ジム戦への特訓を始めて3日が経ちジムリーダーが帰ってきていよいよジムに挑戦できるようになった。
「しばらくの間休んでてごめんね、私がハクダンジムのジムリーダービオラよ」
「ヒヨウシティのアルスです、ジム戦よろしくお願いします!」
ビオラに挨拶をし、アルスと見学のサボテとウランはビオラの案内について行った。
進んでいくと廊下が続いており、壁には虫ポケモンの写真がかけられていた。どれも背景やポケモンも綺麗に写っていた。
廊下を抜けていくと天井はガラス張りで木々と観客席に囲まれたバトルフィールドが見えた。ウランとサボテは観客席に向かっていきアルスはビオラに向かい合わせ、バトルの体勢についた。
「これより、チャレンジャーアルスとジムリーダービオラの2対2のバトルを開始します。どちらかが先に全てのポケモンが倒した方を勝者とします。使用ポケモンの交換はチャレンジャーのみ認められます」
「いい作品が撮れるようなバトルをしましょう、行くわよアメタマ!」
審判の宣言が終わるとビオラは自分のアメタマを出してきた。
「いけポルル!」
アルスが出したのはポッポのポポ、タイプの相性で言えばポポの方が有利、しかしそれはジムリーダーも分かっている。その為の対策があるから注意して戦えとサボテの言っていたことを思い出し、攻撃を仕掛けた。
「ポルル、でんこうせっか!」
「アメタマ、避けるのよ!」
ポルルがでんこうせっかで攻撃しようとするもアメタマは地面をスイスイと滑って避けていった。スピードではでんこうせっかが上回っているがアメタマは来る場所を先読んでいるのか簡単に避けていった。
「ポルル、もう一度でんこうせっか」
「アメタマ、こっちもでんこうせっか」
アメタマはポポのでんこうせっかに対して同じでんこうせっかで迎え撃ってきた。そのまま押し合いをしているとアメタマのでんこうせっかがポポを押し勝って飛ばしていった。そこから連続ででんこうせっかで何度もぶつかって体力を減らしていった。
「ポポ、上に逃げろ!」
「アメタマ、れいとうビーム!」
アメタマの触覚かられいとうビームが放たれてポポに当たろうとした。ポポは当たるギリギリで避け、れいとうビームは天井に当たって氷で覆われていった。これがひこうタイプ対策の技だとわかり、アルスはより気を引き締めて次の指示を出した。
「ポポ、かぜおこしからのでんこうせっかだ!」
かぜおこしをするとアメタマが風で宙に浮き、それを狙ってポポはでんこうせっかで攻撃した。でんこうせっかは見事に命中して地面に滑りながらも耐えた。
「さぁここから一気に行くよ!アメタマ、フィールド全体にれいとうビーム」
アメタマは
フィールド全体は薄い氷で覆い尽くされて輝いていた。これは陸上に立つポケモンの対策の方法、陸上ポケモンの動きを鈍らせるための方法だろうとアルスは考えた。
「アメタマ、ねばねばネットよ」
次にアメタマは白いネットを放ってきた。ポポがそれを避けると天井に貼り付いて取れなくなった。そのネットを連続で出してきてポポはそれを避けていく、天井にはねばねばネットがいっぱい貼り付いていて、天井に近づいたら動けなくなるだろう。
だがアルスはそれを逆手にとろうと考えていた。
「ポポ、一旦高く飛ぶんだ!」
ポポはその指示に従って高いところで止まった。ここからは相手が先に攻撃をしてくるのを待っていた。
「アメタマ、ねばねばネット!」
「今だ!全力でねばねばネットにかぜおこし!」
アメタマのねばねばネットを目一杯のかぜおこしで勢いを殺していき、ネットがアメタマに向かってきた。ビオラは急いでアメタマに避けるようにと指示した。
「少し低く飛んでネットにかぜおこし!」
