雪穂「ディケイド…!」
亜里沙「あなたの名前は『ツカサ』!」
ツカサ「ここは…ブレイドの世界だ」
ツバサ「アンデッド、それは決して倒すことのできない不死身の怪人」
ツバサ「だから、カードに封印するの」
ウミ「…あなた、一体何者ですか?」
ツカサ「ただのしがないコックさ」
シジョウ「君に頼みたい事がある」
ツカサ「戦えないウミの代わりにアンデッドを封印しろ…って事だろ?」
ウミ「今の私は戦えない…」
ディエンド「受け取って!」
アルビノジョーカー「…」
ナルタキ(私は捻れ曲がった赤と黒、二つの石板と共に…ディケイドの戦いを見つめていた)
ナルタキ「いいぞ…それでいい」フッ
ナルタキ(現れたオーロラが私と石板をすり抜け…私達はその場を後にした)
ディケイド(オレはアルビノジョーカーを追おうとするが、アルビローチの集団が行く手を阻む)
ディケイド「くっ、どけ!」ザシュッ!
アルビローチ「…!」バタッ
ディケイド(オレは何とか全てのアルビローチを倒したが、アルビノジョーカーには逃げられてしまった)
ディケイド「…逃げられたか」ハァ
ディケイド(変身を解除したオレは…海に落ちたツバサを探し始めた)
ツカサ(しかし、どれだけ探してもツバサは見つからなかった…)
~世界の破壊者、ディケイド…9人の女神に出逢い、その瞳は何を見る?~
ツカサ(それから日が暮れて…オレ達はBOARDの所長室にいた)
シジョウ「アルビノジョーカー?」
ツカサ「ああ…白いジョーカーアンデッドの事をそう呼ぶらしい」
雪穂「らしいって…?」
ツカサ「…何かで見た事があるって記憶だけで、実際に見たのは初めてだ」
シジョウ「そうか…とにかく、そのアルビノジョーカーの存在についても詳しく調べてみよう」
ツカサ「頼む」
雪穂「物事を頼む人の態度じゃないよね、それ…?」
ウミ「…すみません」
雪穂「えっ…どうしてウミさんが謝るんですか?」
ウミ「私が変身できていれば…このような事にはなりませんでした」
亜里沙「そんな…ウミさんがいなければ私達は無事にここに戻れませんでした!」
ウミ「ですが!今の私は…」
ツカサ「…」
亜里沙「ウミさん…」
ウミ「…失礼します」ガチャ
ツカサ(ウミはそのまま、所長室から出て行った)
ツカサ(『アンデッドが現れるまではゆっくり休んでいい』とシジョウに言われたオレ達は…写真館に戻っていた)
亜里沙「はぁ…ウミさん」シュン
ツカサ「放っておけ、今のウミには…何を言っても無駄だ」
亜里沙「そんな…でも!」
ツカサ「だからこそ、ウミ自身が気づく事が大切なんだ…オレ達なりの方法でな」
亜里沙「ツカサ…!」
雪穂「でも、どうやって気づいてもらうの?」
ツカサ「それは…オレに任せておけば、問題ない」
雪穂「イヤな予感しかしないんだけど…」
亜里沙「そういえばツカサ…ツバサさんは大丈夫なの?」
ツカサ「ああ…たぶん大丈夫だろ」
雪穂「探しても見つからなかったのに…どうして分かるの?」
ツカサ「何となくだ…アレでやられるようなヤツじゃないだろうしな」
雪穂「いや、なんで根拠もないのにそんな自信たっぷりなの…?」
ツカサ(オレはツバサから託された五枚のラウズカードを眺めていた)
ツカサ(ハートのA、JOKER、ダイヤの8、スペードの4、クラブのJ…)
ツカサ(オレはなぜツバサがこれらのラウズカードを託してきたのか…しばらく考えていたが、答えは出なかった)
ウミ「はぁ…」
ウミ(翌日…外を歩いていた私は、思わず溜め息をついてしまいました)
ウミ(こんな絶望感は…もしかしたら生まれて初めてなのかもしれません)
ウミ(今の私は…変身して戦えない)
ウミ(私は今…どうしようもなく重たい現実をつきつけられていました)
ウミ(私は…こんなにも落ちこぼれてしまっていていいんでしょうか?)
ウミ(いえ…ありえません、絶対に良くないです)
ウミ(このままでは園田家の名に恥じます)
ウミ(でも…正直に言って、どうしたらいいのか今の私には分からないのです)
ウミ(こんな時、アマネがいれば…何と答えてくれたのでしょうか?)
ウミ(そんな事さえ…考えてしまいます)
ウミ(しばらく私は、フラフラと歩いていました)
ウミ「…どうしたら良いのでしょうか?」
ウミ(本当にどうすれば良いか…どこに向かって歩いているのかもよく分からなくて)
ウミ「…!」
ウミ(ふと目の前を見上げると、私はハカランダに辿り着いていました)
ウミ「…お茶でも飲んで行きましょうか」ガチャ
ウミ(私がドアを開けてお店に入ると…そこには驚くほどの混沌が広がっていました)
亜里沙「お帰りなさいませ、お嬢様!」ニコッ
雪穂「お、お帰りなさいませ…お嬢様」ゴニョゴニョ
ウミ(私の目の前には…メイドに扮した雪穂と亜里沙がいました)
ウミ「!?」
亜里沙「雪穂、ダメだよ!ちゃんと大きな声で挨拶しないと」
雪穂「い、いやでも…私、こういうの似合ってないっていうか」
亜里沙「似合ってるよ…すっごく可愛いもん!」
