9つの道はいつか重なって   作:まーけたー

5 / 42
~これまでの仮面ライダー×ラブライブ!は~

雪穂「ディケイド…!」

亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」

ツカサ「ここは…『キバの世界』か」

ハナヨ「…へ、変身」

ハナヨ「私…スクールアイドルなんて無理だよ」

ツカサ「人間はそれぞれ音楽を奏でている、知らないうちに…心の中で」

ナルタキ「君は邪魔な存在だ…どの世界においてもね」

ハナヨ「私が…人間とファンガイアのハーフ…」

ソーンファンガイア「娘を助けようとするつもりか?」

パールシェルファンガイア(ピンク)「…」

ハナヨ「お母さん…?」


第5話『ウィズミー♬陽が花を咲かすまで』

DCDクウガ(オレはサガにライジングマイティキックを繰り出していた)

 

DCDクウガ「おりゃあぁぁぁ!」

 

サガ「ふっ!」

 

DCDクウガ「!?」

 

DCDクウガ(あと少しで命中すると思ったその時…サガのジャコーダービュートがオレの右足を絡め取った)

 

DCDクウガ「うわっ!」

 

DCDクウガ(サガはそのままオレを振り回し…投げ飛ばした)

 

DCDクウガ(すぐに受け身をとったオレは危うくビルから落ちずに済んだ…が、カメンライドの効果が切れてしまった)

 

ディケイド「くっ…!」

 

サガ「…」サッ

 

ディケイド(サガはオレを仕留めようと、ベルトのサガークにウェイクアップフエッスルを吹かせようとしていた)

 

バン!

 

サガ「!?」

 

ディケイド(しかし…それは誰かからの銃弾によって阻まれた)

 

ツバサ「お困りのようね?」

 

ディケイド「アンタ、どうやってここに…?」

 

ツバサ「それは…ひ・み・つ」フフッ

 

ディケイド(そう言ってツバサはディエンドライバーにカードを装填し…上空へ向かって引き金を引いた)

 

ツバサ「変身!」

 

『カメンライド…ディ・エンド!』

 

ディケイド(蒼い光に包まれて…ツバサはディエンドへと変身する)

 

ディエンド「さて…行くわよ」

 

『アタックライド…ブラスト!』

 

ディエンド「はっ!」ガガッ!

 

サガ「…!」

 

ディケイド(ディエンドライバーから連続して放たれる銃弾がサガの鎧を傷つけていく)

 

ディエンド「悪いけど私達は忙しいの…だから、元の世界へ帰ってちょうだい」

 

ディケイド(その直後…ディエンドは一枚のカードをディエンドライバーに装填した)

 

『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディエンド!』

 

ディケイド(すると…青緑色に光る無数のカード型のエネルギーが銃口から渦を巻くように、サガに向かって伸びていく)

 

サガ「…!?」

 

ディエンド「さようなら」

 

ディケイド(ディエンドが引き金を引くと、銃口から強力なエネルギー波が放たれた)

 

サガ「!!」

 

ディエンド「…」フゥ

 

ディケイド(ディエンドの攻撃を受けたサガは消失し…一息ついたディエンドはこちらに近づいて来た)

 

ディエンド「立てるかしら?」スッ

 

ディケイド「…」

 

ディケイド(オレはディエンドが差し出した手を取らず、自力で立ち上がる)

 

ディエンド「つれないのね」

 

ディケイド「…オレはまだアンタが信用できないからな」

 

ディエンド「あら、同じ旅する仲間じゃない?」

 

ディケイド「…そんな事より、どうやったらここから抜け出せる?」

 

ディエンド「それなら簡単よ…キバーラ」

 

キバーラ「はぁ~い」パタパタ

 

ディケイド(ディエンドに呼ばれて、白い小型の蝙蝠がオレ達のもとにやってきた)

 

ディエンド「…アンタか、キバットの言ってたキバーラっていう蝙蝠もどきは」

 

キバーラ「ウフフッ、よろしくね~ディ・ケ・イ・ド♡」

 

ディエンド「それじゃ…私達をキバの世界に戻してくれないかしら?」

 

キバーラ「オッケ~、それじゃ行くわよ…グルグル~!」

 

ディケイド(キバーラがオレ達の周りを旋回しながら飛行すると、オレの意識は次第に薄れていった…)

 

 

 

~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~

 

 

 

雪穂(ファンガイアの一体を倒した直後…)

 

ソーンF「ハッ!」ザシュッ

 

パールシェルF「…!」

 

雪穂(敵のファンガイアが振るう大きな剣が…ピンク色のファンガイアを襲っていた)

 

ソーンF「終わりだ!」ザシュッ

 

パールシェルF「…!!」バタッ

 

雪穂(傷つき倒れたピンク色のファンガイアは…人間の女性の姿に変わった)

 

ハナヨ「お母さん!」ダダッ

 

ハナヨの母「…」

 

ハナヨ「お母さん…どうして」

 

ハナヨの母「…」ニコッ

 

ハナヨ「…?」

 

ソーンF「そうか…お前、声を失ったのか」

 

ハナヨ「えっ…そうなの、お母さん?」

 

ハナヨの母「…」コクリ

 

ハナヨ「お母さん…」

 

?「それが俺達から逃げ続けた裏切り者の末路か…小泉」

 

ハナヨの母「!」

 

ハナヨ「…?」

 

雪穂(ハナヨさん達の前に…髭をたくわえた男の人が現れた)

 

男「…だから言ったのだ、小泉よ」

 

男「所詮、夢は夢に過ぎない…と」

 

ハナヨの母「…!」

 

ハナヨ「あなたは…?」

 

ソーンF「我々のキングだ」

 

ハナヨ「キング…?」

 

キング「俺もかつては夢見ていた…人間とファンガイアは共に幸せに暮らせると」

 

キング「だが…人間共は俺達ファンガイアを忌み嫌い、追放しようとした」

 

キング「だから俺は悟った…人間との共存など不要」

 

キング「今こそ…ファンガイアは人間を貪り尽くす!」

 

ハナヨの母「…」フルフル

 

キング「…何?」

 

雪穂(ハナヨさんのお母さんは目に涙を溜めながら、男の人の足をつかみ…首を横に振っていた)

 

ハナヨの母「…!」フルフル

 

キング「あくまで逆らうというのか…良いだろう」

 

雪穂(男の人は顔にステンドグラスのような模様を浮かべると…ファンガイアへと姿を変えた)

 

ビートルF「逆らう者は滅ぼすのみだ…フン!」

 

ハナヨの母「…!」ガクッ

 

雪穂(男の人が変化したファンガイアは…ハナヨさんのお母さんから何かを吸収した)

 

ハナヨ「お母さん!」

 

ビートルF「まずはファンガイアとしての力を吸収した…次はその命、貰うぞ」

 

ハナヨの母「…」

 

亜里沙「えいっ!」バシュッ!

