…?」
ツカサ「いや…アレはライダーとはちょっと違う」
雪穂「そうなんだ…というか、新型の未確認生命体ってグロンギのことじゃないの?」
ツカサ「実はアギトの世界では…過去にグロンギが現れた事例があってな」
亜里沙「そうなの?」
ツカサ「ああ…だから、メディアは新型の未確認生命体だと呼んでいるんだろうな」
アナウンサー『この後、V-1システムは新型の未確認生命体の排撃に成功…装着者のホウジョウ警部補は』
ホウジョウ『ざっとこんなもんです…私に撃ち損じはありませんよ』フッ
亜里沙「何かこの男の人、ナルシストっぽい…」
雪穂「本当だ…ツカサといい勝負してるかもね」
ツカサ「オレはナルシストじゃない…あんなのと一緒にするな」
雪穂「自覚ないんだ…それにしても、誰かに似てるような気がするのは気のせいかな?」
亜里沙「そういえば、どこかで見たことあるような…?」
ツカサ「…気のせいだろ」
ホウジョウ『まだテスト段階の為に追撃は控えましたが…期待してください、ついでにアギトも捕獲してきますから』
雪穂「!?」
ホウジョウ『その時こそ思い知るでしょう…私という人間の素晴らしさを』
アナウンサー『…と、我々のインタビューに応じました』
雪穂「ど、どういうことなの…アギトを捕まえるって言ってたよ!?」
ツカサ「警察には石頭な連中が多いからな…おそらく、アギトも人間の脅威になると考えているんだろう」
亜里沙「じゃあ、ホノカさん…捕まっちゃうかもしれないの?」
ツカサ「それは…いや、多分無いだろうな」
雪穂「えっ…何でそう言えるの?」
ツカサ「…眠くなってきたからもう寝る、また明日な」スタスタ
雪穂「あっ、ちょっと!?」
ガチャ…バタン
雪穂「多分ないって…何であんな無責任なこと言えるかなぁ?」ハァ
亜里沙「ふわぁ~…何だか、私も眠くなってきちゃった」
雪穂「…じゃあ、私達も寝よっか?」
亜里沙「うん!」
ツカサ(翌朝になり…オレと雪穂と亜里沙の三人は写真館を出た)
ツカサ(写真館のすぐ目の前には畑があり…色々な種類の野菜が収穫の時期を迎えているようだった)
雪穂「何でこんな所に野菜畑が…?」
ツカサ「採って食べてくれって事だろうな」
雪穂「そんな訳ないでしょ!?そもそも、ウチの畑じゃないのに…」
亜里沙「でも、あの看板に書いてあるのって…?」
雪穂「えっ?」
『光写真館野菜畑 美杉家寄贈』
雪穂「…ホントだ」
ツカサ「そういう事だ」
雪穂「あれ…そういえば、ツバサさんは?」
ツカサ「さぁな…この世界のお宝探しでもしてるんじゃないのか?」
雪穂「また分からないからってテキトーなことばっかり言って…」ハァ
亜里沙「そういえば、今回のツカサの服は…郵便屋さん?」
ツカサ(オレの服装は郵便配達員の制服になっていた)
ツカサ「らしいな…ん?」パカッ
ツカサ(バッグを開くと…中には封筒と手紙が入っていた)
ツカサ「封筒の差出人は津上ツカサ…オレの事か」
ツカサ「そして宛て先が…高坂ホノカ」
雪穂「えっ…ツカサからお姉ちゃん宛に?」
亜里沙「ツカサ、もうホノカさんと会ったの?」
ツカサ「いや…覚えがない」
ツカサ「この封筒の筆跡もオレのものじゃないからな…おそらくオレに届けさせようと、別の誰かが書いたんだろう」
亜里沙「手紙も同じ宛て先なの?」
ツカサ「いや、手紙の方の差出人は分からないが宛て先は…アシカワマナとなっているな」
雪穂「アシカワマナ…聞いたことない名前だね」
亜里沙「もしかしたら、この世界のホノカさんの知り合いってこともあるかも…?」
ツカサ「その可能性はあるな…とりあえず、まずはホノカに会ってみるか」スタスタ
亜里沙「うん…行こう、雪穂?」
雪穂「…うん」
ツカサ(オレ達は…畑の先に見える街に向かって歩き出した)
ツカサ(街の中を少し歩くと、オレ達はある場所に到着した)
ツカサ「穂むら…どうやら、ここで間違いないみたいだな?」
亜里沙「…穂むらだ」
雪穂「私達の世界にある穂むらと、全く一緒だ…」
ツカサ「とりあえず…入ってみるか」
雪穂「ま、待って!」
ツカサ「何だ?」
雪穂「…もう入るの?」
ツカサ「当たり前だろ…この世界の姉に会いに来たんじゃないのか?」
雪穂「それはそうだけど…でも」
ツカサ「でも?」
