只の自己満足ですが、よろしかったらどうぞ。
1.提督にならざるを得ない
これは、一人の高校生が海上の安全を守り、世界を救う話です。
「青春とは嘘であり、悪である。」
こんなことを彼が言っていたのは僅か数ヵ月前のことであった。
高校生が何を言っているのか?
高校生が何を知っているのか?
高校生が何を偉そうに語っているのか?
生徒指導の平塚教諭は呆れていた……。
「はぁ、なんでこんな作文になったんだ……」
「いや、俺なりに高校生活について振り返った結果なんですが……そもそも先生は俺にどんなことを求めて作文なんか書かせたんすか?俺に書けるのはこの程度の事くらいなんですが?」
「全く君は……高校生活で少しは充実したような思い出みたいなものは無いのかね?」
「はぁ…」
職員室の一角では、平塚教諭と総武高校のある男子生徒がそのようなことを話していた。
平塚教諭はタバコを吸いながらため息をつき、男子生徒の方は力の無いような目で上を見たり下を見たりしながら面倒な感じに話をしていた。
「とにかく、これはやり直し。来週までに書き直してこい、いいな?」
「…うす」
「はぁ、本当に分かっているのかね……?」
「い、いや、もちろん分かってますよ……本当に」
そんなこんなで彼は職員室の扉に手を掛けて、そのままトボトボと出ていった。
「はあ、疲れた。早く帰って小町に会いたい」
学校は放課後の時間で、帰宅する生徒や部活に勤しむ生徒が廊下を行き交いしている。
そんな中で、彼はボソッとそんなことを言った。
死んだ魚のような目をして、この世の全てを恨むようなそんな生気の無いような雰囲気を醸し出しながら、下駄箱へと一人歩いていた。
彼の名は
後に艦隊を率いて、日本の安全を守る仕事につくことになるれっきとした提督になる高校生である。
比企谷はそのあと自転車に乗って家に最短のルートを使って帰りついた。
無論、いつも使っている通学路だ。
時間的には五時になるほんの10分前位の時間である。
どこに寄るでもなく、迷うことなく家にと帰りついたのだ。
高校生ならば、帰り道に友達と飲食店に寄ったり、娯楽施設に寄って遊んだりするものなのだが、彼はそれをしない。
彼は高校生活の中において友達と遊んだりもしなければ友達もいない……彼は一人孤独に高校生活を送っている。
俗に言うボッチというやつに属する。
「ただいま…」
疲れたような覇気の無い声で帰宅を告げる。
玄関の前で思わず倒れてしまう酔っ払って帰ってきた父親のような、そのくらいフラフラしたような足取りでリビングへと向かう。
まだ、妹である小町は帰ってきておらず、比企谷家は静寂に包まれている。
小町はまだ帰ってきてないのか……はあ…お兄ちゃん寂しいわぁ、誰か慰めてー!……っても家には寝ているカマクラしか居ないんだがな。
リビングにはソファの上で気持ち良さそうに寝ている猫が一匹だけ。
この猫はカマクラといって、比企谷家で飼っている猫だ。
真っ白な毛で、なかなかに頭もいい部類の猫である。
「……フニャzz…」
「………」
目付きの悪い男子高校生がソファの上で寝ている猫をじっと見つめている、そんなシュールな光景がほんの1分程度続いたが、そのうちに比企谷は、冷蔵庫に向かって歩き出した。
「……うん、やっぱりマッ缶なんだよなぁ」
黄色と黒のカラーである缶の飲み物を取り出して、味わうようにゆっくりと喉に流したあとに比企谷はそう言った。
マッ缶とは、マックスコーヒーのことで、黄色と黒のデザインがとても目を引く。
千葉では有名でその特徴と言えばコーヒーでありながらとてつもなく甘いというもの。
コーヒーと思って知らない人が飲んだりしたらきっとものすごく驚くだろう。
比企谷はそのままマッ缶も持って、リビングのソファへと向かう。
「ふぅ……」
そのままカマクラが寝ているソファの反対側に座り、そのあとは、テレビを見ながら何をするでもなくただ無気力に座っていた。