雪穂「うぅ~、こんなことになるんだったらあの時にお姉ちゃんを茶化しに行かなかったら良かったなぁ…」
ウミ(すると…カウンターからツカサが顔を出してきました)
ツカサ「おい、そこで何をボーッとしている…ってウミじゃないか」
亜里沙「シェフ、お嬢様のお帰りです!」
ウミ「な…な…」
ツカサ「…?」
亜里沙「どうかしました、お嬢様?」
ウミ「何ですかこれはぁぁぁぁぁ!?」
ツカサ(オレはウミに、ウチのメニューであるエースランチを食べてもらいながら事の顛末を説明していた)
ツカサ(エースランチはご飯、日替わりのおかず、サラダ、スープ、ドリンクといったセットだ)
ウミ「…ごちそうさまでした」フゥ
ウミ「つまり…あなた達がここに来た時は、既にシオリはいなかった」
ウミ「そんな時に…予約していたお客がやってきたと?」
ツカサ「ああ…そんなところだ」
ウミ「とはいえ、いくらなんでもこれはやり過ぎなのでは…?」
亜里沙「でも…ツカサが料理を作って私達がこの服を着てから、いっぱいお客さんが来るようになったんですよ!」
ウミ「そんな…」
ツカサ「だが…いまいち、足りないものがある」
雪穂「勝手にお店をここまで変えておいて…まだ何かやるつもりなの?」
ツカサ「当たり前だろ?オレがやるからには…手を抜く訳にはいかないからな」
雪穂「はぁ…どうせ止めてもムダなんだろうけど」
ウミ「それで…足りないものとは一体?」
ツカサ「絶対的なエースだ…つまり、ある人物がそのメイド服を来て接客する事だ」
ツカサ「そうすれば…このお店はより良くなる」
亜里沙「ある人物って誰だろう…あっ!」
ウミ「…え?」
雪穂「もしかして、ウミさん…?」
ウミ「ま、待ってください!?どうして私がそんな事を…!」
ツカサ「シオリに喜んでもらう為だ…協力してもらうぞ?」
ウミ「そう言われても…とにかく私は帰ります!」ガサゴソ
ツカサ(ランチの代金を払って店を出ようとするウミだったが…財布の中には27円しか入っていないようだった)
ウミ「そんな…私とした事が!」
ツカサ「…全く、仕方ないな」ハァ
ツカサ(オレは何の変哲もない普通のトランプをポケットから取り出した)
ツカサ「それなら…ババ抜きで勝負だ」
ウミ「バ…ババ抜き、ですか?」
ツカサ「ああ…オレ、雪穂、亜里沙、ウミの四人でババ抜きをする」
ツカサ「ビリにならずに上がれば、特別にランチ代はタダにしてやる」
ツカサ「しかし、もしビリになれば…その時はこの店の従業員として働いてもらう」
ウミ「ですが、私は…」
ツカサ「ほう、逃げるのか?」
ウミ「!…分かりました」
ウミ「その勝負、受けて立ちましょう」
ツカサ「よし…決まりだ」フフッ
ツカサ(こうして、オレ達はウミとババ抜きで勝負をする事になった)
雪穂「あれ?そういえばウミさんって確か…」ボソッ
ツカサ(オレ達がババ抜きを始めてから…約一時間が経過した)
亜里沙「えっと…」
ウミ「…」ジーッ
亜里沙「こっちかな?」
ウミ「あっ…!」ドキッ
亜里沙「それとも…こっち?」
ウミ「あっ…!」ホッ
亜里沙「…ごめんなさい、やっぱりこっち!」パッ
ウミ「んなぁぁぁぁぁ!?」
雪穂「ウミさん…」
ウミ「嘘ですこんな事!何かの間違い…いや、まだです」
ウミ「もう一度です!」
ツカサ「ダメだ」
ウミ「なぜですか!?」
雪穂「ウミさん、これでもう十二回目ですよ…?」
ウミ「それでも…私は諦めません!」
雪穂「ねえ、やっぱりウミさんって…」ボソッ
ツカサ「気づいてないみたいだな…自分の表情がどれだけ相手に読まれやすいか」ボソッ
雪穂「前にお姉ちゃんから聞いてはいたけど、さすがに可哀想になってきたよ…」ハァ
ウミ「お願いします!次こそは必ず…」
ツカサ「…分かった、これが最後だぞ?」
ウミ「はい…いざ、尋常に!」
ツカサ(それから少し経って…決着がついた)
ウミ「んなぁぁぁぁぁ!?」
ツカサ「…と、いう訳で」
ツカサ(勝負に敗れたウミにメイド服を着せ、接客させる事になった)
ウミ「お、お…」モゴモゴ
ツカサ「お帰りなさいませ、ご主人様」
ウミ「おっ…オカエリナサイマセェ、ゴシュウジンサマ!」
ツカサ「声が裏返ってるし、ご囚人様じゃない…もう一度だ」
ウミ「ま、待ってください!」
ツカサ「何だ?」
ウミ「やっぱり上手くいくなんて思えません…」
ウミ「いくらなんでもこれは!強引過ぎます…」
ツカサ「ほう…十三回も負けておいてか?」
ウミ「あなた、言わせておけば…」キッ
ガシッ
ツカサ(突っかかろうとするウミを雪穂と亜里沙が抑える)
亜里沙「待ってください、ウミさん!」
雪穂「落ち着いて!」
ウミ「亜里沙、雪穂…放してください!」ジタバタ
亜里沙「これは全部、ウミさんのためなんです!」
ウミ「…私の?」
亜里沙「はい…そうだよね、ツカサ?」
ツカサ「…一応、な」ハァ
ツカサ(オレはウミの目を真っ直ぐに見つめながら、こう言った)
ツカサ「似合ってるぞ…ウミ」
ウミ「なっ…いきなり何を言っているんですか、あなたは!?///」
ツカサ(ウミは身体中を真っ赤にさせていた)
ジュウ!
