白物語   作:ネコ

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100 五影会談?

「何故そんなにバテているのだ?」

「何時間もこの場に釘付けにされるとは思ってもみなかったもので」

 

 コタツから脱出した白は、部屋の隅の方で風遁により身体を冷やしていた。その顔には汗が滴り落ちており、疲労の色が見て取れる。

 

 コタツの暑さから解放されて涼んでいると、扉がノックされて、部屋に先ほどの侍が入って来た。

 

「お待たせしました。ご案内いたします」

 

 部屋から出て通路を通り、大きな広間に出たところで、白は上の方を仰ぎ見る。そこには暗く見難かったが、黒い影のようなものが幾つか見えた。

 

 その黒い影は、白が顔を向けるとすぐに見えなくなる。

 

(サスケたちあれで隠れてるつもりなのかな? 香燐以外チャクラ丸分かりでバレバレなんだけど……むしろ、青さんたち他の感知タイプの人は、あんな場所に不自然に固まってるチャクラに気付かないのか?)

 

 不思議に思いつつも、白は青と共に水影の後ろを歩いていく。

 

 五影が集う場は、半円を描いた机が置かれ、その円周の外側には垂れ幕で水、風、火、土、雷と書かれていた。その半円の机に各五影が座り、五影の視線が集中する先には、もう一つ別で机がある。そこには、門の前で挨拶をしていた鉄の国の大将であるミフネが座っている。

 

 護衛たちはそれぞれの垂れ幕の裏にある、壁に身を潜めて、事の成り行きを見守っていた。

 

「各自、五影の笠を机へ……」

 

 その言葉により、各自自身の目の前に五影の笠を置き、ミフネへと視線を集中させる。

 

「この場にて議長を務めさせていただくミフネと申す。……ではこれより、五影会談を始めるが異存ありませぬな?」

 

 各五影が頷くのを確認し、ミフネは話を始めた。

 

「ではどなたから議論をはじめましょうや」

 

 ミフネの言葉に先じて発言したのは風影である我愛羅だった。そこから各五影たちが話を進めていく。

 

「<白……お前は何をしているんだ?>」

「<見ないでください。覗きは犯罪ですよ>」

「<なっ!?>」

 

 白は紙に色々と記入していた。それは今いる建物の縮図であり、パッと見した青は不思議に思って訊ねたのだった。その予想だにしない答えに青は驚き固まってしまう。

 

 白はさっさと書き終えた紙を懐に入れると、五影への話へ集中する。そこで、雷影のチャクラが高まるのが分かった。

 

「<白!>」

「<分かってます>」

 

 それまで呆然と立ち尽くしていた青も、その不自然に高まったチャクラを感じ取り、白へと呼びかけるが、その時白は既に、腰程度までしかない壁の上へと身を乗り出していた。

 

「グチグチといい加減にしろお前ら!!」

 

 雷影は立ち上がると、自分の目の前の机を右腕を振り下ろして破壊する。その破片が舞う中、各五影の護衛たちが各里の五影を守るべく前に出た。

 

 雷影を中心に取り囲むようにして雷影以外の護衛が広がる。各自がいつでも攻撃できるような緊迫した中で、欠片以外の時間が止まったかのように誰も身動きしなかった。

 

 その重苦しい緊迫した空気を破ったのは、議長であるミフネだった。ミフネは落ち着いた声で諭すように雷影へと顔を向けて苦言する。

 

「この集いは、雷影殿が提案されて形成された場でござる。提案されたご本人が、礼を欠くような行動は慎んでもらいたい」

「フンッ!」

 

 雷影はその言葉に不機嫌そうな声を出して座り直した。それに合わせるようにして各護衛たちも垂れ幕の裏へと戻っていく。

 

 話は尾獣から始まり、暁の話へと変わっていく。暁の話題になってからは、雷影がこれでもかと言うほどに、各里へ言及していった。

 

 話の内容から、尾獣であるキラービーを暁に捉えられたことが、余程頭にきているのが分かる。

 

 土影と雷影の言い争いが始まり、再度雷影のチャクラが高まってきたところで、火影であるダンゾウが口を開く。

 

「冷静な判断力があるうちに言っておきたい……」

「なんだ!?」

 

 口を挟んできたダンゾウに対して、威嚇するようにエーは身体を向けて大きな声で聞き返した。

 

「暁のリーダーは、おそらくうちはマダラだ」

「「「「「!?」」」」」

 

