雪穂「ディケイド…!」
亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」
ツカサ「ここは響鬼の世界だな」
ツカサ「この世界には響鬼として魔化魍と戦っている希がいる…」
サキ「私は…たちばな高等学校の生徒よ」
ツカサ「『佐鬼』…か」
ノゾミ「ウチに任しとき」
サキ「嘘つき」
ツカサ「ノゾミはまだ何かを隠している…オレはそんな気がするんだ」
鬼の鎧「…」
ナルタキ「やれ」
ノゾミ「待っててな、少年くん」
ノゾミ(洞窟の中に入ったウチは、少し前の出来事を思い返していた)
ノゾミ『うーん、確かこの辺りに…』ガサゴソ
ノゾミ(ウチは小屋を出る前…ある物を探していた)
ノゾミ『あった!』
ノゾミ(それはツカサくんが持っていた物と全く同じカメラだった)
ノゾミ(ウチがカメラ好きのパパから譲ってもらった…傷だらけの古いカメラ)
ノゾミ(あちこちに引っ越ししても、思い出に残せるように…って思ったパパがよくこのカメラで小さい頃のウチを撮ってたっけ)
ノゾミ『…』フフッ
ノゾミ(カメラに興味を持った小学生のウチに…パパはこのカメラをくれた)
ノゾミ(ウチは転校して新しい場所に行く度に…色んな写真を撮ろうとしていた)
ノゾミ(最初はピンぼけした空ばっかりやったけど…次第に風景や建物のようなまともな写真も撮れるようになった)
ノゾミ(でも、いつしかウチは撮るのをやめた…どうしてかはウチにもよく分からない)
ノゾミ(ただ…小学校を卒業する直前の転校した事が、理由の一つかも?)
ノゾミ(だって、仲の良い友達どころか話せる相手もいない卒業式なんて…想像しただけでつまんないやろ?)
ノゾミ(両親はしきりに謝っていたけど、それまでの学校にたいして愛着もなかったから…別に転校する事自体は良かった)
ノゾミ(だから大丈夫と思ってたんやけど…いざ卒業式の日になると、やっぱり寂しかった)
ノゾミ(もちろん誰かのせいとかじゃなくて、ちょっとタイミングが悪かっただけなんやけど…)
ノゾミ(でも、その日から何となく…写真を撮る気が無くなったような気がする)
ノゾミ『…?』
ノゾミ(ウチはアルバムも見つけて…その中身を見た)
ノゾミ『…そっか、中学に入った時にはもう撮ってなかったんやな』
ノゾミ(ウチはカメラとアルバムに対して、少し申し訳ない気持ちになった)
ノゾミ『さて…見つかったし、そろそろ行こっかな』
ノゾミ(ウチはカメラを持って、小屋を出て行った…)
~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~
雪穂(その頃、私達はディエンドに変身したツバサさんと一緒に男性から逃げていた…)
ディエンド「…ここまで来れば、大丈夫かしら」
亜里沙「よ、良かった…」ハァハァ
雪穂「あの…ツバサさん、あの人は一体?」
ディエンド「あの男は…とある世界からやってきた地球外生命体よ」
雪穂「とある世界の…地球外生命体?」
亜里沙「それってもしかして…エイリアン?」
ディエンド「簡単に言えばそうね…詳しい事は歩きながら話しましょうか」
雪穂「はい…!」
?「フゥ…やっと見つけたぞ?」
ディエンド「!」バッ
雪穂(私達が振り返ると…そこにはさっきの男性がいた)
亜里沙「ウソ…!」
ディエンド「あら、意外と早かったのね?」
ナルタキ「当然だ…私を見くびるな」
ディエンド「…」
ナルタキ「君は確か…何度でも私の邪魔をすると、そう言ったか?」
ディエンド「…ええ」
ナルタキ「そうか…悪い子だ」
雪穂(男性がそう言うと…黒い甲冑のような姿をした化け物に姿を変えた)
???「…」
雪穂「姿が…変わった」
亜里沙「アレは…?」
ディエンド「…これ、持っていてくれる?」スッ
(そう言ってディエンドは…私に青いカバンを渡してきた)
雪穂「あっ…はい!」
ディエンド「…ようやく正体を現したわね?」
???「…フン」
ツカサ「…ん」パチリ
ツカサ(目を覚ましたオレは…洞窟の入り口近くにいた)
?「あっ…目、覚めた?」
ツカサ(オレが起き上がると…そこにはノゾミがいた)
ツカサ「ノゾミか…何でここに?」
ノゾミ「少年くんを助けた方が良いって…カードがウチにそう告げるんや」フフッ
ツカサ(ノゾミは一枚のタロットカードを裏にした状態で取り出しながらそう言った)
ツカサ「…」ハァ
ノゾミ「あれ…もしかして信じてないん?」
ツカサ「別にそういう訳じゃない…ただ、オレにはまだ本当のアンタが見えていないだけだ」
ノゾミ「ウチはいつもこんな感じよ?」
ツカサ「どうだか…ん?」
ツカサ(オレはノゾミと一緒にいる三匹の小さな動物のようなものに気づいた)
ノゾミ「気づいた?この子達と一緒にツカサくんを見つけたんよ」
ツカサ「ディスクアニマルか…」
ノゾミ「知ってるん?」
ツカサ「ああ、どこかで見た覚えがあってな」
ノゾミ「そっか…この子達はウチが造った式神さんなんよ」
ノゾミ「ルリちゃんとリョクオくんとキィちゃんって名前なんやけど…」
ツカサ「なるほど…ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニか」
ノゾミ「へぇ…本当によく知ってるなぁ?」
ツカサ「言っただろ、見た覚えがあるって」
ノゾミ「記憶喪失なのに?」
ツカサ「それは…オレにもよく分からない」
ツカサ(オレは立ち上がろうとすると、自分の右腕に巻かれた包帯に気がついた)
ツカサ「…!」
ノゾミ「今度はどうしたん?」
ツカサ「これ、アンタがやったのか?」
ノゾミ「あっ…うん、ちょっとだけ痣があったみたいやったから薬草とか使って手当てしたんやけど」
ツカサ「…」
ノゾミ「…ダメ、やったかな?」
ツカサ「いや…助かった、ありがとな」
ノゾミ「…うん」フフッ
ツカサ「そういえば…サキは?」
ノゾミ「あっ…あだっちの事なら、別の式神さんに任せてるから」
ツカサ(すると…ノゾミのもとにニビイロヘビがやってきた)
ノゾミ「来た!…ニビちゃん、あだっちの場所は分かった?」
ツカサ(ニビイロヘビはアニマルモードからディスクモードに変形し…ノゾミの手に収まった)
ノゾミ「よっと…」スッ
ツカサ(ノゾミは折りたたんだ音叉の間にディスクを入れると…そのディスクを回転させた)
ノゾミ「あー、なるほどなぁ…」
ツカサ(ノゾミはそのディスクから何かを解析したようだった)
ノゾミ「…少年くん、良かったら一緒についてきてくれる?」
ノゾミ「ウチには…少年くんの力が必要なんよ」
ツカサ「…条件がある」
ノゾミ「何?」
ツカサ「どうして休学したのか…教えてくれないか?」
ノゾミ「…!」
ツカサ「他に理由があるんだろ?」
ツカサ「例えば…鬼の鎧を盗んだ人物が誰か、とかな」
ノゾミ「…さすが少年くんやなぁ」フフッ
ツカサ「…」
ノゾミ「分かった…ええよ、とりあえずあだっちのいる所に向かいながら説明するね?」
ツカサ「…ああ」
ツカサ(オレとノゾミは洞窟を出て、サキがいる場所に向かった)
雪穂(黒い甲冑の化け物は…圧倒的な力でディエンドを追い詰めていた)
???「その程度か…ハッ!」
ドガッ!
ディエンド「うっ!」
亜里沙「ツバサさん!」
???「…どうした、私の邪魔をするんじゃなかったのか?」
ディエンド「…」ハァハァ
???「やってみろ、小娘!」
ディエンド「…!」
雪穂(ディエンドは青い銃に一枚のカードを入れると…)
『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディエンド!』
ディエンド「はあっ!」
雪穂(化け物に狙いを定めて…銃からビームを放った)
雪穂(ツバサさんが必ず勝ってくれる…私達はそう信じて疑わなかった)
???「…」スッ
雪穂(それに対して化け物は、手をかざしディエンドのビームを吸収すると…)
ディエンド「…!」
亜里沙「ウソ!?」
???「残念だったね…さよならだ」バシュッ!