雪穂「心の準備ってものがあるでしょ?」
ツカサ「はあ…」
雪穂「別の世界から来た妹だって言っても、すぐに信じてもらえないと思うし…」
ツカサ「はあはあ…」
雪穂「実際、何て話せば良いのか分からなくなっちゃって」
ツカサ「はあはあはあ…」
雪穂「だから一旦、別の場所に行ってからまた出直そうかな…なんて」
ツカサ「あっはっはっはっ!…ちょっと何言ってるのか分からないな」
雪穂「何で分かんないの!?」
ツカサ(オレ達がそんなやりとりをしていると…店の扉が開いた)
ガラガラガラ…
?「あの~…どうかしました?」
ツカサ(扉を開けたのは店の割烹着を着たホノカだった)
雪穂「あっ…」
ホノカ「あれ…ユキちゃん?」
雪穂「えっ、ユ…ユキちゃん?」
ホノカ「朝になって急にマナちゃんと一緒に飛び出して行ったから、どうしたんだろうって心配してたんだよ?」
雪穂「え、えぇ…?」
ホノカ「帰ったならユキちゃんもお店手伝ってよぉ~…私だけ手伝わされて大変だったんだからね?」グイグイ
雪穂「えっ…あ、あの」
ツカサ「ちょっと待った」
ツカサ(オレは雪穂を店に入れようと引っ張るホノカを止めた)
ホノカ「?」
ツカサ「今、目の前にいる妹は…別の世界から来た妹だ」
亜里沙「私たち、別の世界からやってきたんです!」
雪穂「あっ…ちょっと二人とも、また!?」
ホノカ「へっ…?」
ツカサ(ホノカはしばらくフリーズし…)
ホノカ「何だ~、別の世界から来たユキちゃんなのかぁ~!」
ホノカ「あはははは…って、うえぇぇぇぇっ!?」
雪穂「やっぱり…」
ホノカ「いや、でもユキちゃんと同じだよ!?ほら!」フニフニ
ツカサ(ホノカは雪穂の頬を触っている)
雪穂「や、やめてよ!?恥ずかしいから!」
ホノカ「だってだってぇ~!」
?「騒がしいわね…どうしたのホノカ?」
ツカサ(すると、店からホノカの母が出てきた)
雪穂「あ…」
ホノカ「お母さん!それが…」
ホノカの母「ユキホ…に似てるけど、ちょっと違うみたいね」
雪穂「えっ…?」
ホノカ「分かるの!?」
ホノカの母「当たり前じゃない…私は親よ?」
ホノカ「ウソ…」
ツカサ「さすがは親だな…」
ホノカの母「あなたは…ただの郵便屋さんってわけじゃなさそうね?」
ツカサ「…分かるのか?」
ホノカの母「なんとなく、だけどね…とりあえず立ち話もなんだからウチに上がって」
ツカサ「そうか…それは助かる」
亜里沙「おじゃまします!」
ツカサ(オレ達はホノカの母に案内され、店内に入った)
ホノカ「えっと…何がどうなってるの?」キョトン
雪穂「わ、私に言われても…」
ツカサ(居間に通されたオレ達はホノカとホノカの母に事情を説明していた)
ホノカの母「不思議な話ね…まさかホノカに会う為に、わざわざ別の世界からやってくるなんて」
ツカサ「信じてもらおうとは思っていないが…嘘を言っても余計に話がおかしくなるだけだからな」
ホノカの母「あら、私は信じるわよ?」
ホノカ「えっ…信じちゃうの?」
ホノカの母「ええ、こうして実際に別の世界の娘がいるわけだし」
雪穂「…!」
ホノカ「そっか…じゃあホノカも信じるよ!」
ツカサ「良いのか?」
ホノカ「うん!」
亜里沙「良かったね、雪穂!」
雪穂「う、うん…」
ツカサ「そういえば…『アシカワマナ』について何か知らないか?」
ホノカ「えっと…マナちゃんのことかな?」
ツカサ「知り合いか?」
ホノカの母「ええ、彼女ならウチに住んでいるわ」
雪穂「えっ…ここに?」
ホノカ「うん、ユキちゃんと同じ中学校に通ってるんだよ!」
ツカサ「どういう訳でそんな事になったんだ?」
ホノカの母「…実は先月、彼女が住んでいた村で彼女の村にいるほとんどの人が何者かによって命を落とす事件があったの」
亜里沙「そんなことが…」
ホノカの母「唯一、行方が分かっていない彼女のお母さんと連絡が取れるまでの間…ウチで預かる事になったの」
ホノカ「まだ来たばかりだから、色々と遠慮してるみたいなんだけどね…ウチにあるお菓子だって食べて良いのに」モグモグ
ツカサ(そう言いながら、ホノカはテーブルの上に置かれた芋羊羮を食べていた)
ホノカの母「あなたは少し遠慮しなさい」
ホノカ「ええっ!?」
ホノカの母「最近、ちょっと食べ過ぎよ…そんな事じゃまた太るわよ?」
