ガーディアンズ   作:龍の骨

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ジェット「俺は河童の荒魂、ジェットウォーター。『水陸の貴公子』と呼ばれているが、自称した事が無い」

姫和「河童なのに何故、紳士みたいに整っているな……」


二話 イグニッション!

 太陽に照らされた木々が生い茂っている森。

 流れ星が落ちた場所へ向かうイグナイト達はタギツヒメと配下の荒魂に囲まれてしまう。

 絶体絶命という状況で、光線銃を持った少年に助けられた。

 

「嫌な予感がして後を追ってみたら、見事に的中したね!」

 

 彼の名はエイティバレット。

 女郎蜘蛛の荒魂で、手首から粘着性の高い糸を出したり、地形を利用した罠を設置するのが得意。それだけではなく、持っている光線銃を設計と製作が出来る程の技術力を持つが、失恋の回数が増えるという悩みを持っている。

 

「後を追った!? どういう事だよエイティ!」

 

 戸惑うイグナイトにエイティは光線銃をタギツヒメ達に向ける。

 

「君達に『落ちた流れ星の調査』を依頼した依頼主について調べてたんだ。そしたら何と……」

 

 そう言って彼はタギツヒメの方に向き……

 

「君だよね? 流れ星を調べて欲しいって頼んだの。君の声を、僕が忘れる訳が無いからね!」

 

 持っている光線銃をスラッシュに向けた。

 

「俺が? 何をバカな事を……」

「その時に会話した依頼の電話を録音したんだけど、君の声と一致するかどうか調べて欲しいかい? 君だって気になるだろ?」

 

 エイティの言葉に、スラッシュは舌打ちをする。

 録音されていたとは思っておらず、そんな事をしなくてもバレてるのが解ったのだろう。

 

「つまり、俺達は奴等の罠に……」

 

 イグナイトの言葉にエイティは無言で頷く。

 

「うすうす気づいてたが、やっぱりそうだナァ」

「エイティの話が本当なら、俺達は嵌められたって事になるでゴス!」

「ここを決戦の舞台にしようというのか……」

 

 エアとジェットとジャンボは、流れ星の調査の依頼がタギツヒメ達の罠だと理解した。

 イグナイト達が帰国して一ヶ月経ったタイミングで落ちた流れ星の調査を依頼。それを受けてここに来たイグナイト達を倒すというベノム達の計画である。

 するとタギツヒメは不敵な笑みを浮かべ、エイティを見る。

 

「お前は確か、イグナイト達の所に逃げた役立たずの裏切り者か」

「あなたから逃げたお陰で、僕は大切なものを手に入れる事が出来ました。後悔もありませんし、戻ろうと思いません」

 

 皮肉を込めた挑発な言動を取るが、タギツヒメは動じない。

 

「皆、無闇な戦いは避けたい所だけど、強行突破した方が良いと思うよ」

「強行突破って、下手すりゃどうなるか……」

「解っている。ベノム達が強くなってる事と、ここで暴れると大変な事になるかもだけど、強くなってるのはイグナイト達も同じでしょ? 修行の成果を奴らに見せるチャンスだよ!」

 

 修行やら何やらで強化されたベノム達とここで荒魂による騒ぎを起こせば大勢の刀使が来てしまうという心配をするイグナイト。

 しかし、エイティの言葉で迷う事が無くなったと笑みを浮かべた。

 

「タギツヒメ、悪いが俺達は帰らせてもらうぜ。再会して直ぐにここを墓場にされたらと思うと寒気がしちまってね」

「我が簡単に帰すと思うか?」

「だから、俺達は強行突破するんだよ。どうしてお前が復活したのかを知りたかったが、今は帰る事が優先だからな!」

 

 そう言ってイグナイトはスパイク付のメリケンサックを取り出し、攻撃を仕掛ける。タギツヒメは御刀で彼の右拳を防いだ。

 ジェットは彼に続くように銀色のレイピアを取り出し、横からタギツヒメに奇襲を掛ける。ベノムは彼女を庇うように立ち、右腕から針を飛ばすが、弾かれてしまう。

 ベノムが飛ばす針を華麗にかわし、間合いに踏み込むと同時にレイピアの剣先がベノムの頭へ突き刺そうとする。

 その時、スラッシュが右腕の鋏でそれを弾いた。それによりレイピアを持っているジェットの腕が上へ上がって隙が生じてしまう。

 このままでは拙いと、咄嗟にスラッシュから距離を取って構え直す。

 

