一瞬、何を言われたのかわからなかったのか、呆けた表情になったロキであったが、すぐに反論した。
「何でや! 何でだめなんや! 今までわいが、入れてほしいって言った子供らは、『ロキには困ったものだよ~』とか言いながらも全員いれてくれたやんけ!」
真っ赤になって怒るロキ。ハリーをどうしても入団させたいようだった。異世界からきた人物で、恩恵なしで魔法を使い、出会いがしらにディープキスをロキにする男。確かにどうしても入れたいだろう。
「うん、確かにそうだね。でもそれはファミリアのメンバーになって一緒にがんばって行くから、そうしたんだ。でもポッター君の場合はそうじゃない。いずれ故郷に帰るというのであれば、一緒にがんばって行けないのであれば、入団を認めるわけにはいかない。もちろん僕個人としては、彼の境遇には同情するし、力にもなってやりたい。でも団長としての立場としては、そうもいかないんだ。ロキ、わかってくれ」
確かにフィンのいうことはもっともであった。いわば、『スキルアップのために入社させてください。スキルアップしたら、転職しますから!』とバーノン叔父さんのドリル会社の入社面接のときに言うようなものである。会社側としては、給料払いながら教育して一人前になったら出て行くとか、冗談言っているのかと、バーノン叔父さんが怒り狂うであろう。正論である。それがわかるのでハリーは何もいえなかった。
「確かにそうですね・・・ほかに方法を考えて見ます」
「うん、別の方法がないか考えてみるのと同時に、うち以外のファミリアに入団できないか探してみてはどうだろうか。入れてくれるところがあるかもしれない」
「あるやろか、フィン?」
もっと食い下がろうと考えたが、当のハリーがあっさりと引き下がったので、気弱になり泣きそうな顔になったロキがたずねる。
「わからない。でも、別の方法を探すといっても今は当てがないんじゃないかな。できることからやっていくことをお進めるするよ。あと、身の振り方が決まるまでは、ロキのお客さんということで、うちのファミリアにいてくれてかまわないから」
といってフィンは微笑んだ。その笑顔をティオネがうっとりと眺める。
「さすがです、団長! とりあえず住むところは必要ですもんね!」
「じゃあ、客間に案内するで、ハリーはん、こっちきてや」
こうして、ハリーのオラリオでの生活が始まってしまった。本心では早く元の世界に戻りたかったが、方法がない。帰る方法を探すとともに、入団できるファミリアを探すことになった。
そして三日後。
すべてのファミリアに入団を断られていた。
「何が悪かったんだろう・・・・」
と呟くが原因は明らかであった。ロキ・ファミリアでフィンに断られたのと同じ理由。強くなったら故郷に帰る。これがまずかった。主神と団長の、どちらかが反対するのである。もしくは、主神が面白がって入れようとするが、団長が『あの様子じゃ帰るの許してもらえないぞ』と心配して断ってきたりもするのだ。
最初は探索系統ファミリアに絞っていたが、途中からはなりふり構わず商業系ファミリア、生産系ファミリアもまわってみたが、だめだった。
がっくりと肩を落としして、道の片隅のベンチに座り込んでいた。
「疲れたなぁ・・・」
ホグワーツは今どうなってるんだろう。時間の流れ方が違うかも知れないといわれたけど、みんな無事だろうか・・・・。ぼんやりとハリーがそんなことを考えていると、ぽんぽんと肩をたたかれた。振り返ると、黒毛のツインテールの10歳ぐらいの少女が立っていた。なぜか一本の紐を胸の下に通している。
「やあ、君、元気がないみたいだけど、大丈夫かい。特製のじゃが丸君でも食べて元気を出すんだ!」
そういって、差し出された
「おいしい・・・」
考えてみると今日も朝から夕方まで何も食べていなかった。
「ふふ。おいしいだろう。僕特製のじゃが丸君だからね。腹が減っては元気が出ない。これが僕の持論さ。さあ、悩みがあるんなら僕に話してごらん。話すだけでも、気分は楽になって元気がでるってもんさ」
10歳の子供に心配されるとはまいったなぁと思いつつも、ハリーは自分の事を語り始めた。
