ファンの方には申し訳ありませんが、今回の主役である某人物は今回を持ちまして戦力外とさせていただきます。
2022年12月某日
都内のボロアパートから出かける一人の少女。
その服は普段の制服姿ではなく、ボロボロのジャージ姿という、側から見れば浮浪者にも近いものだった。
「・・・何で、こうなったの?」
そう力無く呟く少女の名は布仏本音(年俸0円)。
数日前まで生徒会の一員として活動していた本作のレギュラーキャラ・・・その筈だった。
今回は彼女が何故こんな有様に落ちぶれたかを追っていこう。
【ドキュメント 戦力外通告を受けた少女・布仏本音】
布仏本音は話数にして第11話より初登場。
生徒会の一員にして、整備科一年首席として、その姿を読者の前に表した。
当初は、その毒舌さと享楽的な思考により、腹黒キャラとしてのポジションを射止めていた。
『・・・私、お姉ちゃんから『織斑千冬とはあまり関わったり喋ったりしちゃ駄目』って言われてるんです。
ついでに、私も8浪してる人とはちょっと・・・』
(初登場時、千冬に対する毒舌)
『面白そうだから行ってきまーす』
(一夏達のデート妨害に便乗した際の愉快犯的行動)
しかし、海上激闘編というある種の節目を迎え、彼女の立ち位置は大きく揺らぎ始める。
理由はそう、“キャラの薄さ”である。
亡国機業というアクの強い面子の登場。
姉である虚の嫉妬剥き出しという強烈なキャラ付に対し、彼女のポジションは余りにも脆弱だった。
毒舌という個性も、本作においては一夏やシャルロットも持ち合わせたありふれたスキルに過ぎないという事も、彼女のキャラの薄さに拍車を掛けた。
地味キャラポジションである子分メイドさえ、彼氏持ち・本名不明という少ないながらも強い個性があり、本音のキャラはその水準にも満たないものだった。
こんなのがレギュラーキャラで良いのか?
これから亡国機業も加わり、キャラ数は飽和状態でより活気が必要になるストーリーを作らなければならないというのに、無駄に個性の無いキャラを続投させるのは却ってデメリットではないのか?
その問題を議題に、作者である神無鴇人と本音を除くレギュラー陣は協議を小一時間程行い、その結果・・・
「〜〜♪」
自室でお菓子を食べながら寛いでいた本音、そんな彼女に鴇人は静かに近付き・・・
「来年の構想に入ってない」
「へ?」
無情に告げられた戦力外通告。
「え!?ちょっ、何!?・・・うぎゃ!!」
鴇人、千冬、刀奈に拘束され、荷物と共に、本音は生徒会用の寮を追い出されてしまった。
・ ・ ・ ・ ・
後に、子の処遇に対し、本音は述懐する。
「いや、確かに・・・最近ちょっとキャラ薄くなってきたかな?って自分でも思ってたから。
でも、レギュラー降りる気なんて無いです。
だって、私が抜けたら誰が生徒会の、この小説のマスコット役やるんですか?
だから、知らしめてみせますよ。私というマスコット枠の必要性を・・・!」
布仏本音は現役続行を望んでいた。
しかし、数日後・・・
「では、ご紹介します。来期より助っ人参戦していただく新たなマスコット枠担当の・・・」
「助っ人トイプードルのぷーちゃんことぷ太朗です」
「同じく、仁人です。家族からは仁人ちんって呼ばれてます。」
生徒会は鴇人の実家より新たなマスコット枠として助っ人トイプードルのぷ太朗と仁人を迎え入れていた。
彼らはその可愛いルックスで鴇人の実家のアイドルとして活躍するベテラントイプードル達だ。
・ ・ ・ ・ ・
更に数日後、生徒会室
「あ、見て見て!あの子達よ、生徒会の新マスコット担当!」
「なにこれ超かわいい!!」
ぷ太朗と仁人はあれよあれよと言う間にモブ生徒達に大人気となった。
「凄い人気・・・流石ベテランアイドル犬」
「いや、僕達の場合、単にシニア犬なだけなんだけどね」
「そだね。人間で言えば結構な歳だし」
虚の言葉に二匹は割と身も蓋もないツッコミを入れた。
ちなみに、二匹は2013年生まれである。
「はーい、ぷーちゃん、仁人ちん。おやつの時間ですよー」
「「わーい!」」
刀奈は既にメロメロになっていた。
・ ・ ・ ・ ・
「・・・フン!」
【生徒会の新メンバー大人気】、そう書かれた学級新聞を眺め、本音はただただ無言で焚き火に当たりながらコンビニで買ってきた安い弁当をやけくそ気味に掻き込んだ。
そして数日が経ち、本音はある場所へと向かう。
『二軍キャラ練習場』
それは、初期に登場した相川さんや、北町野球チームのピッチャーと言ったサブキャラやモブキャラ達がレギュラーキャラを目指し、自主練を行うグラウンドだった。
「ん?・・・あ!ちょっと!!」
自主練に励む中、本音は見知った顔が近くを通った事に気づき、声を掛ける。
そこにはぷ太朗達の散歩中の鴇人と生徒会メンバー、そして何故か本音追放に協力した千冬の姿があった。
「皆、私のこの扱いどういう事なの?戦力外とか意味分かんないんだけど?