 

ビートルF「!?」

 

雪穂(亜里沙のファンガイアバスターの矢がファンガイアの身体に命中し、ファンガイアはひるんだ)

 

亜里沙「ハナヨさん、今のうちに!」

 

ハナヨ「う…うん!」

 

雪穂(ハナヨさんはお母さんを起こして、一緒に逃げようとする)

 

ハナヨ「しっかりして…お母さん!」ユサユサ

 

ハナヨの母「…」

 

雪穂(そうだ…ファンガイアの雰囲気に圧倒されかけてたけど、私もこうしちゃいられない!)

 

雪穂「…やあっ!」ブンッ

 

雪穂(私はファンガイアスレイヤーを振るい、ファンガイアをハナヨさん達から退けた)

 

ソーンF「クッ…余計な真似を!」

 

雪穂(怒ったファンガイアの一人が剣を持ってこちらへ近づいてきた)

 

ソーンF「ハッ!」ブンッ!

 

雪穂「…うわっ!」サッ

 

亜里沙「きゃっ…!」サッ

 

雪穂(私達は間一髪、ファンガイアの剣を避けた…が、ファンガイアはまた私達に向けて剣を振り降ろそうとする)

 

ソーンF「終わりだ」ブンッ!

 

雪穂「…!」

 

ガキンッ!

 

雪穂「…あれ?」

 

ディケイド「悪いが…まだまだこれからだ」

 

雪穂(いつの間にか私達の前に剣のような武器を持ったディケイドが現れ…私達を守ってくれていた)

 

亜里沙「ツカサ!」

 

雪穂「一体どこに行ってたの!?」

 

ディケイド「戻ってきたんだから別に良いだろ…はっ!」ザシュッ

 

雪穂(そう言ってディケイドはファンガイアを斬りつけた)

 

ソーンF「ガハッ!」

 

ソーンF「グッ、このままでは…キング!」

 

ビートルF「分かっている…フンッ!」ドンッ

 

ハナヨ「ピャア!」

 

雪穂(もう一体のファンガイアが、近くにいたハナヨさんを突き飛ばした)

 

ディケイド「ハナヨ!」

 

雪穂(ファンガイアはハナヨさんのお母さんを捕まえ…逃げようとする)

 

ビートルF「俺のもとへ来い…小泉」

 

ハナヨの母「…」

 

ビートルF「俺はウルフェン族、マーマン族、フランケン族の生き残りを吸収し…キャッスルドランを我が物にした」

 

ビートルF「お前の力も吸収した今、残るは王の印…キバの鎧だけだ!」

 

ハナヨ「!」

 

ビートルF「キバの鎧を持つ者よ…母親の命は預かった」

 

ハナヨ「お母さん…!」

 

ディケイド「お母さん?そういえば、あの時の…」

 

ハナヨの母「…」

 

ビートルF「母親の命が惜しくば…三時間後、キャッスルドランへと来い」

 

ビートルF「その時、キバの鎧を渡してもらおう…それが条件だ」

 

ハナヨ「そんな…」

 

ビートルF「逆らえば女の命は…ない」

 

ディケイド「お前…!」

 

ソーンF「ハアッ!」ブワッ

 

雪穂(ファンガイアが剣を振るった途端…強い風が吹き始めた)

 

ディケイド「待て…うわっ!」

 

雪穂「ううっ…」

 

亜里沙「う、動けない…」

 

ハナヨ「お母さん…!」

 

雪穂(風が止んだ頃には…ハナヨさんのお母さんとファンガイア達はもういなかった)

 

ディケイド「…逃げられたか」

 

ハナヨ「ううっ…」ポロポロ

 

ディケイド「…」

 

雪穂(泣いているハナヨさんを見たディケイドは変身を解くと…ツカサの姿に戻った)

 

ツカサ「ハナヨ…」

 

ハナヨ「…」ポロポロ

 

ツカサ「雪穂、亜里沙…ハナヨとキバットを連れて写真館に戻るぞ」

 

雪穂「えっ?」

 

ツカサ「オレがいない間に何があったのか…一旦、話を聞いて状況を整理しておかないといけないからな」

 

雪穂「…うん、そうだね」

 

亜里沙「ハナヨさん、行こう…?」

 

ハナヨ「…」グスッ

 

雪穂「…」

 

ツカサ「雪穂」

 

雪穂「えっ…何?」

 

ツカサ「どうかしたか…?」

 

雪穂「あっ…ううん、何でもない!」

 

雪穂(さっき、ハナヨさんは何かの衝動に耐えられなくなって私を襲おうとしていた…)

 

雪穂(でも、なんでかな?)