「実は故郷に、悪い魔法使いがいてねぇ。そいつと戦ったんだけれど、勝てなくて、気づいたらオラリオにいたんだ」
相手は子供であるので大分はしょっての語りである。だが、女の子は、真剣な顔でこちらを見ている。
「ふむふむ、そいつは、大変だね。その魔法使いを捕縛するような組織はなかったのかい? オラリオではギルドがガネーシャ・ファミリアに治安維持活動を委託しているんだが?」
子供なのに難しい単語をつかってるなと、感心しつつも、ハリーは説明する
「うーん、悪い魔法使いが、その組織自体をのっとってしまったから、誰もいなかったんだ。それで、僕、ハリーはオラリオで強くなって、故郷に帰ろうと思ってね。入れてくれるファミリアを探しているところなんだ」
それを聞いた女の子が腕を組んで目を瞑り考え込んだ。しばらく眉間にしわを寄せてそのまま考えていたが、くわっと目を開きハリーにびしっと指を突き出した。極東に伝わるモンスター、般若のような迫力である。
「つまり! 君は期間限定だけれど、ファミリアに入りたいと! そういうことだね!」
「アッハイ」
謎の迫力に気おされ、ハリーは片言で答える。
「よし、じゃあ僕のファミリアに入らないかい? 僕はヘスティア。こう見えても竈の神様なんだぜ」
すがすがしい笑顔とともにサムズアップするヘスティアであった。
「ま、まあ、そうは言っても零細ファミリアで、メンバーは今の所一人しかいないんだけれどね。だが、夢はでっかく、将来はオラリオ・ナンバー1のファミリアになることさ!」
「いいんですか? 強くなったら、故郷に帰るっていうと、どこのところも断られたんだけれど・・・」
「うん、かまわないよ。というかそちらこそ、良いのかい、メンバーが一人の、自分で言うのも何だが零細ファミリアで?」
「ぜひ、お願いします」
小さい女の子であるが、実際は神様ということで丁寧口調に切り替えるハリーであった。
「うん、じゃあ、もう一人のメンバー、この場合は、団長・・団長!? 団長かぁー。ベル君が団長! ついにメンバーが増える日が」
なにやら感無量のヘスティアである。こぶしを握り締めてガッツポーズをとっていたが、面白そうな表情でこちらを見るハリーに気づき、我に返った。
「あ、すまない、団長に紹介するから、拠点にきてくれ」
しばらく街中を歩き、案内されたのは、寂れた教会であった。えぇ~という表情のハリーを見たヘスティアがあわてる。
「ここだけれど、ここじゃないんだ。ここの地下が拠点なんだ」
ヘスティアはあわてて、地価への階段をおりて、ドアを勢いよくあけると中に飛び込んだ。。
「ベル君、いるかい? 聞いてくれ、今日はよい知らせがあるんだ!」
中にいたのは、13-14歳ぐらいの白髪、赤眼の、線の細い少年であった。
「え、もう、じゃが丸君、完売したんですか! さすがです神様!」
「ちっがーーーーう! いや、完売はしたけど! そうじゃなくて!」
そして、ヘスティアは地下室に入ってきたハリーを指し示した。
「じゃーん、ファミリア入団希望者だ。とは言うものの、ちょっと理由ありなんだけれどね。僕は入団してもらってかまわないと思っている。後はベル君がokすれば、はれて二人目のメンバーさ」
入団希望ということを聞き、大喜びになるベル君。ヘスティアと二人で手をつないで文字通り飛び上がって喜んでいる。それをみて微笑ましくなるハリー。
「あ、そういえば、理由ありって言ってましたけど、理由ありってなんですか?」
それでハリーはもう一度あたりさわりのない事から説明した。
自分の故郷に悪の魔法使いがいること。
自分は仲間とともに戦っていること
追い詰められて、窮地に陥ったこと
自分が投降すれば、仲間を助けれると提案されたこと
投降し、悪の魔法使いに即死魔法をかけられて、気づいたら何故かここにいたこと
帰るためには、強くなる必要があるらしいこと。
しばらく考え込むベル。
「悪の魔法使いって、そんな魔法使いがいるなら、名前ぐらい聞いてると思うんですが・・・」
