秋葉原に存在するとあるメイド喫茶。
その店の入り口には大きな看板が建てられていた。
【業界最大手芸能プロダクション・765プロ所属モデル、1日メイド喫茶店員イベント】
「〜〜♪」
この日、一夏は上機嫌でそのメイド喫茶を訪れていた。
なぜならば・・・
「おかえりなさいませ♪ご主人様♡」
とびっきりの笑顔を見せて出迎えてきた女性・・・一夏の彼女、真凛である。
「・・・最高だぜ、真凛」
「そ、そうかな・・・///」
そう、本日1日店員を務めるモデルの一人・・・それが真凛なのだ。
「ったく、彼女の前だと本当デレデレになるな、一夏の奴は」
「真凛さんも真凛さんで子分メイドにわざわざメイドの作法教わってたらしいよ・・・4年も付き合ってて未だバカップルなんて、どんだけ相性良いの?」
呆れたように呟く千冬と簪。
他にも箒、セシリア、子分メイド、ラウラ、本音、刀奈、数馬、相沢(i沢)、アームストロング、強蔵、マドカと・・・鈴音と虚を除くいつものメンバーも来店していた。
ちなみに鈴音は実家の手伝い、虚はバイトである。
この日は真凛だけでなくシャルロットも1日店員を務める為、その見物である。
(ただし、シャルロットはスケジュールの都合により後から合流予定)
『おかえりなさいませ、ご主人様方にお嬢様方♡』
真凛に続いて一行を出迎えるメイド(スタッフ)達。
「へぇ〜〜、テレビやアニメで見た通り・・・ん?・・・・・・んん!?」
「どうした?千冬・・・んん!?」
感心したように見渡す千冬達だったが・・・ある一人の人物に注目する。
「い、いらっしやい、ませ・・・ご主人様方に、お嬢様、方・・・」
「束!?」
「姉さん!?」
滝のような汗を掻き、メッチャクチャ気まずそうに目を逸らす一人の女性・・・篠ノ之束の姿がそこにあった。
「うぅ・・・見られたくなかったよ。こんな所、ちーちゃんや箒ちゃん達には・・・」
「姉さん・・・何でこんな所に?」
「だって、お父さんとお母さんが『お見合い』しろって煩くて・・・。
このバイトだって人見知りを治す『花嫁修行』って事で捩じ込まれたんだよ・・・」
「そ、それはまた・・・気の毒に・・・」
「取り敢えず、私は他のお客さんをメインで接客するから、極力私に関わらないように。
あと!このバイトの事SNSにアップとかしたら親友だろうと妹だろうとマジぶっ殺すからね!!」
それだけ注意して束は一旦スタッフルームに引っ込むが・・・
・ ・ ・ ・ ・
「って、言ってるそばから何で私の担当席に来てんのー!?」
「え?振りじゃなかったのか?」
「振りじゃねーよ!大体何で箒ちゃん達まで!?」
「いやぁ・・・その、姉さんのこんな姿そうそう見られないと思ったら、好奇心に抗えなくて・・・」
束の担当区画には女性陣メンバーが全員集まってしまった。
しかも普段真面目な箒まで悪ノリに参加してるのだからタチが悪い。
「コラコラ、タバネっち。身内だからってお嬢様方に失礼な態度はダメだぞ♪教えた通りにやらないとネ☆」
やんわりと先輩メイドに注意される束。だが・・・
「た、タバネっちwww」
「何だそのたまごっちみたいなあだ名はwww」
逆にこれが千冬と箒のツボに入ってしまった。
(こ、コイツらぁ・・・!普段振り回したり振り回されたりな関係な癖に、こういう時だけ意気投合しやがってぇ・・・!!
大体テメーはツッコミ役だろうが愚妹がぁ〜〜〜〜っ!!)
腹の底から込み上げる怒りと苛立ちを感じながらも、先輩の手前それを必死で抑え込み、束は出来る限りの笑顔を浮かべる。
「ご、ごめんなのだ☆ちゃんとご奉仕しますにゃん♡」
「「プククククク・・・・・・wwwwww」」
必死に取り繕ってぶりっ子してる束の姿に千冬と箒は笑いを堪えるのに必死だった。
「(この馬鹿どもぉ〜〜っ!!)
