今年もよろしくお願いします。
「それではこれより、皆さんの知能テストを行います!」
一学期も後半、季節は夏となる中、殆どの生徒にとって憂鬱な行事・・・知能テストの日がやって来た。
IS学園における知能テストは適正や学業の成績、日頃の生活態度を元に二種類に分けられる。
一夏、簪のような成績優秀者や、鈴のように適性がC以下かつ常識ある生徒には通常のIQテスト。
そして、残りのバk・・・もとい、適性の高い者や常識の無い度を超えた素行不良な者。
また、分類不能な者は・・・
「では、吊るしてあるバナナを取ってください。
制限時間は1時間。手段は問いませんし、物は好きに使って構いません」
ベッドの置かれた部屋にはバナナが吊るされ、下には台座と棒が置かれている。
そう、知る人ぞ知る『猿の知能テスト』である!!
「ガチで人間扱いされてねーな」
「まったくだわ。あそこに入らなくて良かった」
「でも仕方ないと思う私達は正常な筈」
「あーあ、大衆は猿か豚って宣ってたお嬢様が猿扱いなんて・・・」
猿扱いな底辺組を眺めながら、低レベルテストを免れた一夏、鈴音、簪、子分メイドは安堵と呆れの入り混じった声を上げていた。
「やれやれだ。本当に碌でもない猿共だ。ああはなりたくないな・・・」
「お前は箒が戻って来たら改めてテストするって山田先生言ってたぞ」
「・・・え?」
マスクド・L・篠ノ之ことラウラ・・・一応彼女は現在箒の替え玉として通学している身のため、今回の猿テストは免除されている。
だが、箒が戻り次第、彼女は本名のラウラ・ボーデヴィッヒとして編入する予定であり、その後に猿テストを受ける事が確定している。
「な、何故だ!?私は何も問題など・・・」
「ハイジャックの前科があるだろうが!」
case1 シャルロット
「まったく・・・何でこの僕がこんなエテ公のテストなんか。
事務所通して学園に抗議しちゃおうかな?」
普段ゴリラと仲が良いくせに自分が猿扱いされるのは嫌がるシャルロット。
ちなみに、彼女の場合人格に問題ありと判断されたが故に通常テストとは別にこのテストを受ける事となったのだ。
「こんなの簡単じゃん」
そう言うとシャルロットは道具には目もくれず、ベッドを引っ張ってバナナの真下に移動させた。
「はい、これで良しっと」
そしてベッドの上に立ってバナナに括り付けられた紐を解いてバナナを取る事に成功したのだった。
これが模範解答である。
case2 セシリア
「こ、この私に猿の知能テストなど・・・!
ええい!腹立たしいですわ!!」
案の定セシリアはキレ気味だった。
「こんなもの台に乗って棒を使えば簡単ですわ!!」
いきり立ちながら台に登って棒をバナナ目掛けて振るい、バナナを叩き落とそうとするが・・・
「あら?この・・・!あとちょっと!えぇい!!」
だが届かない!届いても落ちない!!
それもその筈、このバナナは簡単に叩き落とされないように、硬く紐に結ばれ、高さも生徒がギリギリ届かないように調節されているのだ!
そして、30分が経過した頃・・・
「ゼェ、ゼェ・・・ちょ、ちょっと休憩・・・」
届かないバナナと格闘し続け、すっかりバテたセシリアはベッドに倒れ込む。
「ど、どうすれば届くのでしょうか・・・ん?」
ココでセシリアは漸くベッドを使えば良い事に気付いた。
「セシリアさん、記録は30分です」
「・・・///」
猿のテストに30分も掛け、周囲からの呆れた視線に晒され、セシリアは顔を耳まで真っ赤にして覆ったのだった。
case3 I沢Sin太郎
『それでは、スタートです』
真耶からの合図にI沢はバナナを一瞥し・・・
「ターゲットロック・・・シュート!」
何と、手甲部からカッターを飛ばして、バナナを吊るす紐を切り裂いてしまった!