雪穂「熱っ!」パッ
亜里沙「うわっ!?」パッ
ツカサ「…さて」フゥ
ツカサ「仕事再開といくか…さあ、キビキビ働け!」
ツカサ(こうして、ウミを加えたオレ達の仕事は始まった)
亜里沙「お待たせしました、エースランチでございます!」
雪穂「エースランチ、二つ!」
ツカサ「分かった」
ツカサ(雪穂と亜里沙が接客をしている中、ウミは皿洗いをしていた)
ウミ「…」ジャブジャブ
雪穂「あっ、ウミさん!」
雪穂「さっきからずっと洗い物ばかりやってるじゃないですか…少しは接客してくださいよ!」
ウミ「仕事はしています…そもそも、本来のメイドというのはこういう仕事がメインのはずです!」
亜里沙「ウミさん、これお願いします!」
ウミ「あっ…はい」
ツカサ「ウミ!…笑顔を忘れるな」
ウミ「しかし、ここは…」
ツカサ「客の前じゃなくても…どんな時でも、そういう心構えが大切なんだ」
ウミ「…分かりました」
ツカサ「それと雪穂の言う通りだ…ちょっとは接客してこい」
ウミ「そ、そんな…無理です!」
ツカサ「無理じゃない…」
ウミ「ですが、私には…」
ツカサ「それなら…客を野菜と思えばいい」
ウミ「野菜…?」
ウミ『みんなー?いっくよー!』
ウミ「私に一人で歌えと!?」
ツカサ「いや、別に誰もアンタに歌えなんて言ってないだろ…」
ツカサ「全く…仕方ないな」ハァ
ツカサ「どうしてもメイド服で接客するのが嫌なら、あそこにあるアレに着替えろ」
ツカサ(オレは店の奥にあるパワードスーツを指差した)
ウミ「…何ですか、アレは?」
ツカサ「『鯛焼き名人アルティメットフォーム』だ、スペシャルターボ機能も搭載されていて…」
ウミ「分かりました…メイド服でやりましょう!」スタスタ
ツカサ「…悪くないと思うんだがな」
亜里沙「お帰りなさいませ、ご主人様!」
ウミ「お…お帰りなさいませ、ご主人様」
ウミ「こちらがメニューです」
ウミ「かしこまりました」
ウミ「ごゆっくりどうぞ」ニコッ
ツカサ「…段々、慣れてきたみたいだな」
亜里沙「ウミさん!」スチャ
ウミ(亜里沙が後ろからとあるものを私の頭に着けてきました)
ウミ「あ…亜里沙、どうしたんですか?」
亜里沙「これ…見てみてください!」
ウミ「…?」
ウミ(亜里沙が私に鏡を渡してきました)
ウミ「!!」
ウミ(その瞬間、あまりの衝撃で心臓が口から飛び出そうになりました)
ウミ(そこには…真っ白でふわふわな猫耳のカチューシャを着けた私が映っていました)
ウミ(あまりの驚きで何も言えず、身体も固まり…すぐにそれを外す事も出来ず)
客A「最強のメイドね…すごく可愛い!」パシャパシャ
客B「それ、撮ってもいいかな?」パシャパシャ
ツカサ「…」カシャッ
ウミ(多くの人々から写真を撮られている事にも気付かず…私はその場に立ち尽くしていました)
ウミ(こんなにも胸がどきどきするのは…変でしょうか?)
ウミ(こんなもの、似合うわけない…すぐにでもそう言いたいはずなのに)
ウミ(なぜか…自分が可愛らしく見えているような気がして)
ウミ(いつものお堅い武道家のウミとは違う…まるで本物の女の子のような、私)
ウミ(不意に、何だか少しだけ身体が軽くなったような気がして…どこか心の奥の方がザワザワと騒ぐのを感じていました)
ウミ(そんな時…私は可愛らしい衣装を着て、踊りながら唄っているアマネとシオリの姿を思い出しました)
ウミ(もしかして…あの時のアマネも、今の私と同じような気持ちを抱いていたのでしょうか?)
ウミ「あの…」
亜里沙「?」
ウミ「私も…こういうものを身に着けても良いのでしょうか?」
亜里沙「…はい!」
亜里沙「今のウミさん、いつも以上にかわいいですから!」ニコッ
ウミ「…可愛い」
ウミ(すると…近くで食器を片付けようとしていた雪穂がバランスを崩しました)
雪穂「おわぁっ!?」
ウミ「危ない!」サッ
ウミ(私はすぐに雪穂の身体を支えました)
ウミ「大丈夫ですか?」
雪穂「あっ…はい、ありがとうございます!」
ウミ「一緒に働く仲間ですから…助け合っていきましょう?」
雪穂「はい!」
ウミ「…」ハッ
ウミ(私は昔の事を思い出していました)
ウミ(アマネと一緒にアンデッドを封印した後、私はアマネの怪我の手当をしていました)
ウミ(私は緑色の血を流したアマネの腕に…包帯を巻いて止血していました)
ウミ「全くアマネは…また無理に突っ込んでいくんですから」ハァ
アマネ「…平気、大丈夫だよ」
ウミ「強がりを言って…無理をしたら、シオリが悲しみますよ?」
アマネ「それはそうだけど…シオリだけじゃないよ」
ウミ「えっ…?」
アマネ「ウミだって、一緒に助け合って生きていく仲間だし…よっと」
ウミ(アマネはそう言うと立ち上がり、こう言いました)
アマネ「私ね…例えカードが一枚もなくたって、私はジョーカーとしての自分の運命と戦いたいなと思ってるんだ」
アマネ「本当に強いのは力とかじゃなくて、人の想いなんだって…シオリやウミと出会って分かったから」
ウミ「…アマネ」
アマネ「だから私は…この想いで、色んなものと戦うよ」
アマネ「でも、もし私が辛くなったら…その時はお願いね?」
ウミ「アマネ…」
アマネ「あっ…もちろん、シオリには内緒だよ?」フフッ
ウミ「…分かりました」フフッ
ウミ(…私は何を焦っていたんでしょう?)
ウミ(ブレイドに変身できなくても、私には人を守りたいという想いがある)
ウミ(それさえあれば…私はどんな運命にも、どんな相手でも戦える)
ウミ(そして勝てる…なぜ、こんなにも大切な事を忘れてしまっていたのでしょう?)