「うん、じつは、即死魔法のせいで、僕はこの世界に飛ばされたみたいなんだ。僕がいたところでは、オラリオなんて名前は聞いたこともなかったし、神様も一人もいなかった。僕が住んでいたのは、イギリスで、ほかにもアメリカ、フランス、カナダ、中国という国もあったんだけれど・・・聞いたことはない・・よね」
衝撃の発言である。
「うん、嘘は言ってないね」
ヘスティアにはハリーが真実を言っていることがわかる。より正確に言うと『ハリーが真実だと思っている』ことがわかるのであるが・・・
「別世界ですか」
目を輝かせながらベルはハリーを見つめる。
「で、冒険者になって、魔法力が強くなったら移動魔法で故郷に帰ろうと思うんだけど、それでも入団できるかな?」
ここでヘスティアも説明と説得を始める。
「ベル君、よく聞くんだ。君は英雄になるために、そのうちにダンジョンに今よりも深い場所までもぐることになる。今のような上層じゃあない。かなり危険になる。だから、ハリー君にファミリア・メンバーになってもらうんだ。
一人のファミリアよりも二人のファミリアのほうが人を集めやすい。だから、ハリー君が居る間にもっとメンバーを増やすんだ。そうすれば、もっと君たちは強くなれる。他のメンバーが入るまでの間だけでもハリー君がいてくれるのはありがたい。入団をお願いしよう」
もともと零細である彼らのところに入団しようというものはいないのだ。確かに、期間限定であってもハリーが入ってくれれば、他にも人を集めやすくなるだろう。そう考えると、ヘスティア・ファミリアにはメリットしかない。
「なんだか利用する様で悪いんですが、僕らのファミリアでよいですか?」
一方のハリーにとっては期間限定ということがネックで断られていたのである。
それを踏まえたうえで許可してくれるということであれば、万々歳である。ハリーにもメリットしかなかった。
「ぜひお願いします」
「じゃあ、早速、恩恵を刻もう。背中を出してくれるかなハリー君。神の血を背中に落とし、
ハリーが上着を脱いでいる間にベルは地下室から出て地上に上がっていた。
ハリーが上半身裸になり、ベッドに横になる。ベルにいつもしているように恩恵を刻もうとしたヘスティアは、体のサイズが違うことにとまどう。ベルは14歳、ハリーは18歳直前。成長期の3-4年というものは、体格に大きい影響があった。
(むむう、ベル君と体格が違うせいか、なんだかやりにくいな・・)
そんなことを思いつつも針で指をつつき、血をたらし、
「恩恵というものは、神々の血を使うことで、その人の経験を顕在化させ強化するものなんだ。経験をつむごとに恩恵を更新して、より強化していく。これによって魂は強化され神に近づくといわれている。まあ、説明を聞くよりは実際にステイタスを見てもらうほうがわかりやすいかな」
最初の恩恵であるから、ステイタスはすべて0であるのは分かっている。だが、異世界からきたということで、何か特徴が出るかも知れない。そうたとえば、レアスキルとか。
まあ、レアはめったに見ないからこそ、レアであり、ハリーの背中に何か出るとは期待していなかった。
「よし、できたっ・・・と・・・・」
だが残念ながら、その期待は裏切られる。浮かび出た恩恵は・・・・
ハリー・ジェームス・ポッター
ヒューマン
レベル1
力:0
耐久:0
器用:0
敏捷:0
魔法力:0
とまあ、ここまでは、よくはないのだが、まだよかった。ステイタスは全員0から始まるからである。問題はその続きである。
魔法
【杖魔法】
なんだ、杖魔法って。持ってる杖が自動で敵を殴りつけてくれるんだろうか。それとも、大量に杖を呼び出してそれが自動で戦うんだろうか。わからん。それ以前にそもそも詠唱文がない。
そしてさらに分からないのが
スキル
【杖無発動】
・杖がなくても魔法が発動する
【無言呪文】
・無言でも魔法が発動する
【望郷一途】
・早熟する。
・
・
杖魔法なのに『杖無発動』とはなんじゃらほい! 矛盾してるんじゃぁぁぁぁ。
あと無言呪文って、呪文なのに、無言ってなんだよ! いや、それ以前に魔法の欄にそもそも詠唱文が無いし!
