ということで、今週は旅行に行きます!(^-^)
可笑しい……どうしてこんなにも仕事量が多いのか。
労働基準法に引っ掛かるぞー、そろそろ八幡の精神が火を吹いて、やがて小町のもとへ里帰りしちゃうまである。
……いや、単に小町に会いたいだけだな、それ。
仕事量のあまりの多さに、俺のキャパは既に決壊寸前だった。
いや、だってさ、
叢雲が演習とか海域の見回りとか行っている間は、事務処理とかは、全て俺が行っているのである。
秘書官を付ければ良いって?
ふっ、甘いな。
叢雲以上に仕事が出来る艦娘など、そもそもこの鎮守府には存在しない。
しっかりしている部類の神通さんも、海域に飛び出して、今頃は深海棲艦に向けて、火を吹いている頃だろう。
鳳翔さんは、家事で忙しいし、島風は何処行ってるか知らないが、捕まらないし、……いや、一応海域の警戒に当たってくれてんのか。
まあ、燃費の悪くてお留守番の金剛は如何せん馬鹿だし、なんなら由比ヶ浜と近いまであるぞ。
英語喋れても執務とかそんなやつ居るか?いや、この鎮守府に居るんだよ!
一文字目で手が止まるのとかやめてー!!
……いや、マジで困るわ。
脳内絶望会議を展開しつつも、淡々と執務をこなす。
しかし、そんな俺のもとに、面倒な奴が降臨したのだった。
「ああ、肩痛い。はぁ……」
おもいっきり伸びをしながら、油断していると、扉を開けて、目の前に立っていた。
えー……扉開いた音しなかったんですけど……。
「ん? 提督お疲れじゃん!」
「いや、なんで勝手に入ってきてんだよ」
目線の先には、最近建造をした、鈴谷が顔を覗かせていた。
「いや、鍵開いてたし、別に減るもんじゃないじゃん」
鈴谷、ごく最近だが、資材に余裕が出来てきたので、叢雲が『大型艦が無いと此処の戦力的にまだまだ不安だわ』って言っていたので、急遽戦艦レシピで建造をした。
その結果、戦艦ではなく、重巡洋艦の鈴谷が召喚されたのだ。
「はぁ、今忙しいんだよ。ほら、さっさと帰れ」
「もー、せっかく提督が疲れてそうだからアレ持ってきてあげたのにー」
黄色と黒の危険な感じの缶ジュースを取り出してくる鈴谷。
おいおい、それってもしかして……。
「おま……それはひょっとして、マッ缶……なのか?」
「もしかしなくても、これは提督が大好きと噂のマックスコーヒーだよ」
いえぇぇぇぇーす!!
いや、テンションが上がってしまった。
島風とか鳳翔さんとマッ缶を飲みながら楽しい日々を過ごしていたら、いつの間にか切れてたんだよ。
お陰で、二日前からマッ缶を喉に通していない。これは即ち、千葉県民が禁断症状を出す一歩手前。
危なかった、これは感謝だな。
「いや、ありがとな。ちょうど飲みたかった」
「えっ、良いって! 提督のために艦娘が尽くすなんて普通じゃん?」
なんて良い子なんだ。守りたい、この笑顔……いや、俺が守る笑顔は小町が一番、二番目が戸塚だ! 鈴谷、すまない……優先順位が一番でなくて。
ひしひしと、感情を上下に起伏させていると、眉をハの字にして、よく分からないといった顔になる鈴谷。
それを見て、俺は顔に出ていたか、と自覚してしまう。
ポーカーフェイスを心掛けよう、うん。
そこでふと、俺は思った。
尽くすのは普通ではないと……。
「なあ、鈴谷」
「ん?」
「例えば、俺が執務を手伝ってくれと言ったら、手伝ってくれるか?」
こんなことを聞いた後でなんだが、返事がかなり気になる。
て言うか怖い、断られた時が怖い。
断るときって、あらかた『なにこいつ?』『きもっ』『ヒキガエル……』とかって顔に出るんだよなぁ……おい、誰がヒキガエルだよ!
「そんなの……」
息を飲む……。
「当たり前じゃん! 多分私だけじゃないでしょ。皆快く引き受けてくれると思うよ。で?私に手伝って欲しいの?」
それはそれはとても良い笑顔、悪意の無い純真な顔で笑いながら、鈴谷はきっぱりとそう言った。
なんだろうか、このリア充みたいな鈴谷が、本当に良いやつに見えてきた。
俺の敵から、仲間のように俺のなかでの評価が急上昇した。……俺ってそんなにちょろいのかよ。
「なら、ちょっと手伝ってくれ。叢雲が今居ないから執務が大変なんだよ」
「おっけー、……で、どうすれば良いの?」
「ああ、適当に書類にサインとか判子とかあとは、さらりと報告まとめてくれ」
すると鈴谷、なんだが微妙な表情になり、目を逸らした。
「えっと、私……こういうの苦手なんだよね……」
こ、こいつもか……。
金剛タイプの人間なのかよ。てっきりリア充っぽいから何でもやれると思ってた、葉山みたいな。
いや、葉山のスペックで物事考えた俺がいけないわ、これ。
「な、なら。取り敢えず……取り敢えず……いや、仕事はあるんだよ」
「いや、別に気遣わなくていいから、知ってるし」
若干がっくりしている鈴谷を尻目に罪悪感が俺の元へと押し寄せてくる。
まあ、結果的には一から執務について教えるところから入った。
新人の育成は、先輩の基本。
俺は働く気は無かったが、最低限の指導力を身に付けようと努力を怠らない。材木座の意味の分からない言語とか比喩とか使用して説明したくないからだったが、まさかこんな所で生きてくるとは……。
そんなこんなで、俺と鈴谷のあたふたした執務は幕を開けたのだった。
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