雪穂(ディエンドに向けてそのビームを返してしまった)
ディエンド「きゃあっ!?」
雪穂「ツバサさん!」
雪穂(化け物に技を返されたディエンドは吹き飛ばされ…青い銃を私達の近くに放り投げながら、深い谷底まで落ちてしまった)
???「フフフ…」
雪穂「…!」
雪穂(私は化け物に取られないように、近くに落ちたディエンドの青い銃を拾った)
亜里沙「そんな、ツバサさんが…!」
???「さて…次は君達の番だ」クルッ
雪穂(化け物が振り返り、ゆっくりとこちらに近づいてきた…)
雪穂「このままじゃ…!」ハッ
雪穂(私はあることを思い出した)
雪穂「亜里沙…私が合図を出したら、一緒にアレを使おう」ボソッ
亜里沙「?…あっ!」
???「さあ、これで君達の旅は…もうおしまいだ」
雪穂「…どうですかね、それは分からないですよ?」
???「何?」
雪穂「…今だ!」
亜里沙「えいっ!」
雪穂(私達は前にツバサさんからもらったゼクトマイザーを取り出して…小型のカブト虫爆弾を化け物に向けて放った)
???「グッ!」
?「ああぁぁぁっ!!」ダッ
雪穂(すると…銀色の身体に顔と手が紫に縁取られた四本角の鬼が現れ、化け物に対して後ろから間接技をかけた)
???「ッ!?」
京介変身体「甘いな…鍛え方が違うんだよ、お前とは!」ググッ
亜里沙「あの人は…!?」
雪穂「…」
雪穂(あの鬼は…きっとツバサさんのディエンドが、私達を助けに来る前に呼び出したのだろう)
雪穂(そうだとしたらツバサさんは、こうなることまで予想して…?)
京介変身体「いいから逃げろ…早く!」
雪穂「は、はい…亜里沙!」ダッ
亜里沙「うん!」ダッ
雪穂(弾切れになったゼクトマイザーを捨てた私達は…急いでたちばなへと向かった)
サキ「ん…」パチリ
サキ「ここは…森?」
?「目が覚めたか…」
サキ「!?」
鬼の鎧「…」
サキ「あなた…私を連れて、一体どうしようというの?」
鬼の鎧「…君なら私の気持ちが分かると思ったからだ」
サキ「えっ…?」
鬼の鎧「共に行こう…アダチくん、そして新しい鬼の道を作ろう」
鬼の鎧「君とならば、きっと…」
ブォォォォ!
鬼の鎧「!」サッ
鬼の鎧「この力強い法螺貝の音撃と一本角の姿…『鬼堂』か」
鬼堂「…」
サキ「!…お父さん」
鬼堂「サキを返してもらうぞ…キリュウ」
サキ「…えっ!?」
鬼の鎧「そうか…既にバレていたか」フッ
ツカサ(オレとノゾミは洞窟を出て…サキと鬼の鎧がいるであろう場所に向かっていた)
ツカサ「キリュウが鬼の鎧の正体…か」
ノゾミ「うん、実は入院してた時に病院で散歩してたら…」
キリュウ『…』キョロキョロ
ノゾミ『あれ…校長先生?』
キリュウ『…』スタスタ
ノゾミ『屋上に行った…何かあったんかな?』
ノゾミ『…こっそりついて行ってみようかな』スタスタ
キリュウ『…もしもし』
ノゾミ『電話…かな?』
キリュウ『そうか、鬼の鎧が手に入ったか…』
ノゾミ『!?』
キリュウ『分かった、それならば私が着よう…では』ピッ
キリュウ『いよいよ…私達が新たな世界を作る時だ』
キリュウ『忌まわしきものを全て壊した…新しい世界をな』
ノゾミ『…』
ツカサ「なるほどな、だいたいわかった」
ツカサ「でも…それが本当なら何故、キリュウに音撃棒を渡したんだ?」
ノゾミ「…あだっちを守る為、かな?」
ノゾミ「多分、ウチが何も言わなかったら…あだっちは退学する事になってたかもしれないから」
ノゾミ「だから…仕方がなかったんよ」
ツカサ「…そういう事か」
ツカサ「だが、その代わりにアンタは…鬼の鎧に立ち向かう手段として式神のディスクアニマルを作った」
ノゾミ「…ウチの独学やけど、前から巻物とかなんかで式神様を作る事は得意やったからね」
ツカサ「そうか…つまりそこまでする程、この世界のアンタにとってあの学校は特別な場所だという事なんだな?」
ノゾミ「…うん」
ノゾミ「ウチ、初めて出会ったんよ」
ノゾミ「自分を大事に思うあまり、素直になれなくて…」
ノゾミ「そのせいで皆と距離を置いちゃう…まるで、ウチと同じような人に」
ツカサ「…」
ノゾミ「想いが強くて不器用な分だけ、人とぶつかって…」
ノゾミ『!…あの子は』ピタッ
サキ『…』スタスタ
キドウ『待たぬか、サキ!』
サキ『いい加減にしてよ…もう、放っておいて!』ダダッ
キドウ『むぅ…』ハァ
ノゾミ『…あの、キドウ先生』
キドウ『むっ?…東條か』
ノゾミ『娘さんの事、私に任せてもらえますか…?』
キドウ『…なぬ?』
ノゾミ『私、娘さんと仲良くなりたいんです…ちょっと行ってきます!』ダッ
キドウ『!…仲良くなりたい、か』
ノゾミ『あの子は…いた!』
サキ『何よ…お父さんの分からず屋』ボソッ
ノゾミ『あっ、あの…!』
サキ『?』クルッ
ノゾミ『…///』モジモジ
サキ『あなた、誰…?』
ノゾミ『!』
ノゾミ『っ…ウチ、東條ノゾミ!』
ノゾミ『よろしくな、ぶいっ!』シュッ
サキ『…はぁ?』
ノゾミ「それがウチとあだっちの出会いやった」
ノゾミ「その後も、同じ想いを持つ人がいるのにどうしても手を取り合えなくて…」
ツカサ「後輩のアキラとヒトミの事か?」
ノゾミ「…」コクリ
ノゾミ「鬼としての熱い想いはあるけど、どうやって繋がって良いか分からない…」
ノゾミ「そんな子がここにも、ここにも…」
ノゾミ「だから…ウチはウチなりに、支えてあげたいなって思ったん」
ノゾミ「彼女達の望みが…叶うように」
ツカサ「…」
ノゾミ「だから少年くんの言う通り…ウチはウチなりのやり方で、あだっち達がいるあの学校を守りたいんよ」
ツカサ「…そうか、それなら急がないといけないな」
ノゾミ「今頃はきっと…式神のコガネちゃんがキドウ先生を連れて、あだっちを助けてくれてると思うんやけど」
ツカサ「コガネオオカミの事か…なるほどな」
ツカサ「絶対に…サキを助けるぞ」
ノゾミ「…うん」フフッ
鬼の鎧「よくここが分かったな…鬼堂」
鬼堂「今はこうして円盤の形になっているが…ワシの所に式神が来てな、ここまで案内してもらったのだ」スッ
鬼の鎧「なるほど…誰が嗅ぎ付けたかは知らないが、そういう事か」
鬼堂「キリュウ、なぜこんな事を…!」
鬼堂「ガキの頃から知り合いだったワシらは、鬼として互いに切磋琢磨してきたはず…」
鬼堂「そんなお前は学校の校長として…音撃道の未来を見据えていたのではないのか!?」
鬼の鎧「だからこそだ、鬼堂」
鬼堂「何…?」
鬼の鎧「足に怪我を負い、鬼としての力を失った私は…鬼の力を持つ者からの憐れみや嘲りに耐え忍んで日々を生きてきた」
鬼の鎧「そして私は気付いた…この身に鎧を纏い、今あるこの世界を一度壊して新たな世界を作ろうと」
サキ「…そんな」
鬼堂「キリュウ…ワシらはお前を一度たりとも嘲けた事など」
鬼の鎧「黙れ!私の屈辱が…お前に分かるものか!」
鬼の鎧「私はまだ戦える…私は、新たな世界の覇者となる!」
鬼堂「目を覚ませ…キリュウ!」ダッ
鬼の鎧「忍法、影映し!」カッ
鬼堂「ぬっ!?」
サキ「眩しい…!」
鬼の鎧「ハッ!」ズバッ!
