何故、人は仕事をするのだろうか?
苦痛である仕事を毎日毎日して、出勤していくサラリーマンの目は、俺の目同様にゾンビのようだ。
毎日毎日、ノルマがなんだと言われて、赤字が出れば上から怒られ、昇進はおろか、最悪仕事が無くなるかもしれない恐怖に毎日直面している。
日々怯えながら過ごしている社会人とは、一体何のために居るのだろうか?
本当にそう思う。
故に俺は、そんな苦痛を何十年も味遭わなきゃいけない社会人になるよりも、専業主夫という家に入る安全安心なまさに家族に尽くす職業をすることを…………。
「………起きなさい!!」
「……ふぁ、なんだ!?」
「ようやく起きたわね……って、なんでまた布団に潜ってんのよ!!あんたは潜水艦なの?」
「……嫌だ……朝…嫌い」
どうやら変な夢を見ていたようだ……。
それにしても夢の中でまで働くことに対しての拒絶反応を示していたとは………これはもう働くなという天からのサインなのでは無いだろうか?
「ほら、今日は平日よ……あんたはまだ学校があるでしょうに」
「……いや、学校はあれがこれでそれだから……」
「………全然説明になってないじゃない……取り敢えず暫くはあんたは学校に通うことになってるの。大本営からの命令よ、あと少しすればあんたは高校を卒業したってことになるから手続きが終わるまでは学校に通いなさい」
「…えぇ、その手続きって国の力でやるやつ?」
「そうよ、国の力でやるのよ、なんとでもできると思うわよ」
すげぇな!!
ある種の情報操作なのだろうが……国のやることだ、抜かりは無いのだろう。
ってその前にまだ眠い……正味学校に行きたくない。
仕事するのも嫌なのだが、学校に通うってのも嫌なことだ。社会の枠にはまるための訓練である学校。集団でうまく順応していくやつが社会でもうまくやっていく確率が高いからだ。
だが、うまくやるだけが社会に出てから必要なのではない。
仕事が出来るか出来ないかで生きていけるか変わるのだ。
ちなみに俺はたぶんこの鎮守府に就職することになってしまったから何も言うことができないが……。
「…そうか、まぁいいか。取り敢えず朝食食べたいわ」
「もう準備してあるわ、神通と夕立は既に食堂にいるから、あんたも早く来なさいよ」
「…ああ、了解だ」
ガチャ
昨日と同じように、叢雲が比企谷を起こし、比企谷は叢雲が自室から出ていったのを確認してから提督の制服ではなく本日は学校の制服に着替える。(家から比企谷の着ている総武高校の制服が届いていた)
顔を洗って、未だに昨日の疲れがとれていない脳を何とか機能させる。
「……眠い」
そう呟いてから、自室を出て食堂へと向かう。
「うん、美味い!ありがとな神通」
「いえ、これくらい構いませんよ」
今日の朝食は神通が作ってくれた。
フレンチトースト、久々にそんな洒落たのを朝食に食べた気がする。
「う~ん♪美味しいっぽい!」
「そうね、とても良くできているわね」
叢雲と夕立にも好評だったようだ。
こんな朝食が毎日食べられるのだとすれば、提督の仕事も案外悪くない………後は計算系の執務さえ無ければ、俺としては働くにしても不満は無い。
「そういえば提督さん、昨日と服装が違う。今日はどこかに行くっぽい?」
「ああ、今日は学校にいかなきゃならないっぽいな」
「あんたがその口調だと違和感しか無いわね……」
叢雲の俺への発言が中々辛辣になってきた気がする………元からか…。
「まあ、とにかくだ。俺は今日は学校へ行かなきゃならん。……行きたくないが…」
「本音が漏れてるわよ……」
「…んんっ!!鎮守府については叢雲に任せる。今日の所は叢雲が指揮をとってくれ」
「まっ、仕方ないわね」
学校に行くとなると色々と艦娘達に迷惑をかけてしまうな……今回は叢雲に甘えてしまったが……。
今度ちゃんとお礼しておこう。
「…神通に夕立も俺が留守の間ここを頼むわ」
「はい、任せて下さい!」
「分かったっぽい!」
「……さっ、そろそろ時間よ、ここから学校までは少し遠いから大本営の人が車で送ってくれるらしいわ。早く行きなさい」
マジか!車での送迎までしてくれるなんて、流石大本営って感じか。
「……まぁ、待たせるのも悪いからそろそろ行くわ」
「「「行ってらっしゃい」」」
叢雲はクールに澄ました顔でそう言い、神通はにこりと微笑んで、夕立は子供のように元気にそう言っていた。
行ってらっしゃいと言われると、なんだかとても気分がいい。
……学校には行きたくないが…いや、学校にも俺の楽園があるではないか!