そのまま、しばらくはテレビを眺めていたが、次第に比企谷の瞼は下へ下へと落ちていき、比企谷は眠りへと誘われた。
「ただいま、お兄ちゃん。今からご飯作るね」
「あ……あぁ、悪い今何時だ?」
「今は7時だよ、お兄ちゃん。全くテレビも付けっぱで寝てて、電気代がかかるからちゃんと消してから寝てよね」
「すまん……」
比企谷はいつの間にか眠っていた。
そして、今は7時。
小町が帰宅しているから、部屋は明るくなっている。
………いや、決して俺がいるから部屋の雰囲気が暗くなってるとかではなく、物理的に電気がついているとかだから。
そこら辺は勘違いしないでほしい。
比企谷が寝てから二時間程度がたっていた。
まだ重い瞼は下へと再び落ちようとするがそれを制止して比企谷は立ち上がった。
「なあ、小町。今日は随分帰りが遅かったんだが、何かあったのか?」
「ん?…いゃ、特にないけど……あっ!そうそうお兄ちゃんにいい知らせがあるのです!」
何かを思い出したのかあざとさ全開でニヤニヤしながらハイテンションになる小町。
「な、なんだ急に……はっ!もしかして彼氏が出来たとかか!?お兄ちゃんは認めないぞ!」
「いきなりなに言ってんの?お兄ちゃんさすがにキモいよ……外でそのシスコンを見せないでね、小町が恥ずかしいから」
さっきのテンションはどこへやらまるでゴミを見るような目だ。
いや……目は腐っていると言われようとも、おれ自身は腐っていたり、ゴミみたいな汚物じゃないから、そんな目で見ないで!さすがに俺も傷つくから!
「はあ、小町が言いたかったのは、お兄ちゃんの就職先が決まったから良かったねってことだよ……」
「はっ!?」
まさしく比企谷は状況の理解できないといった今日一番の驚きの表情を見せる。
比企谷の脳内CPUは処理が追い付かずにショートしていた。
いや、なんなんだそれ!?
そもそも俺はまだ高校生であって、就職先が決まるわけは無いはず、ましてやどこかの会社のお偉いさんと関係を持った覚えもない。
ていうか、人間関係を全くもってないまである。
……あれ?最後のはなんだか自分が考えたことなのになんか悲しくなってきたわ……。
「お兄ちゃん……今とてつもなく下らないこと考えてるでしょ……」
「いや、そんなことは無いぞ。ただ俺が働くというのは俺自身のプライドや何よりも今まで生きていきた中で確立されてきた信念を裏切ることになるから、俺は俺自身の就職に対して真っ向から反対する!俺は専業主夫という大きな夢を持っているんだ!」
「……うわ、これだからごみいちゃんは………そんなちんけなプライドなんかはへし折ってしまいたいよ小町は……」
またもやゴミを見るような目だ!
失礼な!ちんけなプライドとはなんだ!?
俺なりに色々と考えているというのに。
比企谷の目が更に濁ったのと、小町が兄をまるで廃棄処分された残飯を見るような目で見ていたのは言うまでもない。
部屋に漂ったどうでもいいような下らない会話の作り出した、どうでもいいような雰囲気に、小町は呆れ、比企谷は納得できないといった表情を見せていた。
これが比企谷家のいつもの少し捻た会話なのである。
「取り敢えずお兄ちゃん、国の方からお兄ちゃん宛に働いて欲しいって書類みたいなのが沢山来てたよ……うん、読むの面倒だったからなに書いてあるかは知らないけど」
「国!?なんでだ?俺を公務員の社畜地獄に送り込むつもりか?」
小町はそんなことをややテンション低めで言い、五ミリ程度にまとまった書類を比企谷に渡した。
はあ、いったいなんなんだ?
書類には国の安全云々かんぬんって書いてあるんだが……危険な仕事ではなかろうか……?
「……取り敢えず、ざっと見てみるか」
パラパラと書類の束をめくりながら粗く目を通していく。
そして最後の書類にはとんでも無いことが書かれていたのだった。
『比企谷八幡を千葉鎮守府の提督に任命す』
ただそれだけを見た時に比企谷は動揺を隠せないような表情を見せていた。
続きを書くかは未定です。