ホノカ「ま…またって言わないでよ~!」
ツカサ「そうか…だいたいわかった」
ホノカ「えっ、私の体重が!?」
ツカサ「そんな訳ないだろ!…アシカワマナについての事だ」
ホノカ「あっ、そっちか…良かったぁ~」ホッ
ツカサ「…」ハァ
ホノカ「でもマナちゃん…急に家を飛び出して、どうしちゃったんだろう?」
ツカサ(オレ達がそう話していると、厨房から強面の男性がやってきた)
?「…」チラッ
ホノカの母「あら、お父さん…」
雪穂「あっ…!」
ホノカの父「…」ジーッ
ツカサ「?」
ツカサ(ホノカの父は雪穂ではなく、なぜかオレを見つめていた)
ホノカ「お父さん?」
ホノカの父「…」ジーッ
ツカサ「…?」
ツカサ(しばらくして、ホノカの父はオレの肩を優しく叩いた)
ホノカの父「…」ポン
ツカサ「…!」
ホノカの父「…」フッ
ツカサ(どうやらホノカの父はオレに何かを感じ取り、気に入ってくれたようだった)
ツカサ「お、おやっさん…!」
ツカサ(オレもホノカの父に何か熱いものを感じ取り、つい『おやっさん』と呼んでしまった)
ホノカ「えっ…?」
雪穂「…何これ?」
ホノカの母「ふふっ…どうやらお父さん、その子が気に入ったみたいね」
亜里沙「良かったね、ツカサ!」
ツカサ「ああ…!」
雪穂「いや…だから、何が?」
ホノカの母「それはそうとお父さん、何かあったの?」
ホノカの父「!」ハッ
ツカサ(我に帰ったホノカの父は居間の壁にかけられた時計を指差した)
ホノカの母「あら、もうそんな時間?」
ツカサ「何かあるのか?」
ホノカの母「実は予約の注文が入ってて…今からお店を閉めて、お父さんと大量の和菓子を作らないといけないの」
ツカサ「なるほどな…」
ホノカ「じゃあ…話の続きは私が聞くよ!それで良いよね?」
ホノカの母「そうね…せっかく来てもらったんだし、ゆっくりしてもらいましょうか」
ホノカ「だよねだよねっ!じゃあすぐにお茶を用意しないと…」
ホノカ「ユキちゃ~ん、お茶!」
雪穂「…」
ホノカの母「ホノカ…お客様に出してもらわないで、ちゃんと自分で用意しなさい?」
ホノカ「は、はい…ごめんなさい」
雪穂「…」
亜里沙「?…どうしたの雪穂?」
雪穂「あっ…ううん、何でもないよ?」
亜里沙「そう…」
ツカサ「…」
ツカサ(オレ達はホノカの部屋にいた)
ホノカ「どうぞ!」コトッ
ツカサ(普段着に着替え、部屋に入ってきたホノカは…急須や湯呑みを乗せたお盆を机に置いた)
ホノカ「えっと、それであなたが別の世界の雪穂の友達の亜里沙ちゃんで…」
亜里沙「はい!」
ホノカ「そしてあなたが…金剛寺くん、だっけ?」
ツカサ「違う、誰だそれは…オレの名前はツカサだ」
ホノカ「あっ…ごめんごめん!」アハハ
ツカサ「…」ハァ
ツカサ(事情を説明していた時に自己紹介したはずなんだが…というか本当に誰なんだ、金剛寺って)
ホノカ「とりあえず粗茶ですが…あとこれ、穂むら名物のほむまん!」
ホノカ「美味しいから食べてみて!」
ツカサ「じゃあ遠慮なく…いただきます」パクッ
ツカサ(オレはほむまんを食べた)
ツカサ「うん…旨いな」
ホノカ「でしょでしょっ?」
亜里沙「私も…いただきます!」パクッ
亜里沙「ハラショー…美味しい!」
ホノカ「だよねだよねっ!」
雪穂「…」
ホノカ「あれ…食べないの?」
雪穂「あっ、私はその…」
ホノカ「…?」
雪穂「…いただきます」
ホノカ「うん!」
雪穂「…」パクッ
雪穂「!…同じ味だ」
ホノカ「えっ、向こうの世界でも同じ味なの?」
雪穂「うん…」
ホノカ「そっか…不思議なこともあるもんだね~」
亜里沙「…?」
ツカサ(亜里沙は床に落ちていたプリントを見つけた)
ホノカ「あっ、それは…」
亜里沙「『国立あかつき坂学院廃校のお知らせ』…?」
雪穂「えっ、廃校…?」
ホノカ「…うん、実はね?」
ホノカ「私は今、地元のあかつきって高校に通ってるんだけど…廃校になることが決まってて」
ホノカ「だから、何か学校のために出来ることはないかなって…探している最中なんだ」
雪穂「…オトノキと同じだ」
ホノカ「え、オトノキ?」
亜里沙「私たちの世界にも地元の高校があったんです」
亜里沙「でも、廃校しそうになっちゃって…」
