※蘭好きな人、閲覧注意。
遊園地内のフードコートに集まる3組のカップルとそれを追いかけてきた馬鹿4人とツッコミ役2人。
そしてその中において渦中の人物でもある一夏と真凛、そして千冬は同じテーブルに座っていた。
「「・・・・・・」」
お互いに沈黙する一夏と千冬。
一夏の方は呆れ半分困惑半分、千冬の方は完全に萎縮してしまっている。
「それで、俺と真凛の関係知って、デートに横槍入れようとしたのかよ?」
「う、うぅ・・・」
「はぁ・・・まぁ、彼女居るって事言わなかった俺も俺だから、千冬姉の事あれこれ言えねぇけど。・・・さっきのお化け屋敷のアレは落とし前つけたし」
溜息を吐きつつ、一夏は一度立ち上がる。
「取り敢えず、飯買って来る。後の事は飯食いながらじっくり話そう。
後、真凛に変な事するなよ」
念押ししてから一先ず売店へと向かう一夏。
テーブルには真凛と千冬の2人が残された。
「・・・一夏君のアレ、照れ隠しですよ」
「そ、そうなのか?」
そんな彼氏の後ろ姿を微笑ましく見守る真凛の言葉に千冬は困惑しながら尋ねる。
「えぇ。一夏君、普段千冬さんに対してツンケンした態度かもしれないけど、本当はお姉さんの事、いつも心配してるんですよ」
「ほ、本当か!?」
「本当ですよ。私達の関係も、『千冬姉がちゃんと進級出来たら改めて言おう』って言ってましたから。
だから必ず自分が同じ学年の内に学校を卒業させるって、いつも言ってました」
「っ・・・!」
真凛の口から語られる弟の本音に思わず声にならない声を上げて涙ぐむ千冬。
「千冬さん、私・・・一夏君と真剣にお付き合いしてます。
千冬さんにとっては、いきなり出てきて大事な弟さんと付き合ってる、何て受け入れ辛いのは分かってます。
でも私達、本気なんです。本気で結婚するつもりなんです。
認めて、貰えませんか?」
「う・・・うぅ・・・・・・、
弟を・・・一夏をよろしくお願いします」
「っ!あ、ありがとうございます!!」
真凛の穢れの無い真っ直ぐかつ純な瞳で見詰められながらの懇願に、千冬は狼狽し、暫し唸りながらも、やがてどこか観念したように首を垂れた。
「お待たせ・・・って、どうしたんだよ千冬姉?」
「い゛ぢがぁぁっ!」
直後に戻ってきた一夏に千冬は涙と鼻水を垂らしながら飛び付いた。
「どわぁっ!?な、何だよいきなり!?」
「私、絶対進級するがらなぁ!お前も幸せになっでくれぇ!!」
「だぁ〜〜っ!抱きつくな!鼻水が付くだろうが!!」
・ ・ ・ ・ ・
「あっちは、話付いたみたいですね」
「そうね。まぁ、丸く収まったなら良いけど」
「で、アンタらはどうするんだ?」
「まだデートを邪魔するって言うなら、相手になるわよ?」
残りのメンバー・・・透&子分メイド、弾&鈴のカップルは千冬と共にデートを邪魔しに来た虚達を軽く睨みながら尋ねる。
「今更、あれこれする気はありませんよ。
アナタ達にちょっかい掛けてたら命がいくらあっても足りません」
「私達は私達で適当に遊んで帰るよ」
「ふぅ・・・漸くこんな馬鹿馬鹿しい騒ぎから解放されますわ。
透達には迷惑をかけましたわね」
「でも忘れないで。アナタ達リア充の影には常に私達非リア充がいるという事を『お漏らし女は黙ってて』・・・(泣)」
こちらの騒ぎも一先ず収まり、漸く事態は収拾した・・・と、思われたが。
【ドカアァァン!!】
突如鳴り響く爆発音。
何事かと思い振り向く一夏達。
「な、何だ!?爆発事故か?」
「いや、違う・・・アイツは・・・!」
「あのガキ・・・なんて事を・・・!!」
爆炎の側に立つ人影に、弾と鈴は怒りの表情を浮かべる。
「見つけたわよ、貧乳雌豚泥棒パンダ!!今日こそアンタをぶっ殺してお兄を取り戻す!!」
現れたのは弾の妹・・・五反田蘭。
どこから持ってきたのかダイナマイトを片手に持ち、後ろには南町の男達数名を引き連れている。
「お前、何考えてんだ!?遊園地や俺達まで巻き添えにする気か!?」
「あ?うっさいわね。外野は黙ってなさいよ。
クソみたいな北町の遊園地やそこで遊んでるクソみたいな連中吹っ飛ばして何が悪いのよ?」
一夏の抗議に蘭は平然と答える。
その表情に罪悪感など全く無い。まさにサイコパスとも言うべき有様だ。
「あの愚妹に何言っても無駄だ。昔からあんな感じだからな」
「そうね。どうせあのダイナマイトもどっかの工事現場から掻っ払って来たんでしょ?
しかも、後ろの連中、皆南町の野球チームの残党じゃない。
野球の負けをこんなやり方で仕返しするとか、本当ありえないわ」
鋭く目を細めながら蘭を睨む弾と鈴。
そんな2人に蘭は憤怒の表情を浮かべて睨み返す。
「お兄、まだそんな女に騙されてるの?
やっぱりお兄には私が必要なんだ!