 ミフネも含めてダンゾウを除く五影全員が驚く中、ダンゾウが話し終えたところで、ミフネから提案が上がる。それは、白の知っている通りの流れである連合軍の結成であった。

 

「<青さん。火影の右目あたりを調べてもらえませんか?>」

「<何?>」

「<いいから、いいから>」

 

 青は不審に思いつつも、白眼でダンゾウを見ると右目と右腕に異様なチャクラを感じ取る。

 

 そして、そのチャクラを特定した時に、衝撃を受けたような表情をみせた。

 

「<馬鹿な……あれはうちはシスイの色……なぜ火影が……>」

 

 青はそう呟くと、ハッとして我に返りすぐさま垂れ幕の表……五影のいる空間へと身を乗り出し、ダンゾウへと問い詰める。

 

「火影殿。その包帯の下の右目をどうやって手に入れたかお聞かせ願おう」

「どういう事じゃ?」

 

 話の流れについていけない皆に分かるように、青は説明していく。

 

 護衛の注意が青へ移ったのを確認した白は、その間に影分身を行い、紙と巻物を複数、そして薬を持たせる。影分身は、それらを受けとると、隠遁を使い廊下の方へと消えていった。

 

 それを確認してから、白は風遁・風鎧を纏って五影の方へと視線を戻す。

 

「きさまーー!!」

 

 雷影がそう言って叫んだ瞬間、五影の中央に白ゼツが、突如として現れた。それを見た瞬間、護衛たちは五影の前に立ち塞がる。

 

「うちはサスケが侵入してるよーーー!! どこにいるでしょーーーか!?」

「なんだとぉおお!?」

 

 雷影は叫びながら白ゼツの首を掴み、情報を聞き出そうとするが、あまりにも掴む力が強いために、白ゼツはすぐに動かなくなる。

 

「こんな奴らにビーがやられたというのか!? シー! 探せ!!」

「殺さずに暁の情報を聞きだせばよかったでしょう! せっかくの情報源だと言うのに……」

「暁はそこまで甘い相手ではない。情報を聞き出そうとしても徒労に終わるだけだ」

「オキスケとウラカクは第二戦闘態勢の発令後に、うちはサスケを探すよう命を出せ」

 

 雷影は殺した白ゼツを床に捨て置き、サスケの捜索をシーに任せると、イライラしながらそれを待ち、ダンゾウを睨む。そんな雷影の勝手な行動に、照美は非難するが、逆に我愛羅は照美の言葉に対して反論した。それらを土影は面白いものでも見るかのように、何も言わずに笑みを浮かべて、高みの見物を決め込んでいる。

 

「雷影様。大凡の居場所を掴みました! ここに来る途中にあった下の大広間に、不自然なチャクラを感じます!」

「よし! 霧の隻眼! お前は火影の見張りだ! いくぞ!」

 

 そう言い終えると、雷影は壁を突き破り部屋を出て行ってしまう。

 

 その後、部屋の中は各人が小言を言うものの、最初の頃の静けさに戻っていった。

 

 

 

 その頃影分身の方は、侍たちの警備を掻い潜り、サスケたちの元へと、もうすぐ到着しようとしていた。

 

(香燐は口止めしとかないと確実にまずいな)

 

 香燐と水月の口の軽さを知っており、尚且つこの後のダンゾウとの戦い後に、香燐が木の葉へ行くことを考えると、香燐の口を塞ぐ必要があった。

 

 そのため、他の者たちより先に行動して、香燐が1人になったところへ会いに行く必要があった。

 

(発見って……、ここまで近付いて香燐は気付かないのかな? なんか震えてるみたいだけど……。もしかしてサスケのチャクラと何か関係あるのか?)

 

 香燐が白の視界に入った時には、水月、重吾、香燐の3人しかその場には居なかった。香燐は見るからに震えており、他の2人は顔だけを出すような形で、下の広場を見つめている。

 

 サスケは1人、広場で侍たちを相手に戦っていた。そのチャクラは以前あった時よりも、禍々しく冷たいものへと変わっている。

 

 白は、香燐が1人になるのを待つために、待機しようとしたところで、突如天井が壊れて瓦礫が落ち、砂埃が舞い上がった。

 

 天井から現れたのは雷影だった。雷影はそのまま侍と交戦していたサスケへと、すぐには近付かずに言葉を発する。

 

「小僧! 貴様に恐怖というものを教えてやる!!」

 

