突然だが、君たちは俺の大好物の飲み物を知っているだろうか?
いや、知っていることだろう……誰もがその味に感動し、人々を繋げることのできるか力を持つその飲み物、これを知らないものなど俺は居ないと思っている。(勝手な持論)そう、マッ缶である。
黄色と黒の警告色のその缶からは想像絶する味がするコーヒーが入っている。
俺は初めてそれを飲んだとき、とても感動したのだ。
これほどまでに美味い飲み物がこの世に存在したのかと………そうまでに思っていた。
つまり、何が言いたいのか?って言うとだ。
マッ缶は世界一だと俺は思う。
そして、何故マッ缶の話をしたかと言うとだ!
本日、我が千葉鎮守府にはマッ缶が箱単位で大量に届くのだ!!
比企谷は何時もなら叢雲に起こされて起きる時間の六時よりも遥かに早い四時に起きて、鎮守府の大きな門の前で一人、いや二人で立っていた。
「それで?なんで着いてきたの?」
「ん~?なんだか提督さんが生きた目をしてたからですかね。それから目が覚めてしまったからですね!」
「……い、生きた目って、いつもは死んでるって遠回しに言ってるじゃねぇか……まぁ、いいか………実際そうだし……」
「そこ……認めるんですね………」
鎮守府の門の前に向かっていったら、足音が後ろからして、振り向いて見たら鳳翔が笑顔でおはようございますと挨拶をしてきた。
そのまま素朴におはようと返事をして、そのままこちらに向かったら、鳳翔も着いてきたというのが今鳳翔と俺が門のとこに立っている状況である。
「そう言えば、提督さんは何の目的でここに?」
「ああ、言ってなかったか?今からここにトラックが来て、箱単位のマッ缶を持ってきてくれるんだよ」
「……マッ缶…ですか?」
「そ…マッ缶だ」
はてと首をかしげる鳳翔さん………なんか癒される……。
て言うか何気に鳳翔さんが近くに立っていて、凄く恥ずかしい……本人は無意識なのだろうか?俺はかなり顔が赤くなっていることだろう。
顔を真っ赤にして恥ずかしがる比企谷をよそに鳳翔はマッ缶について何なのかを考えている。
涼しい早朝の空気はとても澄んでいて気持ちが良い、そんな朝の海風が鎮守府に向かって吹いてくるとき、丁度一台のトラックが鎮守府の前に停車した。
「あの、提督?トラックが止まりましたよ?」
「あ、ああ……ありがとう」
少しキョドって答えたが、鳳翔は気にした様子は無い。
そのままトラックの方へと二人で行き、運転手にマッ缶、合計で120本分を荷台からおろしてもらい、そのまま鎮守府の倉庫に持っていくことになった。
「悪いな、こんなことに付き合わせて」
「いえ、好きで付き合ったことですから」
「そ、そうか…」
好きとか言われて一瞬勘違いしてしまうとこだった。
………気を付けよう。
鳳翔と共に倉庫まで来た比企谷はよいしょとマッ缶の入った段ボール箱を置く。
比企谷よりも鳳翔の方が多くの段ボールを持っていたのは言うまでもないことである。
「これでいいな、サンキュな鳳翔」
「いえいえ、それにしてもこれって飲み物ですかね?」
「ああ、甘いコーヒーって感じだな……手伝ってくれたし飲んでみるか?」
「えっ!?良いんですか?」
驚いたような反応の鳳翔さん……癒されるわ……。
「………え、えっと提督……じゃあひとつ頂きます」
「ああ、俺の一番のオススメだ」
比企谷は箱から一本マッ缶を取り出し、鳳翔に手渡す。
遠慮がちに受けとる鳳翔だが、マッ缶に興味があるのか自然と蓋に手が延びる。
カシュッっとした缶ジュースを開けるときの音と共に甘い香りが漂ってくる。
「では、頂きます……」
鳳翔は目を閉じて、味を確かめるかのようにマッ缶を飲む。自然と比企谷は緊張してくる。
マッ缶は受け入れられるのだろうか?そんな事を考える。
「こ、これは!……とっても甘いですが…美味しいですね!」
「そうか、気に入ってくれて良かったわ」
瞬間、比企谷安堵し表情が緩む。
鳳翔もそれを見て笑顔になる。
「でも、甘いのが苦手な方には少しきついかも知れませんね」
「そうなんだよなぁ……中々この味を分かってくれる人は少なくてな」
「ふふっ、私はどのような味でも大丈夫ですから、甘いこのコーヒーも美味しかったですけどね」
もう一口マッ缶を飲みながら鳳翔はそう言う。
分かってくれる人も居るんだな……ああ、この味はやっぱり最高だ……。
比企谷もマッ缶に手を延ばし、味わうように舌を滑らせてから飲む。
コーヒーの苦味を放物とさせる風味とは反対の甘いまろやかな後味が舌に残る。
鳳翔と比企谷はマッ缶を飲み終えると、軽く話をしながら食堂や執務室のある建物まで歩いてその後それぞれ挨拶をして、比企谷は執務室に、鳳翔は食堂の方へと向かっていった。
「分かる人も居るもんだな……夕立とか島風も気に入るんじゃないか?」
比企谷は嬉しそうに執務室に入っていった。
当然ながら叢雲の姿は無い。
いつもよりも早い執務の始まる時間でもない執務室。
比企谷は最近執務室に設置した冷蔵庫に箱から取り出したいくつかのマッ缶を入れる。
「……さて、少しだけ仕事するかな…」
珍しく仕事を自発的に始める比企谷、朝日が丁度執務の窓から比企谷の頬にやんわりと照りつける。
比企谷はマッ缶が届いたことによる嬉しさとマッ缶を理解してくれる者がいる嬉しさに気分を高揚させ、比企谷の手は止まることなく執務を進めていた。
見てくれてありがとうございます!
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