アイツも!アイツに味方する奴も皆殺しにして目を覚まさせる!!
アンタ達!遊園地もアイツらも遠慮なく殺っちゃいなさい!!」
『応!!』
蘭の合図で南町ビッグボンバーズ残党はそれぞれバットやスコップなどの武器を取り出し、周囲に散らばって暴れ回ろうとするが・・・
「ふっ!」
「え?ふげぇぇっ!?」
鶴嘴を振り回そうとする男の眼前に突如飛び込み、殴り飛ばす一人の少年。
子分メイドの恋人、透・ジョーンズだ。
「随分下らない動機で、こんな下衆な真似が出来ますね?
正直、余りに不快なので、遠慮無く潰させてもらいますよ」
「こ、このガk・・・グエェッ!?」
「透の言う通りですわね。実に不愉快極まりない・・・」
「折角のデートを、よくも邪魔してくれたわね・・・!」
仲間を倒された怒りに任せて透に襲い掛かる男の顔面に2人分の膝蹴りが炸裂する。
セシリアと子分メイドの主従コンビだ。
「な、何だコイツら、めっちゃ強い『オラァッ!!』・・・ギャアアアァッ!!」
「こ、この二人は、初代ブリュンヒルデとその弟、『フンッ!』・・・グガァァァァッ!!」
「ブリュンヒルデ?誰だそれは?
今の私は愛の戦士、チフユ13だ!!」
「人の恋路を邪魔する馬鹿は、くたばりやがれ!!」
続いて一夏と千冬の最強姉弟の剛拳が南町残党共を容赦無くぶちのめす!
「き、聞いてねぇぞ!こんな化け物相手にするなんて!?」
「に、逃げろぉ!」
「逃げられると思ってるの?」
「私達を敵に回したら、怖いわよ・・・!」
更に、逃げようとする男達を虚と更識姉妹が追撃する!
「ヒギャアァァァッ!!」
「折角です。リア充への鬱憤はアナタ達で晴らしましょうか」
「お姉ちゃん、真凛さんと他の人は私が避難させとくから、思いっきり殺っちゃって〜!」
南町残党は運が無かった。
狙った相手殆どがIS学園でも指折りの戦闘力とえげつなさを持ったメンバーだったのだから・・・。
「こ、この役立たず!こうなったら、あの雌豚殺して、お兄だけでも取り戻してやる!!」
味方を瞬く間に倒され、焦る蘭は悪足掻きとばかりにダイナマイトを鈴目掛けて投げ付けようとするが。
「アンタ、いい加減にしなさいよ・・・!南斗烈脚斬陣!!」
静かな怒りと共に放たれる鈴の蹴り。
その鋭く鋭利な脚技が刃となり、蘭の両腕両脚に切傷を刻み、更にはダイナマイトの導火線を斬り落とした!
「うあ゛ァァーーーーッ!!う、腕がぁ!?脚がぁっ!?」
腕と脚を切り裂かれ、叫び声を上げる蘭。
そして、そんな妹に弾はゆっくりと近づく。
「お、お兄・・・助け『黙れ・・・!』ヒッ!?」
「俺を狙うだけならまだしも、無関係の者を巻き込み、北町というだけで遊園地を破壊しようとするというその腐った性根・・・サツに引き渡すだけじゃ済まさん!!醒鋭孔!!」
「ガッ!?」
恐れ慄く蘭の胸部目掛けて、弾の指拳が打ち込まれた!
「イギャアアアァァッ!!
い、痛い!痛い痛い痛い痛いぃ〜〜〜〜っ!!」
「本来は痛覚を剥き出しにして指で触れられただけで全身に激痛が走る身体にする技だが・・・兄としてせめてもの情けだ。鈴に切られた手脚の痛みを数倍にする程度に加減しておいた。
秘孔の効果が切れるまで、約5分・・・せいぜい自分のした事を反省してろ。
・・・後は、警察に任せるぜ」
激痛にのたうち回りながら絶叫する蘭に背を向け、弾は鈴を連れてその場を去ったのだった・・・。
これより数分後、通報を受けて駆けつけた警察によって蘭を始めとした南町残党は逮捕。
蘭は少年院へ入り、他の男達も刑務所へとぶち込まれた。
こうして、南町の歴史に、また一つ汚点が増えたのだった。
「ぐぎぎ・・・よくも、よくも・・・!
必ずここから出て仕返ししてやる・・・!!」
しかし、悪の芽は未だ潰えてはいなかった。
人物紹介
五反田厳
弾の祖父で南町商店街組合の会長。
本人は自分の事を【昔ながらの粋な漢】と思っているが、実際の所非常に狭量かつ執念深く、自分勝手な性格。
10年程前に羅王に料理大会で敗れた事を未だ根に持ち続け、孫である弾と羅王の娘である鈴の交際に猛反対し、弾の事を裏切り者と断じており、いずれ制裁して引き離そうと考えているが全く上手くいかない。
弾からは血の繋がりにすら嫌悪を感じる程に軽蔑されている。
一方で孫娘の蘭の事は溺愛しており、彼女の性格が歪む程に甘やかしている。
五反田蘭
蘭の妹。15歳。
異常なまでのブラコンで、兄である弾を異性として見ており、弾を手に入れる為なら犯罪行為にすら躊躇なく手を染めるサイコパス。
祖父の厳から甘やかされて育った為、非常に我儘で自分の思い通りにいかない事が大嫌い。
次回『千冬の野望編』