9つの道はいつか重なって   作:まーけたー

7 / 42
~これまでの仮面ライダー×ラブライブ!は~

雪穂「ディケイド…!」

亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」

ツカサ「ここは『龍騎の世界』って事だ」

亜里沙「雪穂が捕まった!?」

雪穂「ライダー裁判制度…?」

リン「ライダー裁判で有罪か無罪か決めるなんて…絶対に間違ってるよ!」

リン「変身!」

カマタ「犯人である彼女は即刻、有罪にすべきだと」

ナイト「戦いなさい、私と」

DCDキバ「出血大サービスだ」

ナルタキ「私の名前はナルタキ、預言者だ」

ツバサ「私はやりたい事をやる…それだけよ」


第7話『瞬く星空』

ディケイド(オレがナイトに近付くと…どこからか声が聞こえた)

 

?「すいませんね」

 

『ストライクベント』

 

ディケイド「!?…まさか!」

 

ディケイド(アビスクローを装着して現れたアビスがナイトを狙って激しい水流を放つ)

 

ディケイド「危ない!」

 

ナイト「…!」

 

『ガードベント』

 

龍騎「ユイちゃん!」

 

ディケイド(するとナイトの前にドラグシールドを持った龍騎が現れた)

 

龍騎「…ニャッ!」

 

ディケイド「リン!」

 

ディケイド(龍騎は吹き飛ばされながらも、何とか高圧水流を防いだ)

 

龍騎「うっ…ユイちゃん、大丈夫?ケガはない?」

 

ナイト「リン、あなた…!」

 

ディケイド(アビスは一枚のカードを取り出しながら、ゆっくりとこちらに近づく)

 

アビス「短い時間で結審するのが、今の裁判ですからね…終わりにさせてもらいます」

 

『ファイナルベント』

 

ディケイド(アビスがアビスバイザーにカードを装填すると、アビソドンが現れた)

 

ディケイド「またか…逃げるぞ!」ダッ

 

ナイト「…くっ!」ダッ

 

龍騎「ええっ、また!?」

 

ディケイド(アビソドンは目を横に伸ばすとエネルギー弾を発射してきた)

 

 

 

~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~

 

 

 

『ファイナルベント』

 

ディエンド(ガイ、インペラー、ファム、ベルデ、タイガ、王蛇が一斉に自分のバイザーにカードを読み込ませる)

 

ディエンド(六人のライダーが互いの技をぶつけ合うと…全員が消滅した)

 

ナルタキ「フン…覚えていろ、ディエンド」

 

ナルタキ「私は必ず…」

 

ディエンド(そう言ってナルタキはオーロラの中に入っていった)

 

ディエンド「…」フゥ

 

ディエンド(私は物陰に隠れている雪穂さんに近づき、戦いが終わった事を知らせた)

 

ディエンド「終わったわ」

 

雪穂「あ、ありがとうございます…助かりました」

 

ディエンド「気にしないで…あなたが無事で安心したわ」

 

雪穂「…あれ?」

 

ディエンド「どうかしたの?」

 

雪穂「いや…ちょっと腰が抜けちゃったみたいで」アハハ

 

ディエンド「…そう」フフッ

 

ディエンド(私は雪穂さんに手を差し出した)

 

ディエンド「はい」スッ

 

雪穂「あっ…すみません」ガシッ

 

ディエンド「よっと…あら?」グイッ

 

雪穂「あれ、立ち上がれない…?」

 

ディエンド「まさかとは思うけど、あなたって意外と…」

 

雪穂「…えっ?」

 

ディエンド「…いえ、やっぱり言わないでおくわ」

 

ディエンド「あなたの女性としての名誉の為にも…ね」

 

雪穂「女性としての名誉…!?」ハッ

 

雪穂「ウソ、もしかしてまた私…!」

 

雪穂「た、た、た…!」

 

 

 

ツカサ(オレ達はアビスの攻撃を受けて、再びミラーワールドから追い出されてしまった)

 

ツカサ「うわっ!」

 

ユイ「うっ!」

 

リン「へぶっ!」

 

亜里沙「みんな!大丈夫?」ダッ

 

リン「な、何とか…でもやっぱり痛いニャ~」

 

ツカサ「アイツ、強過ぎるだろ…本当にただの教頭か!?」

 

ユイ「…教頭?」

 

リン「あのライダーは教頭のカマタ先生ニャ」

 

ツカサ(リンがそう言うと、ユイの表情が険しくなった)

 

ユイ「…!」

 

ツカサ「なんだアンタ…知らなかったのか?」

 

ユイ「ええ、でも今の私には…関係ないわ」スタスタ

 

ツカサ(ユイはその場から立ち去ろうとする)

 

リン「待ってユイちゃん!」

 

リン「ユイちゃん…一体、どうしたの?」

 

リン「戦って何をしようとしているの?」

 

ユイ「言ったでしょう?あなたには関係な…」

 

リン「関係あるニャ!!」

 

ユイ「…!」

 

リン「だって…だって、リンとユイちゃんはずっと一緒に記事を書いてきたチームだよ?」

 

ユイ「リン…」

 

リン「なのに、何も言わないのはズルいニャ…」

 

リン「ねえ、ユイちゃん…リン達に教えて?」

 

リン「ユイちゃんは戦って何がしたいの?」

 

ユイ「…!」

 

ツカサ(悲しそうな表情をするリンを見て、ユイはほんの一瞬だけ唇を噛みしめるが)

 

ユイ「チーム、ね…」

 

ユイ「…そう思っているのはリン、あなただけよ」

 

リン「…!」

 

ユイ「…」スタスタ

 

ツカサ(ユイはその場から去っていった)

 

リン「…そんな」

 

亜里沙「リンさん、ユイさん…」

 