っていうか、この前まで普通に上手く付き合ってきたのに、いきなり冷たいんじゃないの?」
「・・・あー、すまん。二軍キャラはお呼びじゃないんだ」
「はぁ!?」
しかし、返ってきたのは千冬からの冷たい返答だった。
「私達とアナタじゃ、もう住む世界が違うの」
「お嬢様から聞いたわよ。本音、アナタこの前の潜水艦争奪戦の時、こっそり松野家の六つ子や亡国機業の若手男性隊員とアドレス交換したんですってね・・・!」
(ゲッ!?ば、バレてた・・・)
やけにお高く留まった刀奈に、妹相手でも嫉妬剥き出しの虚。
そして残った親友であるはずの簪と作者の鴇人も・・・
「ごめんね、本音。
日常編に入ったら復帰出来るように口利きしてあげるから。
「悪く思うな。今後はバトルシーンも増える予定だから、非戦闘員な上にキャラ薄い奴抱える余裕は無いんだ。
まぁ、どこぞの末っ子みてぇに食いっぱぐれる事は無い。単に一般生徒になるだけだから」
こちらも取りつく島無し。
無情な現実に本音はただ立ち尽くすのみだった。
・ ・ ・ ・ ・
そして迎えたレギュラー昇格を賭けたトライアウト当日。
この日のトライアウトでは、芸術部門・スポーツ部門・バトル部門の三種類で各々が自身の能力を示し、合格を目指すというものである。
最初に行われたのは芸術部門。
「・・・」
布仏本音は動かない。
続くスポーツ部門。
「・・・・・・」
ここでも動かない。
そして格闘部門、事件は起きた。
「ア゛ァァァーーーーッ!!!!」
唐突にキレて奇声を上げながら、自分の順番も無視してリングに乱入した本音は、そのまま他の選手全員に襲いかかった。
「ふざけんなぁーーーーっ!!どいつもこいつも訳の分かんない理由ほざいて!!
私を何だと思ってんだよぉっ!!!!」
周囲の人間全員を瞬く間に血祭りにあげた本音。
彼女が次に視線を向けた先には・・・
「オマエラァーーーーッ!!!!」
「ゲェッ!こっち来た!!」
観客席で観戦していた鴇人、千冬、刀奈、虚、ぷ太朗&仁人だった。
「ちょっ、落ち着いて本音ちゃん『ウルセェーーーーッ!!』ギャアアア!!」
「ま、待て布仏・・・グエェェェッ!!」
そして瞬く間に刀奈と千冬はボコボコにされてしまった。
「あらら・・・あの子ってば完全にキレちゃってるわ。
滅多にキレないけど、本気でキレるとああなっちゃうんですよね」
「あー、いるよな。キレると石だの机だの持って暴れる奴」
姉と作者という立場から余裕ぶっこいて他人事みたいな態度の虚と鴇人だが・・・。
「・・・オマエラモ、道連れダァーーーーッ!!!!」
「「ギャアアアーーーーッ!!!!」
パイプ椅子を振り上げた本音によって二人はぶちのめされたのだった。
(ちなみに、ぷ太朗と仁人は早々に退散して難を逃れた)
・ ・ ・ ・ ・
全ては終わった。
トライアウトで乱闘騒ぎを起こした本音に合格などあり得なかった。
布仏本音・・・彼女のレギュラーとしての活躍は2022年を以て、終わったのであった。
・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・
ところが・・・
「えぇっ!?ぷーちゃんと仁人ちん、帰っちゃったの!?」
「はい。何か、『そろそろママと散歩の時間だから』って」
「仕方ないから次回以降からも本音に生徒会のメンバーとして働いてもらう事になった」
「ま、それが無難と言えば無難か・・・」
驚く刀奈に説明する虚と鴇人。そして納得する千冬。
こうして、本音のレギュラーの座は辛うじて守られたのであった。
めでたしめでたs『おい・・・!』え?
「何もめでたくないよねぇ?まだお前らに報復し終わってないんだから・・・!
おどれら全員、皆殺しじゃあぁーーーーっ!!!!」
『ギィャアアアーーーーッ!!!!』
以下、血で汚れて閲覧不可となりました。
本音の追加個性・『キレたらヤバい』
という訳で本音は続投です。
次回よりまた本編に戻ります。
皆さん良いお年を。