少年Aは神殺しである。   作:千点数

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 サラリと書きました。

 なんか変になってても気にせず誤字報告の方にお願いします。


2:俺かい?俺はーーー

 神殺しは、馬鹿にしか出来ないだろう。

 

 大抵の人間は、余りにも大きな差があれば、『埋めるのも馬鹿らしい』と、諦める。

 

 が、馬鹿は違う。

 馬鹿だからこそ、その差を埋めようと足掻き、苦しみ、そして大抵、やらかすか、『この世のモノとは思えない大事』を成し遂げる。

 

 だからこそ、この世のものとは思えない程の馬鹿にしか、神殺しは果たせないのだ。

 

 *

 

 「生存者、いなかったな・・・・・・」

 

 はぁ、と一息つく。

 そして、やってらんねーぜ、と少年は一人、空を仰いだ。

 

 「俺が化け物を切り捨てながら強行軍した意味とは如何に、ってな」

 

 少年は、取り合えず生存者を探す為にどうしたか・・・・・・。

 

 最初は、コソコソと、化け物に見つからないようにして探していた。

 が、見つからない。

 

 ・・・・・・じゃあ、と、少年は次の手を打った。

 

 それは、『街の中心で大声を張り上げる』という、おバカなものだった。

 

 当然、化け物はワラワラと寄って来る。

 それを少年は奇声を張り上げながら、「チェストー!!!!」と大太刀をブンブンとブン回し、化け物をみじん切りにしながら生存者を探していたのである。

 

 妙に疲れて、息が乱れているのは、町中生存者を探し回ったというのもあるだろうが、大部分はただ大声張り上げて街中を強行突破しまくったせいだろう。

 

 「あー、もう太陽が上ってきてるのが見える・・・・・・つーか、多分アレ、敵だよな・・・・・・」

 

 太陽を見ながら、少年はその太陽の神格を持つこの国の主神を思い浮かべる。

 天の神々が放った化け物及び、昨晩その天の神そのものを一柱殺したのだから、もうあの太陽も敵で良いだろう。

 

 「よーし決めた!俺の当面の生きる目標!」

 

 少年は、東に浮かぶ太陽に向けて人差し指をビシリと向けて、高らかに宣言する。

 

 「太陽、テメェを殺すことだ!」

 

 何ともスケールのデカい話である。

 

 *

 

 さて。

 余りにもおバカ過ぎる目標を立てたはいいものの。

 少年には、目下最大の問題が発生していた。

 

 「ハラ減った・・・・・・」

 

 コ レ で あ る。

 

 腹が減っては戦は出来ぬ、という言葉があるように、少年は今、三週間もの間飲まず食わず、更に左腕の祟りによる影響で苦しみもがき、でも、死ねないという二重三重の苦痛に苛まれ、少年の心はズタボロであった。

 

 何か食べたい。

 

 その思いが、彼にモノスゴイ感覚を与えたのだろう。

 

 「クンクン・・・・・・スンスン・・・・・・コレは!蕎麦の匂い!」

 

 実際、今いるのは山の中。

 蕎麦なんてある訳がない。

 だが、彼はそんなの知らん、蕎麦の匂いのする方へーーーといった具合に、一目散に駆けていった。

 

 「うっひょー!三週間と一日ぶりの(めし)だ飯ぃー!」

 

 少年の脳内が、些か残念な事になっているが・・・・・・とうとう、何もない場所で蕎麦の匂いを感じる程頭がヤバい事になったのか・・・・・・というと、そうでもなく。

 

 「村だ!村がある!そして蕎麦の匂いはあそこからだぁああああああああああああああああ!!」

 

 うっひょひょーい!と、駆けていく一人の馬鹿。

 傍から見れば変人である。

 

 途中、化け物が湧いてたりしたが、

 

 「邪魔じゃボケェエエエエエエ!」

 

 少年はまるで豆腐を切るかのようにスパスパ切り裂いた。

 

 途中、黄色い奇抜な格好をした少女がいて、村に向かうついでに担いでいく。

 

 「ワッツ!?あなた誰よ!?」

 「誰でも良いだろ!取り合えずお前あそこの村に投げ飛ばすからしっかり飛べよ~!」

 「は、はい!?っって、ホワイいまなんて!?・・・・・・ぃいやぁああああああああああああ!?」

 

 少女は化け物をばっさばっさとデカい鞭で薙ぎ倒していたが、少年にとっては進行するのに邪魔だった為に担ぎ上げてから村までその少女を投げ飛ばし、自らは化け物の群れの中に踊り出て、残像を残しながらとてつもないスピードで、ザクザク切り裂いていく。