ツカサ「…」

 

 

 

雪穂「体重増えたっ!?」ガバッ

 

雪穂(気がついて起き上がると、私は留置場のベッドの上にいた)

 

雪穂「あ…あれ、もしかして今の夢だったの?」

 

雪穂「おっかしいな…」

 

雪穂(私がしばらく考え込んでいると、鉄格子の向こう側から声が聞こえてきた)

 

?「高坂雪穂!」

 

雪穂「は、はい!?」

 

雪穂(その声は看守のものだった)

 

看守「面会だ」

 

雪穂「あっ…はい!」

 

雪穂(私は牢から出してもらい、看守に着いて行った)

 

雪穂(その時、私は洗面台の鏡にツバサさんが映っていることに気づいていなかった…)

 

ツバサ「…ライアのカードデッキを持ってたおかげで、何とか彼女を元の世界に戻せたわね」

 

ツバサ「結局、ライアを召喚させる事はなかったけど…またどこかで使いましょう」

 

ツバサ「楽しみは…後に取っておくのも良いって言うし」フフッ

 

 

 

ユイ「…ごめんなさい、リン」スタスタ

 

ユイ「!?…まさか、この音は!」ダダッ

 

オーディン「私と、戦え…」

 

ユイ「オーディン…!」

 

ユイ「やるしか、ないみたいね…」

 

ユイ「変身!」

 

 

 

ツカサ(オレ達は雪穂とカマタを呼び出し接見室にいた)

 

カマタ「わざわざ呼び出して何かと思えば、アキヤマくんが真犯人…」

 

カマタ「なるほど、第一発見者である彼女ならありえそうな話だ」

 

ツカサ「だから警察や検察と相談して、ライダー裁判の中止を申請する」

 

ツカサ「そこで改めて、彼女についての裁判を開く」

 

雪穂「ってことは…私はここから出られるってこと?」

 

ツカサ「ああ…そうだ」

 

ツカサ(オレはカマタの方を向いた)

 

ツカサ「アンタもそれで良いな?」

 

カマタ「ええ…分かりました」

 

リン「…」

 

ツカサ(すると、リンの顔を見た亜里沙が口を開いた)

 

亜里沙「…本当に、それでいいの?」

 

雪穂「亜里沙…?」

 

亜里沙「私は…ユイさんが本当の犯人だって思えない」

 

リン「亜里沙ちゃん…」

 

亜里沙「私ね、ユイさんを見てて…ツカサに似てるなって思ったの」

 

ツカサ「…はぁ?」

 

亜里沙「ツカサは不器用だったり、一人でムチャしたりするけど…」

 

亜里沙「いつも何かのために…誰かのために頑張って、ボロボロになっても戦って」

 

亜里沙「ユイさんにも同じところがあるなって、私…ユイさんの顔を見てなんとなく思ったの」

 

亜里沙「だから私は…ユイさんを信じてみたい」

 

ツカサ(亜里沙がそう言うと、リンが立ち上がった)

 

リン「で、でも…!」ガタッ

 

リン「…雪穂ちゃんは、このままでいいの?」

 

亜里沙「あっ…」

 

雪穂「…私なら、大丈夫です」

 

リン「えっ?」

 

雪穂「私は、亜里沙のことを信じてます」

 

雪穂「だって私達は…チームですから」

 

亜里沙「雪穂…」

 

雪穂「だから私も…亜里沙が信じた人を、信じてみたい」

 

雪穂「根拠は、ないですけどね…えへへ」

 

リン「…雪穂ちゃん」

 

ツカサ(リン達が話していると、カマタの溜め息が聞こえてきた)

 

カマタ「馬鹿馬鹿しい…私は帰らせてもらいますよ」ガタッ

 

リン「教頭…」

 

カマタ「犯人がアキヤマくんでもないとしたら…一体、誰だというんだ?」

 

ツカサ「…」

 

カマタ「失礼する」ガチャ

 

ツカサ(カマタはそう言って接見室から出ていった)

 

ツカサ「…アンタはどうしたいんだ?」

 

リン「えっ…リン?」

 

ツカサ「ああ」

 

リン「それが…リンにはこのままでいいのか、何が何だかよく分からなくて」

 

ツカサ「…別に、分からなくていい」

 

リン「…え?」

 

ツカサ「答えなんて、簡単に出るもんじゃない」

 

ツカサ「それでもアンタは…ずっと考えてきてる」

 

ツカサ「それだけで、今のリンには十分だとオレは思う」

 

ツカサ「リン自身が信じているものさえ、あればな」

 

リン「…リンが信じてる、もの?」

 

ツカサ「…ああ」

 

リン「…ねえ、ツカサくんならどうするの?」

 

ツカサ「オレか?」

 

リン「うん」

 

ツカサ「オレなら…いや、違うな」

 

リン「え?」

 

ツカサ「これは…リンが決める事だ」

 

ツカサ「だから、リンが決めろ」

 

リン「リンが…?」

 

ツカサ「…ああ」

 

リン「…」

 

ツカサ「亜里沙」ガタッ

 

亜里沙「何?」

 

ツカサ「雪穂のそばにいてやれ」スタスタ

 

亜里沙「うん…分かった!」

 

雪穂「ツカサは?」

 

ツカサ「…少し、気になる事があってな」ガチャ

 

ツカサ(オレはある事を確かめようと…接見室を出た)

 

 

 

リン(リンはママが入院している病院にやってきた)

 

リン「失礼しまーす…」ガラガラ

 

リン(病室にいるママはまだ意識が戻らない)

 

リン「ママ…」

 

リンの母「…」

 

リン「…あれ?」

 

リン(リンが机を見ると、そこには一輪の白いお花とリンゴがいっぱい入ったカゴと『リンへ』と書かれた手紙が置かれてた)