「ジェット、今日こそお前を血祭りに上げてやる!」

「それは叶わぬ夢だ。諦めて海へ帰れ!」

 

 互いに地面を踏み込み、剣戟を繰り広げる。ジェットのレイピアとスラッシュの鋏がぶつかり合って金属音が鳴り響く。

 ジェットは斜めに振り下ろすスラッシュの鋏をかわし、脇腹を素早く突く。次に胸や肩をすかさず突いた後、距離を取る。

 苛立つように舌打ちをしたスラッシュは走り出し、鋏を開いてジェットへ突き出すが、音速のような速さで後ろに回りこまれ、背中を力強く突かれて前へ倒れてしまう。

 

「クソがぁ……」

 

 彼は恨めしそうにジェットを見る。

 憎き相手にここまでコケにされて屈辱だと感じたのだろう。

 

「確かに、お前は強くなっている。力だけはな」

 

 スラッシュが立ち上がったタイミングを逃さず、ジェットは追撃しようとするが…

 

「ぶ~ん!」

 

 横からベノムの体当たりを喰らい、地面に転がる。

 

「僕ちんを忘れて貰っちゃ困るぶ~ん!」

 

 ベノムがいた事を忘れて畳みかけようとした時が迂闊だったとゆっくり立ち上がり、レイピアを構え直す。

 コイツがスラッシュと連携を取ってしまえば、こちらが不利になってしまう。確実に仕留めなければ……

 そう考えたジェットは、素早く間合いを詰めてベノムに攻撃を仕掛ける……と見せかけてスラッシュへ方向を変え、レイピアで頭を目掛けて突く。

 

「させるかぶ~ん!」

 

 横から飛んで来たベノムの針を咄嗟に叩き落とすが、その隙を突かれてスラッシュに殴られた。

 倒れず堪えたジェットをすかさずベノムは針を飛ばす。それを全て弾き落とすジェットは、スラッシュの斬撃を受けてしまう。 

 二体の猛烈な攻めに防戦一方になるジェット。

 

「このまま畳みかけるぶ~ん!」

「死ねぇジェット!」

 

 このまま二体にやられてしまうその時、木の枝に立っているエイティが光線銃で背後からスラッシュを撃つ。

 

「後ろががら空きだよ、蟹さん!」

 

 エイティは光線銃で射撃し、放たれた光弾をかわすスラッシュ。

 ジェットは連携が乱れ始める瞬間を逃さず、ベノムに弾丸のような連続突きを浴びせる。不利だと感じたベノムは、彼等から距離を取る。

 ベノムの姿が見えると、タイミングを逃さんとエイティは光線銃で撃つ。

 

「こいつ~役立たずのクセに生意気だぶ~ん!」

 

 右腕から針を飛ばそうとするベノム。それを待っていたかのようにエイティは左手首から弾丸のような形をした糸を飛ばす。

 見事にベノムの右腕に命中すると同時に、背後の木にその腕がくっついてしまう。

 何とかして剥がそうとするが、粘着力が強い為か、そう簡単に糸が剝れない。

 

「やっぱり役立たずを敵に回すと手強くなったぶ~ん……」

 

 役立たずとエイティを侮った自分が情けないと思い、ベノムはため息をついた。

 ジェットと交戦しているスラッシュは、彼から素早く距離を取って枝に立っているエイティごと木を切る。

 

「よっと! 力強いね~蟹さん。でも、蜂さんと連携が乱れると、戦い易くなるよ!」

 

 それと同時に別の木の枝へ飛び移り、左手首から弾丸のような糸を飛ばす。はたき落としてやると右腕を振り上げるが、その前に糸が顔に直撃してしまう。

 慌てて彷徨うように歩きながら左手で糸を剥がそうとするスラッシュの姿に、エイティは笑みを浮かべるのだった。

 

「剝れないぶ~ん!」

「うご、うごごご……」

 

 エイティの糸を剥がすのに苦戦しているベノムとスラッシュの姿にため息をつくジェット。

 役立たずと呼んだエイティにやられて呆れてるのだろう。

 

