ハリー・ポッターとオラリオのダンジョン   作:バステト

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すいません、めっちゃ蛇足ですが・・


エピローグ

 ──風が吹き、ハリーは意識を取り戻した。

 

 冷たい床に横たわっている。

 

 手を突き、上半身を起こす。

 何故か裸だ。

 戦闘服もマントも杖もなにもない─

 ゆっくりと周囲を警戒しながら立ち上がる。

 四方はすべて靄に覆われ、見通しが悪い。時折微かな風が吹いている

 

 不安を感じたハリーは、せめて服が欲しいと考える

 

 その瞬間服を着ていた

 

 呼吸をして気持ちを落ちかせる。

 

 此処は一体どこなのか。オラリオではないようだ。だが魔法界でもない。

 

 もしかしたら、魔法界とは違う異世界へ姿現ししてしまったのか?

 

 ハリーが視線を向けると靄が薄まり徐々に、視界が広がっていく。

 

 黒い背もたれのベンチがいくつか現れた。どこか見覚えがあるベンチだ。

 

 ダーズリー家の近くの公園のベンチ?

 

 いや、違う。公園のベンチならよく覚えている。そのベンチじゃない。

 

 どちらかと言えば、荷物が多くて草臥れた一家が座っていたような──

 

 そして視線を動かしていたハリーは発見した。発見してしまった。一つのベンチの下に、黒いモノが置かれていることを。

 

 ハリーはそのベンチに慎重に近づいていく。

 

 黒いモノの正体は分からない。ゆっくりと慎重に接近して、覗き込んでみた。

 

 モノが何かを意識が認識した瞬間、ハリーは飛びすさった。

 

 黒焦げになった赤ん坊。

 

 皺だらけであり、罅だらけであった。

 

 微かな風があたり、そしてその衝撃だけで赤ん坊の死体は崩壊を始めた。風が当たった所からボロボロと崩れ落ち、その破片でさえ、風に溶けていくかのように消えていく。

 

 ハリーが衝撃を受け何もできないでいるうちに、黒こげの赤ん坊は砂のように崩れ落ち、風に溶け消えてしまった・・。

 

 

「哀れな生き物じゃった」

 低いながらも人の注意をひきつけてやまない声が響く。

「だが、わしらには、どうすることもできんかった・・」

 聞き覚えがある声にハリーが驚き振り返る

 腰までもある長い白い顎髭をリボンをおしゃれに纏め、頭にはシックな帽子をかぶり、流れ星をデザインしたローブを小粋に着込んだアルバス・ダンブルドアがそこにいた。

「久しぶりじゃの、ハリー」

 人を引き付けてやまないキラキラとした眼差しで、にっこりと笑うダンブルドア。

「息災であったかとはきかんぞ。ここに居ることからして、大変な目にあったということは分かっておる」

 真面目な顔になるダンブルドア。

「あちらで少し話そうかの」

 くるりと背を向けると別のベンチに歩み寄るので、ハリーも続き、並んで座る。

「先生、訊きたいことがいくつもあるんです」

 思い出されるのは、分霊箱を探す困難な旅路、死の秘宝の事、ダンブルドアのことを何も知らない事、そしてオラリオ界の事。

「うむ、尋ねるがよい、ハリー。出来るだけのことは答えてしんぜようぞ」

 

 

 そして二人は、家族の事、死の秘宝の事、様々なことを話し合った。

 

 

 話している間にも靄は薄れていき此処がどこなのかはっきりしてきた。長く伸びたプラットフォーム。その上に点在する幾つものベンチ。

 

 

 そしてハリーは確認をする。分霊箱を破壊してきたハリーにはどうしても聞かねばならないことだった。

「先程、ベンチの下に黒こげの死体があったのですが、あれは?」

「君の予想通り、ヴォルデモートの魂、分霊箱であるハリーに憑いていた魂じゃな。今では消失してしまった」

 予想通りの答え。

「でも先生、僕はオラリオという世界に行っていたんです。そこで僕は、僕に憑いていた奴の魂の欠片を破壊しました。だから此処にあるはずはないのですが・・」

「ふむ、魂は君ではなく別の何かにとりついたのではないかね?」

「ええ、そうです」

 推測の鋭さに驚くハリー

「魂の欠片は単独では、長期間存在することは出来ん。すぐに何かに取りつかねばのう。おそらく、破壊された魂の欠片は、君の姿くらましにあわせて、放り出されたんじゃろう」