 

リン「このキレイな字…もしかして!」

 

リン(リンは手紙の字でユイちゃんがお見舞いに来たと分かった)

 

リン(リンはユイちゃんが書いた手紙をすぐに読んだ)

 

リン(その手紙を読んで、リンはびっくりした)

 

リン「えっ…!」

 

 

 

リン(手紙を読んだリンは病院から出て、ユイちゃんを探していた)

 

リン「ユイちゃん…いた!」ダダッ

 

リン(ユイちゃんはボロボロになって倒れていた)

 

リン「ユイちゃん、しっかりするニャ!」

 

ユイ「…リ、リン」ハァハァ

 

リン「手紙読んだよ…ごめんね、ユイちゃん」

 

リン「リン、そんなことも知らずに…」

 

ユイ「…謝るのは私の方よ」

 

リン「ユイちゃん…」

 

ユイ「さっきはあんなひどい事を言ってしまって…ごめんなさい」

 

リン「…大丈夫だよ!」

 

リン「リン、全然怒ってないから!」

 

リン「だから…また一緒に記事書こう?」

 

ユイ「…そうね」コクリ

 

リン「あっ、そうだ!ユイちゃん…あのカードは?」

 

ユイ「それなら…ここに」スッ

 

リン(ユイちゃんは『タイムベント』のカードをポケットから取り出した)

 

リン「これが…リン達がライダーバトルの記事を書いてた時にユイちゃんが聞いたっていうカード?」

 

ユイ「…そう、このカードがあれば星空先生を襲った犯人がきっと分かる」

 

ユイ「私も、あの雪穂って子がやったんじゃないって…気付いていたから」

 

ユイ「だから…このカードを使って、真犯人を見つけたかった」

 

リン「でも、カードをバトル以外で使用するのってダメなんじゃ…?」

 

ユイ「問題ないわ…事件を未然に防げば、ね?」フフッ

 

リン「ユイちゃん…さすがニャ!」

 

リン(でも、そんなユイちゃんを狙って誰かが鏡の中から襲おうとしていた)

 

?「フフフ…」

 

リン「!?…ユイちゃん、危ない!」

 

ユイ「…!」

 

アビス「ハッ!」

 

リン(ユイちゃんを襲おうと剣を持って鏡から出てきたのはアビスになったカマタ教頭だった)

 

『アタックライド…ブラスト!』

 

リン(そんな時、リン達を助けたのは…)

 

ディケイド「待ってたぜ!」ガガッ!

 

アビス「何!?…グアッ!」

 

リン「ツカサくん!」

 

ディケイド「何とか…間に合ったようだな」

 

アビス「グッ…」ダッ

 

ディケイド「待て!」ダッ

 

リン(ディケイドはアビスを追ってミラーワールドの中に入っていった)

 

ユイ「教頭は、私を狙って…」

 

リン「ユイちゃん…そのカード、リンが使ってもいい?」

 

ユイ「…リン?」

 

リン「リンね、ずっと考えてた」

 

リン「それでも分かんなくて…でも、さっきユイちゃんの手紙を読んでやっと分かったニャ」

 

リン「…リン、やっぱりこのライダー裁判をなかったことにしたい」

 

リン「みんなが戦わないようにしたい」

 

ユイ「…」

 

リン「たぶん、それで色んな人が辛い思いとかしちゃったりすると思う」

 

リン「でも、それが正しいとかじゃなくて…」

 

リン「リンが…ライダーの一人としての思いが、それなんだよ!」

 

リン「だから…!」

 

リン(ユイちゃんはカードをリンにくれた)

 

ユイ「分かったわ…でも、一つだけ条件」

 

リン「…何?」

 

ユイ「…生きなさい」

 

ユイ「生きて、私とまた…チームを組みましょう?」

 

リン「…うん、分かった!」

 

リン(リンはカードデッキを鏡に向けて、ベルトを着けた)

 

リン「じゃあ…行ってくる!」

 

ユイ「…ええ」

 

リン「変身!」

 

リン(リンはカードデッキをベルトに入れて、龍騎に変身した)

 

龍騎「ニャッ!」

 

龍騎(リンはそのまま、ミラーワールドの中に入った…)

 

 

 

ディケイド(オレはミラーワールドの中でアビスと対峙していた)

 

アビス「なぜここに…?」

 

ディケイド「悪いが、オレはアンタの事を最初から信じていないんでね」

 

ディケイド「だからわざと…見当違いな推理をしてアンタの様子を見ていた」

 

ディケイド「結果的にオレは、お前を疑って正解だったみたいだが」

 

アビス「…君は、私が真犯人だとでも?」

 

ディケイド「ああ…オレにはすぐ分かった」

 

ディケイド(すると、龍騎に変身したリンがオレの隣にやってきた)

 

龍騎「ツカサくん!」ダダッ

 

ディケイド「リン」

 

龍騎「…教頭先生だったんだね、ママを襲ったのは」

 

アビス「…違う、私じゃない」

 

アビス「真犯人はアキヤマくんだ…私はそれを告白させようとしただけだ」

 

龍騎「何でウソつくニャ!!」

 

アビス「嘘じゃない…そもそも君達は大事な事を忘れている」

 

アビス「私はあの時、学校から離れた場所にいた」

 

アビス「ライダーにもなっていない私が、どうやって星空先生を手にかけたというんだ?」

 

龍騎「…リン、知ってるよ」

 

龍騎「あなたは…人間になりすましてるんだよね?」

 

ディケイド「何…?」

 

アビス「…まさか!」

 

龍騎「ユイちゃんが手紙で教えてくれたニャ」

 

龍騎「ママがユイちゃんと一緒に追っていた噂…」

 

龍騎「だから、教頭先生のことも分かってた」

 

