Drowning man will grasp at a straw.
どこまでも青い空。そこに浮かぶ、のどかな形の白い雲。さんさんと降り注ぐ日差し。それを浴びて真っ白に輝く白い砂浜。エメラルドグリーンの水面は穏やかに風とともに浜辺へと打ち寄せている。その波音はやさしく、人を静かに眠りへと誘う様であった。
どこまでも平和でのんびりとしたビーチである。
ティオネ、ティオナが用事を済ませて、そんな浜辺へと戻ってきた。彼女らを出迎えたのは、海遊びに興じる
陽光降り注ぐ砂浜に倒れ、青い顔をして、息もできずに苦しむ仲間たち。そして、そんな彼らを困ったような顔で見下ろしながら、どうしたらよいのかと思案しているアイズ・ヴァレンシュタイン。双子の友人でもあるアイズが困っているのは、珍しい事態であるが、それ以上に団員がほぼ全員倒れているという異常事態に、二人は、慌てて皆に駆け寄るのだった。
「おっ、二人とも、もどってきたんか! 早速で悪いんやけど、治療手伝ってや。みんな無茶して溺れたんや・・」
治療をしていた彼らの主神ロキが水着姿のまま二人に指示を出す。
「わかった、まかせてって・・ドラスレ君! 君まで!?」
ティオナがあわてて、抱え起こしたのは白髪赤眼のベル・クラネルである。
「いったい何があったのよ?・・」
ティオネのもっともな質問に、ロキは困ったような顔をするのだった。
事態を最初から説明するために、時間をさかのぼろう・・・
タケミカヅチたちの訪問が終わった後、ヘスティア・ファミリアのメンバーがホームでゆっくりとしていた。そこにドアをノックする音が響く。
「誰でしょうね。今度こそ、入団希望者ですかね?」
そんな事ををいいながらもリリルカがすばやく動き、ドアを開ける。
そこにいたのは中肉中背、黒髪黒目、ハンサムとも醜男ともいえない普通の青年であった。
「はじめまして。こちら、ヘスティア・ファミリアのホームで間違いないでしょうか? 私、ロキ・ファミリア所属のラウル・ノールドと申します。われらが主神ロキより、神ヘスティアへ親書を預かっています。お目通りをお願いいたします」
聞き覚えがある声に、ハリーが、立ち上がる。
「あ、ハリー君、こんばんはっす! お久しぶりっす! 何か大活躍してるそうじゃないですか。すごい評判で、何かこっちも鼻が高いっすよ!」
とたんに元気よく話し始めるラウル。それを聞いて、目を白黒とさせるヘスティア。ロキや、団長のフィンとも違う性格のようで、ちょっと吃驚したのである。
「えーと、ラウル君? 僕がヘスティアだけれども、親書って本当かい? 今まで
ヘスティアも入り口まで移動しラウルを出迎える。
「あ、はじめまして、ヘスティア様。ロキ・ファミリア所属ラウル・ノールドです。よろしくです」
「主神ヘスティアだよ。まあ、そんなにかしこまらないでくれ。中に入って座って、座って」
そういうと、ヘスティアはラウルをソファに座らせる。
そして改めて四人は自己紹介をする。ハリーとラウルはお互いに顔見知りなので自己紹介はしていない。
「では親書です。どうぞ、お納めください」
そういうとラウルは手紙をヘスティアに、恭しく渡す。いったい何事かとヘスティアは、封を破いて読み進める。読み進めるにしたがって眉間に皺がよる。そして二枚目を読む
「ぐぬぬぬぬ。ラウル君! 少し良いかな? ちょっと見てくれ、ここに書いてあることは、本当なのかい?」
そして二枚目をラウルに渡す。ラウルは中身を確認する。そして折りたたむとヘスティアに返した。
「本当ですね」
それを聞いて、再び、ぐぬぬぬと唸るヘスティア。
「神様どうしたんですか?」
いつもとは違うそんなヘスティアの様子が心配になり、ベルが尋ねる。
「うむ、三人は、オラリオからちょっと行ったところにあるメレンて知ってるかい?」
ヘスティアの問いかけにリリルカが答える。
「港町・・でしたよね。魔石加工製品をそこから輸出しているはずですが・・」
「うん、そのとおりだね。つまり、海岸だってことなんだ。そこに
ベルたち三人はびっくりする。交流が
「そうなんですよ、ハリー君! 参加してくれますよね!」
唯一ロキ・ファミリアと接点があるとしたら、ハリー繋がりである。それは、全員がこの前のハリーの挑戦の時点で分かっていた。だが、