亜里沙「それを…穂乃果さんたちが阻止してくれて」
ホノカ「ええっ、向こうの世界の私が…!?」
亜里沙「はい!」
ホノカ「一体、どんなことしたの…?教えて教えて!」ズイッ
雪穂「ちょっ、近い…」
亜里沙「穂乃果さんたち、スクールアイドルになったんです!」
ホノカ「…スクール、アイドル?」
雪穂「…うん」
ホノカ「…」
ツカサ(ホノカはしばらく黙ると…)
ホノカ「えっと、スクールアイドルって…何?」
ツカサ「…」ズコッ
ツカサ(オレだけじゃなく、雪穂や亜里沙も同じようにズッコケていた)
ツカサ(そして…同時に、この世界にはスクールアイドルが存在していないことをオレ達は知ったのだった)
ツカサ(オレ達はスクールアイドルについてホノカに説明していた)
ホノカ「へぇ~、それがスクールアイドルなんだね…向こうの世界の私はスゴいなぁ」
亜里沙「はい!だから…ホノカさんもやってみたらどうですか?」
ホノカ「えっ、私が…?」
亜里沙「きっと楽しいと思います!」
ホノカ「う~ん…」
雪穂「…」
ホノカ「…やらなくても、いいんじゃない?」
亜里沙「えっ…やらないんですか!?」
ホノカ「私には…向こうの世界の私みたいに、そんなスゴいことをやれそうな自信ないから」
雪穂「…!」
ツカサ「…」
亜里沙「でも…」
ホノカ「だって私…この通り見た目も普通だし、歌やダンスだって上手い訳じゃないし」
ホノカ「私には無理だよ~」エヘヘ
雪穂「…」
ツカサ(ホノカの話を聞いて、雪穂は立ち上がった)
亜里沙「雪穂…?」
雪穂「…帰る」スタスタ
ホノカ「えっ…?」
ガチャッ
ツカサ(雪穂はそのまま部屋を出て行った)
亜里沙「あっ、待って雪穂!」ダダッ
ツカサ「…」
ホノカ「私、もしかして何かいけないこと言っちゃったかな…?」
ツカサ「…きっと、別の世界の妹として期待していたんだろうな」
ホノカ「えっ…?」
ツカサ「アンタがスクールアイドルをやることを…」
ホノカ「!…でも、私には出来ないよ」
ホノカ「一緒にやってくれる人だっていないし…きっと誰も見てくれないよ」
ツカサ「…全く、仕方ないな」ハァ
ホノカ「え?」
ツカサ「~♪」
ツカサ(オレはある曲を口ずさんだ)
ツカサ(オレはその曲を聴いた覚えがない)
ツカサ(だが…まるでどこかで聴いたことがあるように、オレはその曲のワンフレーズを歌っていた)
ツカサ(可能性を感じて…進める気がする、そんな予感の歌を)
ツカサ(後悔しないように…目の前の道を進む、そんな歌を)
ツカサ(オレは歌った)
ツカサ「…」コホン
ホノカ「…」ポカン
ツカサ「…確かに、誰も見向きもしてくれないかもしれない」
ツカサ「応援だってしてもらえないかもしれない…」
ツカサ「向こうの世界のアンタも最初はそうだった…それでも、諦めなかった」
ホノカ「…!」
ツカサ「一生懸命頑張って…最終的にはスクールアイドルの素晴らしさを、多くの人々に広めるようになった」
ホノカ「スクールアイドルの…素晴らしさ?」
ツカサ「ああ…こんな話だけじゃ、ピンと来ないだろうがな」
ホノカ「…」
ツカサ「そろそろオレも行くか…おっと、忘れてた」スッ
ツカサ(オレはホノカに封筒を渡した)
ホノカ「これは…?」
ツカサ「饅頭のお礼…という事にしておいてくれ」
ホノカ「う、うん…?」
ツカサ「それと…『アギト』について何か知らないか?」
ホノカ「『アギト』?…ごめん、全然分かんないや」
ツカサ「そうか…やはりな」
ホノカ「…?」
ツカサ「じゃあ、またな」スタスタ
ホノカ「うん…」
バタン
ツカサ(『アギト』についても分からない、か…)
ツカサ(そうなると、エリみたいに何か目的があって隠しているのか…)
ツカサ(出会ってすぐのマキのようにまだライダーになっていないのか…)
ツカサ(或いは既にライダーである事に、気づいていないのか…)
ツカサ(オレは色々な可能性を考えながら、穂むらを後にした)
雪穂(穂むらを出た私は、早足で近くの街を歩いていた)
亜里沙「雪穂!」ダダッ
雪穂「…」
亜里沙「どうかしたの?」
雪穂「…ちょっとだけ、がっかりしたんだ」
亜里沙「えっ?」
雪穂「向こうの世界のお姉ちゃんは、ほとんど私の知ってるお姉ちゃんと変わりなかった…けど」