龍騎「教頭先生…あなた、怪物なんでしょ?」

 

龍騎「だから…ママを!」

 

アビス「…」

 

龍騎「ツカサくん、一緒にリンと過去に行ってくれるかニャ?」

 

ディケイド「…ああ」

 

アビス「星空くん…君はまさかタイムベントを?」

 

龍騎「…そうだよ」

 

龍騎「リンは…これを使って、確かめる!」

 

龍騎「そして…ママを助けて、この戦いを終わらせる!」

 

ディケイド(龍騎はそう言って、一枚のカードを左手のドラグバイザーに装填した)

 

『タイムベント』

 

ディケイド(その瞬間、オレの意識は次第に遠くなっていった…)

 

 

 

ツカサ(リンのタイムベントで、オレはまた鏡から追い出された)

 

ツカサ「うわっ!」ゴロゴロ

 

雪穂「わっ!ビックリした…ってツカサ!?」

 

ツカサ「雪穂!…ここは」

 

ツカサ(オレは雪穂とリンの母がいる花鶏高校の新聞部の部室にいた)

 

リン「ニャアァァァァ…ニ"ャ!?」ゴン!

 

リンの母「…!?」バタッ

 

ツカサ(続いてリンが鏡から出てくると、リンはリンの母とぶつかった)

 

雪穂「えっ!?」

 

リン「いてて…ってママ!じゃなくて先生!?」

 

リンの母「…」

 

リン「しっかりするニャー!」ユサユサ

 

ツカサ(リンの母を揺らして起こそうとするリンをオレは止めに入った)

 

ツカサ「待てリン!…気を失っているだけだ、息もちゃんとしているから安心しろ」

 

リン「えっ?な、なーんだ…ホッとしたニャ~」ホッ

 

雪穂「えっと…これ、一体何がどうなってるの?」

 

リン「あ、雪穂ちゃん!」

 

雪穂「へっ!?なんで私の名前を…?」

 

リン「あっ、えっと…ツカサくんから話を聞いて」エヘヘ

 

雪穂「えっ、そうなのツカサ?」

 

ツカサ「まあ…そんなとこだ」

 

ツカサ(オレは窓から、外にある自動販売機で紅茶を飲んでいるカマタの姿を確認する)

 

ツカサ「あいつ…!」ダッ

 

リン「あ、ちょっと待つニャ!」

 

 

 

リン(リンが部室を出たツカサくんを追いかけようとすると、部室にユイちゃんが入ってきた)

 

ユイ「一体、この騒ぎは…って星空先生!?」

 

リン「あっ、ユイちゃん!」

 

ユイ「リン…これはどういう事?」

 

リン「えーっと…話すと長くなっちゃうんだけど、とにかく先生は大丈夫ニャ」

 

ユイ「…そう、あなたがそう言うなら」

 

リン「あっ、そういえばユイちゃん…先生と話をしようとしたんでしょ?」

 

ユイ「ええ…それならもうとっくに話をして、先生から許可をもらったわ」

 

ユイ「スクールアイドル衣装のファッションショーのモデルとしてリンを出すっていう話を、ね」

 

リン「へぇ~そっか!…って、え?」

 

リン「ええええええっ!?」

 

 

 

ツカサ(オレは校舎の外に出た)

 

ツカサ(その直後、紅茶を飲んでいたカマタが…新聞部の部室に向かって、腕から何かを出そうとしていた)

 

ツカサ「それが犯行に使った凶器か」

 

カマタ「…!」ブンッ

 

ツカサ(カマタは標的をオレに変え、腕から真空刃を飛ばしてきた)

 

ツカサ「おわっ!」サッ

 

ツカサ(オレは、すんでのところで回避した)

 

カマタ「何だ、君は?なぜ私の計画を…」

 

ツカサ「何だはこっちの台詞だ…今の、どう見ても人間技じゃないだろ?」

 

ツカサ「お前…何者なんだ?」

 

ツカサ(すると、オレの耳にまたあの不快な音が聞こえてきた)

 

キィン…キィン…

 

ツカサ「これは…?」

 

?「見たな」

 

ツカサ(オレが声のする方を向くと、そこにはアビスが鏡の中にいた)

 

ツカサ「!」

 

アビス「フフフ…」

 

 

 

リン「ど…どうして!?この学校にもスクールアイドルがいるのに!」

 

ユイ「それが…全員、風邪をひいてしまったみたいでショーに出られなくなったの」

 

リン「ええ…そんなことあるの?」

 

ユイ「先生がデザイナーのカンザキさんに『一人でも良いから、学校を代表する可愛い子に出てほしい』って言われて…」

 

ユイ「それで私があなたを推薦したというわけ」

 

リン「い、いやいやいや…無理だよ無理!」

 

ユイ「無理なんかじゃない…私は先生から聞いた」

 

ユイ「あなたが実は女の子らしい格好に憧れているっていう事…」

 

ユイ「新聞部員の皆も既に知ってるし…あなたが適任だって言ってくれている」

 

リン「みんなも!?でも、リンは…」

 

ユイ「いきなり言われて戸惑う気持ちは分かる…けど皆、リンならきっと似合うって思ってる」

 

ユイ「新聞部の中で、リンが一番女の子らしいって…皆思っていたから」

 

ユイ「だから少しだけでいい…私を、新聞部の皆を信じてほしい」ガッ

 

リン(ユイちゃんはリンの肩を掴んでこう言った)

 

ユイ「私達は、チームなんだから」

 

リン「チーム…」

 

リン「でも、リンは!女の子らしい格好ができるようなタイプじゃないし…」

 

ユイ「こら」ペシッ

 

リン(ユイちゃんはリンの頭に軽くチョップをしてきた)

 

リン「ニャッ!?」

 