「えっと、それ以前になぜ海水浴? なぜ僕たちがそこまで熱心に誘われるんだか・・説明をしてくれるよね?」
ちょっと引いているハリーが聞くと、ラウルはうんうんと頷く。
「そうでしょう、疑問に思うっすよね? とはいうものの、ヘスティア・ファミリアを誘うのに反対している人はいないっす。というよりも、ほとんどの人が、是非! 是非! 来て欲しいと思ってるっす。
ハリー君はロキ様のお気に入りだから来てほしいって言うのがあるっす。そして、ハリー君が来ると、ロキ様の関心がハリー君に集中するっす。つまり、女性陣へのセクハラがなくなるっす。これが女性陣が皆様に来てほしいと思っている理由っす。
そして、ロキ様は、『ハリーはんが来ないなら、男性陣の参加禁止やぁぁぁぁ』っていってるっす。それをですねぇぇぇぇ! 『みんなーーー! 気になるあの子の水着姿が見たいかぁぁぁぁぁぁ!!』と言った後に宣言したっすよ! ロキ様って酷いと思わないっすか!? それで男性陣はハリー君を縛り上げてでも連行するつもりっす!」
すがすがしい表情で宣言するラウル。
「いや、縛り上げるのは止めて」
言ってはいけないロキ・ファミリアの内部事情に思わず反応するハリーであった。他の三人は、まさかトップ・ファミリアのそんな内情があるとは思わなかったので、呆れるというか吃驚するやらであった。
「とはいうものの、実際には、59階層到達、新記録を達成したけど、ダンジョンにもぐりっぱなし。たまには外で日光でも浴びて、のんびりリゾートしようというのが目的っす」
いや、そっちは絶対に建前じゃないのか、そちらを先に言うべきではないのかと、疑わしい視線を向けるリリルカ。
ベルは、『気になるあの子の水着姿』という言葉で、アイズの水着姿が見られるんじゃと脳内妄想をたくましくして、顔を赤くしていた。
そしてヘスティアは、ベルのそんなふやけた顔を見てぐぬぬとうなっていた。ヘスティア自身としては、言語同断、すかさず断りたいところであるが、問題は手紙の二枚目の内容である。それには、この招待を簡単に切って捨てられない内容が書かれていた。それは─
『こっからはギルド指定の秘密情報や。ギルドが提示するまでは、眷属には教えるんやないで~。25階層あたりからダンジョンは水浸しのフロアが続く。泳げるようになっといたほうが良いで。少なくとも水場での戦闘が出来るようにしとったほうがええで? 海水浴と見せかけて、そこらへんの訓練もするから、眷族が大事なら参加したほうがええで~。59階層まで行ったラウルは事情を知ってるから、ラウルに確認してみいや~』
そして、早速、ラウルに確認したところ、『これは本当ですね』と言われたのである。
というわけで、招待をどうするか。ベルがアイズ・某と仲良くなるようなイベントには参加したくない。ましてや水着だなんてとんでもない!
だが、水場での戦闘訓練は、やっておいた方が良いだろうというのは、ヘスティアにも分かる。いきなり、水場での戦闘をするのと、海水浴と見せかけた訓練を経た後で、戦闘をするのとでは、心構えなどが違うだろう。ベル君の安全を考えるのであれば、参加した方が良い。
そして、子憎たらしいことには、まだ続きがあった。
『オラリオから上級冒険者が外に出るには、面倒な手続きが必要やで~。うちとまとめてやっとくから、気楽に参加せぇ~』
オラリオからの戦力の流出を抑えるため、上級冒険者がオラリオ市外に出ることには制限がついている。このことはヘスティアも知っていた。つまり、ヘスティア・ファミリア単体での水場での戦闘訓練をメレンで実施するのは難しいのだと、そうヘスティアは考える。
しばらく、葛藤したあと、ヘスティアはベル君の命をとった。
「・・うん、みんな都合がつくんであれば、参加しようじゃないか・・」
この場に来てもいないロキの交渉戦術によって、いいように転がされたことを自覚するヘスティア。これがトップ・ファミリアを率いる主神の実力なのかと、屈辱のあまり倒れそうである。だが、気合をひそかにいれて、精神的に立ち上がる。ベル君はオラリオ1のファミリアの団長になるんだ。ならば、僕自身もトップ・ファミリアにふさわしくなってやろうじゃないか!
