ハリー・ポッターとオラリオのダンジョン   作:バステト

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すいません、題名変えました



救援隊、オラリオへ出発する

 午前半ばに再度会議が始まる。捕虜を尋問して得られた情報と、タケ・ファミリアの団員が持ち帰ったラキア軍補給地の調査結果の情報共有である。主神、団長が集まり、話し合うが、オラリオの問題は、後回しにして、先にラキアを片付けることになる。変更は補給地の扱いだけ。あとは予定通りに補給地の向こう側にまで進軍することになった。

 その後は誰がアレスと連絡を取った反乱ファミリアなのか、意見が飛び交った。『単にアレスをからかってみたらアレスが本気にした』、『高度に柔軟な情報戦であり、ラキアを混乱させるための臨機応変な計略』等、様々な意見がでた。最も人気があった意見が『ウラヌスがオラリオの神の全員強制送還を企んでおり、その先兵としてアレスがやってくる』である。逆に人気がなかったのは、『アレスに優秀な参謀がついて、連合軍内部を疑心暗鬼に落とし入れる謀略』であった。

 

 そして戦闘が始まり、現在、フィンたち連合軍は、ラキア軍を押しまくっている。奇妙なことだが両軍の思惑が一致したため、戦線は異常な速さで移動し、昼前にはラキア軍の補給地の直前まで連合軍が移動していた。

 

 そして補給地を前にしてガネーシャ団員イブリ・アチャー、そしてロキ・ファミリア団員のリヴェリア、エルフの少女レフィーヤが魔法の詠唱を終える。

 まずはイブリが火炎爆発魔法を空中に打ち上げ、派手に爆発させる。騎馬隊に予定外の行動をさせないために、補給地が爆発したと誤認させるためである。

 爆発が収まったのを確認して、リヴェリアとレフィーヤの二人、連続での広範囲の氷結魔法を発動させる。

「ウィン・フィンブルヴェトル!」

「ウィン・フィンブルヴェトル!」

 補給地に集められていた可燃物、爆発物は極低温の冷気に曝され一気に凍り付く。バキビキと音を立てて氷漬けになっていき、ちょっとやそっとの火矢が飛んできた程度では燃えることはできないようになっていく。事実、ラキア軍から爆破のために火矢が飛んできたが、爆発どころか、燃えることも無くそのまま火が消えていく。

 そして次の火矢が来る前に、ベート・ローガをはじめとした、速度に優れた獣人部隊が補給地を突破し、ラキア軍になだれ込む。当てが外れて混乱に陥るラキア軍。連合軍の中央部隊も凍り付いた補給地を寒さに震えながら足早に駆け抜け、ついにラキア軍の中央へとなだれ込む。その勢いのままラキア軍中央を突破すると、そのまま右翼側へと転進して襲い掛かる。

 

 

********

 

 

 ラキア騎馬隊は、イブリの火炎爆発魔法を、補給地が燃え上がったのと誤認し、連合軍の背面に展開しようと精力的に騎馬を走らせ始める。だが、先頭を走っていた騎馬が転倒する。後続もそれに巻き込まれ、次々と転倒していく。ようやく、速度を落とし慎重に進むようになったのはすでに10騎ほどが転倒した後。

「何事か!?」

 隊長らしき人物がゆっくりと慎重に馬を近寄らせる。

 そこにあったのはロープ。ご丁寧に目立たない色に染色され、馬の脚の高さに仕掛けられた足止め用のロープである。これに脚を取られ転倒したのだ。騎馬隊は知らぬことだが、このロープを仕掛けたのはタケ・ファミリア。騎馬隊の進行を食い止めるために、連合軍の左右に仕掛けているのだ。一回引っかかれば、あとは、また同じような足止めがないかと警戒しなくてはならず、進軍速度は、格段に落ちる。騎馬隊の長所を潰すやり方である。

 隊長は苦虫を噛み潰したような表情になるが、既に作戦は始まっている。何としても背面包囲をする必要があるのだ。そして速度が落ちるが、下馬してからの進軍を命じるのだった。

 

 

********

 

 