ユイ「自分のことをそんな風に言っちゃダメ」

 

リン「ユイちゃん…」

 

?「私もそう思う!」

 

リン(リンが声のする方を見ると、そこには亜里沙ちゃんがいた)

 

雪穂「亜里沙!」

 

リン「亜里沙ちゃん…」

 

亜里沙「へっ?なんで私のこと…」

 

リン「あ…ツカサくんから話を聞いて、ね!」エヘヘ

 

亜里沙「そうなんですか…あっ、でもそれは置いといて!」

 

亜里沙「私、さっきのお話…聞いてました」

 

亜里沙「私も…リンさんがかわいい衣装を着ているのを見てみたいです」

 

亜里沙「だって、私たちの世界の凛さんも…スクールアイドルのかわいい衣装を着ていっぱい輝いてましたから!」

 

リン「亜里沙ちゃんの世界のリンも…?」

 

亜里沙「はい!」

 

雪穂「ちょっと亜里沙…!大丈夫なの、その話して?」ボソッ

 

亜里沙「ツカサが話したなら大丈夫だよ?」ボソッ

 

雪穂「またそんなことを…」ハァ

 

ユイ「…どうやらあの子達も、新聞部の皆と同じ事を思ってるみたいね」

 

リン「で、でも!リンは別だよ…?」

 

リン「ほら、全然女の子っぽくないし…」

 

リン「ユイちゃんや雪穂ちゃんや亜里沙ちゃんの方が…可愛いしキレイだし、女の子っぽいし」

 

リン「みんなが出た方が良いんじゃ…」

 

亜里沙「大丈夫です!」

 

リン「へっ?」

 

亜里沙「だってリンさん、すっごく可愛いもん!」ギュッ

 

リン(亜里沙ちゃんは突然、リンを抱きしめた)

 

リン「あ、亜里沙ちゃん!?」

 

亜里沙「こんなにギュ~ッ…ってしたくなるくらい!」

 

雪穂「…亜里沙の気持ちも分かります」

 

リン「えっ…?」

 

雪穂「よっぽどの自信家じゃない限り、自分より他人が可愛いって思うものだと…私は思うんです」

 

リン「でもリンは…」

 

雪穂「違わないです」ギュッ

 

リン(雪穂ちゃんも、亜里沙ちゃんと一緒にリンを抱きしめた)

 

リン「…!」

 

雪穂「リンさんは可愛いです」

 

雪穂「だから…自信を持ってください」

 

リン「雪穂ちゃん…うん、分かった」

 

リン(リンはそっと二人を離した)

 

リン「リン…やってみるよ」

 

亜里沙「…ハラショー!」パアッ 

 

雪穂「…はい!」

 

ユイ「…」フフッ

 

リン(リン達は笑い合った)

 

亜里沙「あれ?そういえばさっきツカサを見たような」

 

雪穂「あー…ツカサなら何か急いでたみたいだけど」

 

リン「ニャッ!?」

 

リン(そうだツカサくん…リン、こうしちゃいられない!)

 

リン「ユイちゃん、先生…お願いしていいかニャ?」

 

ユイ「えっ?…わ、分かったわ」

 

リン「じゃあリン…ちょっと行ってくるね!」ダダッ

 

リン(早く…急がないと!)

 

 

 

カマタ「君は…一体?」

 

アビス「君は…私だよ」

 

ツカサ(オレは現実世界にいるカマタとミラーワールドにいるアビス…二人のカマタと対峙していた)

 

ツカサ「…お前もタイムベントの瞬間、一緒に飛んできたのか」

 

アビス「ああ、その通りだ」

 

アビス「私は人間のフリをして、この世界に入り込んだ…」

 

アビス「だが星空先生とアキヤマくんに気づかれ、まずは星空先生を始末した…始末したはずだった」

 

アビス「君と星空くんさえいなければ、私の計画は完璧だった!」

 

ツカサ「そんな事…オレが知るか!」

 

アビス「フン…しかしこのアビスの力があれば、私の計画は再び完璧なものとなる」

 

ツカサ「?…まさかお前!?」

 

アビス「そう、私はミラーワールドから契約モンスターを利用して星空先生とアキヤマくんを狙い…消す」

 

アビス「当然、君と星空くんも…私がこの手で!」

 

ツカサ(アビスは現実世界のカマタにこう言った)

 

アビス「という訳だ…君は元の世界に戻りなさい」

 

カマタ「…後は任せた」

 

ツカサ(するとカマタはオーロラの中に入り、姿を消した)

 

ツカサ「待て!」

 

『アドベント』

 

ツカサ(オレはカマタを追いかけるが、アビスラッシャーとアビスハンマーがオレの行く手を阻む)

 

ツカサ「くっ…邪魔だ、そこをどけ!」

 

アビス「フフフ…」

 

?「ニャアァァァァ!!」ドン!

 

アビスラッシャー「!?」

 

アビスハンマー「!?」

 

ツカサ(リンが助走をつけて二体のモンスターに体当たりし、モンスター達はミラーワールドへと戻された)

 

アビス「何だと!?」

 

ツカサ「リン!…早かったな」

 

リン「リン、足には自信あるから…元陸上部だし!」

 

ツカサ「そうか…」

 

ツカサ(オレは『じゃあ何で新聞部に入ったんだ…?』と思ったが、あえて聞かない事にした)

 

アビス「揃いましたね、だが今…君達が入ろうとしているのはライダー裁判が発動していないミラーワールドだ」

 

アビス「滞在できる時間も制限されている上に…ここで君達が負ければ身体は消えてしまい、命を落とす」

 

アビス「そんな戦いで…私に勝てるとでも?」

 

ツカサ「勝てるさ…間違いなくな」

 

アビス「…ほう?」

 