そう己を鼓舞するヘスティアであった。
だが、これには一部ロキのトリックがあった。ヘスティアは一般常識どおりに、『上級冒険者=レベル2以上』と解釈したのだが、ロキは『上級冒険者=第一級、第二級冒険者』という意味で書いたのである。追求されたら、『まちがえたんや~、ほらうちって、第一級第二級冒険者、多いやん! だから、ついなぁ・・』と開き直る予定であった。
「わかったっす! よかった、よかったっすよ。これでみんなに恨まれないですむっす」
にこにことするラウル。考えてみると、ハリーが行かなかった場合は、
それに、普通人ラウルとしても、知り合いであるハリーたちが、中層の水場での戦闘に慣れておくことは賛成であった。知り合いでなければまだしも、知り合いがダンジョン内で命を落とすというのは、他のファミリアの者であっても嫌なものなのだ。
「じゃあ、待ち合わせ場所ですけど・・・」
そしてラウルはもう一枚の紙を取り出して、四人に旅行の詳細を説明するのであった。そのラウルの姿は、まるでツアー・コンダクターのようであった・・
********
そして翌日。
ヴェルフにはダンジョン探索は一時停止と伝える。その間、ヴェルフはせっかくなので、ドラゴン素材で武器を作成するということだった。ヘスティア・ファミリア用に取り分けていたドラゴン素材を一部渡していたから、それを加工するのであろう。
メレンへと、ロキ・ファミリアとともに出発するハリー達。
馬車でのんびりと揺られながらの移動である。
オラリオから出るのは初めてのハリー。今までは市街とダンジョンにしかいなかったので、うきうきとして、周りを眺めるのだった。とはいうものの、木々が点在する草原の中の道という、ヨーロッパの片田舎と同じような、つまり、テレビで見るような片田舎の風景が続くのである。ベルベット通りと、ホグワーツしか知らないハリーはそれでも喜んでいた。
そうやって景色を見ながら一時間ほど経つうちに、メレンに到着であった。
宿に荷物をおくと、早速、水着に着替えて、海岸に出かける。まぶしい日差し、どこまでも青い海。広く白い砂浜、そこに静かに打ち寄せる穏やかな波。
絶好の海水浴日和であった。
そして、海岸に集まったメンバーは海水浴を楽しむ。気になる水着のあの子に声をかけたり、ダンジョンと違う雰囲気にお互いどきどきとしたり、リゾートを楽しんでいた。
「うーん、ほんま、ええのぅ」
そんな眷属の様子を眺めロキは、にやにやしている。そんなロキは赤いチューブトップのセパレートタイプの水着で着飾っている。ちゃっかりと サングラスをかけて、そしてビーチチェアにのんびりと座っていた。
「あまずっぱい、青春の思い出っちゅーやつやなぁ・・・」
にししししと笑い、ジュースを飲むロキ。
そんなロキをあきれたように眺めるヘスティア。青と白の水着に白いパーカーを羽織ったヘスティア。胸部装甲がこれでもかといわんばかりに、存在を主張している。
「いや、なんていうか、君、よく眷属が集まったものだねぇ・・・」
「まっ、うちの溢れ出る魅力っちゅーやつやな!」
「その貧相なものでかい?」
「どちびにはわからん、大人の魅力っちゅーやつやな」
軽く流すロキ。以前なら、頬のつねりあいになったところであるが、
そんなリゾート気分真っ只中の主神たちとは違い、まじめな様子を漂わせているものが何人かいる。
そのうちの二人、青い水着を着たティオネとティオナの二人は、準備体操を入念にしていた。体がほぐれたと確認して、今回の旅の『本命』の目的のために、すばやく静かに沖へと泳ぎだす。この旅の目的は、ロキが手紙を送り、ラウルがヘスティア・ファミリアに、説明したように次のとおりである。話す順番が逆ではあったのだが。
『建前』─ダンジョンにもぐってばかりなので、日光浴をしようぜ!
『本音』─ハリーはんと仲良くなるで。セクハラ無しでノンビリします。気になるあの子の水着姿を見たりするっす!
