私の名前はモップ・・・もとい、篠ノ之箒。
今日は皆が待ちに待った筆者の故郷である福岡への修学旅行だ。
勿論私も楽しみにしている者の1人である。
太宰府天満宮には一度行ってみたかったし、本場の豚骨ラーメンや梅ヶ枝餅に明太子と、グルメに舌鼓を打つのは非常に楽しみだ。
私は今日の為に日々特訓を繰り返してきた。
酔い止めなしでバスや電車に乗っては何度も吐いたし、失神しかけた。
だが、その甲斐あって、何とか多少は電車・バスへの酔いは改善した。
今では酔い止めさえあれば電車に30分ぐらいならば平気で乗り続けられる程になったのだ!
だが・・・
『本日は、当エアラインをご利用いただき、誠にありがとうございます』
まさか飛行機だったとは・・・見通しが甘かった。
冗談じゃないぞ・・・飛行機は私の中で苦手な乗り物ナンバー1。
乗る機会なんて滅多に無いから特訓のしようがないし、乱気流に入った時の凄まじい揺れ、耳にかかる空気圧etc・・・それら全てが私の三半規管を掻き乱してくる!
まだ電車もバスも克服しきれてないのに、そこから一足飛びで飛行機とかどんな無理ゲーだ!?
それに加えてもう一つ問題が・・・
「動くな!大人しくしろ!!」
覆面かぶった2人組の女にハイジャックされてしまった。
どういう状況だコレは!?
・・・だが、不幸中の幸いと言うべきか、我が校はIS学園。
教師はパイロットとしての能力や知識があり、腕っぷしも相当強い。
加えて初代ブリュンヒルデであるアホの千冬と、泣く子も恐怖で震え上がって黙る鬼畜ヒーローの一夏がいる。
この条件ではハイジャックなど成功しようもあるまい。
そうでなくとも離陸前に警察に包囲されて膠着状態だ。
それに、こうなってしまえばこちらも修学旅行どころではない。
恐らくこの旅行は中止され、延期になるだろう。
皆には悪いが、やはりいきなり飛行機はハードルが高過ぎる。
ここは一度延期してもらい、再特訓をして出直そう。
「ちょっと!どうなってるんですかラウラ隊長!?
私達藍越学園の修学旅行の飛行機を狙ってたはずですよね?
なのに何であのIS学園の連中が乗ってるんですか!?」
ん、何だ?ハイジャック犯の様子が・・・
「バカ!名前で呼ぶな!
しょうがないだろ!襲う飛行機間違えたんだから!!
大体、修学旅行の学生を狙おうと言ったのは貴様だろうがクラリッサ!!」
「アンタだって名前で呼んでるでしょうが!」
何だコイツら・・・ウチの学校と同じくらいの馬鹿じゃないか。
こんなのにハイジャックされたのか私達は・・・。
「ま、まぁ落ち着こう。こんな時に仲間割れなど命取り以外の何物でもない。
冷静に今後の事を話し合おう」
「そ、そうですね・・・。でも、どうしましょうか?
・・・い、いっその事、自首しましょうか?今ならまだ誰も傷つけてないし。
未遂なら刑務所で何年か臭い飯で済むでしょうし」
お、おい・・・ちょっと待て。
いくら何でも諦めるの早すぎないか?もう2〜3時間ぐらい粘れよ。
あんまり早過ぎるとそのまま修学旅行再開なんて事になりかねないんだぞ。
いや、落ち着け私!
いくら私が原作でモップだのクズインだの暴力女だのと呼ばれていようが、自分から犯罪に走る程腐ってはいない!
やはりココは奴らが犯罪に走らぬように願うべきだ。一市民として!!
「お前の気持ちはよく分かった」
お、解ってくれたか。
それで良い。じゃあこれから私は修学旅行延期を申請して・・・。
「とりあえず、飛行機発進を強行して、それから後の事を考えよう」
「ちょっと待て貴様ら!!」
『え?』
「『え?』じゃないだろ馬鹿かお前らは!?
今の話の流れだと、改心して自首する方向に話が進むべきだろうが!
それが何で飛行機飛ばすなんて話になる!?」
「す、スマン。
飛行機乗るのは初めて(これまでの移動は船での密航だけ)だからテンパってしまって、自分でも何言ってるのか分からなくなってしまった。
それに、周りに人が多過ぎて緊張してしまって・・・」
「よし、分かった。
おい!全員飛行機から降りろ!!」
私の一括で学園の皆と他の乗客達は飛行機を降りたのだった・・・。
・ ・ ・ ・ ・
「いやぁ〜、人がいなくなってスッキリすると落ち着くな」
「本当ですね。私達、結構人見知りしちゃいますから」
飛行機に残ったのは私と馬鹿なハイジャック犯2人組・・・私も降りてりゃよかった。
「この人と一緒ならもう何も怖くないな、クラリッサ!」
「はい!もう自首しようなんて思いません!!」
え・・・?
「ボス!次は何をすれば良いでしょうか?」
「ぼ、ボス・・・?」
ま、マズイ・・・いつの間にか共犯者にされている!?
「え、え〜と・・・よし、ならば政府に思いっきり無茶な要求をしてやれ」
「はい!それじゃあ・・・5億円用意してアメリカまで飛行機を飛ばすように言ってやります!!」
ふぅ・・・これで良い。これだけ無茶な要求なら政府も簡単には応じられないだろう。
後は警察に任せて、私は隙をついて脱出しよう。
「OKだそうです!
クラリッサ!金を確認次第発進だ!操縦を頼むぞ!!」
え゛!?
「確かに5億円確認出来ました!発進します!」
ちょっと待てぇーーーーっ!!!!
箒の奮闘も虚しく、飛行機は飛び立ってしまったのだった。
・ ・ ・ ・ ・
ぐえぇぇぇぇ・・・!ぎぼぢわ゛る゛い゛!!
酔い止めが全く効かん・・・だじげで〜〜〜〜っ!!!!
「何だかボスの顔色が悪いぞ?」
「誰がボスだ!?うっぷ・・・!」
案の定、この後私は盛大に吐いた。
こうして、私・・・篠ノ之箒の長い修学旅行が始まったのだった。
さらば箒。また会う日まで・・・
次回
『修学旅行の忘れ物』