「・・・・・・さぁ、第二ラウンドといこうぜ?」
「・・・・・・貴様、根っからの気狂いか・・・・・・ッ!」
神は顔を引き攣らせ、少年A・・・・・・エースは不敵に笑う。
神は、この少年のおかしさに、漸くもって気がついた。
コイツは、神を殺せるだけの、『
「いっくぜぇーー!」
「・・・・・・ちぃッ」
黒焦げになって、パラパラと崩れ落ちる右腕で握った大太刀を振り回して攻撃を行うエース。
神はそれを、余裕を持って手に持つ
「焦げた右腕で大太刀を振るうなど・・・・・・本当に貴様、人間か!?」
「悪いが生物学上じゃあ人間だ!!」
エースは大太刀を振り抜き、神を剣の防御ごと弾き飛ばした。
エースも、神程ではないとはいえ、祟りの効果で人間やめちゃった人外の内の一人。
そこそこ身体も強化されている。
・・・・・・まあ、雀の涙ほどしか強化されてないが。
それでも、力のかけ具合によっては人と同程度の体重の神を吹き飛ばす程度、造作もないのである。
神は吹っ飛ばされたあと、体勢を立て直すが、その時にはもう目の前に
「死に晒せやぁああああああ!!」
さて。
前半、神に吹き飛ばされてばかりで、尚且つ体温やら体力やらを、雨ざぁざぁの悪天候の中奪われていたエースが、何故ここまでやれているのか。
答は簡単。
アドレナリンその他諸々ドバドバで、極度の痛みでテンションがハイって奴になっているエースは、目を血で染まった紅い色に光らせて、ボロボロの腕で大太刀を神の胸に向かって突き出した。
「人間、貴様ーー」
「終わりだぁッ!」
そしてそれはーーーー神の胸には、刺さらなかった。
神は、それを間一髪で身体を反らす事によって避け、空に稲妻を発生させ、エースの右腕にそれを落とした。
エースの右腕は、元々黒焦げのボロボロだったにも関わらず、更にそこに駄目押しをくらって肩先から跡形もなく消し飛んだ。
傷口が稲妻によって焼け、瞬時に塞がれて血が出なかった事が幸運だろうか。
腕一本を失うことは、闘いにおいては絶対的に不利になる。
剣を振るにしても、槍を振るにしても、腕が二本あった方が確実に強いし、保持しやすいし、それに力も込めやすい。
エースの場合、更にそこに今までの切り合いによって受けた
通常の人間であれば、勝ちを半分くらい諦めるであろうこの状況。
・・・・・・だが、その程度で諦めるエースではない。
「腕の一本くらいーーーー」
その程度で諦めるのであれば・・・・・・
「くれてやらぁああああああ!」
・・・・・・神殺しなんてものに、なってはいないのだから。
エースは、塵芥と化した右腕から落ちた、稲妻を受けて若干熱く焼けた大太刀を右足で蹴り上げ左手で掴むと、神の懐に今一歩踏み込んで、
「今度こそ、死にやがれ・・・・・・ッ!!」
深々と、神の胸板に突き刺した。
そして。
「行くぜ駄目押しッ」
それを乱雑にねじり抜き、今度は袈裟斬りに、右肩から左腰にかけて、ザックリと神の身体を真っ二つに切り裂いた。
*
いつの間にか、雨は上がっていた。
エースは大太刀を左腕のみで、鞘に器用にしまうと、先程まで闘っていた神が残した、両刃の、細身の
「この神も黄泉に持ってき忘れてるし・・・・・・神って実は忘れん坊が多いのか・・・・・・!?」
エースは地面に突き刺さっている剣をジロジロと見た後、ため息をつく。
決して、黄泉の国に自分の獲物を忘れて逝った神に呆れた訳ではない。決して。
「エ~ス~!」
「歌野か・・・・・・。どうして、勇者姿になってるんだ?」
エースが佇んでいる場所に、歌野が黄色い装束の姿でやって来た。
「エース、近くにバーテックスが・・・・・・ってワッツザマター!?一体どうしたのその腕!?」
歌野がエースを見るや、片方しかない腕に驚く。
エースは、それをごまかして話を進める。
「後で説明する。戦う時に得に支障はない。
で、今はバー何ちゃらについてだ。そのバー何ちゃらって、化け物の事で確かいいんだよな?」
「絶対に話してもらうわ。あと、バーテックスよ。
ちょっと前に神様の結界が破れて、そこから大量のバーテックスが中に入って来たらしいからサッサとデストロイしないといけないのよ!
・・・・・・エース、本当に、片腕だけで戦えるのかしら?」
「あー・・・・・・多分それ・・・・・・うん、了解。やろう」
多分、いや絶対あの神のせいだ、と独り言を言うエース。
「小学生一人を戦場に残す訳にもいかねぇしな。神を殺したこの力、刮目して見やがれ、ってな」
エースは左腕のみで、地面に突き刺さったままの、先程まで闘っていた神の使っていた剣を引っこ抜くと、振って感触を確かめる。
大太刀を使うには、隻腕では難しい。
という訳で、大太刀よりも短く、取り回しやすいこの剣を使うらしかった。
「それにしても驚いたわ。気がついたら床でスリーピングしてたもの」
「寝不足か?」
絶対にあの神の威圧のせいだ・・・・・・と、心の中で言うエース。
「まあ、起き抜けの準備運動にはちょうど良かったわ!サッサとモンスターをデストロイするわよ!エース!」
「起き抜けの運動としては却下だ!!無理すんなよ小学生!」
目の前には、数百匹の化け物の大群。
エースと歌野は、それぞれの獲物を振るい、駆け出した。
・・・・・・エースの左腕の、剣が交差したような祟りの紋様に巻き付くようにして、稲妻のような祟りが鈍く、まがまがしく光り輝いていた。
次回
新章 突入