であるが、最後に─
『本命』─怪人と闇派閥の調査。
オラリオで暗躍する犯罪ファミリアの総称である闇派閥。一時は壊滅状態になっていたのだが、ここ最近になって、再び活発な動きを見せ始めた。
そして怪人。ロキ・ファミリアが偶然にも出会った存在であるが、驚くべきことに、人間でありながら、モンスターとしての特性をもっているようなのだ。怪人はモンスターを操り、18階層のリヴィラの町を破壊、59階層へとロキ・ファミリアを誘い込むなど、不可解な行動をしている。
24階層で戦闘になった時に、闇派閥と怪人は協力してこちらを攻撃してきた。おそらく同盟を組んでいるのであろう。
そして彼らはオラリオを破壊するべく、モンスターをダンジョンから地上へと運んでいるのだ。
だが、言うは安し行うは難しであり、ダンジョンから人に見られずにモンスターを運び出すことなどできない。そのため、隠されたダンジョンへの出入り口があるはずなのだ。
ロキ・ファミリアはその出入り口を探すべく、ここメレンにやってきたのだ。
さて一般的には、ダンジョンの入り口は、バベルの地下しかないとされている。それは正しいようで正しくない。正確な表現は、『使用できる出入り口はバベルの地下のみ』である。使用できない出入り口が他にもあるのだ。それが、ここメレンである。
メレンのロログ湖の底には、ダンジョン中層へと通じる地下水路の入り口があるのだ。ただし、モンスターがあふれないように、十数年前に厳重に封印されている。
封印が無事ならば、ここ以外にダンジョンへの入り口が有るということになり、別の場所を探す必要がある。
封印が破壊されていれば、再度、封印することによって闇派閥の活動を抑えることができる。
それでティオネとティオナは、その封印に異常が発生していないか、調査に向かったのである。
そして、そんな二人とは別に、まじめな雰囲気を漂わせている集団。それがアイズを筆頭とする約二十人の集団であった。
「じゃあ、アイズさんに、泳ぎ方をならうっすよ~。せっかくきたんだから、泳げたほうが楽しいっすよ~」
ほどよく気合が抜けた調子でラウルが人を集める。その気合が抜けた調子からは、24階層あたりで泳ぐ必要があるなどとは、とても分かるものではなかった。普通に『遊ぶための泳ぐ練習』という雰囲気だった。集められたのは、レベル1からレベル2のメンバー。その中には、ベルとリリルカも入っている。
「じゃあ、あとはアイズさん、お願いするっす。僕等は昼飯の準備にいくっすよ」
そう言うと、ラウルは同期のアキらと材料の買出しに行ってしまった。
残されたメンバーは、白のツーピースタイプの水着を着たアイズに注目する。これから水泳教習が始まるのである。
「では、まずは簡単に。水に慣れるために、あそこの岩場まで走って行ってみよう。みんなついてきて」
沖に向かって50m程の場所にある岩場を指差して、アイズは宣言した。そして走り出す。もちろんみなもついていく。その中にはベルも入っている。アイズの水着姿を見たときには、顔を真っ赤にして、見つめていたが、となりのリリルカから、『鼻の下をのばしてみっともないですよ』と言われて、まじめな顔になるように頬を引き締め、頬の内側を噛んでいた。
(にやけちゃ駄目だ、にやけちゃ駄目だ、にやけちゃ駄目だ、にやけちゃ駄目だ)
そんなベルとリリルカもそれぞれ水着を着ている。ベルは水色のトランクスタイプ、リリルカはワンピースタイプの緑の水着である。
ロキ・ファミリアの集団の中に混ざって、二人も走り出す。そしてアイズは波打ち際まで行くと、そのまま、海の中に入っていった。だが、浅瀬なのか、アイズは水に沈んでいかない。安心した他のメンバーはそのまま付いていく。
が、さらに数歩走ったところで、異常に気づく。アイズは沈んでいないが、自分たちは膝まで水に使っている。
だがそんな疑問も、アイズの遅れないようにという声にかき消される。あわててダッシュするも、やはり自分達だけは沈んでいく。おかしいという思いと、遅れないように急ぐ気持ちとが綯交ぜになったまま、走り続け。ついには足が届かない場所まで進んでしまった。
「~~~~~(ぶくぶくぶくふぐ)」
「げほっ、たすっ! ちょっ」
そのまま沈んでいく先頭集団。
それを見て立ち止まる、第二集団たち。
その間にも、アイズは目標の岩場まで走ってたどり着いていた。そしてこちらを振り返り、驚愕する。
「なんでついてこないの?」
そして、相変わらず水面を走り、溺れている者達を、自ら引っ張り上げると、次々に波打ち際まで放り投げた。