「フッ・・・取ったぜ」
落ちて来たバナナをキャッチし、クールな態度を見せるI沢。
『あ、はい・・・合格です。
・・・そりゃそうよね、ISなんだから』
真耶は深く考えないようにした。
case4 刀奈
「このっ!このっ!このぉっ!!」
続いては刀奈。先のセシリアと同じく、棒を使って取ろうとしているが、当然ながらまるで上手くいかない。
「クッ・・・それなら!」
苛立ちながらも、刀奈は台から降り、バナナ目掛けて棒を投げ付けた!
だが・・・
「あ、外し・・・ホゲェっ!?」
棒はバナナに当たる事なく、天井・壁・床と跳ね返り刀奈の顎に直撃した。
「ふおぉぉぉぉ・・・・・・!」
顎に痛感の一撃を喰らい、刀奈は悶絶。
数分間のたうち回る事となってしまった。
「ハァハァ・・・このままじゃダメだわ。・・・かくなる上は」
やがて回復した刀奈は何を思ったのか両腕を広げ、手首を動かして手の平をパタパタと動かし始めた。
『・・・あ、あの、更識さん?何やってるんですか?』
「決まってるでしょ?飛ぶんですよ。翼で!」
『は?』
訳の分からない回答に真耶は思わず間抜けな声をあげてしまった。
「だって私には、私達には・・・私たちの心には・・・翼があるのだから!」
『・・・』
目をキラキラさせながらそんな馬鹿丸出しな台詞に真耶は何も言えなかった。
そして・・・
『1時間経過。時間切れです』
うんざりした様な声で時間切れを告げる真耶。
当然、結果は失敗である。
「うぅ・・・そ、そんな・・・私には翼が無かったの?
この前見たアニメでは皆飛べてたのに」
そんな理屈で飛べてたまるか。
「お姉ちゃん、1週間ぐらい私に話しかけないで。恥ずかしいから」
「うわぁ〜ん!!(泣)」
顎だけでなく、心にも痛恨の一撃を受けた刀奈であった。
なお、この後簪は本当に1週間刀奈と口を利かなかった。
case5 ゴリラ
続く挑戦者はゴリラ。
だが、ゴリラは開始早々部屋を出てしまった。
『・・・やっぱりゴリラにこのテストは無謀だったかな?
・・・あれ?』
諦め混じりにつぶやく真耶だったが、不意にゴリラは戻って来た。
その腕に脚立を抱えながら。
「ンゴッ、ンゴッ」
そしてそのまま脚立を器用に登ってバナナを取ったのだった。
『・・・・・・下手な人間より頭良い』
呆然としながら真耶はバナナを美味そうに食べるゴリラを暫し眺め続けたのだった。
case6 千冬
さて、いよいよ学園No. 1の馬鹿・千冬の出番な訳だが・・・。
「フン!フン!フンッ!!」
結論を先に言えば千冬はテストをクリアした。
「ふんぬっ!ふんぬっ!!」
某吸血鬼の如く壁に足をめり込ませてよじ登り、吊るされたバナナを力づくで手に入れたのだ。
「どうだ!取ったぞ!!」
『・・・えぇ、一応合格です。脳筋極まりないやり方ですけど。
・・・次は壁をもっと硬い材質に変えないといけませんね』
case7 アームストロング
『えー、それではアームストロングさん。始めてください』
そして最後の挑戦者、アームストロングは・・・
「・・・・・・」
しばしの沈黙の後、アームストロングは先程刀奈がやったように腕を伸ばし、手をパタパタと羽ばたかせる。
『・・・またそれです、か・・・!?』
呆れた表情を浮かべた真耶だが、その表情は一気に凍りついた。
何と、アームストロングの身体が・・・
『う、浮いてる!?』
本当に宙に浮いて飛んでバナナを取ったのだ!!
『ちょ!?な、何で!?どうやって飛んでるんですか!?』
「・・・・・・心の、翼で」
『・・・・・キェェェェェェアァァァァァァ!!シャァベッタァァァァァァァ!!?』
真耶の疑問はアームストロングの言葉に一瞬で吹っ飛んでしまった。
今回の話はpixivにてブラストさんからのリクエストになります。
なお、今更ですが子分メイドの外見とCVのイメージ
外見・『ぱにぽに』の桃瀬くるみにメイド服
イメージCV・植田佳奈