「エイティ、今度はイイ女を紹介する。だから俺達から離れないでくれ」

「もう失恋記録を伸ばしたくないよ。これ以上行ったら僕は……」

「お前にベストマッチな美少女を用意する。ちゃんと思い出に残るデートもセットするから」

「……」

 

 ジェットの説得(?)でエイティは、彼と無言の握手を交わすのだった。

 

 その頃、エアはどうしてるのかというと、二体の荒魂と戦っていた。

 ハゲタカの荒魂のジャマダハルをトンファーで受け流し、隙を逃さんと腹と顔面に叩き込んだ後に距離を取る。

 行く手を阻むように現れたサソリの荒魂は構えると、尾を伸ばしてエアへ襲い掛かる。これに対しエアは尾をかわし、彼を踏み台にして飛び越えた。

 

「ナメやがって!」

「素早いからっていい気になってんじゃねぇぞ!」

 

 コケにされたと思い、怒鳴りながら彼を追った。

 ジェット程ではないが、エアは素早い動きが出来る。体術やトンファーを武器にしてるものの、ヒット&アウェーの戦法と地形を生かした戦い方を主としている。

 彼らから逃げるように走るエアだが、横から斬撃なような何かを喰らい、よろけてしまう。

 

「平和ボケしたせいで鈍ったんじゃないのか?」

 

 そう言って木から現れたのは、ショーテルを持ったカメレオンの荒魂である。

 彼は姿を消す透明化の能力を持っており、エアに気付かれぬよう様子を見ていた。

 

「かもしれネェ。だが、今のでお前の能力が解った。後は実行するのみだ!」

 

 その場で間合いを詰め、咄嗟にショーテルを振るうカメレオンの荒魂の攻撃をかわし、顔面を殴ってから踏み台にして飛び越えた。

 何かを仕掛けるかもしれないと感じ、やって来たハゲタカの荒魂とサソリの荒魂と共にエアを追う。

 他の二体と違い、彼が言ってた『実行するのみ』という言葉に嫌な予感がしているからだ。

 

「ぶっ殺してやるぜ!」

「俺達から逃げられると思うんじゃねぇぞ!」

 

 自分を追っている彼らを見てエアは不敵な笑みを浮かべる。

 カメレオンの荒魂はエアの背中姿に違和感を覚える。いくらなんでも、出来過ぎではないかと。

 

「さてと、そろそろ俺が指定した場所に着く頃だ」

 

 そう小声で呟き、走る速度を上げた。

 

「待ちがやれ!」

「速度を上げやがってクソ野郎が!」

 

 二体の荒魂が同じように速度を上げると……

 

「待て! これ以上追うな!」

 

 カメレオンの荒魂は何かに気付いたのか、二体の荒魂を制止しようとしたが、時は既に遅し。

 

「ジャンボウォール、ただいま参上でゴス!」

 

 彼等の目の前で地面からジャンボが待ち構えていたように出てきた。三体の荒魂は、周りを見て道幅が狭い谷にいる事に気付く。

 エアは彼らから逃げたのではなく、ここへ誘導したのだ。一人で戦っていたのは、ジャンボをこの道の地面に潜ませたからだ。

 

「へっ! 何がジャンボウォールだ? こんな奴、ただのハリボテだろうが!」

 

 そう言ってハゲタカの荒魂はジャマダハルを取り出して突進するが、ジャンボの強靭なる鋼の肉体に弾かれて思わず尻もちをついてしまう。

 攻撃が通じない上、目の前に大きな壁が迫ってくると錯覚したのだろう。

 

「こういう時は毒で弱らせるのが一番だ! どいてろ!」

 

 怯んで動けなくなっているハゲタカの荒魂を無理矢理どかし、尾の針で攻撃するサソリの荒魂。

 しかし、ジャンボの肉体に針が通らず、傷つかないどころか、折れてしまう。

 

「う、嘘だろ……俺の針が!」

 

 自分の尾を見て驚愕し、項垂れるサソリの荒魂。

 

「我々はまんまと奴に…」

「嵌められたって事か? この状況から見れば確かにそうだナァ。お前がもうちょっと先にこいつ等を止めてりゃ、こんな事にはならなかったぜ」

 