「オラリオからの使者や」

 右翼側を壊滅させたあと、一端、軍をまとめて休憩をして居たところで、またもや緊急の作戦会議が召集される。何事かと集まった主神と団長に告げられたのは、まさかのオラリオからの救援要請である。

 

「モンスターが現れて、大暴れしとるそうや。ギルドは占拠されてしもうたらしい。バベルを拠点にして、冒険者で討伐を計画しとるそうやが・・」

 ロキの言葉にその場の全員が使者に視線を向ける。使者は馬に乗らずに、朝から今まで走って戦場まで来たのだ。ラキア軍騎馬部隊による背面包囲が完成する前に、連合軍本体に追いつけたのは僥倖であった。

「はいっ! 本日未明、突如ローブの集団とモンスターが街中に現れました。冒険者で討伐隊を組んだのですが、全滅。その後モンスターはギルドに突入、占拠しています。私が出発する時点では新たな動きは有りませんでした。ただロイマンギルド長は事態を非常に重く見ており『バベルや工業地区に被害が出る前に、至急オラリオに戻って討伐を』と要請しています!」

 それを聞いて考え込むフィン。闇派閥のことが念頭にあるのだ。ガネーシャが確認をする。

「ローブの集団がテイマーで、モンスターを操っているということか? あとバベルはどうなっている? 送還された神は居ないか?」

「確証は有りませんが、状況からしてテイマーとテイム・モンスターだと思われます。バベルは無事、被害は有りません。送還された神も居ません。

 ローブ集団とモンスター集団は、何処から現れたのか不明ですが、最初に確認されたのは、ダイダロス通りです。その後はギルドを襲撃し立てこもっています。襲撃される前に、ギルド周辺の非戦闘員を避難させることに成功したので、住民も含め非戦闘員の被害は今のところ無しです。現在ギルド員とガネーシャ・ファミリアを中心に、周辺地域の住民の避難誘導をしているところです」

「モンスターはどんなタイプがいる?」

 フィンが尋ねる。

「確認できている分では、ミノタウロス、蜘蛛型、花の蛇型、あと鎧を着込んでいて不明なタイプがいます」

 花の蛇型という言葉で、フィンとロキは、闇派閥が動き始めたと判断した。そしてこのモンスターはレベル3以下では対処がしにくい。ファミリアの反乱ならば、放置しても一般人への被害の拡大は少ないだろうが、闇派閥が操るモンスターを放置したら、被害が広がるばかりである。早めに救援に戻る必要がある。

 

 もろちん、ラキア軍への対処も必要である。

「オラリオへの救援と、ここラキア軍への対処、両方を同時にする必要がある。それに対しては異論はないと思う」

 反対が出るかとフィンはぐるりと見まわすが、皆、フィンの言葉の続きを待っている。

「オラリオへの救援だけれど、花の蛇型モンスターに関しては、怪物祭の時に地上に現れた新型のモンスターで、レベル3以下では対処がしにくい。それとオラリオまで至急戻る必要がある。オラリオ救援部隊はレベル4以上から選抜したいと思うがどうだろうか?」

 馬で走るよりも、冒険者が自力で走ったほうが早い。そして走るスピードとスタミナが優先されるため、レベル3以下は此処に残すという意味である。

「ラキア軍だが、レベル4以上の者を何人か残していけば、あとはレベル3以下の冒険者で十分に対処できると思う・・・」

 フィンがまたぐるりと見まわすと、タケが質問してきた。

「レベル4以上というが、4以上でも幅がある。進軍速度はどうする? レベル4に合わせるか?」

 自然と皆の視線がフレイヤとオッタルに集中する。レベル7は、フレイヤ・ファミリアのオッタルのみ。そしてフレイヤが悠然と微笑みながら発言する。

「オッタル。あなたオラリオに先に行ってなさい。私はゆっくり帰るわ」

「分かりました」

 フレイヤ・ファミリアから救援部隊に入るのはオッタルのみ。つまり、あとの団員は、こちらに残ることになる。しかもフレイヤの護衛を優先するだろうから、ラキア軍への対処としては当てにできない。

「急いで戻った方が良いとはいえ、バラバラになっても面倒だ。レベル4に合わせて移動しよう。各ファミリアで救援部隊へのメンバーを選出して、集合して出発。これでどうだろう?」