「放り出される? 誰にです?」

 茶目っ気たっぷりにウインクをしてダンブルドアが答える

「誰じゃろうなぁ。それに、放り出されたというのも、わしの妄想にすぎんよ」

そして目をキラキラとしながら続けた。

「大事なのは確実に破壊できたこと。そうじゃないかね?」

 

 

 靄は晴れていき、いつもは新学期を迎えてごった返しているプラットフォームが現れてくる。だが今は、列車も無く、ハリーとダンブルドアの二人きりだ・・。

 

 

「別の世界、先程言ったオラリオという場所に行っていたのですが、現実の事なんでしょうか。今となっては夢を見ていたような気持ちなんです」

 こめかみに人差し指と中指を当て、記憶を探るようにしてダンブルドアが話す。

「──昔のことだが、あるマグルが魔法使いと友人になった事がある。最初、そのマグルは魔法界の存在に関して半信半疑だった。だけと多種の魔法生物を見せられてこう言ったそうじゃ。

『これは、現実の事だな。僕の貧弱な頭では、こんな奇妙奇天烈な生物(魔法生物)を考え出すことは出来んよ。だから現実なんだ』

 非常に興味深い言葉だと思わんかね?」

 オラリオの出来事はすべてハリーが考え出せそうもなかったことだ。だとしたら

「別の世界は有るんでしょうか?」

 ハリーのその問いにダンブルドアは難しい顔をする。

「それはハリー、難しい質問じゃ。魔法的に別世界を作り上げることは、出来んことは無いと思われる。昔のマグルが妖精郷とか竜宮城とかいっていた世界のようにな。

 マグルの科学においては平行世界や多元宇宙論、すなわち、ずばり異世界そのものがあるのではないかという議論さえ行われておるんじゃ。だが今まで確認する方法が無かった」

 マグルの科学についても造詣が深い事を知って驚くが、さすがダンブルドアだと感心する。

「じゃから、君はおそらく、世界の間を移動した初めての人間ということになる」

 

 そしてちょっと困った笑いを浮かべるダンブルドア。

「まぁ、姿くらましは兎も角、姿現しは失敗したようじゃな」

 その言葉にがっかりするハリー。服が欲しいと思った瞬間に服が現れたことから、そうだと思っていたが、ダンブルドアから断言されるとやはりショックなハリーだった。

「となると僕は死んでいるんでしょうか」

「そうであるとも、そうでないともいえる。例えば、丸くて三角といえば何を連想するかね?」

 しばらく考えてみたがもハリーには思いつかなった。

「ええっと、もしかして扇形ですか?」

「ふむ、良い所をついて居るが、もっとよく言えば、円錐の影じゃな。横からだと三角、上からだと丸じゃ。このように両方の状態になっていることがある。今の君がそうじゃ」

 逆に混乱してきたハリー。

「ええっとつまり、僕は死んでいるけど生きている?」

「うむ、そうじゃ。だから、死んだわしとも話ができるのじゃ」

 穏やかな眼差しでダンブルドアはハリーを見つめた。

「そんなことがあり得るんでしょうか?」

「まあ、理論上は兎も角として、実際あり得ておるのではないかな」

 茶目っ気たっぷりにニコニコと笑いながらダンブルドアは断言した

「だとしたら僕は戻ることはできるんでしょうか?」

 ハリーの問いにダンブルドアは落ち着いて答える。

「戻ることもできるし、進むこともできる。君次第じゃ。この場所は君には何に見える?」

 ハリーは辺りを見回した。靄はかなりの範囲が晴れており、此処が何処だがハリーにも既にもう分かっていた。

「キングス・クロス駅、9と四分の三番プラットフォーム」

「ふむ、君にはそう見えるのかね。それならば、列車に乗って共に逝くことも出来るじゃろう。だがそうでないというのであれば、わしも手を貸そう」

 ハリーの答えは決まっていた。そしてハリーの気持ちに呼応するかのように靄があたりに立ち込めてきた。

「戻ります。皆が待ってるんです」

「よかろう! それでこそハリーじゃ」

 明るい靄がますます濃くなり、視界がおぼつかなくなってきた。まだ視界に入るのはベンチに座っているダンブルドアぐらいだ。ハリーは立ち上がった。

「先生! また会えますか?」

「いつの日にか! それまでは私の形代と話をしてくれ」

 ますます濃くなる靄の中、ダンブルドアの声が朗々と響いてきた。

 

──そしてハリーは旅立った──

 

 




この後は原作のハリーが意識を取り戻したところに続きます。後の流れはほぼハリポタ原作通りになります。

私の形代
ホグワーツ校長室にかけられているダンブルドアの肖像画の事

これにて終了です。
読んでいただきありがとうございました
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