 カメレオンの荒魂達はこの場から逃げようとするが、エアはジャンボの肩を踏み台にして跳ぶ。そして前へ宙返りすると同時に捻りを加え、カメレオンの荒魂に向けて右手から竜巻を放つ。

 彼らはその竜巻で吹き飛ぶと同時にジャンボの身体に激突し、そのまま気絶する。

 

「確かにこいつ等も強くなってたが、詰めが甘い所がある」

「流石はイケメン策士でゴス。今回のように、女の子にモテモテになる策を教えて欲しいでゴス」

「へっ、今度教えるよ。それより、さっさとイグナイトと合流しなきゃナァ。ここから遠くなっちまった」

「今頃、ジェットとエイティは合流してると思うでゴス。行くでゴス!」

「ったく、お前が仕切るんじゃネェよ」

 

 二人はカメレオンの荒魂達を後にし、イグナイトに合流する為、ここから走り去った。

 

 彼らが戦ってる場所から離れた森の奥。

 二本の御刀を使うタギツヒメとスパイク付のメリケンサックを手にはめたイグナイトが攻防を繰り広げていた。

 

(力が弱まってるとはいえ、剣の腕は相変わらずだ)

 

 タギツヒメを見て険しい顔になるイグナイト。

 全盛期より力が弱まったとはいえ、剣の腕は衰えず変わってない。倒す気でいかないと不利になってしまう。

 

「我を目の前にして考え事か!」

 

 彼の間合いに踏み込むと同時に右手の御刀を振るうタギツヒメ。

 イグナイトは咄嗟に後ろへ下がるように回避する。そして僅かな隙を逃さず、脇腹に一発叩き込み、前蹴りでよろけさせ、懐に入って右アッパーを喰らわせる。

 その勢いで後ろへ下がってしまい、ダメージがあったものの、タギツヒメの余裕な姿勢は崩れない。

 何かあるのではないかとイグナイトは彼女を睨む。

 

「成る程、あの時よりも力が増している。お前が我を……葬ったあの時よりも……」

「力だけじゃない、戦い方もな。それより、お前が持っている御刀だが、大典太と鬼丸だよな。何処でソイツを手に入れた?」

 

 イグナイトに尋ねられたタギツヒメは、不敵な笑みを浮かべる。

 彼女の持っている御刀は鬼丸と大典太は、天下五剣に数えられている名刀である。

 その質問に、何か可笑しな所があったのだろうか。

 

「本当にお前は我をイラつかせる荒魂だ。我を裏切った挙句に葬った……そして、この御刀が元々我の所有物である事も忘れている!」

 

 タギツヒメは一気に彼の間合いを詰め、大典太で斜めの下段から斬り上げようとする。その瞬間にイグナイトは体捌きをするが……

――間に合わない、だったら!

 

「ファイアナックル!」

 

 かわしきれず、大典太の刃が迫って来るタイミングで炎を纏った拳で弾く。その場で距離を取った後、突進するように間合いを詰めて右ストレートを仕掛ける。

 タギツヒメは鬼丸で受け流してイグナイトがバランスを崩した所で斬る。そのまま素早く移動しながら大典太と鬼丸で怒りと憎しみを込めて甚振るように斬り付ける。

 彼女の斬撃を浴びたイグナイトの服や身体にはハッキリと言う程の切り傷が目立つ。それと同時に彼は受けたダメージで片膝を落としてしまう。

 

「外へ行って鍛錬を積んで来た事だけあるな。だが、ここまでだ……」

 

 タギツヒメはイグナイトを見下ろし、鬼丸を振り上げる。

 まさに鬼丸の錆にされてしまうその時、彼女の足元に光弾が着弾した。

 

「っ!?」

 

 後ろを振り向くと、こちらへ向かって来るジェット達の姿が見えた。

 タギツヒメはエイティの射撃と糸をかわし、イグナイトから離れる。

 

「大丈夫か、イグナイト!?」

「問題ねぇよ。今は海外で鍛えた甲斐があったと思ってる所だ」

「傷だらけじゃネェか。ったく、タギツヒメが以前より弱いから油断してたんじゃネェのか?」

「剣術の腕は相変わらずだよ。そしてヤツの怒りと憎しみに呑み込まれそうになったぜ」

 