亜里沙「けど…?」
雪穂「…少なくとも私の知ってるお姉ちゃんは、やる前から無理だって言うような人じゃなかった」
雪穂「だから…」
亜里沙「雪穂…」
?「仕方ないだろ」
雪穂(私達が振り向くと、そこにはツカサがいた)
亜里沙「ツカサ!」
ツカサ「もともとこの世界にスクールアイドルはなかったからな…」
ツカサ「それに幼馴染の海未やことりだっていないんだ、性格がほんの少し違っていてもおかしくはない」
雪穂「それは分かってるけど…」
ツカサ「…心配しなくていい」
雪穂「…?」
ツカサ「アイツも高坂ホノカだ」
ツカサ「だから…きっとスクールアイドルを始めようとするさ」
ツカサ「向こうの世界とは…少し違う形でな」
雪穂「…根拠は?」
ツカサ「…無い」
雪穂「やっぱり…そうだと思った」ハァ
亜里沙「そう言えばツカサ…ホノカさんにあの封筒、渡したの?」
ツカサ「ああ…今頃、中を開けて見ているんじゃないか?」
亜里沙「じゃあ次はマナっていう人にお手紙を渡さないとね!」
ツカサ「そうだな…だが、簡単に見つかるかどうか」
?「どいて!」ダダッ
ドンッ!
雪穂(突然、フードを被った少女がツカサを突き飛ばして走っていった)
ツカサ「うわっ!?」
亜里沙「ツカサ…大丈夫!?」
ツカサ「ああ、しかし…失礼なヤツもいたもんだな」ハァ
雪穂「…人のこと言える立場じゃないと思うんだけど」
マナー!
雪穂「?…!」
雪穂(そこにさっきの少女を追う女の子が走ってきた)
雪穂(その子の顔は…私と瓜二つのものだった)
雪穂(唯一、違うとすれば…赤い縁の眼鏡を掛けていることくらいだった)
亜里沙「あっ!」
ツカサ「この世界のユキホか…」
雪穂「…待って!」
ユキホ「えっ?」クルッ
雪穂「…」
ユキホ「えっ…わ、私!?」
雪穂(この世界の私は…目の前にいる私を見て、混乱していた)
ユキホ「一体、どういうこと…?」
ツカサ「とりあえず…説明は後だ」
亜里沙「へっ、後なの?」
ツカサ「ああ…まずは一緒にあの少女を追う」
ツカサ「今の少女、確か…マナと呼んでいたな?」
ユキホ「そ、そうですけど…あなた達は?」
ツカサ「…行くぞ」ダダッ
亜里沙「あっ、待ってツカサ!」ダッ
ユキホ「えっ!?あ、あの…?」
雪穂「えっと…」
雪穂(どうしよう、いざ別の世界の私自身を目の前にすると…何て話せば良いのか分からない)
亜里沙「雪穂ー、ユキホー…早くー!」
雪穂「あっ…うん!」
ユキホ「何で私の名前を…?」
雪穂「えっと…それはマナって子を追いながら話するから!」ガシッ
雪穂(私はユキホの手を掴んだ)
ユキホ「えっ…ちょっと!?」
雪穂「行くよ!」ダダッ
ユキホ「ええっ!?」
雪穂(私はそのままユキホを引っ張り、ツカサ達と一緒にマナという子を追っていった…)
ホノカ(私はツカサくんから貰った封筒を開けていた)
ホノカ「…これって、DVD?」
ホノカ(中には青とピンク、二枚のディスクが入っていた)
ホノカ(私は何が映っているのか見てみようと、パソコンの中に青いディスクを入れてみた)
ホノカ「これは…『A-RISE』?」
ホノカ(そこには三人の女の子がカッコ良く歌いながら踊っている姿が映っていた)
ホノカ「…!」
A-RISE『私達はスクールアイドル、A-RISEです!』
ツバサ『みんな~!盛り上がる準備は出来てるー!?』
ホノカ(その映像を見ていた私は…いつの間にか胸が苦しくなって、心臓がドキドキしていた)
ホノカ(まるで…初恋をしたみたいに、何だか目が引き寄せられて離せなくなっちゃって)
ホノカ(おまけにスゴく興奮してきて…身体が勝手に動きそうなくらい、踊り出したくなっちゃって)
ホノカ「…」フフッ
ホノカ(そっか…ツカサくんや亜里沙ちゃんがさっき言ってる意味が分かった)
ホノカ(きっと向こうの世界の私は…スクールアイドルそのものに恋しちゃったんだ)
ホノカ(その抑えきれなくなった想いを告白するように…スクールアイドルになることで、学校のために頑張ろうって)
ホノカ(話だけ聞いていてもピンと来なかったけど…今、これを見た私なら向こうの世界の私の気持ちが分かる)
ホノカ(だって…私もこれを見て同じ気持ちになったから)
ホノカ(でも…私にもこんなことが出来るのかな?)