どうしろってんだいまったく。矛盾だらけじゃないか
ぐぬがががかと頭を抱えるヘスティアであった。
とはいうものの、ステイタスの説明をする必要がある。ハリーに見せるべく、
書き写しているうちに友神の
『アビリティも、もちろんだけれど、魔法やスキルに関しては、本人の資質、経験がきわめて強く反映されるわね。強い願望や資質、途轍も無い濃い経験が、魔法やスキルへと昇華されるのよね。恩恵はその昇華される手伝いをするだけとも言うわね』
それが本当であるのならば、この魔法とスキルについてハリー自身が説明をつけられるかも知れない。そう考えると元気よく背中から飛び降りた。
「さ、できたよ、ハリー君! これが君のステイタスだ」
そういって、ステイタスの写しをハリーに渡す。それをじっと見るハリー。
「ああ、アビリティが0なのは気にしなくて良い。最初はみんな0から始まるからね。で相談なんだが、恥ずかしい話、魔法とスキルのところが僕にも良くわからないんだ。君の今までの経験が反映されているはずなんだけれど、何か思いあたることはあるかい?」
紙をじっと眺めていたハリーの返答は簡潔であった
「ごめんなさい、この文字、読めないんです。英語じゃないですよね」
ああ、異世界人だから、読めないのは当然だったかと、お互いにがっくりする二人であった。
「まあ、これからしばらくはオラリオにいるんだから字の勉強もやることにしよう。さて、気を取り直して改めて説明しよう。
まずはここのアビリティ。君の身体的能力をざっくりとあらわしていると考えてくれ。力、耐久、器用、敏捷、魔法力とそれぞれなってい・・・る・・・。魔法力? あれ魔力なんだけれど、魔法力? ま、まあいいや。魔法の強さにかかわるところだね。
そして魔法。使用できる魔法が最大で三個、詠唱文と一緒に現れるんだけれど、君の場合は杖魔法になっている。なにか思い当たることはあるかい?」
「僕は魔法使いです。三つどころじゃなく、何十個も使えますよ」
そうハリーは言う。特に自慢しているわけでもなく、ハリーやロンやネビルたち魔法使いにとっては当然のことである。しかしオラリオでは最大で3個、魔道書を利用してようやく4個になるかならないかということを考えると、イレギュラーもいいところである。
「ただし杖がないと魔法がうまく使えないんです」
「ふむということは、杖魔法はハリー君が言うところの『杖がないとうまく使えない魔法』いや『杖が有ると使える魔法』全部ってことかな。だとしたらスキルの杖無し魔法は、その杖が無くても、うまく魔法が使えるということだと思う。ふつうは、杖が無くても魔法は使えるよ。あったほうが良いんだけれどね。で無言呪文はどうなんだい?」」
「これは、呪文を唱えなくても、無言で魔法を使う方法ですね。こんな風に」
杖をすばやく取り出すと、浮遊呪文を無言で行い、ステイタスが書かれた紙切れを宙に浮かばせる。
どんだけ規格外なんだと、ヘスティアは頭を抱える。
「いいかい、ハリー君、よく聞くんだ。まず、今言ったように、魔法使いは三つまでしか魔法が使えないし、無言で魔法を使うなんてことも無い。絶対に呪文の詠唱が必要なんだ。だから、君のその能力がばれたら、大騒ぎになってしまう。そしたら、強くなるという君の夢もかなえることができなくなってしまう」
そこでヘスティアは気づく。
「強くなったら故郷に帰るって、故郷は異世界だろう。どうやって帰るんだい?」
良くぞ聞いてくれました! という調子でハリーが喋り始める。
「瞬間移動魔法があるんです。それで、ここから故郷まで帰ります。ただ、こちらからすると異世界なので、なかなかうまくいかないんです」