 

雪穂(ハナヨさんからは…不思議と怖いものは感じられなかった)

 

雪穂(あの時も…もちろん、今も)

 

亜里沙「キバット、起きて?」ツンツン

 

キバット「う~ん…ハッ!?」

 

亜里沙「大丈夫?」

 

キバット「あれ…一体、俺様はどうしていたんだ?」

 

 

 

ツカサ(ハナヨとキバットを連れて…オレ達は写真館に戻った)

 

ツカサ(それから…オレは雪穂と亜里沙から話を聞いていた)

 

ツカサ(ハナヨが雪穂を襲いかけた事)

 

ツカサ(ハナヨが人間とファンガイアのハーフだった事)

 

ツカサ(オレがこの世界に来て初めてバイオリンを弾いた時に出会った女性が…ハナヨの母だった事)

 

ツカサ(ハナヨの母がピンク色のパールシェルファンガイアに変化していた事)

 

ツカサ(そして、チェックメイトフォーのキングの事…色々な話を聞いた)

 

ツカサ「なるほど…だいたいわかった」

 

雪穂「本当に分かって言ってるの…?」

 

ツカサ「だいたい、だがな…」

 

雪穂「やっぱり…」ハァ

 

ハナヨ「…あの」

 

ツカサ「何だ?」

 

ハナヨ「…ご、ごめんなさい」

 

ハナヨ「私、何も出来なかったから…」

 

亜里沙「ハナヨさん…」

 

ハナヨ「お母さんを助けられなくて、キバにもなれなくて…」

 

ツカサ「…」

 

ハナヨ「雪穂ちゃんを、襲おうとして…」

 

ツカサ(そう言うハナヨの手は震えていた)

 

雪穂「…ハナヨさん」

 

?「人間を襲う…それがファンガイアの本性よ」

 

ツカサ「!」クルッ

 

ツバサ「…」

 

雪穂「ツバサさん…」

 

ツバサ「人間のライフエナジーを吸収し、命を奪う…」スタスタ

 

ツバサ「それが…もう一人のあなたよ」

 

ハナヨ「もう一人の、私…」

 

ツバサ「もしまた、あなたの中のファンガイアが目覚めたら…あなたは完全な化け物になってしまうでしょうね」

 

ハナヨ「私が、化け物に…!」

 

キバット「おい、お前!ハナヨに何てこと言うんだよ!」パタパタ

 

ツバサ「あら、私は本当の事を言っただけよ?」

 

雪穂「…」

 

亜里沙「…」

 

ハナヨ「…」

 

ツカサ(しばらくその場に沈黙が流れた)

 

ツカサ「…!」

 

ツカサ(ある事を思いついたオレはケースからバイオリンと弓を取り出し…バイオリンを弾いた)

 

~♪

 

ハナヨ「この曲は…『渡』?」

 

雪穂「えっ?」

 

亜里沙「ツカサ…?」

 

ツバサ「…」

 

ツカサ(ひと通り弾き終えたオレはこう言った)

 

ツカサ「…かもしれないな」

 

ハナヨ「…」

 

雪穂「ちょっと、ツカサまで…!」

 

ツカサ「だが…ハナヨは違う」

 

ハナヨ「…へっ?」

 

ツカサ「ハナヨはファンガイアであると同時に、人間としての優しさを持ってる」

 

ツカサ「だから…途中で襲うのをやめる事が出来た」

 

ツカサ「知ってるか?人一倍の優しさを持つ者は…人一倍、心が強い」

 

ツカサ「オレはそう信じている」

 

ハナヨ「…ツカサくん」

 

グウウウウウゥ…

 

ハナヨ「あっ、お腹が…///」

 

亜里沙「今の大きな音…ハナヨさん?」

 

ハナヨ「ご、ごめんなさい…///」

 

ツカサ「…そういえばお腹が減ってたんだったな?」

 

ハナヨ「う、うん…」

 

ツカサ「それならちょうどいい」

 

ハナヨ「ふぇっ…?」

 

ツカサ「こんな事もあろうかとご飯を炊いていたんだ…ちょっと待ってろ」スタスタ

 

ツカサ(オレは具に昆布を入れて、周りに海苔を巻いたおにぎりを三個ほど作って…それをハナヨの目の前に置いた)

 

ツカサ「ほら」コトッ

 

ハナヨ「これは…?」

 

ツカサ「おにぎりだ」

 

ハナヨ「これがおにぎり…初めて見ました」

 

雪穂「えっ…知らないんですか?」

 

亜里沙「私も知ってるよ?」

 

ハナヨ「今までは『食べたら太っちゃうから』ってお母さんに言われてたから…お米は食べたことがなかったの」

 

ツカサ「なるほどな…とりあえず食べてみろ」

 

ハナヨ「は、はいっ…」

 

ハナヨ「い…いただきます」パクッ

 

ツカサ(ハナヨはおにぎりを一口食べると…)

 

ハナヨ「!?」

 

ツカサ(様子が一変した)

 

雪穂「どうしたんですか、ハナヨさん!?」

 

キバット「おい、お前…何か毒でも入れたんじゃねえだろうな!?」ゴン!

 

ツカサ(怒ったキバットがオレの頭にぶつかってくる)

 

ツカサ「そんな事する訳ないだろ…あと痛いからぶつかってくるのやめろ!」

 

ハナヨ「…お」

 

雪穂「…え?」

 

ハナヨ「美味しい…!」パクッ

 

ハナヨ「この見た目の白いツヤ、海苔の香り…」

 

ハナヨ「そして甘くないほんの少し濃いめの昆布…」

 

ハナヨ「最高です!!」

 

雪穂「えぇ…?」

 

ツバサ「…」フフッ

 

ツカサ「気に入ったようで何よりだ」

 

ツカサ(そう言うとハナヨは幸せそうな表情を浮かべながらおにぎりをあっという間に平らげた)

 

ハナヨ「あ、あのっ…おかわりありませんか?」

 

雪穂「早っ!」

 

ツカサ「それなら…ご飯に色々乗せて食べてみるか?」

 

ハナヨ「はいっ!!」

 

ツカサ(それからしばらくハナヨは昆布、海苔、梅干、鮭、納豆、生卵、明太子…)

 

ツカサ(色々なものをおかずにしてご飯を食べ続けた)

 

ハナヨ「ごちそうさまでした…!」

 

雪穂「あれから数分しか経ってないのに、もう炊飯器の中身が空っぽになってる…」

 

亜里沙「ハラショー…」

 

ツカサ「満足したか?」

 