リン「そうだよ、リンは一人で戦ってるんじゃない!」

 

リン「だって…今はツカサくんとリンが、チームなんだから!」

 

アビス「フッ、何を馬鹿な…人間は皆、自分の為に戦うのだよ」

 

ツカサ「確かにオレ達は時に…一人で色んなものを背負って戦う事もある」

 

ツカサ「自分の為に、この手でな」

 

ツカサ「だが、この手は時に…誰かに差し伸べる事もできる!」

 

ツカサ「その時、オレ達は例え…弱くても、愚かでも、一人じゃない」

 

アビス「君は一体…何者だ?」

 

ツカサ(そう問われたオレは一枚のカードを取り出した)

 

ツカサ(同時にリンも、カードデッキを鏡にかざしベルトを着けた)

 

ツカサ「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ!」

 

ツカサ「変身!」

 

リン「変身!」

 

『カメンライド…ディケイド!』

 

ディケイド(オレはディケイド、リンは龍騎に変身を完了させる)

 

龍騎「ニャッ!」

 

ディケイド「っしゃ!」

 

ディケイド(オレ達はアビスに立ち向かう為、ミラーワールドの中へと突入していった…)

 

 

 

龍騎(ミラーワールドに来たリンはアビスが呼んだモンスターと…ディケイドはアビスと戦ってた)

 

『ソードベント』

 

龍騎(リンは空から降ってきた剣を持って、すぐにモンスターを斬った)

 

龍騎「ニャッ!」ズバッ!

 

アビスラッシャー「!」

 

龍騎「ニャニャッ!」ザシュッ!

 

アビスハンマー「!」

 

アビス「おのれ…」

 

『ストライクベント』

 

龍騎(すると、二体のモンスターが合体して大きな鮫になった)

 

アビス「…フフ」

 

ディケイド「!?」

 

龍騎(アビスは手に何かを着けて、ディケイドを狙ってる)

 

龍騎「ツカサくん、危ない!」ダダッ

 

龍騎(ディケイドの前に立ったリンはデッキからカードを一枚出して、左手の機械に入れた)

 

『ストライクベント』

 

龍騎(それからすぐ、空からドラゴンの頭のようなものが飛んできて…リンはそれを腕に着けた)

 

アビス「ハッ!」

 

龍騎「ニャアッ!」

 

龍騎(リンの出した炎とアビスの出した水しぶきがぶつかり合う)

 

アビス「グッ!?」ヨロッ

 

龍騎「ニャニャ!?」フラッ…

 

ディケイド「リン!」ガシッ

 

龍騎(倒れそうになったリンをディケイドが支えてくれた)

 

龍騎「あ…ありがとニャ!」

 

龍騎(アビスがリン達にこう言った)

 

アビス「今度こそ、終わりだ…」

 

アビス「私がこの場で…死刑を申し渡す!」

 

龍騎「死刑なんてごめんニャ!」

 

ディケイド「同意見だ」

 

アビス「そんな事を言っているのも、今のうちだ…!」

 

『ファイナルベント』

 

龍騎(アビスがカードを腕にある機械に入れるとまた大きな鮫が出てきた)

 

龍騎(負けずにリンも腕の機械にカードを入れた)

 

『アドベント』

 

龍騎(リンのもとには真っ赤なドラゴンがリンを守るようにやって来た)

 

龍騎(リンだって…負けたくない)

 

龍騎(生きて、またユイちゃんと一緒に記事を書くって約束したんだ…だから!)

 

龍騎「リンは…諦めない!」

 

 

 

ディケイド(龍騎がそう言うと、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出してきた)

 

ディケイド(それらを掴んだオレはカードに龍騎の力が宿ったことを確認した)

 

ディケイド「それなら…やってみるか」

 

龍騎「えっ、何を…?」

 

ディケイド(オレはその中から一枚のカードをディケイドライバーに装填した)

 

『ファイナルフォームライド…リ・リ・リ・リュウキ!』

 

ディケイド(直後…龍騎にドラグセイバー、ドラグシールド、ドラグクローと全ての装備が装着される)

 

龍騎「えっ?リン、カード入れてないのに…」

 

ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」

 

龍騎「ニャ?」

 

ディケイド(オレは龍騎の後ろに回り込み、背中を押した)

 

ディケイド(すると龍騎は形を変え…リュウキドラグレッダーに変形した)

 

龍騎「ニャァァァァ!?リンまでドラゴンに…!」

 

ディケイド「オレとリンの力だ」

 

龍騎「か…カッコいいニャ~!」

 

ディケイド「…」ズルッ

 

ディケイド(リンの意外な答えにオレは転びそうになった)

 

龍騎「よーし…行っくニャー!」

 

ディケイド(リュウキドラグレッダーが、アビソドンに立ち向かう)

 

ディケイド(アビソドンは頭のノコギリで龍騎が召還したドラグレッダーを攻撃する)

 

龍騎「えいっ!」ザシュッ!

 

ディケイド(リュウキドラグレッダーは尻尾でアビソドンを両断した)

 

アビス「何!?」

 

ディケイド「今だ!」

 

ディケイド(オレは更に一枚のカードをベルトに装填した)

 

『ファイナルアタックライド…リ・リ・リ・リュウキ!』

 

ディケイド「はっ!」

 

ディケイド(オレは上空を舞うリュウキドラグレッダーのもとへ高く飛び上がり…)

 

龍騎「ニャーッ!」

 

ディケイド「やあーっ!」

 

ディケイド(リュウキドラグレッダーが吐き出した火炎のエネルギーを受けたオレはアビスに蹴りを放った)

 

ディケイド(これは『DCDD(ディケイドドラグーン)』…オレと龍騎の技だ)

 

アビス「なっ…グワァァァァ!?」

 

ディケイド(キックはアビスに命中し、遠くへ吹き飛ばした)

 

ディケイド(同時にアビスのカードデッキは粉々に砕け散った)

 

龍騎「ニャァァァァ…ニ"ャッ!!」ドン!

