Shark,Punching,Qualidea 作:あんぼいな
夢を見ていた
昔から魚の図鑑を眺めるのが好きだった。
だからこそ、此方へ泳いでくる鮫科存在がシュモクザメである事はすぐに分かった。
体長1.5m程の灰色のサメだ。頭部の左右から突き出した突起が撞木の様に見える事が名前の由来であったと思う。
人を襲う事もある獰猛なサメだ。
ならば、為すべき事は唯一つ。
樹木から生まれ落ちた奴らを殴るのが私達の仕事だ。
拳を固く握り、サメに向かって力強く突き出した。
夢を見ていた
どこか遠い異国の地。
1000度にもなる溶岩の海を自由自在に泳ぐサメ。
相対するは耐熱アーマーを纏った
ヤツを殴るため、一歩踏み出した。
夢を見ていた
それは先カンブリア紀より我々の殴打を免れ続けた存在。
体長2000〜8000km、体表を強固な外骨格が覆う超巨大鮫。
我々がその鮫を殴ったとして、息の根を止められなければ人類の文明は取り返しのつかない程の被害を受けるだろう。
だが、殴る事は可能だ。
その後に何が起ころうとも、あの忌々しい鮫の顔面を殴りつける事さえできれば、それで我々の使命は果たされるのだ。
夢を見ていた
夢を見ていた
夢を見ていた
夢を見ていた
部屋の中に、折りたたみ椅子が並べられている。
椅子の上には、本が置いてある。
タイトルは 『孫子の兵法書:サメ殴り編』
時計を見る。午前10時30分。
気づけば、部屋には男が立っていた。
男は私の顔を見つめて言う。
SPCへようこそ。
これ以降、おまえらの仕事は、とても、とても単純だ。
顔面にだ。
誰かに体を揺らされている。
目蓋にうっすらと光が差し込んでくる。
目を覚ます。
周囲にサメの姿は無く
〈世界〉は、その姿を大きく変えていた。
・
・
・
約30年前、人類は突如地球に襲来した生命体によって蹂躙され、世界は崩壊を迎えていた。
圧倒的な力を誇るその生命体、第一種災害指定異来生物-通称アンノウンに、人類は総力戦で対抗し、辛くも勝利を収めるた。だが、戦争が終わった現在も散発的な攻撃が続いている。
その脅威に対抗するため組織されたのが、防衛都市である東京、千葉、神奈川からなる南関東防衛機構である。
・
・
・
カタリ、キーボードを押し込む。
出来上がった資料を四部印刷する。
東京、千葉、神奈川に一部ずつ、もう一部は上官に。
どうせ何処の主席もロクに読まないだろう。マトモに目を通すのは千葉と神奈川の次席ぐらいだろうか。
資料を抱え、人の居ない海ほたるの廊下を歩く。
歩行に合わせて少年の雑に伸ばした髪がふわりと揺れる。
ちらりと覗いた首の裏、うなじに貼られた金色の小さなコード。
その表面を、薄っすらと罅が走っていた。
ふと、思う。
ああ、サメを殴らなきゃ
「SPC-4819-JP-J」http://ja.scp-wiki.net/spc-4819-jp-j
著者 indonootoko様
「SPC-3284-J」http://ja.scp-wiki.net/spc-3284-j
著者 gnmaee様
「SPC-169-J」http://ja.scp-wiki.net/spc-169-j
著者 Red_Selppa様
「午前10時30分」http://ja.scp-wiki.net/10-30-a-m
著者 Kwana様