「ふむふむ・・僕ら神々が神界からオラリオにくるようなものだね。あれも一応異世界移動ということになるのかな・・。それでステイタスを強化して、魔法効果をあげようということだね・・。ふむ、わかった。君が魔法使いで魔法を大量に使えるということはベル君にも話してよいかい? そのうえで使用する魔法を三つに絞るんだ。もちろん詠唱つきで。これだけのとんでもスキルがあるとばれるのはまずい・・なんとかして隠さないと」
『生き残った男の子』だの『選ばれし者』だのと、へたに有名になったり、目立つことになると、いろいろと、めんどくさいことになるのは身にしみているハリーは黙ってうなずく。それを見てヘスティアはベルを中に入れる。
「ベル君、ハリー君にステイタスの説明をしたとこなんだが、君と相談したいことがあるんだよ」
そしてヘスティアとハリーは、魔法の説明をする。
「三つどころじゃなくて、何十個も魔法を使えるんですか! そんなこと聞いたこともありませんよ」
驚愕して叫ぶベル。何度もいうがに魔法上限が3、魔道書を使用してようやく4だというこの世界では規格外の出来事である。
「うんうん、で、それを隠すために、おおっぴらにつかう魔法を三つに絞りたいんだ。ベル君はすでにダンジョンにもぐっているじゃないか。どんな魔法がお勧めだい? アドバイスしてくれ!」
隣に座り、ベルの腕を抱きしめて元気よく指示をするヘスティア。胸の感触にどぎまぎとしながらベルは考える
「う、わかりました。そうですね、すぐに思いつくのは、攻撃魔法ですね。単体攻撃と範囲攻撃できると良いんじゃないかなと。あとは治療魔法ですかね。ポーションがありますけど、治療魔法があるとさらに助かりますし・・・」
「攻撃と治療・・」
攻撃呪文は、
考え込むハリーを見てベルはたずねる。
「強くなって異世界にもどるのも、その魔法で帰るんですか? ポッターさん」
いろいろと呪文を思い浮かべていたハリーは、苦笑すると説明する
「ハリーで良いよ。仲間なんだし。僕もベルって呼ぶから。いいかな?」
うれしそうにベルも答える
「もちろんですハリー」
「あー、敬語もなしで」
そんなやり取りをヘスティアは、ベルの腕にしがみ付いたまま、うれしそうに見ている。
「ハリー君が故郷に帰るには、なんと瞬間移動魔法を使うのさ。僕たち神々がここ下界に降りてくるのと同じような方法だね」
驚くベル。ランクが上がると器は神に近づくと言われているが、魔法自体も神々に匹敵するようになるのだろうか
「瞬間移動ってどうやるんですか神さま!?」
「ふっふっふーん、聞いておどろけ、ベル君! だっとやって、でぃやっとやって、どーんってするんだ!」
謎のポーズを決めながら、すがすがしいドヤ顔でヘスティアが宣言した。
「おおお、だっとやって、でぃやっとやって、どーんってするんですね」
不器用に見よう見まねで、謎のポーズをとろうとしながら、ベルが感心する。
「ちがうぞ、ベル君、そこのところは、腕をもうちょっと上げるんだ。こうだ、こう!」
「こうですね」
「おお、そうだ、そう動かすんだ!」
盛り上がる二人であった。その二人に声をかけるハリー。ファミリアが決まってほっとしたのか表情が緩んでいる。
「エーと、二人とも? ちょっと良いですか? 魔法のことはもうちょっと考えて見ます。それと、住む所なんですけど、ここに一緒に住まわせてもらえないでしょうか。隅っこの方でよいですから」
「もちろんかまわないとも!」
「あとオラリオに来てからお世話になっていた人たちに、ファミリアが決まったことを報告に行ってきますね。ついでに荷物もとってきたいので」
「うん、それがいいね。じゃあ、主神として僕もついていくよ。何、僕が挨拶すれば、相手も大船に乗ったように安心するだろう」