「何やっとるんじゃバカ姉がぁ〜〜っ!!」
「ひでぶっ!?」
俺の拳骨を喰らい、のたうち回るバカ姉……織斑千冬。
IS適性は最高レベルのS判定。
モンドグロッソというISの世界大会でにおいて栄光ある初代優勝者という輝かしい経歴を持つ人物だ。
が、輝かしいのはそれだけ!
それ以外はもう何もかも酷いの一言!
「おいコラ、バカ姉。何か言う事があるんじゃないのか、ああ?」
「ご、ごめんなさい……留年の事黙っててごめんなさい」
俺に胸倉を掴まれ、千冬姉は萎縮して目を逸らしながら謝罪の言葉を吐いた。
「本物よ。本物の織斑千冬よ」
「留年しまくって未だに高校生って噂は本当だったのね」
更に周囲から聞こえる呆れにも似た声。
俺だって噂だけであって欲しかったよ!!
気付かなかった俺も大概だけどさ。
元々IS学園に通ってるのは知ってたけど、ぶっちゃけ学園の警備員とかの仕事でもしてるのかと思ってたんだよ。
だって千冬姉、毎月給料だってもらってる上に、たまにISの小規模な大会に参加して賞金稼いでくるし。
(※実際の所、後者はともかく、前者はISの実験に付き合うバイトによるものだと知ったのは昨日の事だ)
この学園の進級試験って相当緩いんだぜ?
2年は掛け算、3年は割り算、卒業に至っては分数と小数点が理解出来れば合格。
そんな中で未だに1年のままって……、まさかココまでバカだったとは。
「えーっと、織斑君。今はホームルーム中です。
お姉さんを絞め上げるのは放課後まで待ってください」
「あ、真耶さん……」
そんな中、俺を止める担任の声。
この童顔だが巨乳の女性の名は山田真耶。
千冬姉の元後輩で俺も仲良くしてもらってる。
「学園では山田先生と呼ぶようにしてください。
まぁ、お気持ちは痛い程解りますよ。私だって先輩だった人が自分の教え子になるなんて……」
そして、俺にとっては自分と同じく千冬姉の馬鹿さ加減に頭を痛める同志とも言うべき人だ。
・ ・ ・ ・ ・
そんなこんなで、俺は千冬姉を解放し、一度は滅茶苦茶になったホームルームも終わりを迎え、授業を経て今は昼休み。
さっさと飯を済ませた俺が今何をしているかと言うと……
「駄目だ……一問も解らん」
現在、千冬姉の勉強を見てやっている真っ最中だ。
「あー……これはまだ千冬姉にはまだ早かったか」
溜息を吐きそうになるのを我慢し、悔しそうに唸る千冬姉の手元にある問題集……小学3年レベルの算数ドリルを見る。
見事なまでに解答欄には何も書かれていなかった。
「よし、じゃあこっちにするか」
代わりに渡したのは小学2年用のテキスト『猿でも覚えられる掛け算九九』だ。
「……すまない」
「良いって。その代わり、今年こそ必ず進級して、そのまま一緒に卒業しようぜ」
「……うん(涙目)」
でなきゃ俺が恥ずかし過ぎて日の当たる場所を歩けなくなるから。
千冬姉だって卒業しないと色々アレだし……。
やっぱ肉親としてちゃんと嫁の貰い手ぐらい見つけてやりたい。
「あ、それは問題ない。見つからないならお前に娶ってもらうから」
「ふざけんな、心読むな、姉弟で結婚なんか出来るか!」
「あべしっ!?」
アホなことを抜かすバカ姉を拳骨で黙らせた。
何を抜かしてんだコイツは!?しかも目が本気だったぞ……。
その後、結局千冬姉は掛け算九九にも悪戦苦闘したのは言うまでもない。
次回、中学の時の自慢大会。
本作においてIS適性は、高ければ高い程に知能指数が低いという設定デス。