鬼堂「ぐわっ…!」バタッ
サキ「お父さん!」
鬼の鎧「…右肩を斬られれば、自慢の法螺貝は担げまい」
鬼堂「ぐっ…」
鬼の鎧「安心しろ、鬼堂…私が新たな世界の覇者になるのは私利私欲の為ではない」
鬼堂「…何、だと?」
鬼の鎧「鬼の行く末を案じての事だ…このままでは、いずれ滅ぶからな」
鬼の鎧「我が学校を広く世に知らせる為には…こうするしかないのだ」
鬼堂「キリュウ…」
鬼の鎧「物事を変えるという事は…時に大きな傷や痛みを伴う、これはそういう事なのだ」
鬼の鎧「さあ…共に行こう、アダチくん」
サキ「…」
鬼の鎧「たちばなの生徒の中で最も伸び代のある君とならば、きっと…」
サキ「イヤよ」
鬼の鎧「…何?」
サキ「鬼の道を絶望しているようなあなたなんかに…私は絶対に従わない」
サキ「何故なら鬼は…皆の希望になるものだと、信じているから!」
鬼の鎧「…!」
鬼堂「サキ…!」
?「…どうやら交渉決裂のようだな、校長」
鬼の鎧「!」クルッ
ズバッ!
鬼の鎧「グッ…」バタッ
サキ「なっ…校長!」
ハンゾウ「…フン」
鬼堂「ハンゾウ…お前、一体何を!」
ハンゾウ「この世を…再び戦乱の世に戻す為だ」
鬼堂「何故そんな事を…?」
ハンゾウ「もちろん…報われぬ我々、忍者の為だ」
サキ「忍者の…為?」
ハンゾウ「戦国の世が終わりを告げてから数百年以上…我々は衰退の一途を辿っている」
ハンゾウ「だから私は気付いた…平和な世の中など不要、戦いにしか我々の存在意義は無いと!」
鬼堂「そんな馬鹿な事が…」
ハンゾウ「許されるのだよ…私には」ニヤリ
鬼堂「!…ぐわぁぁぁっ!?」
サキ「お父さん!?」
鬼の鎧「…?」
鬼堂「ハンゾウ…お前、一体何を!?」
ハンゾウ「気が付かなかったのか?…校長室でお前の肩を叩いた時に、私がとある呪術を掛けていた事を」
鬼堂「な、何だと…ぐわぁぁぁっ!」
サキ「お父さん!」ダッ
鬼堂「来るなサキ!」
サキ「!?」
鬼堂「ワシはもう…鬼の力を制御できない!」
ハンゾウ「そう、怒りや憎しみを増幅する事で鬼の力を暴走させ魔化魍に変える禁断の術…その名は『化身』」
サキ「魔化魍、ですって…?」
鬼の鎧「まさか…!」
ハンゾウ「そうだ…伝説の魔化魍『牛鬼』の誕生だ!」
牛鬼「グワァァァ!!」ダッ
サキ「いや…いやぁぁぁ!!」
鬼の鎧「よせ、鬼堂!」
鬼の鎧「クッ…音撃『草璃縄(くさりなわ)』!」
ヒョォォォォォ…
牛鬼「!?」
ハンゾウ「ほう…草笛を使って、牛鬼の動きを止めたか」
ハンゾウ「だが…俺のこの刀ならどうだ!」ズバッ
鬼の鎧「グワッ…カハッ」バタッ
サキ「キリュウ校長!」
ハンゾウ「おっと…勢い余って、鬼の鎧を真っ二つにしてしまったな」
キリュウ「ぐっ…」
ハンゾウ「俺が求めているのは本物の鬼だ、心の底から鬼になれぬお前など…必要無い」
ハンゾウ「さて…そろそろ学校に戻るか」トスッ
サキ「うっ…!」バタッ
ハンゾウ「この娘は貰っていくぞ…忍者の子孫繁栄の為にもな」ニヤリ
ハンゾウ「行くぞ、牛鬼」
牛鬼「グワァァァ!」
キリュウ「ま、待て…」
キリュウ「アダチくん、キドウ…!」
ツカサ(オレ達は…誰かが森の中で倒れているのを見つけた)
ツカサ「あれは…キリュウか!?」
ノゾミ「…!」
ツカサ(オレはキリュウを起こそうと、身体を揺さぶりながら呼び掛けた)
ツカサ「おい、しっかりしろ!」ユサユサ
キリュウ「…」
ノゾミ「校長先生!」
キリュウ「うっ…」パチリ
ツカサ「起きたか…一体、何があった?」
キリュウ「共に暗躍していたハンゾウが…私を裏切った」ハァハァ
ツカサ「ハンゾウ…あの忍術科の講師か」
キリュウ「奴はキドウを魔化魍に変え…アダチくんを連れ去って、学校へ行ってしまった」
ノゾミ「キドウ先生を、魔化魍に…?」
キリュウ「そうだ…ハンゾウの呪術によって今のキドウは『牛鬼』という魔化魍になっている」
ノゾミ「!…そんな」
ツカサ「キドウを元に戻す方法はないのか?」
キリュウ「…一つだけある」
ツカサ「それは何だ?」
キリュウ「…東條くん、君にこれを」スッ
ツカサ(キリュウはノゾミに二本の音撃棒を渡した)
ノゾミ「これは…ウチの音撃棒?」
キリュウ「半端な音撃では、キドウは魔化魍として倒されてしまう…魂を込めた音撃をぶつける事が必要だ」
ノゾミ「魂を込めた音撃…」
キリュウ「…そうだ、私はそれを君に託したい」
ノゾミ「どうして、ウチに…?」
キリュウ「もちろん勝手だという事は分かっている…許してほしいとも思っていない」
キリュウ「だが、私は今更ながら気付いたのだ…こんな事をしても鬼の道に未来はないと」
キリュウ「だからこそ…私は友達想いである優しい君にお願いしたい」
キリュウ「どうか…キドウの命とアダチくんの心を救ってほしい」
ノゾミ「校長先生…」
キリュウ「本当ならば、私はアダチくんではなく君を連れて行くつもりだったのだが…君は暫く鬼にならないと聞いていたからね」
キリュウ「だから、君のその優しい想いがあれば…きっとキドウを元に戻せるはずだ」
キリュウ「君がいれば…鬼を希望の道に導いてくれると、私は信じている」
ノゾミ「…!」
キリュウ「これは鬼や校長としての命令ではなく…微かに人間の心を残した私からの最後の頼みだ」
キリュウ「お願いだ…やってくれるか、東條くん?」
ノゾミ「…分かりました、やってみます」
ノゾミ「ウチは…皆の望みを守る為に、鬼になります!」
キリュウ「東條くん…ありがとう」フフッ
ツカサ(キリュウはノゾミの決意を聞いて微笑むと…そのまま目を閉じて動かなくなってしまった)
ノゾミ「…校長先生?」
ツカサ「おい…しっかりしろ、キリュウ!」ユサユサ
ツカサ(ノゾミは二本の音撃棒をしばらく見つめると…やがて立ち上がり、こう言った)
ノゾミ「…行こう、少年くん」
ツカサ「ノゾミ…大丈夫なのか?」
ノゾミ「…うん、大丈夫」
ノゾミ「ウチは…皆や学校を守りたい!」
ツカサ「…よし!」ダッ
ノゾミ「校長先生…後で、皆と一緒に迎えに来ます」
キリュウ「…」
ノゾミ「…」ダッ
ツカサ(オレとノゾミは…急いでたちばな高等学校に向かった)
雪穂(たちばな高等学校の近くまで来た私達は…驚きの光景を目の当たりにしていた)
亜里沙「そんな…」
雪穂(目の前には…天狗のような姿をした化け物がいた)
テング「…」
雪穂「もしかして学校にまで、魔化魍が…?」
テング「…」ダッ
雪穂(化け物は私達に襲いかかってきた)
雪穂「!」
?「おりゃあ!」ガッ!