見守っていたメンバーが、あわてて、浜辺まで運び上げる。最後の一人を抱えて、アイズが走って戻ってきた。
「みな水面を走れないのか?」
不思議そうに問いかけるアイズ。
「普通走れません」
その答えにアイズは、驚愕したような顔になる。
「右足を水面に乗せて、右足が沈む前に左足を水面に乗せて右足を持ち上げる。そして左足が沈む前に右足を水面に乗せて、左足を持ち上げる。これを繰り返せば、水面を歩ける?」
みなにやり方を教えるアイズ
「これがスイトン=ジツ。難しくはない。用は慣れだ」
実際にスイトン=ジツで水面に立ちながら、まじめな顔でアイズがいうと、とてつもない説得力があった。そのアイズの足元からの細かな漣のような波紋が広がっている。足首だけの動きで、自分で言ったようなスイトン=ジツを実行しているのだ。
「仕方がない、まずは練習からいこう。気合が入るように、
そういうと、アイズは、メンバーのを二人両脇に抱えると、すばやく水面を走り、50m沖合いの岩場まで連れて行った。
「さっきの説明どおりにすれば、沈むことはない。まずは実践だ」
そういうと、アイズは、二人を水面に立たせる。二人は必死で足踏みをするが、当然のごとく沈んでいく。
「「~~~~~~~(ごぼこぼごほ」」
しばらく見守るアイズであるが、これは溺れたと判断すると、水中に両手を突っ込んで二人を持ち上げると、浜辺まで戻ってきた。
「じゃあ、次の二人」
メンバーの顔が恐怖で引きつるが、アイズは容赦しなかった。
こうして、全員が溺れたのであった。
溺れてしまい、浜辺に倒れていているメンバーを眺めながら、アイズは何が悪かったのかと思案する。そこにティオネたちが戻ってきて冒頭の状況になるのであった。
********
話を聞いたティオネたちは微妙な顔つきになる。
アイズがやった指導方法は無茶振りも良い所であった。だが、自分たちもそれなりに、
双子が身に着けているスキル『潜水』も水中でのモンスター退治という無茶振りを実行していたら、いつの間にか覚えたというものである。だから、アイズの指導に対しては完全に否定できない自分たちがいるのを感じるのであった。
「とはいうものの、やっぱり、無茶だったわよ。せめてメンバーの半分が溺れた時点で、指導方法を変えてよかったんじゃないの?」
「むむう、しかし、私はこの方法ですぐに走れるようになったのだが・・」
アイズが反論するも、自分でも指導方法が悪かったと思ったのか、元気がない。
「まあ、次は私が指導するから、それ見ててね」
ティオナがアイズを慰め、そして、改めてメンバーに声をかける。
「じゃあ、次は私が教えるわねー。みんな浅瀬で二人一組になって。手をつないで。そして片方が体を伸ばして水に浮いてね。もう一人は沈まないように手をつないで、支えてやってねー」
ティオナの指導の下、練習を始めるメンバーたち。ベルはリリルカとペアを組んでいる。
「ベル様、手を離しちゃだめですからね」
ベルに支えてもらっているリリルカが必死に頼み込む。今は、バタ足に挑戦中である。そして、ベルは支える力をゆっくりと弱めていく。
「うわぁ、ベル様、はなさないでくださいっ!!」
「大丈夫、大丈夫、支えてるから!」
もう、力を要れずに、そっと手を添えているだけ状態であるが、ベルはそう言い聞かせる。
「で、放しても大丈夫だと思ったら、手を離してね~」
ティオナの叫びに、ベルはも思わず手を放してしまった。
リリルカは慌てるが、そのまま泳ぎ続けることができた。
「ベル様! 私泳げてますよっ!」
そうして、交代して、今度はベルが泳ぐ練習をするのだが、運動神経が鍛えられているためか、これまたすぐに泳げるようになるのだった。
ティオナの教え方が上手いのかと、無表情で悩むアイズだった。
ちなみにハリーは泳げるので、ビーチで見学である。
ちと、無理な展開でしたね・・・
補足
炎のゴブレットの三大魔法学校対抗試合の第二の課題。水中から水面まで戻ってきたときに、鰓昆布の効果が切れていました。しかし、小説版では、ハリーはその状態で、フラーの妹のガブリエルが岸まで泳ぐのを手伝っていました。
また死の秘法で、なぜか池の底に有ったグリフィンドールの剣を、泳いで取りに行っています。
それで、ハリーは泳げると判断しています。
メレンとオラリオの距離。
原作では3kmほど離れていますが、ここではもうちょっと離れた距離にしています。
次回
「Fry me to the SKY」