ハナヨ「あ…はいっ、ありがとうございます!」

 

ツカサ「…それでいい」

 

ハナヨ「えっ?」

 

ツカサ「これで…人間のライフエナジーを吸いたくなる衝動がなくなっただろ?」

 

ハナヨ「あっ、そういえば…」

 

ツカサ「…」フフッ

 

亜里沙「さすがツカサ!」

 

雪穂「それでなくなるものなの…?」

 

ツバサ「…ファンガイアの中には人を襲わず、嗜好として人間と同じ様に食べ物を食べる物好きもいるから問題ないでしょう」

 

雪穂「物好き…」

 

ツカサ「それに…ハナヨは人間とファンガイアのハーフだからな」

 

ツカサ「ファンガイアになる可能性があるなら…人間として生きられる可能性だってあるはずだ」

 

ハナヨ「…」

 

ツカサ「ハナヨ」

 

ハナヨ「…えっ?」

 

ツカサ「もしお母さんを助ける事が出来たら…ハナヨはどんな料理をお母さんに作ってもらいたいんだ?」

 

ハナヨ「お母さんを、助けたら…?」

 

ツカサ「ああ…何でもいい」

 

ハナヨ「だ、だし巻き卵…かな?」

 

ハナヨ「はちみつ入りで大根おろしがついてて…すごく美味しいの」

 

ツカサ「そうか…きっと、良いご飯のおかずになるだろうな」

 

ハナヨ「…うん」

 

ハナヨ「あっ、それとね…」

 

ツカサ「?」

 

ハナヨ「私、お母さんの夢って言ってた人間とファンガイアが一緒に暮らしている世界に興味があって…」

 

ハナヨ「私、見てみたいんです…お互いが怖がらずに手を取り合える世界を」

 

ハナヨ「きっとそれは…とっても素敵な世界なんだろうなって」

 

ツカサ「…そうか、そうなれば良いな」フフッ

 

ハナヨ「うん!」

 

雪穂「…ハナヨさん」

 

ハナヨ「あっ、雪穂ちゃん…さっきはごめんなさい」ペコリ

 

ハナヨ「私、もう大丈夫だから…!」

 

雪穂「…えっと」

 

ガシッ

 

亜里沙「ハナヨさんなら大丈夫!」ダッ

 

雪穂「えっ、亜里沙!?」

 

ハナヨさん「わわっ…!?」

 

ギュッ

 

ツカサ(亜里沙は雪穂の手を掴んで…ハナヨの手と繋がせた)

 

亜里沙「だって…こうして今、一緒に手を取り合えてるんだもん!」

 

亜里沙「だから…ハナヨさんの見たい世界、きっと見れるよ!」

 

亜里沙「それに…私も見てみたい!」

 

ハナヨ「亜里沙ちゃん…」

 

雪穂「…そうだね、亜里沙」フフッ

 

ハナヨ「雪穂ちゃん…?」

 

雪穂「…私も、そう思います」

 

雪穂「だから…さっきのことは気にしないでください」

 

雪穂「私達は…ハナヨさんのこと、信じてますから!」

 

ハナヨ「…!」

 

亜里沙「うん!」ニコッ

 

ハナヨ「えへへ…ありがとう」ニコッ

 

ツカサ「…」フフッ

 

ガチャ

 

ツカサ(ハナヨ達が笑い合う様子を見て安心したオレは…部屋のドアを開けた)

 

ツカサ「よし…そろそろ行くか、ハナヨ」

 

ハナヨ「…」コクリ

 

ツカサ(静かに頷いたハナヨは雪穂達から離れると、キバットの名前を呼んだ)

 

ハナヨ「行こう…キバット」スタスタ

 

キバット「よっしゃ~!待ってたぜハナヨー!」パタパタ

 

ツバサ「さて…私も行こうかしら」スタスタ

 

亜里沙「みんな、行ってらっしゃい!」

 

雪穂「…行ってらっしゃい」

 

ツカサ(オレ達はハナヨの母を助ける為に…写真館を出て、ファンガイアがいる城に向かった)

 

 

 

ツカサ(オレ達はキャッスルドランへとやってきた)

 

キャッスルドラン「…」Zzz…

 

ツカサ「眠っているみたいだな…今のうちに中に入るぞ」

 

ハナヨ「う、うん…」

 

ツカサ(オレ達は城の中に入り通路を歩いていたが…今のところ、人がいる様子はない)

 

ハナヨ「誰もいないのかな…?」

 

ツバサ「いえ、いるわ…確実にね」

 

ツカサ(すると…向こうから誰かがやってくるのが見えた)

 

ツカサ「!」

 

?「…」ダダッ

 

ツカサ(その人物は…見覚えのある大きな剣を振り回しながら走ってきた)

 

ツカサ「まさかあの剣は…奴か!?」

 

ツバサ「逃げて!」

 

ブンッ

 

ハナヨ「ピャア!」サッ

 

ツカサ(オレ達はソーンファンガイアの剣を避けた)

 

ツカサ「お前…いきなり危ないだろ!」

 

ソーンF「…この先は通さない」

 

ツカサ「くっ、こいつは骨が折れるな…!」

 

ツバサ「それなら…」ガガッ!