客C「すみませーん」
ウミ「あっ…はい、ただいま!」ニコッ
ツカサ「…」フフッ
ツカサ(夕方になり…オレ達は店じまいをしていた)
雪穂「疲れた~…」
亜里沙「お疲れ様、雪穂!」
雪穂「亜里沙もね…」
ツカサ「売上は目標の十倍、収支は黒字…どうやらオレはプロデューサーとしてもいけるようだな」ニヤリ
雪穂「はいはい…分かったから、そんな怖い顔しながらお金数えないでよ」
ウミ「あの…ツカサ」
ツカサ「…何だ?」
ウミ「ありがとうございます…私が大切な事に気付けるように、あえてこういう事をしたんですよね?」
ツカサ「別に…アンタの為だけじゃない」
ウミ「えっ…?」
ツカサ「この世界の為だ」
ウミ「…ふふっ」
ツカサ「な、何だ…おかしい事言ったか?」
ウミ「あなた…変わってますね」フフッ
ツカサ「はぁ!?何でそうなる!」ガタッ
雪穂「あ、分かります?変わってるんですよツカサって…」
ツカサ「おい…同意するな!」
亜里沙「ん~…?」
ツカサ「?」クルッ
ツカサ(オレが亜里沙の方を見ると、亜里沙はオレが机の上に並べた五枚のラウズカードを眺めていた)
ツカサ「どうした、亜里沙?」
亜里沙「ツカサ…これってツバサさんがツカサに渡したんだよね?」
ツカサ「ああ…何で渡してきたのか、よく分からないんだがな」
亜里沙「もしかして…これって何かの暗号じゃない?」
ツカサ「暗号?」
亜里沙「うん、例えば…数字とか」
ツカサ「数字…?」
ツカサ(オレはもう一度…ハートのA、JOKER、ダイヤの8、スペードの4、クラブのJの五枚のラウズカードを見つめていた)
ツカサ「!」
ツカサ(そして、ある一つの答えに行き着いた)
ツカサ「ウミ…あの所長の下の名前、分かるか?」
ウミ「シジョウ所長ですか?確か…ジュンイチという名前だったと思います」
ツカサ「なるほど…だいたいわかった」
亜里沙「分かったの?」
ツカサ「ああ、お手柄だ…」
ウミ「…?」
ツカサ(すると…雪穂のタブレット端末からアラーム音が鳴った)
雪穂「あっ…アンデッドだ!」
ウミ「場所は…?BOARDの研究所!?」
ツカサ「…そういう事か、行くぞウミ!」ダッ
ウミ「え?ですが、着替えなくては…」
ツカサ「そんな暇はない、行くぞ!」
ウミ「は…はい!」ダッ
亜里沙「行ってらっしゃい!」
ツカサ(オレとウミは店を出て…研究所へと向かった)
ツカサ(BOARDの研究所に着いたオレ達は一体のアンデッドを発見する)
アルビノJ「…」
ウミ「アルビノジョーカー…!」
ツカサ「一体、こんな所で何をしているんだ?」
ツカサ「…シジョウ」
ウミ「!?」
アルビノJ「…」
ウミ「な、何を言っているんですか…ツカサ?」
ツカサ「…」
ウミ「なぜシジョウ所長がアンデッドなどと…」
ツカサ「…知り合いから渡された五枚のラウズカードで分かったんだ」
ウミ「五枚のラウズカード…?」
ツカサ「ああ…ハートのA、JOKER、ダイヤの8、スペードの4、クラブのJ」
ツカサ「これは暗号だったんだ…アルビノジョーカーの正体についてのな」
ウミ「暗号…?」
ツカサ「ああ…カテゴリーはA、JOKER、8、4、J」
ツカサ「Aは『アルビノ』、8は『は』、4は『シジョウ』、Jは『ジュンイチ』と考えると…」
ツカサ「『アルビノジョーカーはシジョウジュンイチ』…こういう暗号だったんだ」
ウミ「えっ…?」
ツカサ「おそらく知り合い…いや、ツバサはお前の正体を知って、オレ達に情報を流そうとしたところを襲われたんだろう」
ツカサ「この事件の黒幕であるお前に…」
ウミ「…そうなのですか?」
アルビノJ「…」
ウミ「本当に、私達を裏切ったのですか?」
アルビノJ「…」
ウミ「答えてください!」
ツカサ(しばしの沈黙が流れた後…アルビノジョーカーはシジョウに姿を変えた)
シジョウ「…」
ウミ「シジョウ所長…!」
シジョウ「バレてしまっては…仕方がないね」
ウミ「一体、なぜ…」
シジョウ「実験だよ…切札を起動させるためのね」
ウミ「切札…?」
シジョウ「そうだ…あのモノリスは世界を変える切札を起動させる為の鍵だったんだよ」
ツカサ「鍵…だと?」
シジョウ「そうだ、私は人工的に作り上げたアルビノジョーカーの力と二つのモノリスの力で…この世界を支配しようと考えた」
シジョウ「しかし、切札を起動させる為に私はアルビノジョーカーと完全に融合しなければいけなかった…」
シジョウ「だから私は…アルビノジョーカーとして活動していたんだ」
ツカサ「…世界を支配してどうするつもりだ?」
シジョウ「私は…この手で世界の秩序を保ちたいだけだ」
シジョウ「君達のような下々の者に研究者の苦しみは分かるまい」
ウミ「研究者の…苦しみ?」
シジョウ「アンデッドの脅威がもしなくなれば、我が研究所の予算もなくなる…」
シジョウ「スポンサーからの資金を得るためには、更なるアンデッドの脅威が必要なのだよ!」
ツカサ「つまり戦いを終わらせない為に、お前はアンデッドを再び解放した…そういう事か?」
シジョウ「そうだ、だからこそ…恐怖と安全のバランスはこれからこの私が決める」
シジョウ「二つの石板を融合させ…私が世界の支配者となるのだ!」
ウミ「…あなたがそんな人だとは思いませんでした」
シジョウ「何…?」
ウミ「最低です、あなたは…あなたは最低です!」
シジョウ「フハハハハハハ!」
ツカサ(シジョウは笑いながら、アルビノジョーカーに変身した)
アルビノJ「正体を知られたからには生かしてはおけない…」
ツカサ(アルビノジョーカーはこちらに近づきながら、アルビローチの軍勢を呼び寄せた)
ツカサ「ウミ、アンタは下がってろ」
ウミ「…分かりました」
ツカサ「変身!」
『カメンライド…ディケイド!』
ディケイド「悪いが…先手必勝だ!」
『アタックライド…ブラスト!』
ディケイド(オレはライドブッカーガンモードでアルビノジョーカーやアルビローチを攻撃していく)
ディケイド「はっ!」ガガガッ
ウミ「ツカサ…」
ウミ(戦いの様子を見ていると、携帯電話からアラーム音が鳴りました)
ウミ(私は携帯電話を取り出し、画面を確認しました)
ウミ「これは…アンデッドがもう一体!?」
ウミ(私はすぐにディケイドに声をかけました)
ウミ「気をつけてくださいツカサ、アンデッドがもう一体います!」
ディケイド「何!?」
ガキン!
ディケイド「うわっ!」
ウミ(ディケイドは何者かの剣を受け吹き飛びました)
ビートルアンデッド「…」
ウミ「アレは…カテゴリーA!?」
ディケイド「くっ…上等だ!」ガガッ
ウミ(しかし、ディケイドの銃弾は…全てビートルアンデッドの盾によって防がれてしまいました)
ディケイド「なっ…!?」
アルビノJ「どこを見ている!」ザシュッ
ディケイド「うわあっ!」
ウミ(アルビノジョーカーの鎌で斬られたディケイドは変身が解除され…ツカサに戻ってしまいました)
ツカサ「くっ…」
アルビノJ「終わりだ…」
ビートルU「…」
ウミ(ビートルアンデッドの剣がツカサに向かって振り下ろされようとした…その時でした)
ウミ「…!」ダダッ
ガキンッ!