テング「!?」
雪穂(その時…顔が青く縁取られた一本角の鬼が現れた)
弾鬼「ったく、魔化魍の奴…こんな所にまで現れやがって」フゥ
?「ハズミさん!」ダッ
雪穂(その鬼を追うように…アキラさんとヒトミさんがやってきた)
ヒトミ「あれ、君達はさっきの…大丈夫ッスか!?」
雪穂「あっ…はい!」
アキラ「そう…それなら良かったわ」ホッ
アキラ「それにしても、まさか学校の近くに魔化魍が現れるなんて…」
ヒトミ「あれ…もしかしてアキラさん、ビビってるッスか?」
アキラ「バカ言わないでちょうだい…本当は一人で戦うのが不安なクセに」
ヒトミ「そんなことないッスよ!」
アキラ「ふん、どうだか…!」
弾鬼「お前らなぁ…争ってる場合か!?ちゃんと前見ろ、前!」
テング「…!」ダッ
雪穂(二人がケンカしている隙に、魔化魍が再び襲いかかろうと向かってきた)
亜里沙「二人とも!来るよ!?」
アキラ「!…大丈夫よ」ヒュィィィ…
ヒトミ「もう…さっきのまでの私達とは違うッス!」ギュィィン…
雪穂(ホイッスルを鳴らしたアキラさんに風が巻き起こり、リストバントの中の弦を指で弾いたヒトミさんに雷が落ちると…)
威吹鬼「…はっ!」
ツカサ(アキラさんは顔が青く縁取られた三本角の鬼に変身し…)
轟鬼「せいっ!」
ツカサ(ヒトミさんは顔が銀色に縁取られた一本角の鬼に変身した)
亜里沙「さっきと…違う?」
威吹鬼「音撃管、烈風!」ガガッ!
轟鬼「音撃弦、烈雷!」グサッ!
雪穂(鬼に変身したアキラさんがトランペット型の銃で、ヒトミさんかエレキギター型の大きな剣で化け物を攻撃すると…)
テング「!?」
威吹鬼「音撃射・疾風一閃!」フゥィィィ!
轟鬼「音撃斬・雷電激震!」ギュィィン!
テング「!!」
雪穂(二人の清めの音を受け、魔化魍は…土の塊になって崩れ落ちた)
弾鬼「全く、喧嘩するほど何とやらだな」ハァ
?「本当じゃのう…ほっほっほ」スタスタ
雪穂「!?」クルッ
雪穂(いつの間にか私達の後ろには…顔が青緑に縁取られた小柄な体格の鬼がいた)
亜里沙「誰…?」
轟鬼「あっ、エイラ先輩じゃないですか!?」
鋭鬼「やあやあ…お主ら、元気じゃったか?」
威吹鬼「それはこっちの台詞ですよ!?」
弾鬼「一緒に調査に行ったサカエ先輩から、滝壺に落ちたって聞いたぞ!?」
鋭鬼「確かにそうじゃが、サカエとは身体の出来が違うからの…そんな事で簡単にやられはせんわい!」
鋭鬼「それに…ワシは一晩寝て英気をたっぷり養ったから大丈夫じゃ、あっはっはっは!」
威吹鬼「えぇ…」
轟鬼「さ、寒過ぎるッス…」
亜里沙「…どういう意味?」
雪穂「さぁ…?」
弾鬼「…サカエ先輩が怪我して帰ってきたから心配していたんだが、どうやら無駄だったようだな」ハァ
鋭鬼「ところで、別の場所にも魔化魍が現れたと聞いたが…そっちはどうなっとるんじゃ?」
威吹鬼「あっ…それなら、私は西門の方をバンドウさんとトウマさんにお願いしています」
蛮鬼『はぁっ!』ズバッ!
闘鬼『ふっ!』ガガッ!
轟鬼「私も東門の方でショウコちゃんとゴウリさんにお願いしてるッス!」
勝鬼『やぁっ!』ガガッ!
剛鬼『えぇいっ!』ドンッ!
鋭鬼「蛮鬼に闘鬼、勝鬼に剛鬼か…確かにあやつらなら大丈夫じゃろうな」
弾鬼「実は…先生達が学校のどこにもいないもんだから、今までこいつら二人で人員をどう割くか仲良く話し合ってたんですよ?」
鋭鬼「はっはっは!なるほどのぅ…」
威吹鬼「ち、ちょっとやめてください!…誰がこんな人なんかと」
轟鬼「私だって願い下げッス!誰がこんな人なんかと…」
威吹鬼「…何ですって?」ゴゴゴ
轟鬼「何すか…?」ゴゴゴ
亜里沙「ダメ!」
(その時、にらみ合うアキラさんとヒトミさんを止めようと…亜里沙が間に割って入っていった)
威吹鬼「え?」
轟鬼「君は…?」
雪穂「…亜里沙?」
亜里沙「こんな時までケンカなんてしたらダメだよ…二人とも、ちゃんと仲良くしなきゃ!」
亜里沙「じゃないと…いつか『もっと仲良くすればよかった』って後悔することになるよ!?」
威吹鬼「!」
轟鬼「!」
威吹鬼「そ、そうよね…こんな時までいがみ合ってる場合じゃないわよね」チラッ
轟鬼「同じ学校に通うクラスメイト同士ッスもんね…」チラッ
雪穂(アキラさんとヒトミさんはお互いにチラチラと見合っていた)
威吹鬼「…今までごめんなさい、あなたには言い過ぎたわ」ペコッ
轟鬼「わ、私こそ…今まで言い過ぎてしまってごめんなさいッス!」ペコッ
亜里沙「うん…そうだよ、そうでなくっちゃ!」ニコッ
鋭鬼「ほう、あの二人を止めるとは…なかなかやるのぅ?」
弾鬼「今まで私達が止めに入っても、全然止めなかったのに…」
雪穂「亜里沙…」フフッ
弾鬼「…あれ、そういえばテングって夏の魔化魍だったよな?」
鋭鬼「!…確かに、あやつは太鼓の音撃でしか倒せないはずじゃ」
弾鬼「って事は…まさか『オロチ現象』が?」
?「グォォォォ!!」
雪穂「!?」クルッ
雪穂(私達が振り向くと…そこには二本の角を生やした牛のような姿の化け物がいた)
亜里沙「あれは…?」
鋭鬼「伝説の魔化魍、じゃと!?」
轟鬼「もしかして…『牛鬼』ッスか!?」
弾鬼「どうしてこんな所にいるんだよ?…!」
雪穂(アキラさんとヒトミさんが不思議がっていると…気を失ったサキさんを抱えたハンゾウさんが化け物の隣に並び立った)
威吹鬼「…ハンゾウ先生?」
ハンゾウ「俺がやったんだよ」
雪穂「えっ…?」
ハンゾウ「俺が…キドウを牛鬼に変えたんだよ」
鋭鬼「なぬ!?」
轟鬼「キドウ先生が…?」
亜里沙「うそ…」
ハンゾウ「本当だ」
雪穂「…どうして、そんなことを?」
ハンゾウ「この世界を…俺が望む世界にする為さ」
弾鬼「テメー…何を訳の分からねぇ事言ってんだ!」
威吹鬼「キドウ先生、目を覚ましてください!」ダッ
轟鬼「早く元に戻るッス…キドウ先生!」ダッ
雪穂(牛鬼になったキドウさんを助けようと、四人の鬼が走って行ったけど…)
牛鬼「グワァァァ!」ガッ!ゴッ!
威吹鬼「かはっ!」
轟鬼「ぐあっ!」
鋭鬼「うぐっ…!」
弾鬼「うわっ!?」
雪穂(牛鬼の強力な攻撃を受けた四人は…気を失って倒れてしまっていた)
亜里沙「みんな、しっかりして!」
サキ「…む」パチリ
サキ「なっ…皆が!?」
ハンゾウ「ほう、目が覚めたか…」
サキ「くっ、離しなさいよ!」ジタバタ
ハンゾウ「それは出来ないな…優秀な鬼の力を持つお前には、忍者の繁栄の為に協力してもらう」
サキ「そんなの…イヤに決まってるでしょ!」
ハンゾウ「そうか、ならば…」ドサッ
サキ「うっ!」ゴロゴロ
雪穂(サキさんは放り投げられ…私達の近くに転がってきた)
ハンゾウ「お前も牛鬼に消されるがいい!」
亜里沙「サキさん!」
サキ「…」
雪穂「大丈夫ですか!?」
サキ「え、ええ…それより誰か他の生徒を呼んでくれる?」
雪穂「は…はい!」
ハンゾウ「無駄だな…何故なら今頃、東門と西門には大量のバケガニが現れている」
亜里沙「えっ…?」
ハンゾウ「全て俺の呪術で操った魔化魍だと言っているんだよ…カッパやバケネコ、もちろんさっきのテングもな」
ハンゾウ「学校からは大量の生徒が応援に向かっているだろうが…さぞ、手こずっている事だろうな」ククク
サキ「あなた…どこまで卑怯なの!?」
ハンゾウ「これも世界を変える為さ…」スチャ
雪穂(そう言って二本の刀を取り出したハンゾウさんは十字に構えると…)
カキィィィン…!