 

ソーンF「…!」

 

ツカサ(ツバサはソーンファンガイアに向かってディエンドライバーで攻撃した)

 

ツバサ「先に行きなさい」

 

ハナヨ「えっ、でも…」

 

ツバサ「心配はいらないわ…だから早く行って」

 

ツカサ「…分かった、行くぞハナヨ!」ダダッ

 

ハナヨ「…うん!」ダダッ

 

ツカサ(オレとハナヨは先を急いだ)

 

 

 

ツバサ「…行ったみたいね」

 

ソーンF「余計な事をしてくれたな」

 

ツバサ「ええ…余計な事をするのが、私の役目なの」

 

『カメンライド…ディ・エンド!』

 

ツバサ(私は一枚のカードをディエンドライバーに装填し…ディエンドに変身した)

 

ソーンF「…貴様!」ブンッ

 

ディエンド「ふふっ…」サッ

 

ディエンド(私はソーンファンガイアの剣を難なく避けた)

 

ディエンド「何をそんなに熱くなる必要があるのかしら?」

 

ソーンF「うるさい、貴様には関係の無い事だ!」

 

ディエンド「キングが…元クイーンである『彼女』に惚れていたから?」

 

ソーンF「!?」ピタッ

 

ディエンド「…やっぱり、そういう事」

 

ソーンF「…黙れ」

 

ディエンド「悔しかったあなたは…自分の手でキバを始末しようとしている」

 

ディエンド「もう一度、キングに振り向いてもらう為に…」

 

ソーンF「黙れぇぇぇぇぇ!!」ダッ

 

ディエンド(ソーンファンガイアに攻撃される前に…私は一枚のカードをディエンドライバーに装填し姿を消した)

 

『アタックライド…インビジブル!』

 

ソーンF「何…消えただと!?」

 

ディエンド「ここよ」

 

ソーンF「!」クルッ

 

『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディエンド!』

 

ディエンド(ソーンファンガイアの背後に回った私は接近してディエンドライバーから強力なエネルギー波を発射した)

 

ソーンF「グワァァァッ!!」

 

ディエンド(吹き飛ばされて壁に激突したソーンファンガイアは…クイーンの姿に戻った)

 

クイーン「ウグッ…」

 

ディエンド「…あなたはよほど、キングを愛していたのね?」

 

クイーン「…ああ、確かに私はキングを愛していた」

 

クイーン「だがキングは私を…」

 

クイーン「選んでは、くれなかった…」ガクッ

 

ディエンド(クイーンはそう言って力尽きると…粉々のガラス片になって砕け散った)

 

ディエンド「ふぅ…!」

 

ディエンド(私は散々になったガラス片の中からプロトタイプのイクサベルトを拾い上げた)

 

ディエンド「…儚いものね、愛って」

 

 

 

ツカサ(オレ達は王の玉座がある広間へとやってきた)

 

ツカサ(そこには玉座に座るビートルファンガイアとその横で拘束されているハナヨの母がいた)

 

ハナヨ「お母さん!」

 

ハナヨの母「…!」

 

ビートルF「来たか…キバの鎧、貰い受ける」

 

ツカサ「残念だが、それは出来ないな」

 

ビートルF「ほう…俺の言葉が聞けぬか」

 

ツカサ「お前、確か彼女と同じように人間とファンガイアの共存を目指していたんだってな?」

 

ビートルF「ああ…だが、人間は私達を忌み嫌った」

 

ビートルF「そこで俺は悟った」

 

ビートルF「ファンガイアは人の命を奪い、人はファンガイアを恐れる…そこには命の奪い合いしかないと!」

 

ハナヨ「…そんなこと」ボソッ

 

ビートルF「?」

 

ハナヨ「そんなことない!」

 

ハナヨの母「!」

 

ビートルF「…何?」

 

ハナヨ「ファンガイアが人を襲わなければ…人間もきっと分かってくれるって信じてる!」

 

ハナヨ「だって私は…ファンガイアのお母さんと人間のお父さんとの間に生まれた子だから!」

 

ハナヨの母「…!」

 

ハナヨ「あのね、お母さん…」

 

ハナヨ「私…お母さんが作ってくれるだし巻き卵、大好きなんだ」

 

ハナヨ「今度は…白いご飯と一緒に食べたくなっちゃって」

 

ハナヨ「だから、この戦いが終わったら…また作ってくれるよね?」

 

ハナヨの母「…」コクン

 

ツカサ(ハナヨの母は涙を流しながら、頷いた)

 

ビートルF「愚かな…!」

 

ツカサ「愚かなんかじゃない!」

 

ビートルF「!?」

 

ツカサ「ハナヨは信じている、親と子の…家族の絆を」

 

ツカサ「自分が人間とファンガイアの間に生まれたからこそ…人間とファンガイアは共に手を取り合って生きていけると!」

 

ビートルF「そんなものはただの夢だ!」

 

ツカサ「それでも信じている…だが、お前は諦めた」

 

ツカサ「自分の弱さに負けて、絆を紡いでいく事を否定した!」

 

ツカサ「だがハナヨは…信じるものの為に戦える!」

 

ツカサ「それが…本当のキバだ!」

 

ツカサ「キバの鎧を持つ資格だ!」

 

ビートルF「何を…お前はファンガイアと人間の共存を信じているのか!?」

 

ツカサ「オレにとってファンガイアも人間も変わらない!」

 

ツカサ「だが…倒すべきものは倒す、それだけだ」

 

ビートルF「お前…何者だ!」

 

ツカサ(そう問われたオレは一枚のカードを取り出した)

 

ツカサ「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ!」

 

ハナヨ「…キバット!」

 

キバット「おっしゃぁ!」パタパタ

 

ハナヨの母「…!」

 

ディケイド(オレ達がビートルファンガイアと話しているうちに、キバットはハナヨの母を拘束していた縄を噛みちぎっていた)

 

ビートルF「何だと!?」

 

ハナヨ「…」パシッ

 

ディケイド(ひと通りの役目を終えたキバットをハナヨが掴むと、そのまま手に噛みつかせ…ベルトにキバットを装着した)

 

ハナヨ「…変身!」

 

ツカサ「変身!」

 

『カメンライド…ディケイド!』

 

ツカサ(オレもディケイドライバーにカードを装填し…オレとハナヨはそれぞれ、ディケイドとキバに変身した)

 

ディケイド「行くぞ!」ダッ

 

キバ「はいっ!」ダッ

 

ビートルF「…!」

 

ディケイド(オレ達はビートルファンガイアに立ち向かう為、走り出した…)

 

 

 

ビートルF「フンッ!」ガッ

 

キバ(相手のパンチで、私達はお城の外へと吹き飛ばされて…)

 

ディケイド「うわっ!」ゴロゴロ

 

キバ「うっ…」ゴロゴロ

 