ポポは降下したところからかぜおこしを起こしてねばねばネットの方向を変えてネットがアメタマの足に引っ付いた。アメタマはネットから離れようとしている間にアルスはポポを戻して、二体目のポケモンのヒトカゲのヒートを出した。
「ヒート、りゅうのいかり!」
「アメタマ、シグナルビームで押し返して!」
ヒートのりゅうのいかりは青黒く燃えてアメタマのシグナルビームとぶつかり爆発が起きた。しかし爆発の煙の中からりゅうのいかりが出てきてアメタマに直撃した。アメタマは目を回して倒れていた。
「アメタマ戦闘不能」
ビオラはアメタマを戻して笑って言った。
「やるじゃない、でも次はそうはいかないよ。出てきてビビヨン」
ビオラの次のポケモンはビビヨン、そのポケモンは色鮮やかで綺麗な姿をしていた。そんな姿にアルスは少し
「ヒート、ひのこを出すんだ!」
「ビビヨン、ひのこにかぜおこし」
ビオラのビビヨンはヒートのひのこをかぜおこしで対抗して
「ヒート、りゅうのいかりだ!」
「ビビヨン、避けて」
ヒートがりゅうのいかりを放つもビビヨンが華麗に避けて当たることはなかった。それでもアルスはヒートにりゅうのいかりを続けるように指示するが落ちる木の葉のように攻撃が当たらなかった。
「ビビヨン、かぜおこし!」
ビビヨンのかぜおこしを受けたヒートは耐えようとしたが、凍った地面でうまく踏ん張れず吹き飛ばされてしまった。
「ビビヨン、サイコキネシス!」
その後にヒートがサイコキネシスにかかってしまい、ヒートは天井に叩きつけられてしまった。叩きつけられたところにはアメタマの時についたねばねばネットがあり、ヒートは身動きが取れずにいた。
「シャッターチャンスよ、ソーラービーム!」
ビビヨンに緑の光が集まって大きいビームとなり、ビームがヒートに直撃して爆発が起きた。爆発の中からヒートが落下しアルスの目の前に落ちた。ヒートは目を回してもう戦えそうにもいかなかった。
「ヒート戦闘不能!」
アルスはヒートを戻しポポを出した。これが最後のポケモン、ビビヨンのかぜおこしはポポよりも強く、同じ技のぶつかり合いならビビヨンが勝つ。こうなればでんこうせっかで攻めようとした。
「ポポ、でんこうせっかだ!」
ポポはビビヨンに素早く攻めていった。ビビヨンがポポの攻撃を華麗に
「ポポ、でんこうせっかで後ろを取れ!」
「ビビヨン、サイコキネシス!」
でんこうせっかをするも瞬時にサイコキネシスに捕まってしまい、地面に叩きつけられた。ポポが飛行体勢につき、アルスは一か八かの勝負をした。
「ポポ、かぜおこしだ!」
「ビビヨン、こっちもかぜおこし!」
ポポが飛びあがってかぜおこしを起こし、ビビヨンも同じようにかぜおこしを起こした。2つの風がぶつかり合うが、やはりかぜおこしのレベルならビビヨンが上だった。ポポはビビヨンの風に押されて墜落していった。
「シャッター切らせてもらうよ、ソーラービーム!」
ビビヨンが緑の光を集めている中、ポポは動かずにいた。ポポの姿はボロボロになっていて、また攻撃を受ければ戦闘不能になってしまうだろう。だが、この戦いには勝ちたい、負けたくないという思いが駆け巡りアルスはポポに叫んだ。
「飛ぶんだ、ポポ!」
ポポは勢いよく飛び、ソーラービームを避けることができた。
「まだ飛れるのね、だったらかぜおこしよ」
ふらふらと飛ぶポポはアルスの目を見てきた。アルスはポポが目で
「ポポ、ふきとばす!」
ポポはこのバトルの中、ふきとばすを覚えたのだ。ポポが起こした風はさっきのかぜおこしよりも強く、ビビヨンのかぜおこしを押し返してビビヨンを吹き飛ばした。
「ポポ、でんこうせっかだ!」
「ビビヨン逃げて!」
ボロボロになりながらもポポはビビヨンを必要に追いかけてき、ビビヨンはでんこうせっかを避けていった。だが、さっきのように華麗にではなく急いで避けている、それが分かると攻撃を続けろとポポに、命令した。
