応援してくれる方々、作品を楽しんでくれている方々に感謝です!
タグに準じて駄文ですが、どうぞ。
我が鎮守府には現在艦娘が三人いる。
内訳は駆逐艦である叢雲、夕立。
軽巡洋艦である神通。
叢雲曰く、この艦隊はまだまだ艦娘が少ない、決定打を打てるような艦娘がいない、今後は駆逐艦や軽巡洋艦などの小型の艦だけでは深海棲艦を倒していけない、だそうだ。
つまり何が言いたいかと言うと、もっと強力な戦力がここの鎮守府に欲しいと言うことだ。
戦力が欲しいなら今やることはひとつだけ………。
「建造ドッグに行って建造やるぞ!」
「……あんた、執務中に急にデカイ声出さないでよ、びっくりしたじゃない!」
「わ、悪い……」
ジト目で見てくる叢雲に少し小さくなって謝る比企谷、執務室での光景としてはいつもの光景になり始めている。
「でも、あんたにしては珍しく元気ね。いつもならもっとジトジトした雰囲気が出てるはずなのに」
「おい!俺はジトジトした雰囲気なんぞ出してない。第一それじゃ俺がナメクジみたいに言われてるようで気に食わん!」
叢雲と比企谷は互いに書類にペンを滑らせながらそんな会話をしている。
比企谷は執務にも慣れてきており、取り敢えず報告書等をまとめることに関しては中々の腕前になってきた。
経費の計算等に関してはまだまだで、そちらの方は叢雲がやっている。
ふと、叢雲のペンを動かす手が止まる。
「あんたそう言えば、演習するって言っていたわよね?」
「ああ、そうだな。いつかは分からないがそのうち佐々木さんから連絡がくるから、演習はそのときだな」
比企谷めペンを止めて叢雲の方を向いて答える。
叢雲は少し考えたような素振りを見せて、やがてイスから立ち上がった。
「ああ、だから急に建造とか言いだしたのね、私がこの鎮守府に戦力が足りないってこと言ったから」
「まあ、そう言うことだ。演習するにしても力不足なのは相手に失礼だからな」
立ち上がった叢雲はそれを聞いた後に執務室の扉の前に歩いていた。
「建造するんでしょ?早く着いてらっしゃい」
「あ、ああ…」
言われるがままに比企谷は叢雲の後を歩く。
叢雲はやっぱり速足であるが、比企谷との歩幅の関係で、普通に歩いている比企谷と速度はほとんどの変わらない。
ふと、立ち止まり比企谷の方へ叢雲が振り向く。
叢雲のその目は少しだけ泳いでいる。
「ねぇ、あんたはもし………いや、いいわ」
「ん…何だ?」
「……な、なんでもないわ!」
「あ?そうか……」
何を言いかけたのか?
そのまま言いたいことを言わないなんて、叢雲らしく無いな。
まあ、いいか……。
それから何故か気まずい雰囲気となり、ドッグに着くまで会話は全く無かった。
叢雲は少し下を見ながら何か考えてるような感じで歩いていた。
建造ドッグ
───────────
建造ドッグに着いた。
なんでか叢雲は目を合わせようとしないんだが………よく分かんない状況だ。
「あ、あの叢雲?出来るだけ強いの建造したいんだが……その、どうすればいい?」
「…えっ!そ、そうね、なら戦艦狙いでいくわよ!」
「お、おう…」
なんか叢雲が変なテンションになってて反応に困る……いや、困るというよりも新鮮と言うべきか。
「資材の量は、燃料400弾薬100鋼材600ボーキ30で良いわ」
「あ……了解、にしても資材多くね?前回神通や夕立建造したときの10倍位の資材なんだけど……」
いや、割りとマジでここまで資材使うとは思わなかった。
「それだけ資材を使うほど戦力になるってことよ」
比企谷の疑問に対していつものクールな表情を保ち続けながら答える叢雲。
さっきみたいな気まずさは無くなっている。
「よし、建造したぞ、時間は………四時間か…これは良いのか?」
「ええ、四時間は恐らく戦艦ね。建造は取り敢えず成功ってことね。でも戦艦が出来たら……」
「ん?何かあるのか?」
さっき同様に表情を曇らせる叢雲、再び比企谷は叢雲に問いかける。
しかし、またしても叢雲は言葉を濁して、さっさと建造ドッグから出ていってしまった。
なんだったんだ、一体?
「妖精さんや、このバーナーで建造時間の時短してくれるか?」
比企谷がそう言って、妖精にバーナーを手渡す。
前回同様に嬉しそうに妖精はバーナーを受け取り、そして建造ドッグの方へとバーナーの火を放射する。
ゴオォォォォォッ!!
「……やっぱりすげぇわ、妖精って…」
瞬く間に建造が完了した。
後は、どのような艦娘が来ているのかだ………。
比企谷はゆっくりとどんな艦娘が来たのかを艦娘のリストを見ながら確認する。
「えっと、お前は………」
叢雲side
────────────
はぁ、何をしているのかしら……。
ハッキリと物を言えないなんて、私らしく無いじゃない。
「はぁ……」
叢雲はため息をつき、落ち込んだ様子で執務室の方向へと歩いていた。
建造ドッグに向かうときのような感じのスピードよりもゆっくりと、まるで体が重くなっているような、そんな歩き方をしていた。
なんでちゃんと話せなかったのよ………やっぱり、戦艦が来たら……駆逐艦なんて、私なんて要らないって思われるのかしら?