ビートルF「どうだ…これが王の力だ」

 

ディケイド「くっ…何か弱点はないのか」

 

キバ「そういえばあの人、他の種族で生き残った人達を吸収してるって…」

 

ディケイド「という事は、アイツの胸と両肩の模様…まさか!」

 

キバ「…えっ、どうかしたの?」

 

ディケイド「良い事を思いついた…ハナヨ、今からオレが順番に言う三色の笛をキバットに吹かせろ!」

 

キバ「へっ?で、でも…」

 

ディケイド「時間ならオレが稼ぐ…はっ!」ダッ

 

キバ(そう言ってディケイドはファンガイアに向かっていった)

 

ビートルF「フッ…そんな攻撃が何になるというのだ」

 

ディケイド「悪いが今のオレは…囮だ」

 

ビートルF「何…?」

 

ディケイド「ハナヨ、まずは青だ!」

 

キバ「えっと…これかな?」

 

キバ(私はベルトの横から青い笛を取り出して…キバットに吹かせた)

 

『ガルルセイバー!』

 

キバ(すると…突然、ファンガイアが苦しみ始めた)

 

ビートルF「な、何だ…俺に逆らうというのか!?ウグッ!」

 

キバ(ファンガイアの胸から、青い像が出てきた)

 

キバ「!?」

 

キバ(青い像は剣のような武器に変わって…私がいるところに向かってきた)

 

キバ「え…ええっ!?」

 

ディケイド「その剣を取れ!」

 

キバ「う、うんっ!」パシッ

 

キバ(私が青い剣を左手でキャッチすると…左手を中心に身体の色が青く変わった)

 

キバ(それと同時に…私に狼のような衝動がわき上がってきた)

 

キバ「はっ…」ダダッ

 

キバ(走り出してみると…私は今までより速く走れるようになっていた)

 

キバ(私は高くジャンプして…ファンガイアを剣で斬りつけた)

 

キバ「やぁっ!」ザシュッ!

 

ビートルF「グアッ…」

 

ディケイド「次は緑だ!」

 

キバ(私は緑の笛を取り出して…キバットに吹かせた)

 

『バッシャーマグナム!』

 

ビートルF「ガアッ!」

 

キバ(再び苦しむファンガイアの肩から緑の像が現れた)

 

キバ「!」パシッ

 

キバ(緑の像が銃のような武器に変わると同時に…私は右手でそれをキャッチした)

 

キバ(その瞬間…私の右手を中心に身体の色が緑に変わった)

 

キバ「ふふん♪」

 

キバ(私は近くにある池の上をスイスイと移動しながら…銃でファンガイアを攻撃した)

 

ガガッ!

 

ビートルF「ガハッ!?」

 

ディケイド「最後は紫だ!」

 

キバ(陸に上がった私は紫の笛をキバットに吹かせて…)

 

『ドッガハンマー!』

 

ビートルF「おのれ…グウッ!」

 

キバ(ファンガイアの肩から出てきた紫の大きな像は…ハンマーのような武器に変わった)

 

キバ「!」パシッ

 

キバ(私が両腕でそれを受け取ると、両腕を中心に身体が紫色に変わった)

 

キバ「…」ズズズッ

 

キバ(私はハンマーを引きずりながら…ファンガイアに向かっていく)

 

ビートルF「…こしゃくな!」ダダッ

 

ガキンッ

 

キバ「…」

 

キバ(ファンガイアのパンチが当たったけど…私の身体には傷一つつかなかった)

 

ビートルF「…何!?」

 

キバ「ふっ!」ドガッ!

 

キバ(私はハンマーを振り回して、ファンガイアに思いきりぶつけた)

 

ビートルF「グワァァァァァ!!」

 

キバ(ファンガイアはドラゴンのお城まで飛ばされていく)

 

ビートルF「グッ、こうなれば…!」 

 

キバ(ファンガイアは城のドラゴンの頭の上に乗って…)

 

ビートルF「俺が王だぁぁぁぁぁ!!」

 

ディケイド「やれやれ…うるさい奴だ」

 

キバ(私は赤いキバに戻って…ディケイドのところまで走った)

 

キバ「何をするつもりなんだろう…?」

 

ディケイド「おそらく…あのキャッスルドランで街にいる人間を襲いに行くつもりだろうな」

 

キバ「えっ、そんな…!」

 

キバ(このままじゃ…雪穂ちゃんや亜里沙ちゃん、シズカちゃん達が危ない)

 

キバ(それだけじゃない…そんなことされたら、お母さんの夢が叶わなくなっちゃう)

 

キバ(私はファンガイアと人間がお互いに手を取り合える世界を作りたい…だから!)

 

キバ「私は絶対に…諦めない!」

 

 

 

ディケイド(キバがそう言うと、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出してきた)

 

ディケイド(それらを掴んだオレはカードにキバの力が宿ったことを確認した)

 

ディケイド「それなら良い方法がある」

 

キバ「へっ…?」

 

『ファイナルフォームライド…キ・キ・キ・キバ!』

 

ディケイド(一枚のカードをベルトを装填したオレはキバの背後に回り…)

 

ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」

 

キバ「あ、あの…ピャア!?」

 

ディケイド(オレがキバの背中を押すと、キバは形を変え…キバアローに変形した)

 

キバ「こ、これは…?」

 

ディケイド「オレとハナヨの力だ」

 

『ファイナルアタックライド…キ・キ・キ・キバ!』

 

ディケイド(オレは更に一枚のカードを装填し、キバアローの弓を引いた)

 

『キバっていくぜー!』

 

ビートルF「何だ、あの姿は!?」

 

ディケイド「はあっ!」

 

ディケイド(オレが狙いを定めて弓を放すと…キバの右足を模した矢先が展開し、敵に向けて赤く光る矢を発射した)

 

ビートルF「グハッ!」

 

ディケイド(矢を受けたビートルファンガイアは、空中へ吹き飛んだ)

 

ディケイド「まだだ!」

 