 フィンの提案にタケが追加で提案をする。

「ラキア側をほったらかすわけにもいかんだろう。うちの団員に、もうちょっとラキア側を調べさせておこう。空中偵察もしておいてくれんか?」

 他には特に意見が出なかったので、偵察が決定した。そして各ファミリアは救援メンバーの選出に取り掛かる。とはいえ、レベル4以上という条件があるので、それほど難しいものではない。主神の護衛に誰を残すかを、各ファミリアで話し合うくらいである。

 

 

********

 

 

 再び、ハリー、フィン、ティオネが箒に乗って空中偵察へと飛び上がる。

「ハリー君、この箒は、人の二倍から三倍の速さで飛べるんだったかな?」

 すでに箒は、高度100Mぐらいにまで上がり、ラキア軍へ向けて空を全速で飛行中である。ハリーは咳払いをしながら考える。魔法の箒ファイアボルトのことを言うかどうか迷ったのだ。

「新しい箒なら、最大で10倍以上のスピードで飛び続けられますよ。乗り換えてみます?」

  フィンが了承したので、一度、着地してハリーが今まで乗っていた箒をマジックバックにしまい込む。そして片手をマジックバッグに突っ込んだままで魔法、ファイアボルトを使用する。それから作成された箒のファイアボルトを、マジックバックから取り出す。こうすれば、誰もファイアボルトが魔法で作られているとは分からないのである。さっそく乗り込む三人。

「しっかり捉まっててください!」

 そして魔法界最高峰と評価されている箒が、その実力をいかんなく発揮する。今までの箒とは比べ物にならない加速度、轟々とぶつかる向かい風は突風というよりも、もはや、空気の壁といった感じで全身を殴りつけてくる。

「これは、早いね!!」

 驚愕するフィン。自身が全力で走るのと遜色ないスピード、いや、もしかしたらそれ以上のスピードかもしれない。

「このスピードでどれくらいの時間飛んでいられるんだい? 丸一日大丈夫かい?」

 風で声が聞こえないのか、何度か怒鳴り続けてようやく会話が成り立つ。

ポーション(マインド・ポーション)飲みながらなら、多分、一日位は大丈夫ですよー」

 その返事を聞いたフィンは、オラリオ救援部隊のことで考え込む。さっきまでは、全員でまとまって移動することを考えていた。しかし、これだけのスピードで移動できるのであれば、何人かだけでも箒で移動するのも良いかもしれない。乗るとすれば、自分、アイズ、オッタルの三人であろう。そう結論付けてフィンは、空中からの偵察任務に戻る。

 

 先程までの連合軍の突撃により、ラキア軍で無事に残ったのは、左翼側の部隊と、連合軍の背面に回り込んだ騎馬部隊。そして左翼部隊は、怪我人の救出と治療にあたっているようで、すでに戦闘できる状態ではないようだ。

 騎馬部隊は、連合軍とオラリオの間の平原にあいかわらず展開している。だが、連合軍の背面を突くというのも、ラキア軍本体がいるなら意味があるが、単独では、ただの正面からのぶつかり合いになり意味をなさない。それらを確認していると、ティオネが声をかけてくる。

「団長、あれ何でしょうね・・」

 ティオネが指さすのは、ラキア本国がある方角。そちら側の地平線がかすかに煙っている。ハリーは箒をそちらに向けてスピードを上げる。しばらく飛び続けて煙っている正体が分かる。

「ラキア軍か・・まさか援軍があるとは思わなかった」

 フィン達が確認したのは、最初の軍を大幅に超える人数で構成された、ラキアの軍勢であった。

 先遣軍は大規模であり、さらに戦力は集中させてこそ、戦力だという言葉がある。そのため、援軍があるとは、誰も考えていなかったのである。相手の意表を突くのが戦闘の基本とは言え、まさかこんな方法で意表を突かれるとは思いもしなかった。だが慌てるような事態ではない。

「対ラキア軍に、人数を多めに残した方が良いかな?」

 フィンが独り言を呟く。そう人数を増やすだけで対処ができるのだ。それからハリーに戻るように指示を出すのだった。

 

