二曲目の英雄 作:不思議稲荷
デンドロイベがあったから──はい正解!
こっからは受験期入るので二カ月に一度の定期更新カタパルトを設置しておきましたのでそれでご容赦下さい。なお無事に受験が終われば書き足す可能性が非常に高いです、つまりは……すいません
ともかく更新再開です
「嗚呼、長かった」
荘重な建造物を仰ぎ、感嘆と密かな興奮を
例の事件の直後など上へ下への大騒ぎだった。狙われた父母の注目度が元々高い上、どこが素っ破抜いたのか私の写真まで流出。連日マスコミ各社のバーゲンセールだ。半月も過ぎれば話題性も薄れて随分大人しくなったがね。
逆にその後は何も無く、実に平凡の極みで大いに助かった。正しく禍福は
「ここがスタートラインだ。鶏鳴で通してくれるくらいの関門なら助かるのだが」
此方には
既に試練への対策は済ませてある。大丈夫だとは思いつつも、やはり不安の種は肺腑にしっかりと根を張る。仕方ないだろう。今から挑むのは倍率300倍の超有名マンモス校、雄英高校なのだから。
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『今日は俺のライブにようこそ!!エヴィバディセイヘイ!!』
高校の入試は筆記と実技の二段階評価。先に筆記を終えた受験者は皆巨大な講堂に集められた。
そこに来て、着席するやいきなりこれだ。当然誰も返答するまい。というより返せる精神状態ではないだろう。緊張を解したかった? ハハハ、さっさと終わらせてくれた方がありがたいというのが受験生一同の共通認識だ。ノリの良いリスナーを期待していた解説役には悪いがね。心中はお察ししよう。私も若輩の頃にはよく経験したものだ……今の私も若輩か。
『こいつはシヴィー!! 受験生のリスナー! 実技試験の概要をプレゼンするぜ!! アーユーレディ?!』
氷点下を下回る聴衆にもめげない強靱なメンタルでプレゼンしてもらったところによれば、実技試験は架空敵として用意された1ポイントから3ポイントまでのロボットを破壊し、その合計によって判断するらしい。
他にも妨害目的で用意された敵もいるらしいが、まあ捨て置いてよいだろう。
『最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう。かの英雄
ナポレオン・ボナパルトとは、
説明は以上で終了し、ぞろぞろと受験者が指定された区域に散っていく。中にはか弱そうな女生徒等もいるがよくよく考えればこの試験、私のような指揮者や後方支援型には不利じゃないか? いくら戦闘能力が求められる職業とはいえ、それ以外を
さて人の流れに従って試験の開始地点には到着したわけだが、合図があるまでこのラインを越えてはいかんのか。逆に言えば、越えなければ何をしてもいいな?
「クラヴィール」
キーボードを首から提げたハーピィが重力の楔を振り切って飛び立つ。生憎と試験では役に立たないパートだが、無能でもない。
『サンジホウコウハチタイ、シチジホウコウジュウイチタイ、クジホウコウキュウタイ、カクニンシマシタ』
「ご苦労」
しばらく上空をたっぷり旋回したハーピィは、降下すると器用にも鍵盤を叩いて報告を行う。これで粗方の目処は付き、情報の無い状況で始めるよりはアドバンテージを得られた。そういえば試験の開始時間を教えられていないが、いつまで待たせら──
『ハイスタートォ!!』
──れなかったな。
『どうしたどうしたァ! 賽は投げられてんぞ!?』
煽るマイクが会場中に響き渡る。悪意を感じるこの開幕、対応が冷たかった腹いせか? いやまさかな。仮にもトップ校の教師だ。人格に問題があるようならば採用はされないだろう。
「我々も行くとするか」
『ブッコロス!』
訂正、試験目的とは言えロボットに『ブッコロス』を連呼させるのは少し危ないかもしれない。開始早々、事前にハーピィが指定した物陰から物騒なロボットが現れる。明らかに銃座らしきものを搭載しているが、まさか6発に1発実弾が出るロシアンルーレット方式は採用してないよな? 全部ゴム弾だよな? 油断したところをズドンなんてお断りだ。実はただでさえこの試験、私と
まあ、
「“ストリングス”」
だからどうしたという話に帰結するが。
弦楽器の音に、ロボットの上下が切り切り舞う。
そもそも私を誰だと思っている?
私はロボットクリエイトの最先端、元〈叡知の三角〉所属の戦闘員。【
「……改めて考えると、クラン脱退の際に置き土産をする義理は無かったかもしれん」
オーナーへの恨みとオーナー以外のメンバーへの感謝の間で揺れ動きながらも、タクトを振る腕は止めない。おっと危ない、物陰から急に飛び出すな。誤射されても文句は受け付けんぞ。
攻撃の手を止めてやったのに舌打ちするような愛想の悪い他の受験者は気にせず、単純作業に従事しよう。次々とポップするロボットがパーカッションの振動結界に踏み込めば崩れ去り、振動結界には立ち入らずともより射程の長いストリングスの超音波メスに切り刻まれる。数は20を越えてから数えるのをやめた。
「しかしこうも単純作業が続くと飽きがくる。バリエーションを増やすか、せめて聴衆でもいればまだやる気も起ころうに……」
残念ながら、私は退屈なルーティンを際限なく繰り返せるほど強靭な精神を持ち合わせていないのでな。その点においてクランの作業員たちは尊敬に値する。私だったら精神が崩壊するだろうさ。
などと懐かしい
ガゴンッッッッ
今までの戦闘音とは明らかに異質な、もっと巨大な物の駆動音が轟く。ああ、かれこれ数分間も人知れず演奏を続けた寂しい私のリクエストに報いたつもりか、急遽遠くの巨大な