前略、親愛なる友人達へ。
俺、織斑一夏がIS学園に入学して、早3日が過ぎました。
この学園の女子達は知能こそ低いがなかなかコミュニケーション能力が高い奴が揃ってるらしく、俺の所属する1組のメンバーはもう全員打ち解けてしまっている。
「私、中学の頃から結構ブイブイ言わしててさ、
とにかく先生から『手の尽くしようがない』って言われてて、
クラスの皆からは『二中の爆弾女』なんて言う渾名で呼ばれてたんだ」
「へぇ〜、凄ーい!」
これはこれで頭が痛くなったりするからタチが悪い。
「私、これまで一度も恋愛した事ないのよね」
続いて口を開いたのは自己紹介の時にインパクト大の芸を披露した相川さんだ。
「え、何で?相川さん結構かわいいからモテそうなのに」
「う〜ん、ナンパとかされた事はあるんだけどね、
けど男の人って私が特技を見せると何故か皆変な顔して離れてくの。
それでついた渾名が『不戦敗の清香ちゃん』。
どういう意味なんだろう?」
いや、当然の普通にそのままの意味だよ!
誰が好き好んで鉛筆食うような女と付き合うか!?
「ハッキリ言って私に比べれば皆大した事無いわ。
っていうか自慢にもなってないじゃん」
しかし、そこに現れる小柄なツインテール少女。
彼女の名は凰鈴音。小学生の頃中国から転校してきた俺の幼馴染だ。
「私は中学の頃、勉強こそ苦手だったけど部活(ラクロス部)とISの知識はめっちゃ真面目にこなしてきた。
お陰でこの二つに関しては未だ負け無しよ。
特にラクロスは1人で相手チーム全員抜きを達成した事もあるわ」
「凄い!それで、渾名は何て呼ばれてたの?」
結局渾名に行き着くんかい。
「え?渾名……特に渾名はなかったけど」
「じゃあダメね。話にならないわ」
哀れ鈴、クラスメート達の基準は特殊だった。
「はぁ!?ちょっと待ってよ!別に渾名なんか無くたって問題ないでしょう!?」
「二中の爆弾女とか三中のモンスターガールとか、そういう呼び名が無いと意味ないでしょ?」
「だよね。二中の鈴木とか三中の佐藤なんて言われても、凄いって感じが伝わって来ないし。
悪いけど、また次回に挑戦してね」
「次回っていつよ!?」
こうして、鈴の武勇伝は誰にも伝わる事なく終わった。
・ ・ ・ ・ ・
「ねぇ、織斑君は何か武勇伝とか無いの?」
うげ、俺にまで矛先が向いてきたよ。
ある訳ないだろ。こちとらバカでアホな千冬姉の面倒見なきゃいけないからずっと真面目に生きてきたんだから。
あ、でも……
「武勇伝じゃないけど、昔一回だけめっちゃ悪い事しちまった事があったな」
「え!?どんな事したの?」
「あれはたしか、第二回モンドグロッソの時……」
・ ・ ・ ・ ・
あの頃、千冬姉はまだ現役バリバリで第二回モンドグロッソにおいても優勝候補筆頭とされていた。
が、馬鹿さ加減で言えば今と大差なく、寧ろ優勝候補筆頭なんて言われてた物だから若干調子に乗ってた為、今以上に酷い状態だった。
日々バカな奇行を繰り返し、俺はその後始末に追われる日々だった。
更に、千冬姉の本性を知らないファンの連中からは訳の分からん嫉妬の目を向けられ、当時の俺は心身ともに疲弊しきっていた。
やがて、俺の中で千冬姉とファンの連中に対する憤りは頂点に達した頃、俺はこう思った。
「あのバカ共に千冬姉がどんだけ頭悪いか教えてやる!!」
そう考えた俺は、早速行動に移った。
家の押し入れの中から千冬姉の中学までのテストの答案用紙を可能な限り掻き集め、それらを全てネットに晒してやったのだ!
その甲斐あって千冬姉のファンクラブは大混乱。
『ここまでバカだったなんて』と失望する声と、
『いくら適性が高いと言ってもここまで酷くない筈だ』と擁護する声が入り乱れて、ファンクラブが崩壊していく様はまさに痛快の一言だった。
しかし、事態はこれだけでは終わらなかった。
千冬姉の馬鹿さ加減が露呈したのはファンクラブだけではなかった。
何と他国にまで知れ渡ってしまったのだ。
その結果、第二回モンドグロッソにて千冬姉はわずか3回戦で頭の悪さを突かれ、頭脳戦に持ち込まれてしまって敗退してしまったのだった。
(イメージ湧かないならドラゴンボールのクリリンVS餃子の決着シーンを想像しろ)
余談ではあるが、後日千冬姉に勝利した選手とその母国から俺に対しお礼の品が山ほど届いた。
・ ・ ・ ・ ・
「まぁ、お前らの(バカな)エピソードに比べりゃ大した事ないけどな」
『いや、アンタの方が滅茶苦茶タチ悪いわよ!!』
え、そうか?(真顔)
登場人物紹介 その1
織斑一夏
一応主人公。ポジションは神山高志。
千冬の馬鹿さ加減に手を焼き、反面教師にしてきた為、非常に勤勉で真面目だがそれ以上に冷めた性格になっている。
千冬に対しては一切容赦が無いが、肉親の情はちゃんと持ち合わせている為、なんだかんだ言っても見捨てられずにいる。
身体能力は千冬に一歩劣るが、腕力は長年千冬を拳骨で黙らせてきた為、千冬以上になっている。
また、IQが高い為、身体能力の差は頭脳と技術で十二分に埋まり、結果的に実力は千冬以上。
恐らく作中一のドス黒いキャラ。
織斑千冬
もう一人の主人公。ポジションは林田慎二郎。
最高レベルのIS適性を持っており、それ故とにかくバカ。
そんな彼女が教師になれる訳もなく、留年しまくって未だに高校一年生で8歳下の弟である一夏のクラスメートになってしまう。
身体能力は滅茶苦茶高いが致命的なまでのバカで頭脳戦に持ち込まれるとまるで駄目になる。
それでも常人より遥かに強く、たまにIS関連の大会に出ては賞金を稼いでいる。
性格は原作と比べて穏和で気さく。ただし度を超えたバカ。
一夏には頭が上がらない。