「九七式飛行艇視認、信号灯で誘導します!」
愛宕信号員がそう叫ぶのとほとんど同タイミングで、遠くにゴマ粒程度の大きさに見える九七式飛行艇に発光信号を送る。
皇紀2598年に採用されたことからその名前の付いた九七式飛行艇のうち、今回飛来するのは民間用の川西式四発飛行艇らしい。
「着水します!」
白銀に翼を輝かせる鳳は、その巨体を静かに海面につける。
「カッターを下ろせ、出迎えろ」
今回、九七式飛行艇に担われた任務は外交官の輸送。そのために、海軍の保有している機ではなく大日本航空の保有している輸送飛行艇型が選ばれたのだ。
九七式飛行艇から降りる眼鏡を掛けた洋装の、明らかに軍人ではない男。彼が外交官なのだろう。
愛宕の司令は、妙に疲れた様子の外交官の顔を双眼鏡越しに見ていた。
時は前後して、なぜ外交官が派遣されたか。その経緯と経過を振り返ろう。
偵察として扇状に飛ばした4機の九七式艦上攻撃機のうち、龍驤3号と龍驤4号が陸地を発見。
龍驤3号は敵航空機(後にワイバーンの竜騎士隊と判明)と接触、あわや戦闘かとなったが両者ともに発砲が無く、最悪の自体は避けられた。
龍驤4号は(辺境の農村とはいえ)市街地の航空偵察を実施、その時に文明が帝国外地のそれより低いことと一面に広がる畑を視認して帰投する。
この情報を届けるために、龍驤から九六式艦上爆撃機が連絡機として本土に向けて飛び立った。
なお、この時に九七式艦上攻撃機が選ばれなかったのは、過荷運転によって無理やり航続距離を伸ばしたため、乗員への休養のためと言われている。
ともかく、高雄の飛行場に降り立った連絡の九六式艦上爆撃機からもたらされた情報をもとに御前会議が開かれた。
この時、日本は食糧事情に不安を抱えていた。
本土の食料自給率が80%を超えていたが、穀物の産地としての朝鮮が突如として消えてしまったのだ。
これからの近代化をするにかけて、本土で増やせる農地は限られている。
そのために、御前会議では武力を持って侵攻、同地を併合する派閥と同地を"共栄圏"の一角として組み込む派閥に分かれた。
だが、この御前会議の結末は呆気ないものだった。「血を流してはならぬ」。陛下がはっきりとそういえば、歯向かえる者はその場にいなかった。
そのために、現地を支配する権力者(国家体として成り立った歴史が浅い日本は、同地も同様と考えていた)との外交に向けて、外交官を派遣することにしたのだ。
そうして、横浜に停泊したまま海軍に接収された九七式輸送連絡機に外交官を乗せて、艦隊上空へと飛来したのだった。
外交官を降ろした九七式飛行艇は、離水して本土への帰路に就く。
「艦隊に通達、このまま寄港するぞ」
司令の命令と共に、特別派遣艦隊は(意図せず砲艦外交となるが)新たな任務を遂行するのだった。
どうも、久里浜燐です。大日本帝国召喚1941、まさか続くとは。
とりあえず、先進11か国会議前くらいまでは書こうかなぁと再び筆を取りました。
あー、原作と矛盾が無いといいなぁ()
矛盾があったらその都度修正をしていくとともに活動報告で連絡します。
それじゃあ、また次回!(