 

********

 

 

 オラリオ救援部隊が集結する。レベル4以上で構成された、ガネーシャ・ファミリア、タケ・ファミリア等の、そうそうたるメンバーだ。ロキ・ファミリアからは、フィンを中心としたメンバーが参加する。ただし、リヴェリアと何人かはラキア軍に対処するため、ラキア迎撃側に残ることになる。

 そしてハリーとベルもレベル3ながら救援部隊に入っている。理由は簡単、フィンの計画通り、ファイアボルトで一足先にフィン、アイズ、オッタルを送り届けることになったのである。そして、ハリーへのマインドポーション補給と、主神(ヘスティア)の護衛不足が心配だということで、ベルも同行することになったのだ。従ってヘスティア・ファミリアは、ハリーとベルがオラリオの救援に、ヴェルフとリリルカがラキア軍との戦闘に分かれることになる。ミコトはオラリオでヘスティアの警護をするため最初から居残りである。

「お主たち、二人ならば、我らと一緒に動くのがよかろう」

 ヴェルフとリリルカに、そう声をかけてきたのは、タケである。主神同士が神友なので配慮してくれているのだろう。団長(ベル)も、タケの所なら安心と送り出す。タケのレベル3以下の眷属に挨拶をして合流する二人。

 

 救援隊がそろったところで、ハリーがマジックバックの中から取り出す振りをして、魔法ファイアボルトを発動させる。そしてフィンが説明をする。

「知っている者も多いとは思うが、改めて紹介しよう。こちらドラゴン・スレイヤーのハリー・ポッター君だ。皆も知っているように彼は空を高速で飛べる。今回三人だけ、彼と共に先に飛んで戻り、状況確認と、討伐を進めることにする。先行する三人は、僕、アイズ、オッタルだ。

 残りの者は、ガレスの指示に従って、オラリオまで移動をするように。救援隊がオラリオに着く迄には、状況を整理しギルドから指示が出せるように準備しておく」

「ちなみに、どれくらいのスピードで飛べるんだ?」

 ガネーシャ団員が目をキラキラとさせて尋ねる。

「僕が走るよりも早いぐらいかな」

 そうフィンが説明すると、どよめきが起こる。構わずフィンは説明を続ける。

「ラキア迎撃部隊だが、作戦会議で基本的な方針を決定するので、各ファミリア毎に、それに従ってくれ。それでは各自の健闘を祈る」

 

 そう言うと、箒のファイアボルトに、ハリー、ベル、フィンが跨る。ゆっくりと上昇する箒。地上から5Mほどの高さの所で、アイズがフック付きロープをフィンに投げる。受け取ったフィンは手早くロープを固定する。アイズとオッタルは、ロープを登ると、輪を作って足場にするとしっかりと体を固定した。

「それでは加速します!」

 そういうとハリーは箒を加速させる。下に二人がぶら下がっているので、落とさない様に加速は気持ち控えめだ。そして30秒ほどかけて最高速度に達すると、マインドポーションをちょっとずつ飲みながらオラリオに向かうのだった。

 




>こちらドラゴン・スレイヤーのハリー・ポッター君だ
二つ名が息してない・・。此処でハリーの二つ名は黒烏(ブラッククロウ)と言っても皆信じるに違いない・・


補足
イブリの火炎爆発魔法
原作では、イブリが魔法を使うシーンは出ていない。

ガネーシャ・ファミリア、タケ・ファミリア等
ロキとフレイヤの所を除くと、レベル4以上の冒険者が原作ではあまり名前が出ていない。そのため此処ではこの二つを例として挙げている。実際にはまだ出てないだけで、居ると思われる。
ヘルメス・ファミリアは団員がランクアップしてもギルドへの報告をしていない。つまりレベル詐称をしている。そのため、今回の戦争には参加していない。
イシュタル・ファミリアは、前回、ロキの呟きで説明したように、今回の戦争に参加してない。
タケ・ファミリアは、この話のオリジナルファミリアで、団長の赤影、青影、白影をはじめとしてレベル4の団員が五人ほど居る。としてください。
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