思ったより筆が乗らず長々と掛かってしまいました。
国士無双
時は一夏達が海上での戦いを繰り広げていた頃に遡る。
中国・広州のとある古城に設けられたイベント会場。
「いよいよだな・・・!」
「ええ・・・!」
本日、ここでは年に一度の特級厨師試験が開催される。
この試験で合格した者は世界共通で通じる最上級の調理師免許と、中華料理人として最高位である特級厨師の称号があたえられる。(※独自設定です)
この試験を受けるべく日本より渡航してきた弾と鈴音は、今まさに試験会場へと足を踏み入れた。
『これより、特級厨師試験を開始する!!参加者はそれぞれ用意された持ち場へ!!』
試験管の号令を受け、弾と鈴音はそれぞれの調理場へと立ち、直後に大型スクリーンにはある文字が映し出された。
「三日前に告知した通り試験の課題は二つ!麺、そして国士無双!!即ち、麺料理で国士無双を表現せよ!!
合格者は先着5名!5名の合格者が出た時点で終了とする!!
それでは、始め!!」
・ ・ ・ ・ ・
「出来たぜ!」
「こっちも出来たわ!」
調理開始から数時間後、数々の料理人が不合格となり去っていく中、弾と鈴音はそれぞれの麺料理を完成させた。
「ふむ・・・ではまず88番・五反田弾から。
まず、この料理は国士無双をどう表現しているのか?」
「薬膳料理をベースに、ニンニク・ニラ・長ネギ・羊肉と言った滋養強壮に効果抜群の具材をふんだんに使い、味を整えたものだ。
食えばスタミナ抜群!国士無双が如く精が付く、スタミナ麺だ!!」
「なるほど・・・では、味の方は・・・・・・!?
う、美味い!濃い味だが決してくど過ぎず、上手く味が調整されている。
お見事!合格!!」
「よっしゃあ!」
五反田弾、試験合格!!
「続いて89番・鳳鈴音!」
「私の麺料理は、これよ!」
「こ、これは、何だ?菓子のように、甘い香り・・・?」
「甘くて当然、これは前日に蓮の花にくるんで寝かせた麺生地を、20回以上も折り畳んだ
私が表現したのは国士無双の対となる『絶対佳人』。
古来より我が国では結婚式の際に新郎を国士無双、新婦を絶対佳人と表現しているわ。
夫婦は表裏一体、二人で一対!即ち、絶対佳人は国士無双と切り離せない!!」
「まさに逆転の発想・・・味も申し分無し。
文句無しの合格である!!」
鳳鈴音、合格!!
・ ・ ・ ・ ・
「畜生、あのクソガキ共・・・俺より先に合格しやがって!」
弾と鈴音が合格するのを遠目で見ながら、忌々しそうに二人を睨む一人の男。
その男は苛立ちを抑えようともせず、ズカズカと前に出る。
「オラァッ!完成したぞ!さっさと食って合格させやがれ!クソ共!!」
その男、五反田厳は鼻息も荒くその料理を出した。
・ ・ ・ ・ ・
数分後
「この俺が不合格だとぉっ!?ふざけんなぁっ!!」
「ちょっと・・・」
「何であのジジイ、ここに居るんだ?」
合格者用の控室で休んでいた弾達だったが、聞き覚えのある声に控室を出て様子を見に来た二人は思わぬ人物の姿に呆然としていた。
「俺の作った究極の料理のどこが不合格だってんだぁっ!?」
「だから高級な食材を使い過ぎて味が潰し合っているからだと言っただろうが!!大体これのどこが国士無双だ!?」
「存在自体が国士無双のこの俺が作った料理なら無条件で国士無双に決まってるだろうがぁっ!!」
どんなトンデモ理論だそれは?
「そんな理屈が通るか!!さっさと会場から出て行け料理人の恥晒しめ!!」
「こ、この俺が料理人の恥だとぉっ!?」
怒りを抑えきれずに試験官が発した罵声に、元から沸点の低い厳の理性ははち切れ、遂には試験官に殴りかかった。
「いかん!止めるぞ鈴!」
慌てて止めに入ろうとする弾と鈴。しかし・・・
「・・・そこまでにして貰おうか?」
突如として厳の背後に現れた妙にダンディな声をした少年。
その少年は拳を振り上げた厳の手首を鷲掴み、合気の如く華麗に厳を投げ、地面に叩きつけてしまった。
「あがっ!?」
「見苦しく醜い者ほど、見るに耐えないものはない、な!」
「ぐげえぇっ!?」
そして、そのまま厳の首元を足刀蹴りで踏みつけた!!
「申し訳ない。見るに耐えないとはいえ、このような場でこんな真似を」
「い・・・いや、良い。寧ろ鎮圧感謝する。警備員はこの男を会場から追放、及び警察に連絡を!」
乱入者に狼狽えつつも、試験官は警備員に指示を出す。
そんな中、謎の少年は控室から様子を見ていた弾と鈴を見詰め、意味深な笑みを浮かべた。
「北斗と南斗の若き戦士か・・・フッ、面白くなりそうだ」
果たして、この少年は何者なのか?
新たな謎を残して次回に続く!
余談だが、厳は警察に逮捕され、結構な額の罰金が課せられて日本に強制送還。
加えて今後二度と特級厨師試験を受ける事を禁じられたのだった。
次回予告
突如として現れた謎の少年。
しかし、鈴音は彼と初めて会った気がしない。
そんな中、試験を終えた少年は弾と鈴に手合わせを申し込む。
弾「こいつ、秘孔が・・・無い?」
少年「おいおい、同級生の声も忘れたのか、鳳?」
鈴音「ああ!あ、アンタ・・・まさか!?」