雪穂(ボコボコと身体から不気味な音を立てながら、黒い炎が全身を包んだ)
ハンゾウ「カアッ!」
雪穂(声をあげると同時に黒い炎が振り払われると…全身、カラスのような羽で真っ黒に覆われた二本角の化け物になった)
サキ「嘘でしょ…あなた、忍者のはずなのに!」
?「そう、俺は忍者だ」
?「だが…『化身』の術と鬼の陰陽術を組み合わせれば、変身など容易い事だ」
サキ「そんな…!」
?「我が名は世を蝕む鬼…『蝕鬼』!」
サキ「ぐっ…」チリーン…
雪穂(サキさんは鬼に変身しようと鈴を取り出したけど…サキさんの姿は変わらなかった)
サキ「…嘘!?」
蝕鬼「無理もない…目の前に魔化魍になった父親がいれば心も乱れるだろう」
サキ「…!」
蝕鬼「牛鬼…やれ」
牛鬼「グォォォォ!」ダッ
雪穂(牛鬼は私達に向かって走ってきた)
亜里沙「危ない!」
雪穂「…!」
ヒュン!
牛鬼「!?」
蝕鬼「何だと…!?」
パシッ
ノゾミ「お疲れさん…アカネちゃん」フフッ
?(ノゾミはアカネタカを飛ばして、一時的に牛鬼の動きを止める事に成功した)
サキ「ノゾミ…?」
?(その間にオレとノゾミは…雪穂達やサキの目の前に立っていた)
ノゾミ「ぶいっ」シュッ
ツカサ「…何とか間に合ったようだな」フゥ
亜里沙「ツカサ!」
雪穂「大丈夫だったの?」
ツカサ「一応はな…」
蝕鬼「フン、誰かと思えばお前達か…何しに来た?」
ツカサ「分かりきった事を聞くんだな…なぁ、ノゾミ?」
ノゾミ「うん…」フフッ
ノゾミ「ウチらは…世界を蝕ませようとするあなたを止めて、キドウ先生を助ける!」
蝕鬼「止める、助けるだと…?」
蝕鬼「最強の鬼の力を持つ俺と伝説の魔化魍である牛鬼を相手にして…よくそんな事が言えるな!」
ツカサ「ああ、言えるね」
蝕鬼「何だと…?」
ツカサ「力を求めるだけのお前には分からないだろうな…本当に強い鬼は一体、何を持っているのか」
ノゾミ「…少年くん?」
ツカサ「それは…優しさだ」
蝕鬼「優しさだと…?」
ツカサ「ああ…本当に強い鬼は心まで鬼にならない」
ツカサ「ノゾミのように、誰かの為に慈しむ優しさを持っている鬼こそが…本当に強い鬼なんだ!」
ツカサ「まあ…ちょっと優し過ぎる所もあるけどな」フフッ
ノゾミ「少年くん…」
ツカサ「だからこそ…優しさを捨てて、力に溺れただけのお前は鬼でも何でもない!」
ツカサ「ただの…蝕まれた化け物だ」
蝕鬼「お前…一体、何者だ!」
ツカサ「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ!」
ノゾミ「…行くよ、少年くん!」
キィィィン…
ツカサ(懐から二股に分かれた音叉を出したノゾミは、それを近くの大木に軽く打ちつけ…額にあてた)
ツカサ「ああ…変身!」
ツカサ(ノゾミの身体が紫色の炎に包まれている間に…オレはディケイドライバーに一枚のカードを装填した)
『カメンライド…ディケイド!』
ノゾミ「はあっ!」
ツカサ(オレがディケイドに変身を完了させると同時に…ノゾミも響鬼へと姿を変えた)
ディケイド「よし…牛鬼は任せるぞ!」ダッ
響鬼「…うん!」ダッ
ディケイド(オレ達はそれぞれ分かれて、蝕鬼と牛鬼に挑んでいった…)
『アタックライド…ブラスト!』
ディケイド「はっ!」ガガッ
ディケイド(ライドブッカーをガンモードにしたオレは蝕鬼を攻撃するが…)
蝕鬼「音撃殺法…かまいたち!」シュィィィン…
ディケイド(蝕鬼はオレの攻撃をあえて受けながら…交互に激しく回転させた二本の刀から衝撃波を繰り出してきた)
ザシュッ!
ディケイド「ぐあっ!」
ディケイド(あまりの速さにオレは避けられず…ダメージを負ってしまった)
蝕鬼「忍法黒羽(くろは)の舞…!」
ディケイド(更に蝕鬼は身体を広げ…全身から無数の黒い羽根を矢のように飛ばしてきた)
グサグサッ!
ディケイド「うっ…!」ガクッ
ディケイド(身体中に黒い羽根が突き刺さったオレは…膝をついてしまった)
亜里沙「ツカサ!」
蝕鬼「ククク…勝負あったな」
ディケイド「…そいつはどうかな?」
蝕鬼「何?」
『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディケイド!』
ディケイド(一枚のカードをベルトに装填したオレが立ち上がると、オレと蝕鬼の間に数枚の大きなカードのようなものが現れた)
ディケイド「はあーっ!」バシュッ!
ディケイド(オレがライドブッカーの引き金を引くと、銃口から強力な光線が放たれ…カードの向こう側にいる蝕鬼に命中した)
蝕鬼「ウガァァァ!?」
ディケイド(これは『DCDB(ディケイドブラスト)』…オレ一人の技だ)
雪穂「やった…!」
ディケイド(しかし…蝕鬼はすぐに立ち上がった)
蝕鬼「…グッ、貴様ァァァ!」
ディケイド「しぶといな…まだ動けたのか」
蝕鬼「当然だ、俺はまだ終わりではない…!」
蝕鬼「俺にはまだ…牛鬼がいる!」
蝕鬼「何しろ牛鬼の身体はキドウの身体だからな…東條ごときには倒せまい」
ディケイド「…お前みたいな奴には一生、分からないだろうな」ハァ
蝕鬼「分からない?何がだ?」
ディケイド「彼女が…東條ノゾミが、どれだけ優しいかという事を!」
蝕鬼「!?」
響鬼「ほっ!」ダッ
響鬼(ウチは二本の音撃棒『烈火』を手にして、牛鬼に向かっていた)
牛鬼「…」ダッ
響鬼(走ってきた牛鬼に対してウチは…一本の音撃棒から火の玉を出して、もう一本の音撃棒の先を剣に変えて斬りつけた)
響鬼「やっ!はっ!」ボウッ
ズバッ!
牛鬼「グォォォォ!」
響鬼(斬られた牛鬼は苦しんでいるのを見て…ウチは躊躇ってしまった)
響鬼「…!」
牛鬼「!」ダッ
ゴッ!
響鬼(その隙に牛鬼は突進して…ウチを吹き飛ばした)
響鬼「うわっ…!?」ゴロゴロ
サキ「ノゾミ!」
響鬼「!…あだっち」
サキ「お父さんは…右肩を怪我しているわ!」
響鬼「えっ…?」
響鬼(ウチが牛鬼の右肩をよく見ると…そこには斬られたような傷跡があった)
サキ「そこから…清めの音を叩き込んで!」
響鬼「…うん、分かった!」
牛鬼「グワァァァ!」ダッ
響鬼「!」サッ
牛鬼「!?」
響鬼「ほいっ!」スッ
響鬼(牛鬼の体当たりを避けたウチは…自分のお腹に着けられた音撃鼓『火炎鼓』を取り出して、それを牛鬼の右肩に取りつけた)
牛鬼「…!」
響鬼「キドウ先生…今、元に戻しますから」
響鬼「だから…あだっちの話、聞いてあげてください」
響鬼「…」スゥ
響鬼(意識を集中させたウチは…二本の音撃棒で巨大化した音撃鼓を同時に叩いた)
響鬼「一気火勢の型!」ドン!ドン!
響鬼(次に…右から両方、両方から左、左から右とループするようにウチは音撃鼓を叩いていく)
響鬼「豪火連舞の型!」ドン!ドン!
