サイレンが五月蝿く鳴る。
ある組織・・・・・・大社の地下独房にて、騒々しい足音が幾つも響く。
「あの祟り野郎ォ~、逃げだしやがった!」
「向こう側へ行って下さい!僕はこちらを!」
「それでは、私はあっちを」
そう、あの馬鹿・・・・・・少年A、もといエースが逃げ出したのである。
ちなみに。
「コレで四十八回目ですよ!?」
「ったくなんであいつ片腕だけで鉄格子捩切れるんだよ!?大太刀没収しといたのに意味ねーよ!!」
脱走王である。
・・・・・・そして、何回も脱走している、ということは。
「はぁ、またか」
「行こう。あの人を捕まえに」
・・・・・・勇者と呼ばれる少女達が、端末で連絡を受けて腰を上げる。
「今度こそ!あんの勇者から逃げきってやるぜぇー!」
約十分後。
エースの悲鳴が大社本部のエントランスで上がった。
*
「おら、今度は脱走すんじゃねぇぞ!」
「ちくせう」
「今度はタングステン製の格子だ。まったく、鉄格子をなんで片腕で捩切れんだよ本当にぃ・・・・・・」
という訳で。
合計四十九回目の脱走は、失敗に終わったのだった。
「ッ、クソッタレ!」
ガン!と、エースは壁を叩く。
「シャバの空気吸いてぇのにコレじゃあ気が滅入るぜ・・・・・・」
参っているようである。
馬鹿な物言いがなっていない。
完全に気が落ちている。
その時。
足音がしたと思えば、声がかけられた。
「おい、嵐男。そろそろ脱走を諦めたらどうだ」
「俺を出してくれりゃあ鉄格子引きちぎってまで脱走しねぇ、っての。ったく、歌野達が俺のこと心配してねぇかなぁ・・・・・・?」
「・・・・・・大丈夫だ。むしろ、お前の心配ではなく四国の未来を心配していた」
「あんのロリ帰ったら、レール無し空を飛ぶジェットコースターの刑だな」
さて。
エースに声をかけたのは、ここ、四国を護る勇者である乃木若葉である。
諏訪にいる歌野と同じくらいの年頃の女の子だ。
「あー、マジで憂鬱。出せよー暇だよー・・・・・・」
「・・・・・・それなら、コレを」
渡されたのは、とある携帯ゲーム機。
「流石に哀れに思えてきたのでな。暇潰しにやると良い」
「マジで!?ありがとう!」
何ともチョロい、エースだった。
*
後に。
『Cシャドウ』というゲームのトッププレイヤーを追い詰め、首に手をかける程の実力を持つポッと出のプレイヤー、『少年A』が四国内の動画サイトで有名になるのだが・・・・・・それはまた、別の話。
まあ、それ程先の話という訳でもないのだが。
さて。
次回。
エースが、この世で最も命知らずな事をします。