ホノカ(この『A-RISE』って人達みたいにやることで…私も変われるのかな?)
ホノカ(私は…まだ迷っていた)
ホノカ「…!」フラッ…
バタッ
ホノカ(私は何かの気配を感じると同時に倒れた)
ホノカ「あれ…?」
ホノカ(私、急にどうしちゃったんだろう?)
ホノカ(身体がさっきより熱くて…思うように動かない)
ホノカ「んっ…」
ホノカ(起き上がれない私はそのまま…目を閉じた)
ツカサ(オレ達はマナの後を追って、今は使われていない工場までやってきた)
マナ「はぁはぁ…」
ユキホ「マナ!」
マナ「ユキホ…」
ツカサ(マナは被っていた上着のフードを取った)
ツカサ「アンタが…アシカワマナか」
雪穂「…」
マナ「あれほど追いかけてこないでって言ったのに…というか、その人達は誰?」
ツカサ(マナは警戒していた)
ツカサ「オレ達は…別の世界からやってきた」
マナ「…何を言ってるのかさっぱり分からないんだけど」
ツカサ「だろうな…」
マナ「ユキホのそっくりさんまでいるし…」
雪穂「…」
ユキホ「ねえ、マナ…急に家を飛び出してどうしたの?」
マナ「…ユキホには関係ない」
マナ「私はもう…あの家に帰るつもりはない」
ユキホ「そんな…!」
ツカサ「せっかく帰る所があるのに、それはあんまりなんじゃないか?」
亜里沙「そうだよ…ホノカさん達も心配してるよ!」
マナ「そんな事…初対面の人達に図々しく言われたくない」
亜里沙「…!」
マナ「…とにかく、もう私に近付かないで」スタスタ
ツカサ(その場から去ろうとするマナをオレは呼び止めた)
ツカサ「待て」
マナ「…今度は何?」
ツカサ(オレはマナに近付き、手紙を渡そうとした)
マナ「…怪しい人から変な物を貰っても、困るだけから」プイッ
ツカサ「アンタな…」ハァ
マナ「いいから…もう私に構わないで!」スッ
ツカサ(マナがそう言って右手をかざすと…近くにあった布がオレのもとへ飛んできた)
ユキホ「マナ!」
雪穂「えっ…?」
ツカサ「うわっ!?」
ツカサ(避けきれなかったオレは布によって簀巻きにされてしまった)
ツカサ「ぐっ…!」ドサッ
ツカサ(オレは身動きが出来なくなり、持っていた手紙を落として倒れた)
亜里沙「ツカサ!」
ユキホ「やめなよ、マナ!」
ツカサ(亜里沙がオレの身体に巻きついた布を剥がそうとする)
亜里沙「と、取れない…」ギギギ…
雪穂「もしかして今の…超能力?」
マナ「…そう」
マナ「村の人が皆、あいつらに襲われてから私は…この超能力で色んなものを動かせるようになった」
雪穂「あいつら…?」
マナ「でも、それと同時に私は…うっ!」
ツカサ(マナは突然、何かを感じたのか苦しみ始めた)
雪穂「…?」
ユキホ「マナ!?」ダダッ
マナ「やめて…私を呼ばないで!」ドンッ!