ウミ(私は自分でも信じられないくらいの速さで近くにあった鉄パイプを手に取り、ビートルアンデッドの剣を受け止めていました)
ギリギリ…
ビートルU「…?」
アルビノJ「何のつもりだ、園田くん…変身できない今の君に何が出来る?」
ウミ「…確かに今の私は変身できません」
ウミ「ですが、人を守りたいという…強い想いがあります!」
アルビノJ「何?」
ウミ「例え、私にカードが一枚もなくても…私はあなた達を封印してみせる!」
ウミ「私に…ライダーとしての資格があるのなら!」
ウミ「私はその運命と戦い…そして勝ってみせます!」
アルビノJ「何を愚かな…」
?「愚かなのは…あなたの方よ」
ガガガッ!
アルビノJ「グッ!」
ビートルU「!」
ウミ「今のは…?」クルッ
ウミ(私が振り向くと、そこには一人の女性が立っていました)
ツバサ「…」
ツカサ「来たか…遅かったな」
ツバサ「ふふっ、どうやら…答えが分かったみたいね?」
ツカサ「…あんなの朝飯前だ」
ツバサ「そう…」フフッ
ツバサ「変身!」
『カメンライド…ディ・エンド!』
ディエンド「…行ってらっしゃい」
『カメンライド…レンゲル!』
ウミ(女性は水色のライダーに変身し、更に蜘蛛のようなライダーを召喚しました)
レンゲル「誰でも…運命と戦う事は出来るはずです!」
『Lush』
『Blizzard』
『Poison』
『Blizzard Venom』
レンゲル「はぁっ!」
ウミ(蜘蛛のようなライダーは自身の技でアルビローチ達を攻撃し、吹き飛ばしました)
ディエンド「これで邪魔は出来ないわよ」
アルビノJ「…それはどうかな?」
ウミ(すると…残ったアルビローチ達が一人の女性を連れてきました)
シオリ「…」
ウミ「シオリ!」
ツカサ「まさか…こうなる事を見越して、人質をとっていたのか!」
アルビノJ「物事というものは、常に先の先を見据えないといけないからね…やれ」
ビートルU「…」ダッ
ウミ「!」
ウミ(私は鉄パイプを取り上げられ、ビートルアンデッドに襲われそうになっていました)
ウミ「ぐっ…」
ビートルU「…」
ツカサ「ウミ!」
ディエンド「くっ…間に合わない!」
ウミ(水色のライダーが助けに来ようとしますが、残ったアルビローチが行く手を阻みます)
ツカサ「…そうだ!おい、リモートのカードは持っているか!?」
ディエンド「それなら…レンゲルが持っているわ!」
ツカサ「よし…おい、このカードをリモートしろ!」
ウミ(ツカサは一枚のラウズカードをレンゲルに投げつけました)
レンゲル「…!」コクリ
『Remote』
ウミ(レンゲルはラウズカードの力を使うと同時に消滅しました)
ツカサ「受け取れ、お前の力だ!」
ウミ(更にツカサは…一枚のラウズカードを解放したアンデッドに投げました)
?「…」パシッ
『Change』
?「…どいて!」ドカッ!
アルビローチ「!」バタッ
シオリ「…」
アルビノJ「!?」
ウミ(アンデッドは別のアンデッドの姿に変わり…アルビローチ達からシオリを取り戻すと、すぐにこちらに向かってきました)
?「はぁっ!」ザシュッ!
ビートルU「!」フラッ…
ウミ「…!」
ウミ(まさか…アレは)
?「もしかして…そんな格好で寝るつもりなの?」
ウミ「カリス…?」
カリス「久しぶりだね…ウミ」
ウミ(間違いありません、あのカリスは…」
ウミ「…アマネ!」
カリス「やぁーっ!」ズバッ!
ウミ(カリスはビートルアンデッドに対して、カリスアローで斬りつけます)
ビートルU「!」
カリス「何をしてるの、ウミ…人間を守るのがあなたの『お役目』なんでしょ!?」
ウミ「はっ…すみません、アマネ!」
ウミ(私は…気を失っているシオリを、少し離れている安全な場所に連れて行きました)
ディエンド「カリス…これを!」
カリス「!」パシッ
ウミ(ビートルアンデッドを怯ませたカリスは…水色のライダーから四枚のラウズカードを受け取りました)
『Float』
『Drill』
『Tornado』
『Spinning Dance』
ウミ(そのうちの三枚をカリスラウザーを取り付けたカリスアローに読み込ませたカリスは、激しい竜巻を起こして浮遊すると…)
カリス「やあぁぁぁっ!」
ウミ(きりもみ回転を加えた蹴りをビートルアンデッドに放ちました)
ビートルU「…!」
カリス「ウミ、今だよ!」
ウミ「はい!」ダッ
ウミ(戻ってきた私は…素早く鉄パイプを手に取り、ビートルアンデッドの頭めがけて振り下ろしました)
ウミ「やぁーっ!」ガンッ!
ビートルU「…!」バタッ
ウミ(攻撃を受けたビートルアンデッドが倒れた途端…ベルトのバックルが開きました)
ウミ(私はすぐにポケットからブランクカードを取り出し…ビートルアンデッドを封印しました)
カリス「やったね…ウミ」
ウミ「…はい!」
ツカサ(ウミがビートルアンデッドを封印した光景を見て…アルビノジョーカーは狼狽えていた様子だった)
アルビノJ「そんな馬鹿な…ありえない!」
ツカサ「計算が狂ったみたいだな、シジョウ」
アルビノJ「力こそ…力こそが全てのはずだ」
アルビノJ「それなのに…なぜお前達は!」
カリス「力でねじ伏せようとする事は…本当の強さなんかじゃない」
アルビノJ「何だと…!?」
カリス「本当に強いのは…強いのは!人の想いだ!!」
ウミ「!…そうですね」
ウミ「今の私には…アマネやツカサ達という共に戦う仲間がいます」
ウミ「だから私達はその決められた運命と戦い…そして、必ず勝ってみせます!」
ウミ「人々を守る為に…この想いを込めて!」
アルビノJ「フン、馬鹿な事を…」
アルビノJ「君もジョーカーも所詮…私の手駒として戦っていたに過ぎん!」
ツカサ「言っただろ…彼女が戦っているのはお前の為なんかじゃない!」
アルビノ「何?」
ツカサ「仲間や人々を守る為だ!」
ツカサ「どんな事があっても共に戦う仲間を励まし助け合い、一緒に『進化』していく…その為に戦っているんだ!」
シジョウ「お前は…何者だ!?」
ツカサ「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ!」
ツカサ(オレとウミはバックルを装着した)
カリス「ウミ、あなたは彼と一緒にあの白い紛い物のジョーカーを…それ以外は私が何とかする」
ウミ「…お願いします」
カリス「頼んだよ」フフッ
ツカサ「行くぞ!」
ウミ「はい!」
ツカサ「変身!」
ウミ「変身!」
『カメンライド…ディケイド!』
『Turn Up』
ツカサ(オレとウミはアルビノジョーカーに向かって走り出し、ディケイドとブレイドに変身する)
ディケイド「やあっ!」
ブレイド「はっ!」
ブレイド(私とディケイドはそれぞれの剣でアルビノジョーカーに立ち向かいました)
ブレイド「はあっ!」ザシュッ
ディケイド「やあっ!」ズバッ
アルビノJ「グッ、おのれ…」
ディケイド「ウミ…これを!」
ブレイド(私はディケイドが投げた一枚のカードを受け取りました)
ブレイド「これは…」
『Tackle』
ブレイド「はっ!」
ブレイド(ラウズカードを読み込ませた私は…アルビノジョーカーに突進していきました)
ガンッ!