響鬼(それから…交互に右、左、右、左と一定のリズムを刻んでいった)
響鬼「猛火怒涛の型!」ドン!ドン!
牛鬼「…!」ヨロッ
響鬼(そしてウチは最後に…)
響鬼「はぁっ…爆裂強打の型!」ドンッ!
響鬼(力と優しさを込めて…今まで一番強い清めの音を叩き込んだ)
牛鬼「…グハァァァ!!」バタッ
響鬼(ウチの清めの音を受けた牛鬼は倒れると…鬼堂の姿に戻った)
キドウ「…」
サキ「お父さん!」ダッ
響鬼(顔だけ変身を解いたキドウ先生に…あだっちが駆け寄った)
サキ「お父さん、しっかりして!」ユサユサ
キドウ「む…サキか?」
サキ「お父さん…大丈夫?」
キドウ「あ、ああ…ワシは大丈夫だ」
キドウ「…しかし、ワシは一体何を?」
サキ「魔化魍になっていたんだけど…ノゾミが助けてくれたの」
キドウ「何!?そうだったのか…」
響鬼「キドウ先生…元に戻って良かったです」
キドウ「東條…」
響鬼「ね?あだっち…」
サキ「ええ…ありがとう、お父さんを助けてくれて」
キドウ「ワシからも礼を言わせてくれ…ありがとう、東條」
響鬼「いやいや、そんな…ウチはキドウ先生やあだっちの望みを叶えようとしただけですから」
サキ「えっ?」
キドウ「…?」
響鬼「ふふ…ぶいっ」シュッ
蝕鬼「馬鹿な…ありえん!」
ディケイド「スピリチュアルだろ?」
蝕鬼「おのれ…ウガァァァァ!」
ディケイド「!」
響鬼「少年くん!」ダッ
響鬼(ウチは少年くんの隣まで行って…蝕鬼が苦しみながら姿を変える様子を見た)
響鬼「イヤな気やね…」
ディケイド「…ああ、禍々しささえ感じる」
響鬼(蝕鬼は身体をウチらの十倍くらいまで膨れ上がらせると…獣のような雄叫びをあげた)
響鬼「これって…まさか、魔化魍!?」
響鬼(魔化魍になった蝕鬼は頭に角、口から牙を生やしては全身を毛むくじゃらにして…)
魔化魍蝕鬼「…」
響鬼(ドクロみたいに窪んだその目は…真っ赤に血走ってた)
魔化魍蝕鬼「我が、名は…蝕鬼」
ディケイド「危ない!」サッ
響鬼「きゃっ!?」サッ
ビシャッ
響鬼(蝕鬼の口から黒い液体のような何かが出てきて…ウチらはそれを避けた)
響鬼(すると…液体がある地面から煙が出てきて、燃え上がった)
ディケイド「うっ…異様な臭いがするな」
魔化魍蝕鬼「我が、名は…蝕鬼」グラッ…
響鬼(蝕鬼はゆっくりと学校のある方に進んで行く)
キドウ「いかん!」
サキ「私達の学校が…!」
響鬼「そんな…」
ディケイド「させるか!」バッ
響鬼(少年くんは飛び上がり…蝕鬼の注意を払おうとする)
ガッ!
ディケイド「うわっ!」ドサッ
響鬼(それでも蝕鬼は…学校の方へ進みながら、少年くんを振り落とした)
響鬼「少年くん!」
ディケイド「痛て…何とか大丈夫だ」
響鬼「…良かった」
響鬼(でも…どうすれば良いんかな?)
響鬼(ウチ一人の音撃だけじゃ…多分、敵わないかもしれない)
響鬼(…ううん、弱気になったらダメ)
響鬼(ウチはまだ…ウチ自身の望みを叶えてない)
響鬼(学校を守って、皆と一緒に過ごしたいという…望みを)
響鬼(だから…!)
響鬼「ウチはまだ…諦めない!」
ディケイド(響鬼がそう言うと、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出してきた)
ディケイド(それらを掴んだオレはカードに響鬼の力が宿ったことを確認した)
ディケイド「それなら…一緒にやるぞ!」
響鬼「えっ…少年くんも?」
ディケイド「ああ、カードがオレに…そう告げるんだ」フフッ
響鬼「!…それなら、これを使って?」スッ
ディケイド(響鬼は…オレに二本の音撃棒『烈火』を渡してきた)
ディケイド「…良いのか?」
響鬼「うん!」
ディケイド「助かる…行くぞ!」
ディケイド(音撃棒を受け取ったオレは…一枚のカードをディケイドライバーに装填した)
『ファイナルフォームライド…ヒ・ヒ・ヒ・ヒビキ!』
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」
響鬼「オッケー、分かった!」
ディケイド(オレは響鬼の後ろに回り込み…響鬼の背中を押した)
ディケイド(すると響鬼は…ヒビキアカネタカに変形した)
響鬼「スゴいなぁ…これは?」
ディケイド「オレとノゾミの力だ」
響鬼「へぇ…スピリチュアルやね!」
ディケイド「だろ?」
ディケイド(ヒビキアカネタカは旋回しながら炎を纏うと、蝕鬼魔化魍態に体当たりし…奴の身体をひっくり返した)
魔化魍蝕鬼「ガッ…」ズドーン!
ディケイド(ヒビキアカネタカはヒビキオンゲキコに姿を変えると…倒れた蝕鬼の胸部にくっついた)
響鬼「少年くん!」
ディケイド「ああ!」バッ
ディケイド(オレは響鬼から借りた二本の音撃棒を持って…蝕鬼魔化魍態に飛び乗った)
ディケイド「はあっ!」ドン!ドン!
ディケイド(オレは太鼓を早く打つように猛烈な連打でヒビキオンゲキコを叩いていく)
サキ「お父さん、私達も…!」チリーン…
キドウ「うむ!」ブォォォ!
?「皆、起きて!」ユサユサ
鋭鬼「ぬぅ…なっ、サカエか!?」ガバッ
裁鬼「保健室で休んでたら外から騒ぎが聞こえて、私だけこっちに来てみたんだけど…いつの間にかこんな事になってて」
弾鬼「これは…!どうやら寝てる場合じゃないみたいだな?」
威吹鬼「そうね…加勢しましょう!」フゥィィィ!
轟鬼「はいッス!」ギュイーン!
ディケイド(いつしかサキとキドウの音撃だけでなく…弾鬼と鋭鬼の打、威吹鬼の管、轟鬼と裁鬼の弦の音撃も加わった)
ディケイド(そして響鬼と七人の戦鬼、八つの清めの音が重なり合い…蝕鬼魔化魍態は苦しみ始めた)
魔化魍蝕鬼「ヌォォォッ!?」
ディケイド(蝕鬼は再生能力を使って、清めの音に抗うが…それでも苦しんでいる)
『ファイナルアタックライド…ヒ・ヒ・ヒ・ヒビキ!』
ディケイド「はぁっ…やぁーっ!」ドドン!