ツカサ(マナはユキホを突き飛ばす)
ユキホ「うわっ!」ドサッ
雪穂「大丈夫!?」
ユキホ「う、うん…私は大丈夫」
亜里沙「取れた!」バサッ
ツカサ(マナが苦しみ始めた直後、亜里沙がオレの身体に巻きついていた布を剥がした)
ツカサ「ありがとな、亜里沙…」
亜里沙「うん!」
マナ「うっ…うわぁぁぁぁっ!!」
ツカサ(目を赤く光らせながら苦しむマナの手は鉤爪状に変形していた)
ユキホ「マナ…!」
雪穂「…!」
ツカサ(マナの顔や身体は深い緑色に変色し…やがてその姿を変えた)
ツカサ「まさかアレは…ギルスか?」
ギルス「はぁはぁ…」
ツカサ(マナはギルスに変身していた)
亜里沙「ギルスって…?」
ツカサ「アギトとは別のライダーだ…まさかマナがそうだったとはな」
ユキホ「マナ…」
ギルス「…来る!」
ツカサ「何?」
ツカサ(すると、ギルスを狙うように…十字架型のプラズマ弾が落ちてきた)
バチバチッ
ギルス「…!」サッ
ツカサ(ギルスはプラズマ弾をギリギリの所で回避した)
?「人間よ…そんな力に惑わされてはいけない」
ツカサ「誰だ!?」
バッファローロード(タウルス・バリスタ)「…」スタスタ
ツカサ(アントロードの軍勢を率いたバッファローロードが…オレ達の前に姿を現した)
ツカサ「やはり…アンノウンか」
雪穂「あれが、アンノウン…?」
バッファローL「人はただ…人であれば良いのだ」
ギルス「うるさい!よくも…よくも村の皆を!!」
ツカサ「村の皆…なるほど、マナの村の人達の命を奪ったのはお前らだったんだな?」
バッファローL「そうだ」
ツカサ「どうしてそんな事をした?」
バッファローL「人ならざる者を、裁く為だ…」
ツカサ「つまり…襲われたマナの村の人達は全員、超能力者だったという訳か」
雪穂「そんな…!」
バッファローL「彼女も人ならざる者だ…だからこそ、我々が裁く」
ギルス「…!」
ユキホ「じゃあ、あの怪物達は…マナを狙って?」
ツカサ「そのようだな…そして、そのアンノウンの気配を感じ取ってマナは逃げ出した」
ギルス「…」
ツカサ「そういう事なら、邪魔をさせてもらうしかないな」スッ
ツカサ(オレは取り出した一枚のカードを腹部に装着したバックルに入れた)
ユキホ「えっ…?」
ツカサ「変身!」
『カメンライド…ディケイド!』
ツカサ(オレはディケイドの変身を完了させる)
ディケイド「…」
ユキホ「えっ!?」
バッファローL「愚かな…やれ」
ディケイド(バッファローロードのその一言で、アントロードの軍勢が一斉にオレとギルスに対して襲いかかってきた)
ディケイド「隠れてろ!」
亜里沙「分かった…雪穂!」
雪穂「うん、早くこっちに!」
ユキホ「う、うん…」
ディケイド(雪穂は地面に落ちた手紙を拾ってから…ユキホを連れて亜里沙と一緒に近くの物陰に隠れた)
~結~
ディケイド(ギルスは左腕からギルスフィーラーという触手を出現させ…)
ギルス「やぁっ!」ザシュッ!
アントL「…!」バタッ
ディケイド(アントロードを拘束しては、右腕からギルスクロウという鋭利な爪で切り裂き…一体ずつ確実に倒していく)
『アタックライド…スラッシュ!』
ディケイド「はっ!」ズバッ!
ディケイド(オレもライドブッカーソードモードで応戦するが…アントロードの数はなかなか減らない)
ディケイド「くっ、こうなったら…虫には虫だ!」
ディケイド(そう言って、オレは四枚のカードを取り出した)
ディケイド「エリ…借りるぞ」
ディケイド(オレはまず、一枚目のカードをバックルに装填した)
『カメンライド…カブト!』
ディケイド(オレはカブトにカメンライドした)
DCDカブト「手始めに…」
『アタックライド…クロックアップ!』
DCDカブト(二枚目のカードを装填し、オレは超高速で動けるようになった)
DCDカブト(オレはその効果が切れるまで、クナイモードにしたカブトクナイガンでアントロードの約半数を斬りつけ倒していく)
バッファローL「何!?」
DCDカブト「まだまだ…カブトは、クロックアップだけがウリじゃないぜ」
DCDカブト(クロックアップの効果が切れた後、オレは三枚目のカードを装填する)
『フォームライド…カブト!マスクド!』
DCDカブト(オレはカブトマスクドフォームにフォームライドした)
アントL「…!」ガキンッ!
DCDカブト(アントロードの一体がオレの身体を殴りつけるが…オレにダメージは無かった)
DCDカブト「残念だったな…今のオレにそんなヤワな攻撃は効かない」バシュッ!
アントL「!」バタッ
DCDカブト(オレはガンモードに変形したカブトクナイガンでアントロードに反撃すると…)
『ファイナルアタックライド…カ・カ・カ・カブト!』
DCDカブト(最後のカードを入れ、アックスモードにカブトクナイガンを変形させる)
DCDカブト「トドメだ…はっ!」
DCDカブト(そして…それを振り回して、周囲にいたアントロードの全員を斬りつけ倒した)
ギルス「…」ハァハァ
DCDカブト(ギルスもアントロードを全て倒したようだった)
DCDカブト「さて…これで、後はお前だけだな」
バッファローL「…ふん」
DCDカブト「…?」
ガッ!