アルビノJ「ウグッ!?」
ディエンド「ブレイド…これも使って!」
ブレイド(私は水色のライダーから更に四枚のカードを受け取り、そこから一枚をブレイラウザーに通しました)
ブレイド「ありがとうございます!」
『Beat』
ブレイド「はぁっ!」バチン!
ブレイド(私はアルビノジョーカーの顔に平手打ちをしました)
アルビノJ「グハッ!」
ブレイド「まだです!」
ブレイド(私は…ブレイラウザーに三枚のカードをラウズしました)
『Kick』
『Thunder』
『Mach』
『Lighting Sonic』
ブレイド「はっ…!」
ブレイド(先ほどの平手打ちで後ろに退いたアルビノジョーカーに向かって、私は超高速で走り…)
ブレイド「はぁーっ!」
ブレイド(稲妻を纏った跳び蹴りを浴びせました)
アルビノJ「ウガァァァァ!?」
ブレイド(攻撃を受けたアルビノジョーカーは…研究所の内部まで吹き飛んでいきました)
アルビノJ「ウウッ…許さん、許さんぞ!」
ブレイド(アルビノジョーカーがそう言うと、二つの捻れ曲がった石板がアルビノジョーカーを挟むように現れました)
アルビノJ「アルビノジョーカーの力と二つのモノリスで…私は必ず、この世界の支配者となるのだ!」
ブレイド(二つの石板がアルビノジョーカーを吸収して、一つに溶け合うと…やがて巨大な双頭のアンデッドに姿を変えました)
ディケイド「本当にしぶといな…」
ブレイド(黒と赤の斑模様な色彩の双頭のアンデッドが両翼を広げると凄まじい臭気が放たれました)
ブレイド「うっ…」
カリス「ううっ…」
ディケイド「酷い臭いだな…」
ディエンド「さすがに大変なことになってきたわね…」
ブレイド「ですが私達は…こんな所で怯む訳には、倒れる訳には、負ける訳にはいきません!」
ブレイド(運命と戦い、勝ってみせる為に…)
ブレイド(共に戦ってくれる、仲間の為に…)
ブレイド(全ての人々の為に…!)
ブレイド「私は…諦めません!」
ディケイド(ブレイドがそう言うと、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出してきた)
ディケイド(それらを掴んだオレはカードにブレイドの力が宿ったことを確認した)
ディケイド「それなら…ちょうどいい調理法がある」
ブレイド「調理法?それは一体…」
ディケイド(オレはその中から一枚のカードをディケイドライバーに装填した)
『ファイナルフォームライド…ブ・ブ・ブ・ブレイド!』
ディケイド(オレはブレイドの後ろに回り込んだ)
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」
ブレイド「な…何をするつもりですか!?」
ディケイド「いいから」
ディケイド(オレはブレイドの背中を押した)
ディケイド(するとブレイドは…ブレイドブレードに変形し、オレはそれを持ち上げた)
ブレイド「こ、この姿は…?」
ディケイド「オレとウミの力だ…はっ!」
ディケイド(双頭のアンデッドが竜の形をした炎を吐いてきたが…オレはそれを一刀両断する)
ディケイド「まだだ…やあっ!」
ディケイド(オレがブレイドブレードで双頭のアンデッドを斬りつけると…双頭のアンデッドは苦悶の声を上げた)
ディケイド(それからオレは…更に一枚のカードをベルトに装填した)
『ファイナルアタックライド…ブ・ブ・ブ・ブレイド!』
ディケイド「はっ…やあーっ!」
ディケイド(オレはアンデッドの双頭を斬り落とすように電撃が走るブレイドブレードを振るった)
ディケイド(これは『DCDE(ディケイドエッジ)』…オレとブレイドの技だ)
ディケイド(首を切断された双頭のアンデッドは…赤黒い体液を炎と共に撒き散らしながら、倒れていく)
アルビノJ「愚かな、何という事を…!」
アルビノJ「私が創造しようとする運命を、世界を滅ぼそうというのか…?」
ディケイド「違うな…世界は人々が助け合いながら作っていくものだ」
ディケイド「お前みたいな神の紛い物が…一人で自分の都合良く作り出すものじゃない」
ディケイド(双頭のアンデッドが崩れ落ちると…突然、巨大な純白の石板が現れた)
ディケイド(白い石板は双頭のアンデッドを吸収し…鎖を何重にも巻きつけた直後、溶けるように消滅していった)
ディケイド「…はっ!」ブンッ
ディケイド(オレがブレイドブレードを投げて…ブレイドブレードから姿を戻したブレイドは綺麗に着地した)
ブレイド「…終わったのですね?」
ディケイド「ああ」
ディエンド「さて…帰りましょうか」スタスタ
カリス「…」
『Spirit』
ディケイド(オレ達が変身を解くと同時に…カリスはハートの2を腹部のカリスラウザーにラウズし…アマネに姿を変えた)
アマネ「…」
ウミ「…」
ツカサ(オレはウミとアマネ、シオリを置いて…その場を後にした)
ツカサ「…」スタスタ
ウミ「…これで、大丈夫でしょうか?」
シオリ「…」
ウミ(私とアマネは気を失ったシオリを連れて…ハカランダに戻りました)
アマネ「ケガもないみたいだし…じきに目を覚ますよ」
ウミ「それなら良いのですが…」
アマネ「ふふっ…それにしても、その格好は何?」
ウミ「も、もう…そんな事は放っておいてください!」
アマネ「はいはい…久しぶりだね、ウミ」
ウミ「…はい」
アマネ「私が封印されて大丈夫かと思ったけど…もうその心配はないみたいだね」
ウミ「…ええ」
シオリ「ん~、アマネ…」ムニャムニャ
アマネ「…急にいなくなったしてごめんね、シオリ」