ディケイド(オレは一枚のカードをベルトに入れ、トドメの一撃を振り下ろした)
ディケイド(これは『DCDW(ディケイドウェイブ)』…オレと響鬼の技だ)
魔化魍蝕鬼「ヌオワァァァッ!!」
ディケイド(激しくうめいた蝕鬼魔化魍態はその身体を爆発させると…やがてハンゾウの姿に戻った)
ディケイド「はっ!」スタッ
響鬼「よっと…」スタッ
ディケイド(オレとヒビキオンゲキコから姿を元に戻した響鬼は…同時に着地した)
ハンゾウ「お、おのれ…」
響鬼「!」
ハンゾウ「だが、俺を倒した所で何も終わらんぞ…」
ディケイド「…どういう意味だ?」
ハンゾウ「歴史は繰り返す…この蝕鬼の如く力に魅入られ、望みを蝕もうとする者は必ずやまた現れる」
ハンゾウ「俺の意志を継ぐ誰かがな…」
響鬼「…その時がもし来たら、ウチがまた皆の望みを守ります」
ハンゾウ「何だと…?」
響鬼「ウチが…何度でも、止めてみせます」
ハンゾウ「…」フフッ
ディケイド(ハンゾウは響鬼に優しく微笑むと…その身体は土の塊となって崩れていった)
ディケイド(ディケイドの変身を解いたオレに…顔だけ変身を解いたノゾミが話しかけてきた)
ノゾミ「…お疲れさん」
ツカサ「ようやく終わったな…」
ノゾミ「うーん…ちょっと違うかな」
ツカサ「?」
ノゾミ「終わったんじゃなくて…これから、始まるんよ?」フフッ
ツカサ「!…そうだな」フフッ
ノゾミ「ぶいっ!」シュッ
ツカサ「それと…これ、ありがとな」スッ
ツカサ(オレはノゾミに二本の音撃棒を返した)
ノゾミ「うん!」
ツカサ(すると…オレとノゾミのもとにサキ達がやってきた)
サキ「ノゾミー!」
亜里沙「ツカサー!」
ノゾミ「あっ…皆!」
ツカサ(オレが空を見上げると…いつの間にか日は暮れ始め、月が昇っていた)
ツカサ「…」チラッ
ツカサ(オレはサキと話すノゾミを見つめていた)
雪穂「…どうかしたの、ツカサ?」
ツカサ「いや…別に、何でもない」
ツカサ(その月は…まるで誰かさんのように、オレ達を優しく見守っているような気がした)
ノゾミ(数日後…ウチは校長先生が眠っている場所に来ていた)
『鬼龍 ここに眠る』
ノゾミ(ウチがたちばなに入学したのは…屋久島の中学校にいた時、たまたま島を訪れていた校長先生に出会ったからやった)
ノゾミ(魔化魍に襲われそうになっていたウチを、校長先生が助けてくれたのがきっかけで…ウチと校長先生は知り合いになった)
ノゾミ(それからウチはたちばなに入学し…鬼としての修行をこなし、あだっちや色んな子に出逢ってきた)
ノゾミ(その一方で…ウチが入学してからの二年間、校長先生は色々な事に苦しんでいた)
ノゾミ(ウチがちゃんと校長先生の苦しみを分かってあげられたら…こんな事にはならなかったのかもしれない)
ノゾミ(そう思ったウチは…校長先生に申し訳ない気持ちでいっぱいやった)
ノゾミ「…ごめんなさい、校長先生」ボソッ
?「ノ~ゾ~ミ~!?」ワシッ
ノゾミ(ウチは後ろから誰かに胸をわしわしされていた)
ノゾミ「ひゃあっ!?///」バッ
ノゾミ(わしわしの魔の手から離れたウチが後ろを振り返ると…そこにはあだっちがいた)
ノゾミ「あ、あだっち…」
サキ「あなた…副会長の仕事をほったらかしにして、何でここにいるわけ?」
ノゾミ「ご、ごめん…」エヘヘ
サキ「本当、しょうがないわね…こっちは一人で会議の資料まとめて大変だったんだから」ハァ
ノゾミ(戦いが終わってからのウチは…また学校に通うようになった)
ノゾミ(校長代理になったキドウ先生は…『これからは生徒が鬼の未来を築き上げるべきだ』と考え、生徒会の制度を導入した)
ノゾミ(今はあだっちが会長でウチは副会長…えっ、何でウチが会長じゃないのかって?)
ノゾミ(ウチは…誰かを引っ張るよりも誰かを支える方が性に合ってるって分かってるんよ)
ノゾミ(だからウチは…あだっちを生徒会長に推薦した)
サキ「分かった?…ちょっと、聞いてるのノゾミ!?」
ノゾミ「う…うん、聞いてるよ?」
サキ「本当に…?」
ノゾミ「うん…ホントに!」
サキ「それなら、もう良いわ…さてと!」
サキ「そろそろ練習に行くわよ…よろしくね、マネージャーさん?」
ノゾミ「…分かった」フフッ
ノゾミ(あだっちは今、アキラちゃんやヒトミちゃん達と一緒にスクールアイドルをしていて…ウチはそのマネージャーになった)
ノゾミ(あだっちに相談されて、最初は反対してたキドウ先生も…今ではあだっち達の動画を毎日チェックしている)
ノゾミ「えっと…今いるメンバーって、あだっちを含めて十一人くらいやったっけ?」
サキ「そうよ」
ノゾミ「うーん、まとめるの大変そうやね…」
サキ「それがあなたの仕事でしょ?」
ノゾミ「それはそうやけど…」
サキ「応援するって言ったんだから、最後まで私に付き合ってもらうわよ?」フフッ
ノゾミ「…ふふっ、かなわんなぁ」
サキ「よーし!じゃあ、練習場所まで競争よ!」ダッ
ノゾミ「あっ…」
サキ「負けた方がジュースおごりだからねー?」
ノゾミ「あだっち…」フフッ
ノゾミ「…さようなら、校長先生」
ノゾミ「鬼の皆がこれから歩いていく道は…ウチらが作っていきます」
ノゾミ「…」クルッ
?「鍛えたな、ノゾミ…ありがとう」
ノゾミ「!」バッ
ノゾミ(ウチは思わずお墓の方を振り返ったけど…そこには誰もいなかった)
ノゾミ「…」フフッ
ノゾミ(笑いかけたウチは…全力であだっちのいる所まで走って行った)
ノゾミ「負けへんよ~!」ダダッ
サキ「えっ…もう追いついてきてる!?」
ノゾミ「鍛えてますから!」
サキ「ふふっ…更に強くなったみたいね、ノゾミ?」
ノゾミ「うふふっ…ぶいっ!」シュッ
ツカサ(その夜…食事を済ませた後、キアカジシというディスクアニマルが写真館を訪れた)
ツカサ「お前、もしかして…ついて来いって言ってるのか?」
キアカジシ「…」ダッ
ツカサ「あっ…おい!」ダッ
ツカサ(オレがしばらくキアカジシを追っていると…キアカジシはたちばな高等学校の中に入っていった)
ツカサ「…?」
ツカサ(オレはそのまま校舎の中に入り…やがて、屋上へとやって来た)
ツカサ「…!」
ツカサ(そこにキアカジシの姿はもうなかった)
ツカサ(しかし…オレは既に気づいていた)
ツカサ「…こんな事をするのは一人ぐらいしかいないな」ハァ
ツカサ「いるんだろ?…ノゾミ」
?「さすが少年くんやね」
ツカサ「!」クルッ
カシャッ
ツカサ(オレが振り返ると…そこにはオレと全く同じ型のカメラを持ったノゾミがいた)
ツカサ「そのカメラ…」
ノゾミ「ふふっ、ビックリした?」
ノゾミ「これな…ウチのパパがずっと使ってたカメラなんよ」
ツカサ「…そうだったのか」
ノゾミ「うん…それからウチにくれたんやけど、あまり使ってなかったんよ」
ノゾミ「でも、少年くんのカメラを見て思い出したんよ…もしかしたらって」
ツカサ「…それで、そのカメラでオレを撮りたくなったという訳か?」
ツカサ(オレはノゾミを茶化そうと…ちょっとした冗談を言った)
ノゾミ「…」
ツカサ「全く、仕方ないな…そんなにオレの事が気に入ったのか?」フフン
ノゾミ「…うん」
ツカサ「!」
ノゾミ「少年くんには色々、助けてもらったから…忘れんように残しておきたいなって思ったんよ」
ノゾミ「ウチにとって少年くんは…大事なものを思い出させてくれた、大切な人やから」フフッ
ツカサ「…///」
ノゾミ「あれ、もしかして少年くん…照れとる?」
ツカサ「は…はぁ!?」
ノゾミ「顔、赤くなってるよ?」
ツカサ「そ…そんな訳ないだろ!?」
ノゾミ「え~…ホンマにぃ?」
ツカサ「本当だ…あまりオレをからかうな」
ノゾミ「ウチは思った事を素直に言っただけや…誰かさんと違うて」フフッ
ツカサ「…」ハァ
ノゾミ「ふぅ…よっと」ゴロン
ツカサ(ノゾミは仰向けに寝転ぶと…じっと夜空を見つめていた)