ディケイド(オレは更なる一撃を与えようと、キバアローの矢を上空に放つ)

 

ディケイド(すると…空の一部がステンドグラスが割れるように裂け、そこから赤い月が出現する)

 

ディケイド「頼む、飛んでくれ!」

 

キバ「はい!」

 

ディケイド(オレはキバアローで空を飛び、ビートルファンガイアに再びキバアローを向け…)

 

ディケイド「やあーっ!」

 

ディケイド(キバアローの矢を放ち、命中したビートルファンガイアがいる周りには大きなキバの紋章が現れた)

 

ディケイド(これは『DCDF(ディケイドファング)』…オレとキバの技だ)

 

ビートルF「グワァァァァァ!!」

 

ディケイド(大きなキバの紋章が消えた後、キバアローはキバに戻り…オレ達は同時に地面に着地した)

 

ビートルF「グッ…カハッ」ヨロッ

 

ディケイド「…!」

 

ディケイド「お前、まさか…?」

 

キバ「…?」

 

ディケイド(ボロボロになったビートルファンガイアはキングに姿を戻し…)

 

キング「最期に一つ…キバの鎧を纏うお前に言っておきたい事がある」

 

キバ「えっ、私?」

 

キング「ああ…俺は夢を諦め、過ちを犯してしまった」

 

キング「だが…俺も、お前と小泉が築き上げる人間とファンガイアが共存する世界を見てみたい」

 

キバ「…」

 

キング「だからこそ…お前は人間としてでなく、ファンガイアとしてでもない…お前らしい生き方で生きろ」

 

キバ「私らしい、生き方…」

 

キング「…」フフッ

 

ディケイド(キングは優しく微笑むと…そのままステンドグラスが割れるように身体が粉々に砕け散っていった)

 

ハナヨ「…」

 

ツカサ「…」

 

ツカサ(戦いが終わり、変身を解除したオレ達は…しばらくその場で立ち尽くしていた)

 

 

 

ツカサ(数日後の夜…オレと雪穂と亜里沙はライブハウスに来ていた)

 

雪穂「すごい人だね…どこにいるんだろう?」

 

亜里沙「あっ、いたよ!」

 

ツカサ「…!」

 

ツカサ(オレ達は最後列の席にいたハナヨの母とキバットを見つけた)

 

雪穂「こんばんは!」

 

ハナヨの母「…」ペコリ

 

キバット「おう、お嬢ちゃん達じゃねえか!」

 

亜里沙「久しぶり、キバット!」

 

ツカサ「…よう」

 

ハナヨの母『こんばんは…皆さんのおかげで、アームズモンスターやキャッスルドラン達を無事に助け出す事が出来ました』

 

ハナヨの母『それと…ハナヨちゃんを支えてくれて本当にありがとう』

 

ツカサ「別に…オレ達は礼を言われる程の事はしていない」

 

ハナヨの母「…?」

 

ツカサ「オレ達はただ…一度だけでも良いから、ハナヨにスクールアイドルをやってほしいと思っただけだ」ピラッ

 

ツカサ(そう言いながらオレは一枚の写真を取り出した)

 

ツカサ(写真にはハナヨが笑顔でご飯を頬張っている姿と、ハナヨがバイオリンに触れている姿が写っていた)

 

ハナヨの母「…!」

 

亜里沙「ふふっ…」

 

ツカサ「どうした、亜里沙?」

 

雪穂「ツカサったら素直じゃないんだから…でしょ?」

 

亜里沙「うん!」

 

ツカサ「う、うるさいな…///」

 

雪穂「…」フフッ

 

ツカサ「そうだ…ちょっと用事を思い出した」スタスタ

 

亜里沙「えっ…ツカサ?」

 

雪穂「どこに行くの?」

 

ツカサ「大丈夫だ…すぐに戻る」

 

ツカサ(オレはホールを出て…ある場所に向かっていた)

 

 

 

ツカサ「ハナヨ?」コンコン

 

ツカサ「いないのか…?」ガチャ

 

ツカサ(オレが控え室の中に入ると…そこには眼鏡を取ったハナヨが椅子に座っていた)

 

ハナヨ「ダレカタスケテ、ダレカタスケテ、ダレカタスケテ…」

 

ツカサ「…おい、ハナヨ」ポン

 

ハナヨ「ピャア!?」ビクッ

 

ツカサ「!?」ビクッ

 

ハナヨ「あっ…ツカサくん」

 

ツカサ「驚く度に変な声を出すな…こっちまで驚いたぞ」ハァ

 

ハナヨ「ご、ごめんなさい…!」

 

ツカサ「…眼鏡、外したのか?」

 

ハナヨ「あっ、うん…コンタクトにしようと思って」

 

ハナヨ「変…かな?」

 

ツカサ「いや…似合ってるぞ」フフッ

 

ハナヨ「えへへ…ありがとう」

 

ツカサ「他のメンバーは?」

 

ハナヨ「シズカちゃん達なら、もうステージの方に…」

 

ツカサ「そうか…」

 

ハナヨ「…ねぇ、ツカサくん」

 

ツカサ「どうした?」

 

ハナヨ「私…本当にちゃんと歌えるかな?」

 

ハナヨ「もし間違えちゃったりしたら…」

 

ツカサ「…どんなに深い夜でも、やがて太陽は昇る」

 

ハナヨ「?」

 

ツカサ「どんなに硬いつぼみでも、やがて花となって咲き誇る…」

 

ツカサ「それがハナヨだとオレは思う」

 

ハナヨ「ツカサくん…」

 

ツカサ「どんなに間違えたっていい…転んだり泣いたりしたって構わない」

 

ツカサ「それでもアンタは必ず立ち上がってくれると…オレは信じてるからな」

 

ハナヨ「…」

 

ツカサ「それと…ちょっと立ってみろ」

 

ハナヨ「えっ…うん」

 

ツカサ「…」トンッ

 

ツカサ(オレはハナヨの背中をそっと押した)

 

ハナヨ「今のは…?」

 

ツカサ「…優しい陽が花を咲かせるようになるおまじないだ」

 