ギルス「うっ!?」
DCDカブト(突如、クイーンアントロードが現れ…武器の槍でギルスを攻撃した)
DCDカブト(攻撃を受け、吹き飛んだギルスはマナに戻ってしまった)
クイーンアントロード(フォルミカ・レギア)「…」
マナ「ぐっ…」
DCDカブト「マナ!」
ガシッ
DCDカブト「何!?」
DCDカブト(いつの間にか赤いアントロードまで現れ、オレの身体を羽交い締めにする)
バッファローL「フン!」
バチバチッ!
アントL「…」サッ
DCDカブト「なっ…うわっ!」
DCDカブト(バッファローロードのプラズマ弾をまともに受け、オレは吹き飛ばされてしまった)
DCDカブト(マスクドフォームのカブトの防御力をもってしても…奴の攻撃は変身を強制解除させる程に強力だった)
ツカサ「…ぐっ!」
雪穂「そんな…」
亜里沙「ツカサ!」
マナ「…ううっ」
ユキホ「マナ!」
バッファローL「…今こそ裁きの時だ」
ツカサ(マズいな…このままじゃマナがやられてしまう)
ツカサ(オレがそう思ったその時だった)
?「…」スタスタ
バッファローL「…!」
ツカサ「…?」
ツカサ(何者かが光を放ちながら…こちらに向かって歩いてくる)
マナ「あれは…」
バッファローL「AGITΩ…!」
ユキホ「…アギト?」
雪穂「…!」
ツカサ(オレ達の前に現れたのは…紛れもなくアギトだった)
アギト「…」
アントL「…」ダッ
ツカサ(赤いアントロードがアギトに襲いかかった)
アギト「!」スッ
ツカサ(アギトは赤いアントロードの攻撃を避けると、ベルトの右側のスイッチを押した)
ツカサ(その瞬間…アギトは右腕と胴体が赤いフレイムフォームに変化した)
アギト「…ふっ!」
ツカサ(アギトはベルトからフレイムセイバーを出現させると…鍔の部分にある角のようなものを展開させた)
アギト「はっ…」
ツカサ(フレイムセイバーをゆっくりと構えたアギトに向かって…赤いアントロードは飛びかかっていく)
アントL「…」バッ
アギト「やぁっ!」ズバッ!
ツカサ(次の瞬間…アギトは赤いアントロードを一刀両断していた)
アントL「…!」バタッ
ツカサ(斬られた赤いアントロードはそのまま倒れて爆発し…アギトは黄金のグランドフォームに姿を戻した)
クイーンアントL「…!」ダダッ
アギト「!」
ツカサ(続けてクイーンアントロードがアギトに襲いかかり、アギトは応戦する)
マナ「うぅ…」
ツカサ「大丈夫か?」
マナ「…!」キッ
ツカサ「うわっ!?」ゴロゴロ
ツカサ(マナに睨まれた直後、オレの身体は壁際まで吹き飛ばされてしまった)
ツカサ「くっ…また超能力か!」
雪穂「ツカサ!」ダッ
亜里沙「大丈夫!?」ダッ
ツカサ(ユキホを連れた雪穂達がオレのもとへ駆け寄る)
ツカサ「何とかな…」
ガッ!
アギト「うっ…」ゴロゴロ
ツカサ「!」
ツカサ(クイーンアントロードに攻撃されたアギトがこちらに転がってきた)
バッファローL「今こそ、粛清の時…」
バチバチッ!
アギト「うわぁっ…!」バタッ
ツカサ(バッファローロードのプラズマ弾を受けたアギトは倒れ…ホノカの姿に戻った)
ホノカ「…」
ツカサ「なっ…!?」
雪穂「…!」
ユキホ「お姉ちゃん!」ダッ
ツカサ(ユキホがホノカを起こそうとする)
ユキホ「しっかりして、お姉ちゃん!」ユサユサ
ホノカ「んっ…ユキちゃん?」
ツカサ(その間に…バッファローロードとクイーンアントロードがゆっくりとこちらに向かって歩いてくる)
バッファローL「…」
マナ「くっ…」
ツカサ「…!」
次回、仮面ライダー×ラブライブ!
「マナちゃんはもう、私達の家族なんだから」
「私も…大切な人を守りたいんです」
「あなたという人間として…戦って?」
「オレはただ、スクールアイドルの素晴らしさを伝えに来ただけだ」
第15話『ほのかな目覚め』
目覚めろ、その魂!