 サスケは気にせずに雷影へと突撃したところで、重吾は慌てて広間へと下りたつと、呪印状態を開放してサスケへと駆け寄る。サスケのことが心配だったのだろう。その行動には何の躊躇も無かった。

 

 一瞬広間を覆い尽くすように発光した瞬間。今度は水月が広間へと下りていく。そして、その場には香燐のみとなった。その状況を確認した白は、すぐさま行動を開始する。

 

「何を震えてるの?」

「っ!?」

 

 自身のすぐ近くで声が発せられたことに驚き、香燐は身を竦ませて、辺りを見渡してきた。

 

「腕が大分鈍ったね……」

「その声は……白か……?」

「正解」

 

 隠遁を解いて香燐の前に姿を現した白は、香燐の前に膝をついて座ると、香燐の症状を確認する。

 

「特に異常はなしと……。ところで何しにここへ来たの?」

「お前こそ、途中でいきなりいなくなってどういうつもりだ!? あれから大変だったんだぞ!!」

 

 香燐は白からの質問など無視して、逆に質問をしてくる。

 

 白の行動に腹を立てているのだろう。

 

 その後に急変したサスケの態度に、困惑していたのかもしれない。

 

 それが大きな声となって白へと返ってくる。その声は、下で起こる戦闘音で、かき消されるほどの声量だったが、静寂になった瞬間であれば、十分に居場所が分かってしまう程度には大きかった。

 

「大きな声を出すと気付かれるよ。それに最初に言っておいたじゃないか、途中で抜けるって」

「だからってあんなところで抜けるやつがあるか! サスケはサスケで、復讐対象を木の葉に変えちまうし……。復讐が終わったら2人で静かに暮らそうと思ってたのに……」

「香燐の野望はまた今度ゆっくり聞いてあげるから、こっちの質問に答えてくれる?」

「新しく火影になったダンゾウとか言うのを殺るんだと。……っていうか白は何でここにいるんだ? うちらを見付けたから会いに来たのか? もしかして、あのゼツとか言うやつの仲間なんじゃないだろうな?」

 

 香燐は白の質問に答えた後に、怪しいと言うことに気付いたのだろう。白へと質問し直して、その上に、更に質問を重ねていく。

 

「一応、今は雇われみたいな護衛任務してるんだよね。ダンゾウの場所ならこの地図を見ればすぐにいけるよ。感知タイプが勢ぞろいしてるから、香燐が探りを入れた瞬間に気付かれるから気を付けて」

「……白は一体何がしたいんだ? 広間を通る時に確認したけど、水影の護衛なんだろう? そんなところへ通して問題ないのか?」

「もちろん問題あるけど、狙いはダンゾウなんでしょ? 水影に危害が加わらなければ問題ないよ。それと、俺のことは黙っててね」

「はあっ!? なんでうちが白の言うこと聞かないといけないんだ? そんな義理ねぇし」

 

 香燐は腕を組むとそっぽを向き、目を閉じて口を閉ざす。

 

「まあ、そう言うだろうと思ったけどね。では、このサスケのブロマイドで手をうってよ。中にピッキングツールの入ってる優れものだよ」

「っ!?」

 

 香燐は白が手に出した、ブロマイドを横目にすると、素早い動作でそれを奪い取ると、懐へと仕舞いこむ。

 

「うちは、そんなんじゃ買収されねぇし」

「貰っといてそれは酷いんじゃないかな?」

 

 その時、広間の方から爆音が響くと共に建物全体が振動する。それに驚き広場の方を見てみると、雷影がサスケを抱えて地面に突き刺しているのが見えた。その衝撃で地面は放射状に割れてへこんでいる。

 

 サスケはそこで、不完全ながらもスサノオを発現して、その衝撃を緩和していた。それを見て雷影は一旦サスケから離れるとチャクラを練り直して増大させる。そのチャクラの量はまるで……。

 

「尾獣並みだぞ……あのチャクラ量は……本当に人間か?」

「香燐。これを飲んで落ち着くんだ」

「あぁ……」

 

 白との会話で忘れていた震えが香燐を再び襲う。それを見て白はチャンスとばかりに、香燐へと薬を飲ませる。

 

(これで、ここ最近の記憶は朧気になるはずっと。すぐ目を覚ますだろうし、ここに放置で大丈夫かな)

 

 飲んですぐに倒れた香燐の手に地図を握らせてから、下へと移動するために手すりへと足を掛ける。

 

 丁度その時に、雷影が天照を纏ったサスケに雷虐水平という名のチョップを放ったところだった。

 