そ、それじゃメニューを選んでくださいませ♪早く選んでしっかり食べて、
さりげなく帰れとアピールする束。
しかし、千冬達はというと・・・。
「うーん、じゃあ・・・ビールと枝豆あるか?」
「ごめんなさい、ありません☆」
「牛丼ある?」
「それも無いです」
「たこ焼き」
「無い」
「もつ煮込み」
「ねぇーよ!」
「山芋鉄板焼き」
「居酒屋じゃねーんだよ学生ども!!」
悪ノリに比例し束の口調はどんどん荒くなっていく。
「メイドならメイドらしくさっさと紅茶でも入れて来なさいな下民、ゴギャアッ!?」
普段にも増して滅茶苦茶偉そうな態度を取って命令するセシリアに束の鉄拳がぶち込まれ、セシリアの顔面は愚地克巳の正拳突きを喰らったドイルの如くひしゃげてしまった。
「お嬢様、あんまり調子に乗ってたら、メイドパンチでお仕置きしちゃうゾ♡だから・・・
さっさとメニューの中から選べ馬鹿共・・・!!」
『は、はい・・・』
束の逆鱗に触れた面々は一気に萎縮し、大人しくなった。
「お、オムライスでお願いします・・・皆もそれで良いか?」
『異議無し!』
「はーい♡オムライス9皿ですね。少々お待ちくださいませ♪」
悪ノリを強制的に終わらせ、束は満面の笑顔でキッチンへと戻っていった。
「わ、悪ノリし過ぎたぁ〜〜っ!危うく姉さんを本気でキレさせる所だった・・・」
「アレでまだ本気じゃないの!?」
「まぁな、束が本気でキレたら私でも止められん。一夏なら何とか抑えられるかもしれんが、確実とは言えんからな・・・。
生贄になったセシリアには感謝と冥福を・・・」
「ま、まだ生きてますわ、よ・・・」
・ ・ ・ ・ ・
一方その頃、男性陣はと言うと・・・
「・・・フンッ!」
「ヴヴゥ・・・ッ!」
「「キャーー!!すっごい筋肉!格好良いよぉ〜〜っ!!」」
「「・・・///」」
アームストロングと強蔵は筋肉フェチのメイド達から黄色い歓声を浴び、
「すっごーい!私本物のゴリラ初めて触っちゃった♪」
「ンゴッ・・・///」
数馬は動物好きのメイドに可愛がられ、
「ねぇねぇ!ドリルある?ドリル装備してる?」
「ドリルか?削岩用アームの物で良ければあるぜ」
「うわぁ〜〜!本物のドリル!やっぱ重機とかドリルとかって萌えるよねぇ!!」
i沢は重機&ドリルオタクのメイドの視線を釘付けに、
そして、一夏と真凛は・・・
「・・・美味い、良い紅茶だ」
「そ、そうですか?」
「ああ、味は勿論、この紅茶に合うカップを選ぶ審美眼、そして茶葉も飲ませる相手に合わせてしっかり厳選する知性と気品。
・・・これなら、誰にも文句を言わせずに君を妻に迎え入れる事が出来る」
「っ!・・・ああ!ご主人様ぁっ!!」
主人とメイドになりきって、文字通りのメイドコスチュームプレイを楽しんでいた。
・ ・ ・ ・ ・
『良いなぁ、あっちは・・・』
「数馬ぁ〜〜!私と言うものがありながら・・・!!」
充実してる男性陣を羨む女性陣。
一人だけハンカチを噛んで悔しがってる
だがしかし、彼女達はまだ知らなかった・・・。
束のメイド姿など、これから始まる地獄のショーの前座に過ぎなかった事を。
「あ、新しいメイドさん入りまーす!」
妙に狼狽えた束の声が店内に響く。
その顔には若干の冷や汗を流していた。
何事かと思い皆が振り向いたその先には・・・
「よろしくお願いしまぁーす、ご主人様方にお嬢様方♪」
『!?!!!?!?!?!?!??!?』
千冬達のみならず、店内の客やスタッフの表情が固まり、目を見開いて口をあんぐりと開く。
そこに居たのは・・・
「私がぁ、新人メイドの・・・虚ちゃん14歳でーす♡」
そこに居たのは本音の姉にしてIS学園生徒会長・布仏虚。
ただ異彩を放つはメイド服ではない・・・、
顔面を黒く塗り、目元周辺は白のアイシャドウ等で白く染め、唇は真っ白な口紅を引いたそのメイク・・・そう、1990年代末から2000年代初頭に流行ったヤマンバメイクを施したその顔である!!
「お、お姉ちゃん・・・」
「虚ちゃん・・・」
「虚さん・・・」
「「「何やってんのぉ〜〜〜〜っ!!??」」」
本音、刀奈、簪・・・3人の絶叫が鳴り響いた。
このヤバすぎる虚の新形態は、一体どんな地獄を齎すのか?
次回に続く!!
次回予告
まさかのヤマンバギャルメイドという色々と盛り過ぎな形態と化した虚。
あまりの気まずさ、クソヤバいその姿に笑いを必死に堪える刀奈達。
そこに現れる真打ちとは!?
次回『笑ってはいけない地獄のメイド喫茶!!』
虚「男の子って、こういうのにそそられるんでしょ♡」
刀奈(この子本気だ!?本気でそう思い込んでる!!)
簪「や、ヤバい・・・口開けたら絶対笑っちゃう・・・wwwwwwww」