ノゾミ「キレイな月やなぁ…少年くんも見てみたら?」
ツカサ「…」ゴロン
ツカサ(オレも寝転んで空を見上げると…そこには綺麗な三日月があった)
ツカサ「確かに、綺麗だな…」
ノゾミ「…うん」
ツカサ「そういえば…サキ達、スクールアイドルになったんだってな?」
ノゾミ「うん…」
ツカサ「アンタはやらないのか?」
ノゾミ「…うーん」
ノゾミ「今のウチには…マネージャーやって、皆を支える方が楽しいから」
ツカサ「…そうか」
ツカサ(しばらく何も言わずに夜空を見つめていると…ノゾミが話しかけてきた)
ノゾミ「…ねぇ、少年くん」
ツカサ「何だ?」
ノゾミ「少年くんは…ウチらの世界に来てから、何か思い出せた?」
ノゾミ「本当の名前とか、どこから来たのかとか…」
ツカサ「いや…全然、思い出せない」
ノゾミ「…そっか」
ツカサ「結局、オレはまだ…何もかも失ったままだ」
ノゾミ「…」
ツカサ「旅をしていると、たまに不安になる事があるんだ…オレがこの旅をしている意味が本当にあるのかと」
ツカサ「世界を救うのが本当に、オレなんかで良いのかと…」
ノゾミ「…ウチは、少年くんがこの世界に来てくれて本当に良かったなって思ってるよ?」
ツカサ「…そうなのか?」
ノゾミ「うん」
ノゾミ「あと、確かに少年くんは記憶を失くした…でもな?」
ノゾミ「生きていくって事は…失くす事ばっかりじゃないって、ウチは思うんよ」
ツカサ「…」
ノゾミ「少年くんは…今まで色んな世界を旅してきたんやろ?」
ツカサ「…ああ」
ノゾミ「だったら、たくさんの人に出逢ってきたんやない?」
ツカサ「まあ…そうだな」
ノゾミ「心からスゴいと思える人や尊敬できる人…また会いたいなって思える人」
ノゾミ「そんな人達と出逢ったから…今の少年くんがいるんやない?」
ツカサ「…!」
ノゾミ「ウチは、そう思うな…」
ノゾミ「だから…自分なんかって言わんといて?」
ノゾミ「自分を信じる事が、自分で自分らしくいる為に必要な始まりの…第一歩なんやから」
ツカサ「…ノゾミ」
ノゾミ「ふふっ…よっと!」
ツカサ「…」フゥ
ツカサ(オレとノゾミは立ち上がった)
ツカサ(それと同時に…オレの身体は徐々に透けていた)
ツカサ「!」
ノゾミ「…お別れ、みたいやね?」
ツカサ「ああ…どうやら、この世界でオレがやるべき事は終わったらしい」
ノゾミ「…そっか」
ツカサ「ありがとな」
ノゾミ「…ううん、ウチの方こそ」
ツカサ「…一枚だけ、撮っていいか?」
ノゾミ「えっ…ウチを?」
ツカサ「ああ」
ノゾミ「でも…ウチを撮っても、何も面白くないと思うよ?」
ツカサ「面白いかどうかじゃなくて…オレがアンタを撮りたいと思ったから撮るんだ」
ノゾミ「!」
ツカサ「良いか?」
ノゾミ「…うん!」ニコッ
ツカサ(オレはノゾミにカメラを向け…シャッターを切った)
カシャッ
ノゾミ「…撮れた?」
ツカサ「ああ…きっと良い一枚になる、何せアンタはあの月と同じくらいに綺麗なんだからな」
ノゾミ「へっ…///」
ツカサ「あっ…照れたな?」
ノゾミ「て、照れてないよ!?」
ツカサ「いやいや…顔赤いぞ?」
ノゾミ「赤くなってないよ!?」
ツカサ「標準語で喋っているのも怪しいな…」
ノゾミ「怪しくないよ!?」
ノゾミ「もう…ウチをからかわんといてよ!」プンプン
ツカサ「ははっ…悪い悪い」
ツカサ「でも、これでおあいこ…だな?」
ノゾミ「あっ!…うふふっ」
ノゾミ「もう、かなわんなぁ…」
ツカサ「…じゃあな、ノゾミ」シュッ
ノゾミ「…うん」
ツカサ(オレの身体は消え、そのまま光写真館へと戻っていった)
ノゾミ「さてと、そろそろウチも帰ろっかな?…あっ」
パサッ
ノゾミ「あちゃ~、またウチのタロットカードが一枚落ちちゃった」ヒョイ
ノゾミ「!」
ノゾミ「このカードって…ふふっ、星が動き出したみたいや」
ノゾミ「…ありがとう、ツカサくん」
ツカサ(オレは写真館に戻ると…きびだんごを作り、雪穂達に食べてもらおうとしていた)
ツカサ「ほら…出来たぞ」コトッ
雪穂「…うん」
亜里沙「いただきます…」モグモグ
ツカサ「…」
ツカサ(触鬼との戦いが終わってからすぐ…オレと雪穂達は行方不明になったツバサを探した)
ツカサ(しかし…何日探しても、ツバサは見つからなかった)
亜里沙「…ツバサさん、大丈夫かなぁ?」
ツカサ「どうだろうな…ナルタキを追って、先に次の世界に行っている可能性もあるかもしれないな」
亜里沙「そっか…」
ツカサ「あまり心配するな…アイツはこんな所でやられるようなヤツじゃない」
ツカサ「だから信じろ…アイツにまた会える事を」
亜里沙「…うん、そうだね」
雪穂「ねえ…そういえば、ツカサもナルタキって人に狙われたことがあるんだよね?」
ツカサ「ああ…何が目的なのかは分からないが、奴はオレに明らかな敵意を持っていた」
雪穂「ツバサさん…何かを知っていたみたいだったけど、一体どんな人なんだろう?」
ツカサ「さぁな…だが、お前達が襲われた時の話を聞いていると少なくとも人でない事は確かだ」
ツカサ「そして、オレ達を狙っている…敵だという事もな」
雪穂「…うん」
亜里沙「あれ?キバーラがいない…」
雪穂「そういえば…ツバサさんがいなくなってから見てないね」
ツカサ「…アイツはいてもいなくても一緒だと思うが」ボソッ
雪穂「えっ?」
ツカサ「いや…何でもない」ピラッ
ツカサ(オレは一枚の写真を取り出し…その出来を確認していた)
雪穂「それって…ノゾミさんの写真?」
ツカサ「そうだ…見てみるか?」
亜里沙「うん!」
ツカサ(オレは亜里沙達に写真を見せた)
ツカサ(写真には音撃棒の手入れをするノゾミと優しく微笑みながら夜空を見上げるノゾミが写っていた)
亜里沙「良い写真だね!」
雪穂「…そうだね」フフッ
ツカサ「アイツに任せておけば…この世界はもう大丈夫だろう」
雪穂「あれ、ところで…たちばなの校長先生に頼まれたことは結局どうなったの?」
ツカサ「それなら大丈夫だ…オレがわざわざ教えてやらなくても、生徒であるノゾミ達がとっくに気付いているさ」
雪穂「…?」
亜里沙「ねぇ、そういえば今までの旅で私たちがまだ会ってない『μ's』メンバーって…もうことりさんだけじゃないのかな?」
雪穂「となると…次の世界が、守らないといけない最後の世界になるね」
ツカサ「そうなるな…!」
ツカサ(すると…スタジオの背景が違うものに変化した)
亜里沙「変わった!」
雪穂「…ツカサ、ここは何の世界なの?」
ツカサ「ここは…電王の世界だ」
亜里沙「デンオウ…?」
?「ちょっと!大変よー!」
ツカサ「?」クルッ
ツカサ(オレ達が振り返ると…そこにはキバーラがいた)
亜里沙「キバーラ!」
雪穂「今までどこに行ってたの?」
キバーラ「ご、ごめんなさい…」ハァハァ
ツカサ「…何かあったのか?」
キバーラ「ええ、実は一足先に電王の世界に行ってツバサを探していたら…見たの」
雪穂「見たって…?」
亜里沙「何を?」
キバーラ「にこ…矢澤にこよ!」
雪穂「えっ…!?」
亜里沙「…えっ?」
ツカサ「はぁ!?」
ナルタキ(私は…時の狭間で砂漠の中を走るデンライナーを見つめていた)
ナルタキ「いよいよ最後の世界だね…ディケイド」
ナルタキ「だが…最初に言っておくがこの世界はかーなーり、変わっているからね」
ナルタキ「果たして君に守れるかな?」
ナルタキ「既に『μ'sの世界』と融合しかけている、この世界が…」ニヤリ
ナルタキ(私は現れたオーロラの中に入り、その場から姿を消した…)
次回、仮面ライダー×ラブライブ!
「ことりさん…?ことりさんですよね!?」
「チガイマース!」
「もしかしてアンタまで特異点なの!?」
「私…パナって言います」
「最初に言っておくわ…私はかーなーり、強い!」
第18話『デンオウ・クライマックス・トレイン』