 天照を気にせずに放たれたそれは、サスケをスサノオと天照を纏ったまま吹き飛ばす。その攻撃は、サスケの不完全なスサノオを簡単に打ち砕き、サスケ本体へと衝撃を伝えるほどだった。

 

 吹き飛んで倒れたサスケに止めを刺すべく、雷影は飛び上がり、ギロチンのように片脚を伸ばしてサスケの首へ向けて降下するが、これをサスケは防ぐために炎遁・加具土命を目の前に展開する。

 

 両者の技が衝突する瞬間、砂が両者の間に割り込み衝突を受けきった。受けきったというよりも、雷影の技に対して、砂と炎遁の2つで受けたと見た方がいいだろう。それほどの攻撃を雷影は放っていた。

 

 雷影は攻撃を砂に吸収されたと見るや、その場を離れて砂を操っている者へと怒鳴りつける。

 

「何のつもりだ風影! 返答次第では貴様も敵とみなすぞ!」

「あのままだと、あんたの身体はあの炎でさらに傷付けることになった。それを防いだに過ぎない。それに、こちらにもうちはサスケに用がある」

 

 砂を操った本人である我愛羅は、雷影に返答してサスケへと向き直ると、周囲を壁で覆い天照の被害が出ないようにする。それを見て、雷影は不服そうにしていた。

 

「フンッ! こんな傷など」

 

 そう言って、自らの腕を切り落とそうとしたところで、白が雷影に声を掛ける。

 

「少しお待ちください」

「水影のところの奴か……何の用だ?」

 

 白は何も言わずに懐から巻物を取り出しその場に広げる。そして、両手で印を組み術を発動させた。

 

(―――封火法印―――)

 

 その時間はかなり短く、あっという間の出来事だった。雷影の左腕から天照の炎を取り除いた白は、巻物を素早く丸めると紐で閉じ、その上から封印符を貼って懐へと再度仕舞い込む。

 

 天照の炎で焼かれた腕は表面が黒く炭化して、下の筋肉にまで到達していた。そこに手をかざして掌仙術を施していく。

 

「治るまでしばらくかかります」

「これくらいなら治療はいらん!」

 

 白の治療を邪魔扱いして、振りほどく。

 

「せめて腕の治療が終わるまで待っていただけませんか? 腕1本分の代価として」

「これは貴様が勝手にやったことだろうが! それを「ボス!」……シーとダルイか……」

「霧隠れの……すまない。雷影様の治療はこちらで受け持つ」

 

 シーはサスケの幻術により、精神攻撃を受けてボロボロになりながらも、雷影を宥めながら、白の代わりに掌仙術を使い腕を治療していく。

 

 ダルイはそれを確認してから白に訊ねてきた。

 

「さっきの黒炎は消えないって聞いたんすけど……どうやったんすか?」

「えーっと。巻物を使った封印術で、小さいものであれば封印できますが……」

「何度でもいけます?」

「巻物は予備のやつがあと1本しかないんで、このまま大人しくしててほしいんですけど……」

「……? 取り敢えず、あと1回は行けるってことっすね。……だそうですよボス!」

 

 ダルイはそれを、後ろに居る雷影に向かって投げ掛ける。雷影は白とダルイの話を聞いていたのだろう。ダルイの言葉に頷くと、簡易の治療を受けた手を何度か握り締めて調子を見ると、再びチャクラを練り始めた。

 

(ちょっと……。ここでサスケ死んでしまうんじゃ……)

 

 ここに至っては白に止める手段などなく、見守ることしか出来ない。

 

 サスケの状態を見ようにも、サスケの方には砂の壁が存在していて見ることはできず、チャクラの状態からかなり弱っているのが分かるくらいだった。

 

 雷遁チャクラを纏ったところで、サスケのチャクラが変質していく。そのチャクラは先ほどよりも更に冷たく暗いものになっていた。それが、砂の壁を越えて、白たちにも見える形で姿を現す。

 

 先ほどまでの身体と腕の部分的なものから、上半身の骨と一部筋肉の付いたスサノオへと進化していた。

 

 サスケから渇いた笑いとともに、声が聞こえてくる。

 

「これが我愛羅、お前以上の絶対防御……スサノオだ」

「やばいので下がることを提案します。それでは」

 

 白はサスケの言葉を聞くと、雷影たちにそう言い残して、足早に広間から通路へと避難して行った。

 