 ジェット達の助けがあって何とか立ち上がると、後からタギツヒメの下にベノム達が駆け付けて来る。

 これでもう強行突破の道が閉ざされ、決戦かここでやられるしか無くなってしまった。イグナイトはタギツヒメによる斬撃で傷だらけになっており、戦力的には不利である。

 

「肝心のソイツが手負いでは、もはやお前達に勝ち目はない」

 

 ベノム達はやられた仕返しをせんと、それぞれ武器を取り出し、イグナイト達へ歩み寄ろうとする。

 ここまでなのかと諦めかけていたその時……

 

「諦めるにはまだ早いぜ。タギツヒメから逃げる方法を思いついたんだ」

「逃げる方法!? それは一体何が……」

 

 驚いているジェットが言い掛けた所でイグナイトは叫びと共に気合で全身から炎のオーラを放つ。近くにいるエアとエイティとジャンボに熱いと感じる位に高い温度が伝わる。

 傷を負っているのにも関わらず、こんな大きな力を出しても大丈夫なのかと心配するジェット。タギツヒメは、まだ残っていたかと不敵な笑みを浮かべる。

 

「本当なら荒魂と戦う時にお披露目をしたかったこの技だが、しのほど言ってられねぇ。だから……」

 

 炎のオーラで赤くなった右拳を振り上げ……

 

「今ここで使うぜ! ブレイズ・ガントレット!」

 

 思いっきり地面に叩き付ける。それと同時に音が響く程の大爆発が起こり、土煙が蔓延する。

 

「くっ! 味な真似を……」

 

 ベノム達は突然の出来事に驚き、イグナイト達を捜している一方、タギツヒメは動かず晴れるのを待っている。

 もしかしたら、この煙の中で奇襲してくるに違いないと思ってるのだろう。

 

「何処だぶ~ん! 何処だぶ~ん!」

「クソ! 煙で何も見えねぇ!」

 

 煙が徐々に晴れ、彼らはイグナイト達に攻撃を仕掛けようと身構える。

 しかし、目の前の光景に驚愕する。

 何故なら、完全に晴れた時にもう姿が消えていたからだ。

 目くらましとして大きな大爆発を起こし、その隙に逃げたんだとタギツヒメは察する。

 

「タギツヒメ様……」

「行くぞ。この場所に用は無い」

 

 次に会ったら仕留めてやると、タギツヒメはベノム達と共にこの場を後にした。

 

 そしてイグナイト達は……

 

「お前の新技って、こういう事に使うんかいぃぃぃぃぃ!!!」

 

 先程の大爆発によって、より高く空に上がっていた。

 イグナイトが使ったブレイズ・ガントレットを地面に叩き付けるとは予測しておらず、思わずジェットがツッコミのような叫びを上げてしまった。

 

「アレ使う時、嫌な予感がしてたんだよ。こういう事になるってね」

 

 エアの方は、イグナイトの右拳を見た時に何かを察していたようだ。

 

「空を飛んでるゴス~。まるで雲になった気分でゴス!」

「この状況でそんな事が言えるなんてな……」

 

 楽しんでいるような感じになっているジャンボにため息をつくジェット。

 そしてエイティに至っては……

 

「今思えば、『ゴッドストライカー』だのブイブイ吹かして屋敷の中でサッカーしたのが失恋の始まりだったのかなぁ~。もし天国へ行けるとしたら、包容力のある女性に出会いたいなぁ~」

「ゴッドストライカーと屋敷の件はお前のモデルであるキャラのヤツだろうが! つーか諦めんな!!」

 

 失恋の日々を思い出し、諦めモードとなっており、そんな彼にジェットはツッコむように叱咤する。

 

「んで、どうすんだイグナイト。さっきまではシリアスな感じなのに、オチがこんなんだけど?」

「えっと……俺達が吹き飛んで『キラーン☆』みたいなスタートだけど、次回からよろしく~!」

「よろしくじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 エアに尋ねられたイグナイトは挨拶する。そして、ジェットの叫び声と共に空の彼方へ飛んで行った。




雪那「お兄ちゃん♡雪那を見てくれないとダ・メ・だ・ぞ♡」

沙耶香「オロロロロ……」

雪那「何で吐くのよ沙耶香ぁぁぁぁぁ(泣)」
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