私とお兄ちゃんは初めこそ森の中の洞窟等で暮らしていたが、最近はそうではない。
今日は私やお兄ちゃんが地下から脱出した際に行われていたオークションで恐竜を買い道具のように扱っていたクソ人間の屋敷を襲い、殲滅して屋敷を使うことにした。暫くはここを拠点にするつもりだ。
それに伴い、人間がするであろう事を日常的にするようになる事を考えると、指のを覆う太く鋭い爪がとてつもなく邪魔になるので思いきって爪を切り、ヤスリでみがいてやった。足の爪は健在なので、攻撃には困らないだろう。ナイフも使えるし。
また、屋敷の至るところに弾痕や爆発物でついたであろう焼跡、血痕、何やら人間の一部が飛び散ったであろう(何かはわからないし、興味がない)ものがついていたから、戦闘した当日は掃除に追われてなかなか大変だった。正直、戦闘より大変だった。衛生面的に掃除しなければ間違いなく体調が死ぬ。
日付けが変わってだいぶ時が経ち、ようやく掃除から解放された。大型の冷蔵庫も完備されていたので、損傷の少ない死体は冷蔵庫にしまう。当分食料も調達しなくていいのは楽だ、お兄ちゃんいっぱい食べるしね。私は血塗れの体をシャワーで洗いたかったので、心配しながら風呂場を見に行ったが、水は問題なく使えそうだ。体を綺麗にして、お兄ちゃんを呼びに行く。
リビングに当たるであろう無駄に大きくて黒と金、更には壁に宝石を散らして埋めている部屋についた。贅沢すぎる…
[お兄ちゃん、お風呂入る?血塗れにになっちゃったでしょ、洗うよ?]
これまた贅の限りを尽くしたような絢爛豪華な黒と金のソファーで、気持ち良さそうに体を休めていたお兄ちゃん。寝てるみたい。ソファーの色とお兄ちゃんの体の色が同化しており、正にお兄ちゃんの為にあるようなソファーだった。俺様なお兄ちゃんに豪華な雰囲気も似合っており、王様さながらだ。残念な事に、ソファーは既にお兄ちゃんの体に付着していた血で赤く染まっている部分があるけれど。私の声をを聞くと、大きな口を開けてあくびを漏らした。
[ごめんね、起こしちゃった?]
[ふぁあ…別に構わねえよ。風呂だっけか?洗うならさっさと洗ってくれ。]
昨日の疲れがあるのか、少しまだ眠そうなお兄ちゃんは、確か血がこびりついたまま寝たんだった…と呟きながらお兄ちゃんと共に風呂場に移動してシャワーで体を洗っていく。
因にだが、風呂場もあほらしい程に広い。でも、風呂場も広いのは有りがたい事だ。普通の風呂場じゃあお兄ちゃんデカくて入れないからね。…掃除大変だけど。
[なかなか、このシャワーってのは気持ちのいい物だな。]
[そうだねえ、私もそう思うよ。こんなの作れるの人間だけだもんね。]
ごしごしと泡をつけたブラシでお兄ちゃんを洗いながら、こんなに色々物を作れたりするのは人間だけなんだよなぁ…文明の発達と科学の力って凄いとしみじみ実感する。
だからといって、人間が好きになるわけではないんだけど。むしろ人間に利用されたぶん存分にこちらが利用してやる意気込みだ。
お兄ちゃんを洗い終わり、優しくタオルで拭き上げる。
[よしっ、もういいよお兄ちゃん。次は朝ごはんでも食べる?]
[あぁ、そうするか。]
持ってくるよ、リビングで待ってて!!と駆け足で冷蔵庫に向かう。
世界を見る事よりもお兄ちゃんとの何気ない普通の時間が私にはたまらなくいとおしく、尊いものとなっていた。
次回から独自解釈、ご都合主義展開。