 

 「だから邪魔だっつってんだろ化け物ども!」

 

 大太刀の振り方は雑で、とんでもなく無駄が多かったが、それを少年は気にもせずに、乱雑に振り続ける。

 ボロボロに擦り切れ、ところどころほつれたブカブカのパーカーを翻し、少年は宙を舞いながら化け物を一刀の下に切り伏せていく。

 

 「コレで、ラストォ!」

 

 大上段からの振り下ろしで、化け物を切り飛ばし、少年は大太刀を鞘に納める。

 そして漸く、少年曰く蕎麦の匂いがする村・・・・・・いや、規模からして町に辿り着いた。

 

 「いやぁ、さっきは投げ飛ばして悪かったな」

 「アー、ここは投げ飛ばされた事を怒れば良いのかしら?それとも、化け物退治のお礼を言った方が良いのかしら・・・・・・?」

 「別にどっちでも良いんじゃね?」

 

 そして、いくら腹が減っていようとも、まずは先ほど投げ飛ばした少女の着弾点へと赴き、頭を下げた。

 最早頭がヤバい事になっているのでは、といった具合の馬鹿でも、最低限度の礼節は弁えているのである。

 

 「じゃあ、お礼でも言っておくわ。サンキュー名も知らぬ少年!」

 「おう。お礼は蕎麦で良いぜ。腹へってんだ。もう三週間食ってない」

 「オーケー、なら食堂へ行きましょう!フォローミー!・・・・・・え?」

 

 少女が、驚いたような顔を向ける。

 

 「いやぁ、ここまで強行軍だったもんでね。五十キロ程の大進撃だ」

 「よくライフが持ったものね・・・・・・パワーがストロングとはいえ」

 「んー、まあ、なんか祟り食らったら身体が痛い変わりに軽くなったしな」

 「ワッツ!?祟り!?」

 

 今度は少女が、豆鉄砲を食らった鳩のような顔をした。

 

 「おう。この左腕に絡み付いてんの祟り。ああ、伝染とかはないから安心しろ。あくまでも俺に苦痛を与えるだけらしいし」

 「だ、ダイジョーブなの・・・・・・?」

 「別に?なんか針治療でツボじゃない場所を何回もツンツンされてる感じって言えばわかるか?」

 「う、うん・・・・・・いったいどんな事をすれば祟られるのかしら・・・・・・?」

 「剣神ぶっ殺した」

 「What's!?」

 

 カタカナ英語が急に流暢になった少女。

 これ以上ないまでに驚きの顔を見せている。

 

 「いやぁ、あいつ死に際に特大の置き土産残して逝きやがってよ。ったく、お陰で毎日毎日チクチクともにょもにょする変な痛みを味わわなくちゃいけない事に・・・・・・!」

 「オーケー。貴方が私の理解を超えるような事をしでかした事はアンダースタンドしたわ」

 

 少女は最早考える事を放棄したらしく、頭を押さえてため息をついていた。

 

 「貴方・・・・・・一体何者なのよ・・・・・・?」

 

 そう言って、彼女は少年に目を向ける。

 

 「俺かい?俺はーーー」

 

 少年は、愉快そうに笑うと、

 

 「俺は神殺しの、何処にでもいる街の少年Aだ。そうだな・・・・・・エースとでも呼んでくれ」

 「真面目に名乗りなさいよ!?」

 「悪いな、本名は自分の口から名乗らない主義なんだ」

 「もうそれで良いわ・・・・・・」

 

 この少年、かっこつけしいである。

 

 (よっしゃぁ!『名前を名乗らない』というカッコイイ自己紹介出来たぁ!)

 

 そして、馬鹿である。

 

 *

 

 なんだかんだあって、少年A・・・・・・エースは、三週間と一日ぶりのマトモな食事にありつけた。




 少年A(主人公)

 とある剣神をぶっ殺して、神殺しになった人。
 ドコゾの魔王と違い、

 1、権能は奪えない
 2、義母?いない
 3、殺したのはまつろわぬ神ではない

 で、更に神様に置き土産で祟られて、毎秒毎秒左腕に違うツボを押されて刺されて・・・・・・といったような痛みが走るように。

 祟りと同時に、不老かつ、圧倒的な不死性を持つ化け物の肉体になる呪いもかけられた為、地味な痛みを半永久的に味わう事に。

 剣神が黄泉の国に持って行き忘れていった大太刀でばっさばっさとバーテックスをなぎ払う。

 今のところの目標は、どこぞの天照らす人を殺すこと。
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