何度も続けたことでやっとでんこうせっかを当てることができ、次々と攻撃が当たっていき、
「ビビヨン、サイコキネシス!」
「ポポ、降下して避けろ!」
「!?、しまった!」
ビビヨンのサイコキネシスが来ることはアルスはわかっていた。アルスはサイコキネシスは視界に見える相手にしか効かないではないかと考え、ポポに下に逃げてビビヨンの視界から外した。アルスの考え通りサイコキネシスは失敗した。そこからアルスは追い討ちをかけた。
「ポポ、ふきとばす!」
ビビヨンの下からポポの強風が起こり、うまく飛行できずに上空に飛ばされ、天井にぶつかった。ポポの風が止んでビビヨンは動こうとしたが天井から離れなれなかった。ビビヨンがぶつかった場所はねばねばネットが張り付いていたところだからだ。
「ポポ、全力ででんこうせっかだ!」
動けなくなったビビヨンにポポが突撃しでんこうせっかが決まった。
ポポがビビヨンから離れて、審判がビビヨンの状態を確認し、勝者に向けて手が挙がった。
「ビビヨン戦闘不能、よって勝者はチャレンジャーのアルス」
「おっしゃーーっ!」
アルスは苦戦しながらも初めてジム戦に勝った。アルスは喜んでポポはアルスの周りを飛んで喜んでいた。
「負けちゃったね、でもとてもいい瞬間が観れたからいいか」
ビオラはビビヨンを戻してそう言うとアルスに近づいて審判が虫の形をしたバッジをアルスの前に持ってきた。
「ハクダンジムリーダーに勝った印、バグバッジよ」
アルスはバグバッジを受け取るとまた喜びが込み上がってきて大きく叫んだ。
「バグバッジ、ゲットーッ!」
バグバッジを
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ジムから出た3人は今後のことを話していた。ハクダンの森で出会ったクレア、彼女の感じから言えばかなりやばい奴だったとしか言えない。彼女の言う組織、ユートピア団にクレアのような危険人物がいるか、ユートピア団の存在を知ったアルスたちに何が起こるかわからない。するとサボテが提案をしてきた。
「......僕は君たちと一緒に冒険したいと思っています、彼女みたいな人が現れた時にみんなで協力して戦った方が安全だと」
サボテの言う通りにクレアの仲間が複数現れた時二人で戦うより三人で戦う方が心強い。
「よしわかった、サボテも一緒に冒険して、何が何でもユートピア団に勝って、そいつらの野望を止めよう」
アルスの言うことにウランとサボテは頷いて次のジムがあるショウヨウシティを目指して行った。
◯●◯●◯●◯●◯●
「うん、フィールドの掃除も完璧、綺麗にできたわ」
日が沈んだ夜、ジムリーダーのビオラはアルスとの戦いの後片付けを終え一息つこうとした。しばらく休憩したビオラはそろそろ帰ろうと立ち上がるとジムの入り口に続く廊下から足跡が響いてきた。暗い廊下から現れたのは紫色の髪のメガネを掛けた女だった。ビオラはこの辺りでは見ない姿の女をチャレンジャーだと思い近づいた。
「チャレンジャーの人?ごめんね、もう遅いからまた明日来て」
ビオラの話を
「あなたは今日から私たちの駒として働いてもらうわ」
「はい」
「しばらくの間はいつも通りにしてもらって、私が合図をしたら戦ってね」
「はい」
「よろしい、54秒にあなたは少し前のことを忘れていつも通りに動いてね」
「はい」
ビオラは女の言うことを一言で答え、女はそれだけ言って暗い廊下を歩いていった。その54秒後にビオラは正気に戻った。
「?私何してたっけ、そうだ帰らなきゃいけなかった」
ビオラは自分に何が起きているかわからずに帰っていった。
遅くなりました。
あと、この話はあのポケモン?漫画と全然違います。たぶん......。