ハナヨ「…!」

 

ツカサ「アンタは一人じゃない」

 

ツカサ「ハナヨのお母さんがいる、オレがいる」

 

ツカサ「雪穂や亜里沙もいるし、キバットだっている…」

 

ツカサ「オレ達はいつでも…アンタが前に進むのを待ってる」

 

ツカサ「だから…安心しろ」

 

ハナヨ「…うん、ありがとう」ニコッ

 

ツカサ「良い顔になったな…じゃあ、キバって行ってこい!」

 

ハナヨ「うん…行ってくる!」ダッ

 

ツカサ(ハナヨは控え室から出て行った)

 

ツカサ「…またな、ハナヨ」

 

ツカサ(オレの身体は透けるように消え、そのまま光写真館へと戻っていった)

 

 

 

ハナヨ「そ…それでは聴いてください!」

 

ハナヨ「『Destiny's Play』」

 

ハナヨ(私、これからは…自分の足で立ちたい)

 

ハナヨ(いつも逃げてばかりじゃなくて…立ち向かわなきゃ)

 

ハナヨ(自分の足で立って、前を向いて進むことが…)

 

ハナヨ(こんなに嬉しくて楽しくて幸せなことだなんて、今まで知らなかったから)

 

ハナヨ(だから…)

 

ハナヨ(逃げてばかりで泣き虫のハナヨは…これで終わりにします)

 

ワァー!ヒューヒュー!パチパチパチ…

 

ハナヨ「あ、ありがとうございます…」

 

ハナヨ「実は私、歌うことに自信がなかったんです…」

 

ハナヨ「でも…ある人達が勇気づけてくれました」

 

ハナヨ「ある人が、私の背中を優しく押してくれました」

 

ハナヨ「だから…私も歌うことで、皆に伝えたい」

 

ハナヨ「諦めなければ、夢は叶うんだって」

 

ハナヨ「…次はこの曲を歌います、聴いてください」

 

ハナヨ「『なわとび』」

 

ハナヨ(ツカサくん)

 

ハナヨ(雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん)

 

ハナヨ(ありがとう)

 

ハナヨ(私が生まれて初めて手にした何か…)

 

ハナヨ(ツカサくん達がくれたこの何かを、私、大事にしたい)

 

ハナヨ(形はちょっぴり違うけど…アイドルに憧れていた私は今、こうしてお客さんの前に立って歌ってる)

 

ハナヨ(だから…諦めなければ夢はどんな形になっても叶うんだってことを、私は皆に伝えていきたい)

 

ハナヨ(そして…私はこれからお母さんと一緒に、人間とファンガイアが手を取り合える世界にしていきたい)

 

ハナヨ(いつか優しい太陽が)

 

ハナヨ(長い月日をかけて花を咲かせるように…)

 

 

 

ツカサ(光写真館に戻ってきたオレは甘いものが食べたいというツバサに渋々、チョコフォンデュを作っていた)

 

ツカサ「全く、仕方ないな…ほら」

 

ツバサ「ありがとう…優しいのね」フフッ

 

ツカサ「オレは助けてもらった貸しを作りたくないんでな…」

 

ツバサ「あら、意外と律儀なのね…?」

 

ツカサ「…いいから冷めないうちに早く食べろ」

 

ツバサ「それじゃ…いただきます」

 

ツカサ(ツバサがイチゴにチョコをつけると、すぐに口の中に頬張った)

 

ツバサ「!」

 

ツカサ「?」

 

ツバサ「…熱っ」ボソッ

 

ツカサ「…熱い?」

 

ツバサ「!…いいえ、言ってないわ」

 

ツカサ「いや、でも今…」

 

ツバサ「言ってないわ」

 

ツカサ「だが確かに…」

 

?「ただいまー!」ガチャ

 

ツカサ「!」クルッ

 

ツカサ(ライブを見てきた雪穂と亜里沙が帰ってきた)

 

ツカサ「帰ったか」

 

亜里沙「あれ…ツカサ、先に帰ってたの?」

 

ツカサ「ああ」

 

雪穂「もう…それなら先に帰るって言ってよね」

 

亜里沙「私たち…ツカサがいないって心配してたんだよ?」

 

ツカサ「それは悪かったな…」

 

亜里沙「あれ…チョコフォンデュだ!」

 

ツカサ「ああ…今、ちょうど作った所だ」

 

亜里沙「私たちも食べていい…?」

 

ツカサ「当たり前だ…人数分、用意してるからな」フフッ

 

亜里沙「ありがとう、ツカサ!」

 

ツカサ(亜里沙は席について、チョコフォンデュを食べた)

 

亜里沙「いただきます!」

 

雪穂「…ねぇ、ツカサ」

 

ツカサ「何だ?」

 

雪穂「あのテレビの上に白いコウモリなんていたっけ…?」

 

ツカサ「ん?…あっ!」

 

キバーラ「はぁ~い♡」

 

ツカサ「あの時の蝙蝠もどき…何でお前が?」

 

キバーラ「ツバサが入れてくれたのよ~…一緒にアタシ達と旅をするなら、ここにいるのが一番良いって!」

 

ツカサ「おい…誰があの蝙蝠もどきを入れて良いって言った?」

 

ツバサ「あら、旅は道連れって言うじゃない?」

 

ツカサ「お前な…」ハァ

 

ツカサ(オレが溜め息をついていると…月とキャッスルドランの背景がまた別の背景に変わった)

 

ツバサ「ほら…また変わった」

 

キバーラ「うふふ…♡」パタパタ

 

ツカサ「この背景は、まさか…」




次回、仮面ライダー×ラブライブ!

「雪穂が捕まった!?」

「ライダー裁判制度…?」

「オレ達はチーム…だろ?」

「オレは雪穂の弁護士で、仮面ライダーだからな!」

「スクールアイドルの衣装って、こんなに可愛いんだ…」

「コウモリにはコウモリ…ってね」

第6話『鏡の中の審理』

戦わなければ生き残れない!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。