そう……戸塚という天使に学校で出会えるのだ!
「ああ、行ってくるわ」
そう艦娘達に言い残して、比企谷は鎮守府の正門へと向かった。
叢雲の言っていた通りに、鎮守府の正門前には高そうな黒い車が待機していた。
運転手が大本営の人だと服を見て理解した比企谷は、急いで車に乗り込む。
そのまま車は総武高校へと走り出したのだった。
ああ………学校に着いたのは良いんだが……俺が黒い車から降りようとした時に、何故か注目されてしまった。
まあ、あらかたこの車が悪いのだが……取り敢えず学校の前で降りる予定だったが、変更して学校から少し離れた人通りの少ない道で降ろして貰った。
いや、あそこで降りていたらあらゆる人の目線で死んでしまうとこだった……。
そのまま、少し歩いて、母校である総武高校に到着した。
下駄箱に憂鬱な気分で入っていくと、後ろから声をかけられた。
「おはよう!八幡!」
「…毎日俺のみそ汁作ってくれ………」
「えっ!?どういう意味?」
「あっ!いや、すまん。なんでもない」
朝から戸塚に出会えるなんて……これはもう今日一日運勢最高なんじゃないだろうか?
「ねぇ、八幡?何かいいことあったの?」
戸塚……戸塚に今日朝一で出会えたことこそがいいことだ。
「そうだな、いいことはあったな」
「そうなんだ!良かったね!」
戸塚が微笑む……天使か!?
「八幡、一緒に教室まで行こ?」
「もちろんだ!」
戸塚と教室に行けるなんて、俺はここで今日の分の運を使い果たしているのではなかろうか?
戸塚と一緒に教室に向かい、そのまま教室に入ると、いつもの騒がしい教室だった。
色々驚くばかりの二日を過ごした俺にとっては、なんというかこの平日の学校がとても久々に感じられた。
それからはいつもの月曜日の日課。
決まった授業を受けて、昼を食べ、また授業を受けて、そのまま放課後に突入。
結局、なんにも変わることの無い月曜日の学校で過ごし、そのまま一日が過ぎていった。
特に何かあるわけでもない一日。
今日あった学校での主な出来事と言えば、戸塚と一緒に教室に向かったこと。
戸塚とお昼を食べたこと。
休み時間に戸塚と話したこと位だ。
うん、今日は中々良い日だったな!
「八幡、僕部活あるから。またね!」
「ああ、また明日な」
戸塚はそう言うと少し小走りで教室を出ていく。
比企谷は戸塚が見えなくなったあとに、教科書やノートを鞄に入れて、そのまま帰ろうとした。
校門付近の学校の駐車場には黒い高級車が止まっている。
………まあ、ですよね。
そのまま人目に晒されながら高級車へと乗り込んだ。
今日学んだことは、高級車で学校に送っていくのはやめてほしいということ。恥ずかしいし、何より目立ってしまう。
それから戸塚は天使であるということ。理由は言うまでもない、戸塚は可愛いからだ。
比企谷は途中、家に寄り、小町に少し会ってから鎮守府へと戻った。
鎮守府では、艦娘が出迎えてくれて、それを嬉しく思った比企谷はニヤニヤしてしまい。叢雲に割りと真顔でキモいと言われたのだとか……。
それから大本営からの通信で、比企谷が学校への登校をしなくて良くなるのには、早くて一週間はかかるとのこと。
それを聞いた比企谷は、内心大本営すげぇ!!学校なくなって良かったと思いつつも、戸塚に会えなくなるという事実に少しだけガックリしたのだとか……。
これからも頑張って書くのでよろしくお願いしますね!