アマネ「でも私は…いつだってあなた達の心の中にいるから、安心して?」
シオリ「…」
アマネ「ウミ…この世界の人々を、シオリを頼んだよ?」
ウミ「…分かりました」
ウミ(それからすぐに…アマネの身体が徐々に透けているのが分かりました)
アマネ「…そろそろカードに戻る頃かな」
ウミ「アマネ」
アマネ「ん?」
ギュッ
ウミ(私はアマネを抱き締めました)
アマネ「!」
ウミ「…私は、あなたに言ってない事が山ほどあります」
アマネ「うん…」
ウミ「ですが、全部を言える時間はありません…」
ウミ「だから…これだけは言わせてください」
アマネ「…何?」
ウミ「あなたやシオリのおかげで…私はかけがえのないものを手に入れました」
ウミ「だから…ありがとう」
アマネ「!」
ウミ(抱き締めていたので表情は見えませんでしたが…アマネは涙を流しているようでした)
ウミ(ずっと言えなかった事、いつか言いたかった事…ようやく伝えられました)
ウミ(少しして私から離れ…涙を拭ったアマネはこう返しました)
アマネ「…私の方こそ、ウミやシオリに会えて楽しかったよ」
アマネ「本当はウミとも一緒に、スクールアイドルが出来たら良かったんだけどね…良い詞書いてくれそうな気がするし」
ウミ「そっ、それは…!」アセアセ
アマネ「…なんてね、冗談だよ」
ウミ「冗談って…もう、からかうのはやめてください!」
アマネ「あはは…でも、ウミがいたらもっと人気出てたかもね?」
アマネ「ウミのする練習、すごくキツそうだからシオリがついて行けないと思うだろうけど…」
ウミ「なっ…どういう意味ですか、それ!」
アマネ「休みなしの合宿メニュー組んだり、山に登ったら急に『山頂アタックです!』とか言ってただろうし…」
ウミ「言いませんよ!?」
アマネ「あれ、言わないの…?」
ウミ「あなた…一体、私にどんなイメージを抱いているのですか!?」
アマネ「う~ん…ついこないだまで一緒に過ごしてたから、なんとなくそんな気がしただけかな」フフッ
ウミ「!…ふふっ」
ウミ(私達はお互いの顔を見つめ、笑い合いました)
アマネ「じゃあね、ウミ…ありがとう」
ウミ(そう言ってアマネは…JOKERのカードに戻り、数枚のラウズカードと共に地面に落ちました)
ウミ(私は微笑んだまま、そのJOKERのカードを拾って…テーブルの上に置きました)
ウミ「…ごきげんよう」
シオリ「んっ…あれ?」パチリ
ウミ「シオリ…目が覚めたんですか?」
シオリ「今、アマネちゃんがいたような気がするんだけど…気のせいだったかな?」
ウミ「!…ええ、確かにさっきまでいました」
ウミ「『すぐに帰る』と言って…この店を出て行ってしまいましたが」
シオリ「そっか…もう少しいてくれても良かったのになぁ」
ウミ「…」
?「ウミさん!」ギュッ
ウミ(私の背後から…亜里沙が抱きついてきました)
ウミ「あ…亜里沙?」
亜里沙「無事で良かった…」グスッ
ウミ「…?」
雪穂「ウミさん…おかえりなさい」
ウミ「あっ…はい、ただいま戻りました」
シオリ「あれ…そういえばウミちゃん、その格好は?」
ウミ「はっ!?いえ、その…これには深い訳がありまして!」
シオリ「可愛い…」
ウミ「…へっ?」
シオリ「ウミちゃん…それ着て、このお店手伝ってくれない!?」
ウミ「いや、ですが…」
シオリ「絶対に人気出ると思うから…お願い!」
ウミ「む、無理ですよ…」
シオリ「じゃあ…ここにトランプあるから、ババ抜きで決めよう?」
ウミ「またですか!?」
シオリ「えっ…また?」
ウミ「あっ、いや…とにかく私はこのお店を手伝うつもりはありません!」
シオリ「へぇ~…逃げるんだ?」
ウミ「なっ…私は逃げてなどいません!」
ウミ「運命と戦い…そして、勝ってみせます!」
シオリ「ふふっ…そう来なくっちゃ!」
ウミ「さあ…始めますよ、雪穂や亜里沙も一緒にやりましょう!」
亜里沙「はい!」
雪穂「えぇ…またですか?」
ウミ「当たり前です…私はあなた達にも負けるつもりはありません!」ガシッ
ウミ(私は雪穂の腕を掴んで、テーブル席に連れて行きました)
雪穂「そ、そんなぁ~…!」ズルズル
ウミ「さあ…行きますよ!」
シオリ「…」チラッ
JOKERのラウズカード「…」
シオリ「…ありがとね、アマネ」ボソッ
ツカサ(その夜、オレはBOARDの研究所から少し離れた浜辺にいた)
ツカサ(静かな波の音、水面に落ちる月…)
ツカサ(オレはじっとその海を見つめていた)
ツカサ「…」
?「お待たせしました」
ツカサ「ウミ…シオリは大丈夫だったか?」
ウミ「はい…先ほど、意識を取り戻しました」
ツカサ「そうか…亜里沙達は?」
ウミ「先に写真館に戻ると言っていました…亜里沙の方は、私から離れるのを名残惜しそうにしていましたが」
ツカサ「そうだろうな…ってかアンタ、まだそのメイド服のままだったのか?」
ウミ「ええ、なぜだかは分かりませんが…もうすっかりクセになってしまいました」
ウミ「人前に出て、人を喜ばせる事が…」
ツカサ「…そうか」フフッ
ツカサ「それで…これからどうするんだ?」
ウミ「もちろん…解放されたまま、どこかで身を潜んでいる残りのアンデッドを封印していくつもりです」
ウミ「シオリのお店を手伝いながら…にはなりますが」フフッ
ツカサ「なるほどな…だいたいわかった」
ツカサ「おっと、そうだ…受け取ってくれ」
ツカサ(オレは持っていたラウズカードを全てウミに渡した)
ウミ「…ありがとうございます」