 

ディケイド(空を飛んでいたリュウキドラグレッダーは龍騎に戻ると…そのまま落下して尻餅をついた)

 

龍騎「い、痛いニャ~…」

 

ディケイド「全く、仕方ないな…ほら」スッ

 

ディケイド(オレは痛がる龍騎に手を伸ばした)

 

龍騎「あっ…えへへ」ガシッ

 

ディケイド(龍騎は照れ笑いしながらオレの手を掴み、立ち上がる)

 

ディケイド「ふぅ…ん?」

 

龍騎「ニャ?…えっ!?」

 

カマタ「…」

 

ディケイド(オレ達が何かの気配に気づくと、そこには緑色の血を流すカマタが立っていた)

 

ディケイド「そうか…お前、アンデッドだったのか」

 

カマタ「そうだ、私はハートのカテゴリーキング…パラドキサアンデッド」

 

ディケイド「カテゴリー…キング」

 

カマタ「この世界の私は消える…だが、元の世界に戻った私がまだいる事を忘れるなディケイド!」

 

カマタ「そこが君の墓場となるのだ、フフフ…フハハハハ!」

 

ディケイド(カマタは笑いながら、ミラーワールドの中で消滅した)

 

龍騎「…あっ!?」

 

ディケイド(龍騎が自分自身の手を見つめると、オレ達の身体が消えかけている事に気づいた)

 

ディケイド「時間切れか…」

 

龍騎「このままじゃリン達も消えちゃう!」

 

龍騎「どうしよどうしよ、早くしないと~!」オロオロ

 

ディケイド「そんなにはしゃがなくてもいい…9分55秒以内にここから出ればいいだけの話だ」

 

龍騎「あっ…そっか!」

 

龍騎「さすがツカサくん、頭良いニャ~!」

 

ディケイド「…行くぞ」ダッ

 

龍騎「うん!」ダッ

 

ディケイド(オレ達は急いでミラーワールドを後にし、現実世界へ戻った…)

 

 

 

雪穂(数日後、私達はリンさんが出るというスクールアイドル衣装のファッションショーの会場に来ていた)

 

亜里沙「ユイさん!」

 

ユイ「あなた達は…」

 

雪穂「お久しぶりです、あの時は色々とお騒がせしてしまって…すみませんでした」

 

ユイ「気にしないで…あなた達が説得してくれたおかげで、あの子は出るって言ってくれたのだから」フフッ

 

ユイ「それに、今は一緒にミラーワールドの記事を書いてるし」

 

雪穂「確か…多くの人達の反対で数日前にライダー裁判制度がなくなったんですよね?」

 

ユイ「そう、そして今では…野良のミラーモンスターが出没してあちこちで人を襲って捕食している事件が多発している」

 

ユイ「その名も鏡隠し事件…」

 

ユイ「政府はこの事件を解決させるため、裁判制度に使っていたカードデッキを今ではモンスター討伐に使っているそうよ」

 

ユイ「最近はリンと一緒にチームを組んで、鏡隠し事件を取材しているわ」

 

亜里沙「あれ…そういえばリンさんは?」

 

ユイ「リンなら控え室にいるわ」

 

 

 

コンコン

 

ツカサ(オレは控え室の扉を叩くと、すぐに扉が開いた)

 

ガチャ…

 

リン「はい…あっ、ツカサくん」

 

ツカサ「よう…ん、どうした?やけに顔が固いな、ちょっと緊張してるのか?」

 

リン「ちょっとじゃないニャ…」

 

ツカサ「?…というかアンタ、まだ着替えてなかったのか」

 

リン「う、うん…」

 

リン「何かリンが着る衣装…他の人が着る衣装と間違えられてるみたいで」

 

ツカサ「はぁ?…まあいい、入るぞ」スタスタ

 

リン「うん…」

 

ツカサ(オレは控え室の中に入った)

 

ツカサ「そういえば…あれからも龍騎として戦っているのか?」

 

リン「うん…」

 

リン「ユイちゃん達には内緒にしてるんだけど…リン、偉い人からみんなを襲うモンスターをやっつけてほしいって言われて」

 

リン「だからリンは…人を襲う悪いモンスターと戦うために変身するよ」

 

リン「誰かを守るためだけに…変身したいから」

 

ツカサ「そうか…それで、間違ってる衣装って何だ?」

 

リン「…うん、それがね?これなんだけど」シャッ

 

ツカサ(リンはカーテンを開けて、オレに衣装を見せた)

 

ツカサ(その衣装はウェディングドレス風の衣装だった)

 

ツカサ「なるほど、アンタがこれを着る…別にどこも間違ってないじゃないか」

 

リン「間違ってるよ!」

 

リン「リンは違う衣装でやるって聞いてたし…リハーサルもそれでやったし」

 

リン「そもそもリン、髪短いからこういうの似合わないよ…」

 

ツカサ「…ショートカットの花嫁なんて、いくらでもいるだろ」

 

ツカサ「それに…着てみたらかなり似合うと思うぞ?」

 

リン「そ、そんな…冗談はやめてよ!」

 

ツカサ「そんな冗談を言うと思うか?」

 

リン「そ、それは…」

 

ツカサ「ここまで来たら…やるしかないだろ?」

 

ツカサ「今のアンタが出来る、最高のパフォーマンスをする為に」

 

リン「で、でも…」

 

ツカサ「仕方ないな…ほら」スッ

 

リン「えっ、ツカサくん?」

 

ツカサ(オレは姿見の近くに立つリンに衣装を持たせた)

 