いやいや、何弱気になってるのよ!らしく無いじゃないの!
大体まだここには艦娘も少ないのだから……大丈夫よ。
「ふぅ……一体どんな娘が来るのかしら……」
いつのまにか執務室の前まで来ていた。
叢雲は落ちきった気分のまま、執務室の扉を開き、そのまま執務を再開した。
八幡side
────────────
比企谷は走っていた。
執務室に向かって、その目は真っ直ぐに前を見ている迷いなき目、全力で階段をかけ上がり、あっという間に建造ドッグから執務室に戻ってきたのだ。
バンッ!!
比企谷が勢いよくドアを開けたためか叢雲が一瞬ビクッとなり、比企谷の方を見る。
「……あ、あんた、急にどうしたの?」
「………叢雲、助けてくれ!!」
「………は?」
比企谷のその必死な顔に驚く叢雲、建造ドッグにいたのに何かあったのかと考え、比企谷に何があったかを聞こうとした時だった。
「ヘーイ!!提督、なんで逃げるデース!!」
執務室には叢雲の見知らぬ外国人が入ってきた。
「や、やばい!追い付かれた」
くそ、執務室まで来たら逃げ場が無い、どうする?
「ちょ…ちょっと!何?どういうことよ、説明しなさい」
「いや、戦艦を建造したまでは良かったんだよ!だがな……なんか急に俺を捕まえようとしてきたんだよ!」
いや、マジでビビったわあれ。
とっさに本気で避けたわ。
「ご、誤解デース!悪意なんて全く無かったネ!ただ少しスキンシップをとろうとしただけヨ?」
「いや、そんなこと知らん!ボッチは過剰なスキンシップに弱い生き物なんだ。……建造怖いわ……戦艦怖いわ……」
「あ……あんたは戦艦…欲しかったんじゃ無かったの?」
困惑ぎみの叢雲が比企谷に確認するように聞く。
「欲し…かった、だがこうなるなんて聞いてないわ!!ビックリして心臓が止まるかと思ったわ!なんなら可愛い駆逐艦を建造した方が良かったまであるぞ!」
駆逐艦は戦艦よりも火力や装甲などが大きく劣るため、要らなくなるのでは無いかという叢雲の不安はどこへやら。
拍子抜けた感じの表情になる叢雲。
そして叢雲の頭に一抹の可能性が過った……。
「…………司令官……あんた実は……ロリコン?」
「いや!なんでそうなるんだよ!!お前の発想がぶっ飛ぶなんて、明日は雪でも降るのか?」
「そうデスヨ!提督はロリコンに違いないデース!」
叢雲の言葉に便乗する外国人っぽい艦娘。
比企谷は二人の言葉に疲れたような表情で反論する。
売り言葉に買い言葉、話は進まないまま言い争いが続く………主に外国人っぽい艦娘と比企谷の。
流石に叢雲も埒が明かないと思い、取り敢えず話を終わらせる。
「……それで、彼女はなんて艦娘かしら?」
「Oh、自己紹介がまだでしたネ!私は英国で生れた帰国子女の金剛デース!よろしくネ!」
と、元気に自己紹介をする。
彼女は金剛型戦艦の一番艦である金剛、比企谷の鎮守府では、現状もっとも頼りになる即戦力に位置する。
「いや、帰国子女ってのはもっとお淑やかだろ……嘘つくなこのエセ外国人が!!」
「提督こそ、私を建造したくせに文句がおおいネ!」
「これは事故なんだよ!もっとちゃんとした艦娘を建造するつもりだったんだよ!礼儀をわきまえろ!」
「なっ!私は提督と仲良くしたかったからああしただけで、私はなんにも悪くないデース!」
「……はぁ、この言い争いはいつまで続くのかしら…」
執務室はいつもよりはるかに賑やかになっている。
比企谷と金剛は言い争い、叢雲はこめかみを押さえながら呆れている。しかし、叢雲は少しだけ嬉しそうに口元に笑みを浮かべる。
結局、比企谷は駆逐艦や軽巡洋艦とかをもっと建造するとか言い出し、金剛は妹が欲しいから戦艦のほう建造して欲しいと言い争う。
戦艦が来て、叢雲は自分が必要にならないか少し不安だったが、どうやらそんな心配はないと感じ、安堵を覚え、比企谷を秘書艦として、これからも見守ることを決意した。
比企谷は特に艦娘の強さに関係なく自分の思ったように接している。
戦艦だから態度を変えたりしないのだ。
叢雲はそのような比企谷が提督で良かったと、そう感じながら比企谷と金剛の言い争いを終わるまで静かに聞いていた。
まるで昔の後悔が無くなったかのような雰囲気で………。
少しだけ叢雲が過去に何かあるっぽくしました。
ちなみに叢雲はヒロインにしようかなって迷ってます。
金剛はアンチにはならないので悪しからず。