ツカサ(ラウズカードを受け取ったウミは…しばらくオレの横に立ったまま、静かに海を見つめていた)
ツカサ(それからウミは口を開いた)
ウミ「…しかし私もまだまだ修行が足りませんね、ああやって騙されてしまうとは」ハァ
ツカサ「…どうだろうな」
ツカサ「オレは百回も人を裏切る奴より…百回も人に裏切られるくらい、真っ直ぐな人間の方が良いと思うぞ?」
ウミ「…」
ツカサ(ウミはオレの言葉を聞いた直後、少し躊躇いながらもオレにこう話してくれた)
ウミ「…海のように心の広い」
ツカサ「…?」
ウミ「また、どこまでも終わる事なく伸びていく大きな女性に育つようにと、両親が願ってつけたのが私の名前なのですが…」
ウミ「私はその名前に相応しい人間になれているのでしょうか…と、海を見る度に思うんです」
ツカサ「…少なくとも、心は広くないな」
ウミ「ツカサ?」ゴゴゴ
ツカサ「冗談だ…だがどこまでも終わりなく伸びていくのであれば、それは間違いないな」
ツカサ「スクールアイドルをやっていた別の世界のアンタも…そうだった」
ウミ「別の世界の私が…?」
ツカサ「ああ…別の世界のアンタは幼なじみと一緒にスクールアイドルになった事で変わっていった」
ウミ「そうですか…別の世界の私には幼なじみがいるのですね?」
ツカサ「ああ、もしかしたらそういうのも…『進化』だと呼べるのかもしれないな」
ウミ「…ふふっ」
ツカサ「?」
ウミ「やはりあなたは…どこか変わっていますね」クスクス
ツカサ「何だそれ…あっ!」
ツカサ「まさかアンタ、まるでオレがバカみたいに言ってるな?」
ウミ「…ええ、バカなんです」
ウミ「不器用で…お人好しの、バカなんです」フフッ
ツカサ「何だそれ…まあいい」ハァ
ウミ「ふふっ」クスクス
ツカサ「…!」
ツカサ(オレがふと自分の手を見ると、徐々に身体が透けている事に気が付いた)
ウミ「それは…?」
ツカサ「…どうやら、この世界でオレがやるべき事は終わったらしい」
ウミ「そうですか…もう行ってしまうのですね?」
ツカサ「ああ…次の世界が待ってる」
ツカサ「オレはいずれ世界を破壊してしまう邪魔な存在…らしいがな」
ウミ「…そうでしょうか?」
ツカサ「?」
ウミ「きっと、それは違います…あなたはこの世界を救ってくれました」
ウミ「だから、あなたは決して邪魔な存在などではないと…私はそう思います」
ツカサ「…どうだかな、確かにあいつらと世界を守る約束はしたけどな」ハァ
ウミ「あの、ツカサ?」
ツカサ「何だ」
ウミ「…また、会えますよね?」
ツカサ「そうだな…いつか、旅を続けていればな」
ウミ「…はい!」
ツカサ「それじゃ、またな…ウミ」
ツカサ(そう言って、オレはまた新たな一歩を踏み出した)
ツカサ(その先に絶望ではなく、希望が待っていると信じて)
ツカサ「…」クルッ
ウミ「…」フフッ
ツカサ(オレが振り向くと…ウミは優しく穏やかな笑顔を浮かべていた)
ツカサ「…」フフッ
ツカサ(微笑み返したオレの身体は消え、そのまま光写真館へと戻っていった)
ウミ「ツカサ…ありがとうございます」
ウミ「いつか、また必ず…巡り合いましょう」
ツカサ(光写真館に戻ったオレは…瓶に入った牛乳を飲みながら、撮影した一枚の写真を眺めていた)
ツカサ「…」
ツバサ「どう?今回の写真は…」
ツカサ「まあまあってとこだな」
ツバサ「…へえ、なかなか面白い写真ね?」
ツカサ(写真にはメイド姿のウミと…JOKERのラウズカードを持って微笑むウミが写っていた)
ツカサ「そう褒められても全然嬉しくないけどな…」
ツバサ「あら…謙遜しちゃって」フフッ
ツカサ「…一体、どこをどう聞いたらそういう解釈をするんだ?」
ツバサ「…」スタスタ
ツカサ「おい、無視するな…おい!」
亜里沙「…あ~あ」ハァ
亜里沙「それにしても…もっとウミさんと一緒にいたかったな」モグモグ
雪穂「仕方ないよ亜里沙、私達は次の世界に行かなきゃいけないわけだし…」モグモグ
ツカサ(雪穂と亜里沙はオレが作ったたこ焼きを食べた後、ツバサが買ってきたたい焼きを頬張っていた)
雪穂「それにしても疲れたなぁ…もうババ抜きはこりごりだよ」ハァ
亜里沙「あれ、雪穂…そのたい焼きは何?」
雪穂「こしあんだよ」
亜里沙「美味しそう…私のカスタードと交換して!」
雪穂「じゃあ…半分こにして分けよっか」
亜里沙「うん!」
キバーラ「あら~二人共、本当に仲が良いのね…そのまま食べさせっことかしちゃうの?くすくす♡」
雪穂「は…はぁ!?しないよそんなの!」
亜里沙「えっ…イヤなの?」シュン…
雪穂「い…イヤとは言ってないけど」
亜里沙「じゃあ、はい…あーん!」
雪穂「あ、あーん…」パクッ
キバーラ「うふふ…お熱いわねぇ♡」
ツカサ「ひゅーひゅー」
雪穂「もう…うるさいから茶化さないで!」
亜里沙「じゃあ私も!」
雪穂「あ、あーん…」
パクッ
亜里沙「うん…こっちも美味しい!」
雪穂「そ、それなら良いけど…」
ツカサ「ひゅーひゅー」
ツバサ「本当…妬けちゃうくらいお熱いわね」フフッ
雪穂「だから茶化さ…!?」
ツカサ(次の瞬間、写真館の背景が散らばったラウズカードからまた別の背景に変わった)
亜里沙「今度は…ロボット?」
キバーラ「フフフ…ツカサさんご一行、ごあんな~い♡」ボソッ
ツカサ「…」
Open your eyes for the next μ's!
「アンタは?」
「マコっていいます」
「男子スクールアイドル!?」
「ファイズなんて…ただの噂よ」
「…変身」
「まさか…!」
第10話『挑戦する本能』