ツカサ「…見てみろ、この衣装」

 

リン「えっ…」

 

ツカサ「リンに着てほしいって言ってる」

 

リン「…え?」

 

ツカサ(リンは姿見に映るリン自身と衣装を見た)

 

リン「…リンに?」

 

ツカサ「ああ、だから…胸を張って行ってこい」

 

リン「…」

 

ツカサ(オレはリンの背中をそっと押した)

 

ポンッ

 

リン「…!」

 

ツカサ「…小さな星が夜空に輝く、おまじないだ」

 

リン「ツカサくん…分かった」

 

リン「リン、この衣装着てみるよ!」

 

ツカサ「…それでいい」フフッ

 

ツカサ「じゃあ、オレはそろそろ行くぞ」スタスタ

 

リン「うん…あ、ツカサくん!」

 

ツカサ「?」クルッ

 

リン「…ありがと、ね?」

 

ツカサ「…ああ」ガチャ

 

バタン

 

ツカサ(リンの控え室から出たオレは、徐々に身体が透けていく)

 

ツカサ「どうやら、この世界でやるべき事は終わったようだな」フゥ

 

ツカサ「…またな、リン」

 

ツカサ(オレの身体は消え、そのまま光写真館へと戻っていった)

 

 

 

リン「それでは…一番可愛い私達を見ていってください!」

 

リン(リンがそう言うと、ファッションショーが始まった)

 

リン(衣装を着たリンを見て、たくさんの人が可愛いって笑顔で言ってくれてる)

 

リン(そんなみんなの笑顔を見て、リンはなんだかとっても嬉しくなってきて)

 

リン(みんながリンのことを女の子みたいに見てくれていて…)

 

リン(そうだよ、こういう格好をしたらリンだってちゃんとした女の子に見えるもん!)

 

リン(カッコいい…じゃなくて、みんなから可愛いねって言ってもらえる女の子に)

 

リン(ツカサくん…)

 

リン(雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん…)

 

リン(ありがとう)

 

リン(リン、こんな世界があったなんて知らなかったよ)

 

リン(ヒラヒラ、ふわふわしてて…)

 

リン(女の子って、最高に楽しい!)

 

リン(まるで夢の中にいるみたいに身体が軽くなって、リン…もっと高く飛べそう!)

 

リン(この楽しい気持ちをもっともっと、上まで…)

 

リン(できればあの会場のてっぺんでいっぱい光ってる星空まで…高く飛びたい)

 

リン(そして、みんなに伝えてみたい)

 

リン(女の子ならきっと、誰でも可愛くなれるって…そう)

 

リン(こんな私でさえも…)

 

リン「変身!」

 

 

 

ツカサ「ほら、晩飯出来たぞ」ゴトッ

 

ツカサ(オレはローストチキンが入っている鍋を机の上に置いた)

 

亜里沙「ハラショー!」

 

雪穂「ずいぶん豪華だね…」

 

ツカサ「たまには、これくらいしないとな?」

 

雪穂「それにしても…ファッションショーのリンさん、すごく可愛かったね!」

 

亜里沙「うん!」

 

ツカサ「おかげで…良い写真になったみたいだしな」ピラッ

 

ツバサ「へえ?」パシッ

 

ツカサ(オレがエプロンのポケットから一枚の写真を出すと、ツバサに取り上げられた)

 

ツカサ「あっ…おい!」

 

キバーラ「これは…あら~!良い写真が撮れてるわね♡クスクス♡」

 

ツカサ(写真には取材をしているリンとウェディングドレス風の衣装を着ているリンが写っていた)

 

ツバサ「へえ…」スッ

 

ツカサ(オレはツバサから写真を返してもらう)

 

ツカサ「全く、油断も隙もあったもんじゃないな…いいから早く食べろ」

 

ツバサ「はいはい」フフッ

 

雪穂「いただきます」

 

亜里沙「いただきます!」

 

ツバサ「いただきます」

 

ツカサ「…」フフッ

 

キバーラ「あら、どうしたのツカサ?」

 

ツカサ(三人には聞こえないよう、オレはキバーラに話した)

 

ツカサ「いや…オレはもしかしたら、良いチームを持ったのかもしれない」

 

ツカサ「まだ旅を始めてから間もないが…そんな気がするんだ」

 

キバーラ「へぇ~…」

 

キバーラ「ねぇ、皆聞いて聞いて!今、ツカサがね…」

 

ツカサ「何ですぐに言おうとしてんだアンタは!」ガシッ

 

ツカサ(オレはキバーラを掴み、喋れないようにした)

 

キバーラ「~!」モゴモゴ

 

亜里沙「どうしたのツカサ?」モグモグ

 

雪穂「またキバーラに私の愚痴でも言ったの?」

 

ツカサ「違う!そもそもいつ言ったそんなの!?」

 

ツバサ「…」フーフー

 

ツバサ「あ、そうだ」

 

ツバサ「雪穂さん…食べ過ぎには気をつけてね」

 

雪穂「えっ…何ですか、いきなり?」モグモグ

 

ツバサ「ふふっ、なんとなく…ね」

 

キバーラ「~!」ジタバタ

 

ツカサ「いいから大人しくして…ろ!?」

 

ツカサ(次の瞬間、写真館の背景が空を翔るドラグレッダーからまた別の背景に変わった)

 

ツバサ「…次の世界ね」

 

雪穂「これは…?」

 

亜里沙「…」モグモグ

 

ツカサ「…なるほど、な」




次回、仮面ライダー×ラブライブ!

「数日前、一部のアンデッドが何者かによって再び解放されてしまった」

「彼女は…少し前まで、スクールアイドルをやっていました」

「…やるしか、ないのですね」

第8話『一人きりのエース』

今、その力が全開する。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。