 サスケはゆっくりと立ち上がると、スサノオの持つ剣を一閃させる。剣は砂の壁をいともたやすく切り裂き、柱まで一緒に切り裂いていく。その攻撃範囲は広く、大広間の柱のほとんどが崩壊し、それに伴って天井が崩落してきた。

 

 それを他人事のように見届けながら、影分身の白は隠遁を使い外に向けて走り出す。

 

 

 

 天井が崩壊してから少しして、五影会談の行われた部屋の垂れ幕が全て一瞬にして落ちる。それに合わせてその場にいた皆が天井へと視線を向けた。

 

 そこにはサスケが天井に立っており、その場にいた皆を見下ろしている。

 

 先に動いたのはミフネだった。ミフネは腰から抜いた刀を抜くと、サスケに向けて飛び上がり斬りかかる。サスケは何事も無かったかのように、その攻撃を抜き放っていた刀で受けた。

 

 剣での応酬は一瞬の間に行われ、ミフネが飛び上がってから、下に降りるまでのその短い時間で、ダンゾウ率いる木の葉組は部屋から姿を消す。

 

 それを、部屋の入口の廊下から恐々と見ていた香燐が、サスケに向けて叫ぶ。

 

「サスケ! ダンゾウは逃げたぞ!」

 

 その声に反応したのは、サスケ本人とサスケに視線を奪われていた青だった。

 

「ちぃ!」

「しまった! 水影様! 私はダンゾウを追います」

 

 サスケは香燐の言葉に反応してダンゾウを追おうとするが、ミフネからの攻撃は続く。ミフネは地へ足が着くと同時に、何度もサスケに向けて斬りかかっていった。サスケは鬱陶しそうに、イライラとしながら応戦している。

 

「分かりました。ただし、深追いはやめなさい!」

「はっ! それではまた後で!」

 

 青は水影に自分の行動を伝えて了承を得ると、ダンゾウの後を追って、雷影の開けた穴から部屋の外へと出ていく。

 

 照美はサスケを見ると、青とダンゾウの出ていった場所へと入って行く。白へと待機を命じてから。

 

「白は、サスケとかいう子が、あの穴以外から出ていくのを防ぎなさい」

「善処します(みんな好き勝手やってるなあ……俺もだけど)」

 

 そう言ってから、ダンゾウたちが出ていった通路とは反対側の通路に身を潜める。

 

 サスケは、ミフネの攻撃を不完全なスサノオで無理矢理防御すると、香燐に命令する。

 

「香燐行くぞ!」

 

 サスケは近付いてきた香燐をスサノオで掴むと、雷影の壊した穴から、ダンゾウを追うために部屋を抜け出る。

 

 しかし、その先には照美が待機しており、サスケが入ってくると同時に、溶遁の術で入ってきた穴を塞ぐ。

 

 しかし、それも束の間のことで、白以外の皆から急に白ゼツが姿を現した。

 

 白ゼツは、取り憑いたものからチャクラを奪い取っていくのが分かる。

 

 その後すぐに、サスケのいた通路と五影会談が行われていた壁が破壊される。よく見ると、反対側の壁も破壊されていた。

 

 スサノオはチャクラの消費が激しいのだろう。荒い呼吸を繰り返すサスケに白ゼツが近付いていく。

 

 サスケは避けようとするが、既に避ける力もないのか、スサノオが解けた状態に戻ってしまい、白ゼツに取り憑かれてしまう。

 

 しかし、白ゼツに取り憑かれたことにより、サスケのチャクラは次第に回復していった。

 

 それを見て今度は土影が動く。

 

 自身についた白ゼツを土遁・加重岩の術で無理矢理剥がし、サスケに近付いていった。

 

「こんな小僧がデイダラをやるとはのぅ。お主に恨みはないが、死んでもらうぞ」

 

 言い終わった直後に、土影から術が放たれる。

 

 塵遁・限界剥離の術……一定空間を根こそぎ分子レベルにまでバラバラにする術である。それを受けたサスケと香燐はその場から消え去ってしまう。

 

 そこへ、下で戦闘をしていた雷影たちが戻ってきた。

 

「サスケはどこだ!?」

「わしが塵にした」

「なんだと!? それはわしの役目だったはずだぞ!」

 

 サスケの死亡を聞いて喚きたてる雷影に、突如として現れた人物が声をかけてくる。

 

「雷影。その機会はまだ残っているぞ」

 

 そこには、サスケを肩に乗せた面を着けた者……暁のリーダーであるうちはマダラが、部屋の皆を見下ろす場所で立っていた。

 


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