IS学園、一年生の遠足。
テンションの高い連中を乗せた大型バスは、一路都心の大型水族館目指して走っていた。
そんな中、1組と4組のバスはというと・・・。
私の名は篠ノ之箒。
くどいようだが、入試次席の優等生だが乗り物には弱い。
私は今、文字通り苦行の真っ只中にいる。
「〜〜〜〜〜♪」
バスのど真ん中でパーティー用の帽子を被って、ビール片手に熱唱している“奴”・・・織斑千冬。
人が酔って気持ち悪い時に馬鹿騒ぎして・・・目障りかつ耳障りな事この上無い。
だが、喋ると吐きそうになる・・・。
「うっぷ・・・」
いかん、余計な事考えたらますます気持ち悪くなってきた。
えぇい、無視だ無視!このまま目を閉じ、無心になって到着を待とう。
「ふぅ〜、歌った歌った。どっこいしょっと・・・」
歌い終えた千冬のアホは少し疲れたのか腰を下ろした。
・・・私の膝の上に。
(ぐぇっ!?お、重いぃ・・・気持ち悪いぃ・・・)
「ハッ!?しまった!私とした事が何て失礼な事を!」
さっさと退けぇ!重いんだよ!!
「やっぱり帽子脱がないと失礼だったな」
そっちじゃない!退けと(心の中で)言ってるんだぁ〜〜!!
畜生、やっぱりこうなってしまった・・・。
思えばコイツには昔から酷い目に遭わされてきた。
姉さんの幼馴染みだから必然的に接点が出来てしまい、一夏共々コイツの奇行に悩まされた小学生時代。
私の乗り物酔いを知ったか知らずかは分からんが一緒に乗り物に乗ると必ずと言って良いほど私の酔いを助長してくる。
「ん?おい箒、顔色悪いぞ。大丈夫か?」
誰のせいだと思ってるんだこの野郎!!
覚えてろよ貴様・・・バスを降りたら必ずぶち殺す!!
「おい!しっかりしろ!!真っ青になってるぞ」
だが、私の殺意を他所に千冬は私の身体を揺さぶってくる。
「ぐぇぇぇぇ・・・!!」
やべでぇ〜〜!死ぬ〜〜〜!!もう私の負げですぅ〜〜〜〜っ!!
お願いだがら私に触らないでぇぇぇ〜〜〜〜っ!!
「ん?箒、もしかしてお前、アレか?」
そうだよバス酔いだよ!やっと理解したか!?
「すまない、そうとは気付かず・・・。
よし、とっておきのものを渡そう」
よ、酔い止め・・・たのむ酔い止めを・・・もう過剰摂取でも構わないから。
「腹が減ってたんだな。ほら、オヤツのプリンだ」
希望は儚く崩れ去った。
「ちょっと緩くなってるが、味に問題はないだろう。さ、食うが良い」
そう言って私の顔にプリンを近付けてくる。
(イヤァァァーーーー!そんなの食ったら間違いなく吐くぅ〜〜〜〜〜っ!!)
「さぁ、遠慮せずに『お前が食ってろ馬鹿姉が!!』ぶげらっ!?」
だが、不意に背後から現れた手が千冬の頭を鷲掴み、プリン目掛けて彼女の顔を叩きつけた!!
(い、一夏ぁぁ・・・)
私を救った救世主・・・一夏の姿に私は無様にも涙を抑えられなかった。
「千冬姉が悪かったな箒。
ほら、ミントガムだ。これ噛んで酔いを紛らわせ」
「あ、ぁりがとぅ・・・」
嗚呼、一夏がいてくれて良かった!
やっぱり一夏は私のヒーローだ!!
これで吐かずに済む!!
【数分後】
「オェェェェ〜〜〜〜っ!!
うぅ・・・ビール飲み過ぎた上にプリンはまずかったか・・・うっぷ・・・」
わ、私の隣でエチケット袋にゲロを吐く千冬。
酔いが落ち着きかけて油断した矢先に・・・。
(あ、もうダメ・・・)
『オェェェェ〜〜〜〜っ!!!!』
こうして、私は忌々しい織斑千冬と並んで、仲良く吐いたのだった。
人物紹介
篠ノ之箒
一夏の幼馴染み。
ポジションは竹之内豊。
原作とは違い1年4組所属。入試次席で剣道部のエースで、人望も厚く友達も多い。
一夏から勉強を教えてもらっていたため、学業は優秀。
要領は良くないが勤勉さでカバーしている努力家。
束との仲は普通に仲の良い姉妹に落ち着いている。
そもそもこの世界では要人保護プログラムは発生してない。
自他共に認める優等生だが、ISを含む乗り物酔いが非常に酷く、酔い止めは必須になってしまっている。
(ただし、箒にとってISはまだ楽な方である)
原作より扱いが良くなったのか、悪くなったのかは読者の捉え方次第である。
次回予告
ノリと勢いで創設された地球防衛軍。
数話にかけて放ったらかしになっていたが、千冬の突飛な提案で新メンバーを探すことになった。
果たして、防衛軍に入る新メンバーとは?
次回『原作ポジションが無いなら、別メディアから引っ張り出せば良い!』